ヴィンテージといえばMoxenの存在により先手がかなり有利となるため、いわゆる「運ゲー」と思われる向きもあるかもしれない。しかしそんなヴィンテージ環境においても他の環境と同様、安定して勝ち星を重ねることのできる「強豪」と呼ばれるプレイヤーが存在するのだ。
十文字 諒は【第6期】・【第7期】に続いて、なんと今回でヴィンテージの挑戦者決定戦3回連続トップ8となる。
【グランプリ・東京2016】で15位に入賞し、【プロツアー『異界月』】にも出場した経験もあるプレイヤーで、今回は【ノースアメリカのヴィンテージ選手権で準優勝したデッキ】をベースに独自の調整を加えた青白コントロールを選択している。
その特徴はなんといっても《石のような静寂》《至高の評決》《精神壊しの罠》《Moat》と、メインから大量に搭載された1枚差しのメタカード群だ。
十文字「最初から各デッキに対して5枚ずつくらいサイドしてあるので、こっちはサイド20枚使いますね、みたいなデッキですね」
対する高橋 研太も【ヴィンテージ神決定戦】、【第7期挑戦者決定戦】とヴィンテージの大型大会での活躍が目覚ましい「オース」の名手だ。
だが圧倒的な手軽さを誇る《禁忌の果樹園》と《ドルイドの誓い》の2枚コンボも、対策されれば当然機能不全に陥ってしまう。それを見越し、今回は《僧院の導師》や《封じ込める僧侶》を対処できる《罰する火》をメインから搭載しているが、この選択が吉と出るか凶と出るか。
ヴィンテージ強豪同士の準々決勝がいま始まる。
Game 1
後手の十文字がダブルマリガン。そして5枚の手札も芳しいものではなく、高橋の行動をただ見守るだけとなってしまう。
対し先手の高橋は悠々と《Volcanic Island》《Mox Ruby》から《Time Walk》をプレイすると、《定業》から《Black Lotus》、そして《精神を刻む者、ジェイス》!
パワー9の2枚を惜しげもなく使った、実質先手1ターン目のプレインズウォーカー着地を《意志の力》で咎められなかった十文字は、《不毛の大地》《Black Lotus》と設置してターンを返すが、高橋はなおも《ダク・フェイデン》で攻め立てる。
これには十文字もたまらずスタックで《Ancestral Recall》をプレイ、飛んできた《精神的つまづき》には浮いた青青から《Mana Drain》を合わせるが、高橋は《意志の力》を追放しての《意志の力》でしっかり防御。カードの補充を許さない。
そして《ダク・フェイデン》が着地すると、2体のプレインズウォーカーが高橋の手札をどんどんと入れ替えていく。
やがて《ドルイドの誓い》も引き込んだ高橋は、コンボの片割れ、《禁忌の果樹園》を求めてライブラリーを掘り進める。
十文字「《禁忌の果樹園》まだかなー(棒)」
それでもあまりにたどり着かなかったため、高橋は強硬策に出る。すなわち、《実物提示教育》から《グリセルブランド》を着地させたのだ。
すぐさま7枚を引いた高橋はさすがに《禁忌の果樹園》にたどり着く。
高橋のデッキのカードの情報を少しでも得るために一応続けたとはいえ、あまりにものすごい盤面になった果てに、十文字はカードを畳んだ。
高橋 1-0 十文字
Game 2
今度は十文字が先手、そしてヴィンテージは先手が極端に強い環境でもある。後手で跳ね返す手札がないと判断してマリガンした高橋を尻目に、十文字は《島》から高橋のアップキープに《Ancestral Recall》をプレイする立ち上がり。
対して高橋は《Mox Sapphire》から《定業》、これは《精神的つまづき》されるが、《Tropical Island》セットからなおも《定業》をプレイ。だがこれは通るものの、マリガンに加えて《Ancestral Recall》分の手札差が厳しい。
十文字 諒 |
一方十文字はエンド前の《封じ込める僧侶》で《ドルイドの誓い》を先んじて牽制しつつクロックとすると、さらに《Library of Alexandria》をセット。この全自動ドロー装置で高橋とのアドバンテージ差を広げにいく。
高橋は十文字の《Time Walk》こそ《紅蓮破》→《精神的つまづき》→《狼狽の嵐》というカウンター合戦に勝利して防ぐものの、消耗した手札を回復する手段がない。
なんとか数ターン後に《露天鉱床》を引き込んで十文字の《Library of Alexandria》を割るものの、既に十分なアドバンテージを獲得した十文字が《時を越えた探索》を《意志の力》のバックアップで通すと、続けてプレイされた《瞬唱の魔道士》と墓地の《Ancestral Recall》《Time Walk》を見て即座にカードを畳んだ。
高橋 1-1 十文字
Game 3
再び先手となった高橋だが、ノーランドでマリガンを余儀なくされた上に、初動の《定業》を《精神的つまづき》されると、続く2ターン目にも《溢れかえる岸辺》と《Mox Pearl》を構えた十文字に、2枚目の《定業》を《瞬唱の魔道士》からの《精神的つまづき》「フラッシュバック」で弾かれてしまう。
引き込んだ《Black Lotus》から《ダク・フェイデン》を通して次の手を模索する高橋だが、十文字が《封じ込める僧侶》をも着地させて4点クロックを形成すると、このプレインズウォーカーを定着させることができない。
高橋 研太 |
それでも、十文字が《禁忌の果樹園》に対してエンド前に《不毛の大地》を起動したところで、マナを浮かせて《不毛の大地》を解決。墓地が6枚あるのを確認すると、プレイした《時を越えた探索》でリカバリーを図る。
しかし返しで十文字がプレイしたのは《世界のるつぼ》!
《不毛の大地》と合わせて土地が伸びる余地がなくなってしまった高橋は《古えの遺恨》トップデッキを祈るが、ここでさらに十文字はダメ押しの《行き詰まり》をプレイ!
《罰する火》で《封じ込める僧侶》を、《紅蓮破》で《瞬唱の魔道士》を対処してクロックを下げるものの、ついに高橋の土地はなくなってしまう。
やがて《ミシュラの工廠》を置かれると、残り少ないライフを守りきる手段は残されていないのだった。
高橋 1-2 十文字
十文字「三回目でようやく一没 (=準々決勝で敗退すること) を乗り越えたよー!」
十文字、三度目の正直なるか。
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