By Hiroshi Okubo
ついに幕を開けた”年末の祭典”、The Last Sun2017! 2日間かけて競われる本トーナメントはまずスタンダード4回戦から開始される。
桐野「一発目から勘弁して。ただ遊びに来たのにw」
栄えある第1回戦のテキストフィーチャー席に呼ばれたのは、今年グランプリ・静岡2017春で優勝を果たしたルーキー、桐野 亮平(広島)だ。向かいに座るビッグネームを前に辟易しつつ、笑顔を交えて軽く挨拶を交わす。グランプリ・静岡2017春の頃はまだマジック歴も1年に満たないほどだと語り、まだ少し頼りなくも見えた桐野だったが、この半年間で数々のトーナメントに出場しつつ大きな成長を遂げ、強豪としての風格を身に纏ってこの舞台へと登ってきたようだ。
市川「いやいや、俺も遊びに来ただけだからw体がまだ眠ってるしw」
と、そんな桐野の対戦相手は言わずと知れたTeam Cygames所属のゴールドレベル・プロ、市川 ユウキ(MO)! 勢いがある人と当たるのキツいなー! と、いつもの軽妙な”市川節”を披露する。
これこそThe Last Sunと言わんばかりの好カード。果たして緒戦を勝ち上がるのはどちらになるのか? 多くのギャラリーが彼らを取り巻く中、第1回戦が開始された。
Game 1
先攻の桐野がまずはと2ターン目に《導路の召使い》でエネルギーを蓄えると、返す市川はこれを素早く《削剥》で対処する。負けじと桐野は《ならず者の精製屋》を戦線に送り込み、市川は《媒介者の修練者》をプレイしてマナを伸ばす。
第3ターンまで両者譲らず攻防を交わすが、第4ターンに状況が大きく動き始める。桐野が4枚の土地をタップして叩きつけたのは《逆毛ハイドラ》!ゲームを決定づけかねない強烈なフィニッシャーの登場。さらに《ならず者の精製屋》でクロックを刻み始め、盤面の状況とライフレースでは桐野がまずはリードを奪った形だ。
だが、ここで簡単にやられる市川ではない。《媒介者の修練者》でマナを得ながら一手早く《多面相の侍臣》を唱え、桐野の《ならず者の精製屋》のコピーとして戦場に出す。
返すターン、エネルギーを8個蓄えている桐野は《ならず者の精製屋》と《逆毛ハイドラ》で強気の攻勢を仕掛ける。最大で6/5にもなれる《逆毛ハイドラ》を止めることはせず、《多面相の侍臣》で《ならず者の精製屋》をブロックして堅実に盤面を整理。桐野がさらに2枚目の《逆毛ハイドラ》をプレイすると、市川も《スカラベの神》で応戦の構えを見せる。
だが、桐野はトップデッキしたカードを眺めながらここで小考の時間を取る。やがて意を決したように《蓄霊稲妻》で《スカラベの神》を除去し、《逆毛ハイドラ》2体で市川のライフを4まで削る。加えて《削剥》で徐々にサイズを上げつつある《媒介者の修練者》を除去して露払いを済ませると、いよいよ形勢は完全に桐野優位と言える形になった。
市川は《つむじ風の巨匠》と《ならず者の精製屋》をプレイしてなんとかこの状況を耐えようと抗うが、桐野は構わず《逆毛ハイドラ》2体でアタック。市川も《ならず者の精製屋》と飛行機械トークンによるブロックで片方の《逆毛ハイドラ》を打ち取ることに成功するが、桐野はさらに《スカラベの神》でマウンティングを狙う。
さすがに勝負あったかと思われたが、市川は再びの《ならず者の精製屋》で打開策を探りつつ、桐野の《スカラベの神》を《蓄霊稲妻》で除去。さらに再度《スカラベの神》をプレイし、命からがらゲームメイクに力を注ぐ。
だが、無情にも桐野が3枚の土地を寝かせてプレイしたのは《至高の意志》。これが市川の《スカラベの神》を打ち消すと、もはや市川にゲームを取り戻す術はなかった。
桐野 1-0 市川
Game 2
市川が《霊気との調和》で《沼》を探すスタート。桐野が《導路の召使い》をプレイすると、市川は《蓄霊稲妻》で対処し、返すターンには《導路の召使い》。桐野もこれを《削剥》してイーブンな盤面が続く。
だが、いよいよ中盤戦に差し掛かろうという第4ターン目にして悲劇的にも桐野の土地が止まってしまう。《ならず者の精製屋》でドローするもライブラリートップに土地はなく、その間にも市川はまっすぐに6マナへと到達。《秘宝探究者、ヴラスカ》を呼び出してトークンを生成する。
桐野も《つむじ風の巨匠》を呼び出して抗うが、依然土地は3枚のみで2アクションが取れない。対照的に市川は《媒介者の修練者》と《スカラベの神》を呼び出し、《秘宝探究者、ヴラスカ》によって2体目のトークンを追加する。
忠誠度が10まで溜まったヴラスカに“即負け”の「ー10」能力をちらつかされてしまっては、桐野としては無理にでも動かざるを得ず、飛行機械トークンで《秘宝探究者、ヴラスカ》の忠誠度をわずかに減らす。しかし、桐野が《秘宝探究者、ヴラスカ》と戯れている間に市川は《スカラベの神》と海賊トークンで強烈な打点を叩き込みながら、桐野の優良クリーチャーたちを次々に現世へと呼び戻し、圧倒的な軍勢を築き上げる。
無論、桐野にこの状況を打開する手段はなく。次のゲームに望みを託してサイドボードへと手を伸ばした。
桐野 1-1 市川
Game 3
ダブルマリガンのハンドから2ターン目のアクションがなかった桐野に対して市川は2ターン目から《媒介者の修練者》。桐野はこれを《蓄霊稲妻》で除去するが、3マナで土地が止まってしまう。
市川は合間合間で《霊気との調和》をプレイしてエネルギーを蓄えながら色マナを確保し、《ならず者の精製屋》を戦場に送り込む。桐野は《反逆の先導者、チャンドラ》を呼び出し「-3」能力でこれを除去するが、返す市川の手札からも《反逆の先導者、チャンドラ》が飛び出し、桐野のチャンドラを焼き払った。
市川はさらに続くターンに《反逆の先導者、チャンドラ》でマナを出しながら《スカラベの神》を叩きつけ、桐野が戦場に出した《導路の召使い》に《削剥》を当てる。桐野が《つむじ風の巨匠》をプレイすると、市川は《多面相の侍臣》でそれをコピーし、完全に桐野の“一歩先”の動きを見せつける。
やがて市川は《反逆の先導者、チャンドラ》の「-7」能力を起動。手札の呪文を解き放つにつれ、桐野のクリーチャーとライフを奪い去っっていった。
桐野 1-2 市川