Round 14: 江口 幸生(東京) vs. 金子 真幸(東京)

晴れる屋

By Genki Moriyasu

 長い長い2日間13回戦を終えて、いよいよスイスラウンド最終戦。勝てばトップ8。負ければスイス敗退。この、”決勝進出をかけたスイス最終戦”という非常にニッチなマッチ。負ければ全てが泡のように消えてなくなる”バブル・マッチ”と俗に称されて、随分と長い歴史を持つ。

 14戦のうちのたった1戦だが、14戦を締めくくる大切な1戦だ。

 Round 10で既に一度テキスト・フィーチャー卓についた金子が再び姿を現した。阿倍 倫央に勝利したRound 10はスタンダードラウンドであったが今回はレガシーだ。使用するデッキタイプは必然、変化する。

 対する江口も、ここまでで10勝を稼ぐ強豪だ。使用デッキは「グリクシスデルバー」《秘密を掘り下げる者》のクロック形成からゲームをプランニングすることを中心にするが、《若き紅蓮術士》の横並びルートも重要だ。レガシー界でも有数の小回りの利くデッキタイプであり、プレイングで展開に幅が出ることも良くある。端的に言えば乗りこなすのがむずかしいとされるデッキタイプの1つだ。

Round 14: 江口 幸生(東京) vs. 金子 真幸(東京)

Round 14: 江口 幸生(東京) vs. 金子 真幸(東京)

Game 1

 《Underground Sea》《死儀礼のシャーマン》スタートの先手・江口に対し、金子は《Taiga》から《遺産のドルイド》をプレイして「エルフ」であることを表明する。江口は《遺産のドルイド》のマナ加速力が動き始める前に《四肢切断》で退場させた。

 金子は《エルフの幻想家》プレイで静かに再起動を図ってゆく。除去を枯らした江口に対して、そのまま《ワイアウッドの共生虫》《エルフの幻想家》のシナジーでハンドを急速に回復してゆく金子。合わせて3枚の《ガイアの揺籃の地》を引き込む不運があるも、金子が秘蔵のクリーチャー《レンの地の群れ使い》をプレイすると、その膨大なマナを余すことなく使えるようになった。対する江口も《若き紅蓮術士》とそのトークンで戦線を横に広げて、《死儀礼のシャーマン》の能力と合わせてライフレースに持ち込んでゆく。

自然の秩序孔蹄のビヒモス

 しかし金子はその勢いのまま狼数体を出したあとに《自然の秩序》《孔蹄のビヒモス》を戦場に着地させ―…

 +7/+7にトランプルと接死までもが付与されている狼たちが筆頭となって、ライフレースを崩壊させる。動けるクリーチャーすべてが江口に襲い掛かる。《若き紅蓮術士》トークンのチャンプ・ブロックによる延命さえ許さず、ライフを奪い切った。

江口 0-1 金子

Game 2

 《ドライアドの東屋》からの立ち上がりをみせた金子は再び《ワイアウッドの共生虫》《エルフの幻想家》を揃えたが、江口の《稲妻》《二股の稲妻》でクリーチャーが一掃されたあと、《目くらまし》で後続の種となる《遺産のドルイド》も弾かれる。

江口 幸生

江口 幸生

 さらに江口によって潤沢に戦場に放り込まれた火力呪文が早々に《グルマグのアンコウ》の「探査」に再消費されると、金子はこの5/5というサイズを受け止める手立てを用意する暇なくライフを喪失した。「エルフ」のレガシー随一を誇るドロー力も、その種となるクリーチャーがいなければ動き出せない。

江口 1-1 金子

Game 3

 後手・金子の《死儀礼のシャーマン》が江口の《四肢切断》で打倒されたあと、江口が《死儀礼のシャーマン》《秘密を掘り下げる者》を用意して攻勢を示す。

 この間に《ワイアウッドの共生虫》《クウィリーオンのドライアド》《死儀礼のシャーマン》を揃える金子。展開だけを見れば金子にわずかながら利があるかと思われたが、メインでプレイした江口の《渦まく知識》が強烈なハンドを形成させた。

稲妻稲妻稲妻

 《稲妻》3枚。

 金子がプレイした生物たちが、紅色の閃光に焼かれ焦がれてゆく。ここから江口のワンサイド・ゲームが始まる―…

 が、観客たちがそう思う瞬間は1ターンも続かなかった。金子は《緑の太陽の頂点》で再び《ワイアウッドの共生虫》を呼びおこし、《エルフの幻想家》も追加して、これでこのマッチで三度目となるドロー・エンジンを用意した。対する江口もGame 2を決めた《グルマグのアンコウ》をプレイして、キルターンを縮めてゆく。

 それでも未だライフに余裕をもつ金子は2枚目の《緑の太陽の頂点》を引いて、「X=4」から《レンの地の群れ使い》を呼び出した。唯一タップアウトで隙をみせた着地ターンであったが、江口の除去は飛んでこない。その後は狼・トークンを用意して地上を強烈に固めてゆく。

金子 真幸

金子 真幸

 狼が2体、3体、4体と並んで盤面は完全に膠着しそうかと思われたターン。既にハンドのない江口に対し、金子はカウンターを気にせず《自然の秩序》《孔蹄のビヒモス》を戦場に生み出した。再び+6/+6、トランプル、接死が付与された狼たちが中心となって江口に襲い掛かる。実際にアタック宣言に入れるクリーチャーは4体ほどだが、接死とトランプルのシナジーも併せて、それは十二分に人を打倒するに足るダメージソースだった。

江口 1-2 金子

レンの地の群れ使い

 金子の《レンの地の群れ使い》が縦横無尽に活躍したGame 1,3であった。普段見かけることの少ないカードだが、4マナ5/5というサイズは《突然の衰微》《稲妻》に耐性を持つという点で非常に優秀なようだ。

 金子、スタンダードのスゥルタイ・エネルギーもレガシーのエルフも見事に乗りこなしてバブル・マッチを制しトップ8進出!

この記事内で掲載されたカード