みなさんこんにちは。
いよいよ来週末には、待ちに待った新セット『灯争大戦』のプレリリースが開催されます。チャレンジャーデッキ2019も発売され、スタンダードプレイヤーにとって最も楽しみな時期ですね。
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今回の連載では『ラヴニカの献身』環境名人戦の結果を見ながら、『灯争大戦』のカードが環境にどのような影響を与えるのか考えていきたいと思います。
『ラヴニカの献身』環境名人戦
安定のSultai Midrange
2019年4月6日
- 1位 Sultai Midrange
- 2位 Bant Nexus
- 3位 Mono Blue Tempo
- 4位 Temur Nexus
- 5位 Esper Control
- 6位 Jeskai Control
- 7位 Grull Aggro
- 8位 Gate Control
中村 光基
トップ8のデッキリストはこちら
スタンダードとドラフトの混合フォーマットで行なわれた『ラヴニカの献身』環境名人戦。頂点に立ったのは、Sultai Midrangeを使い続けてきた中村 光基選手でした。
Sultai Midrangeはサイドボードの選択肢が豊富で、環境にある多くのデッキと互角以上に渡り合える安定性が魅力です。
ほかにもEsper Control、Mono Blue Tempo、Gruul Aggroなど、環境の定番デッキが一通り揃っていました。
『ラヴニカの献身』環境名人戦
「Sultai Midrange」「Esper Control」
Sultai Midrange
4 《繁殖池》
4 《草むした墓》
4 《湿った墓》
4 《森林の墓地》
3 《内陸の湾港》
1 《水没した地下墓地》
1 《愚蒙の記念像》
-土地 (24)- 4 《ラノワールのエルフ》
4 《ハイドロイド混成体》
1 《培養ドルイド》
4 《マーフォークの枝渡り》
4 《野茂み歩き》
4 《翡翠光のレインジャー》
3 《人質取り》
1 《殺戮の暴君》
-クリーチャー (25)-
環境で最も安定した選択肢の一つとして、スタンダードの大会では必ずと言ってよいほど見かけるデッキです。
最近では《正気泥棒》を採用したOmega Sultaiもありますが、中村 光基選手が使用していたバージョンは「探検」クリーチャーを採用したオーソドックスなスタイルでした。
☆注目ポイント
Omega Sultaiはコントロールや同型に対して強いバージョンですが、「探検」クリーチャーや《野茂み歩き》を採用した通常のSultai Midrangeの方がアグロデッキとのマッチアップに強い構成となっています。最近は《貪欲なチュパカブラ》よりも、除去が少ないMono White AggroやMono Blue Tempoに強い《人質取り》が優先されています。
『灯争大戦』のカードで活躍しそうなものがいくつかあります。《世界を揺るがす者、ニッサ》は《ビビアン・リード》とマナコストが同じなので枚数の調整が難しいのですが、マナブースト能力は《ハイドロイド混成体》と相性が良く、土地をクリーチャー化する能力はコントロールとのマッチアップで活躍しそうです。
《戦慄衆の将軍、リリアナ》は初期忠誠値が6と高く、「-4能力」は相手のクリーチャーを除去しつつこちらのマナクリーチャーや「探検」クリーチャーをドローに変換します。トークンで自身を守ることができるので、対処されにくいのも強みです。
Esper Control
3 《喪心》
2 《渇望の時》
2 《否認》
4 《吸収》
4 《屈辱》
2 《肉儀場の叫び》
1 《漂流自我》
3 《ケイヤの怒り》
2 《ヴラスカの侮辱》
2 《アズカンタの探索》
2 《ウルザの後継、カーン》
4 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (35)-
Sultai Midrangeと同様に安定した成績を残し続けているEsper Control。メイン戦で相手の除去が不要牌になるので疑似的なアドバンテージになり、Nexusを除いた環境の多くのデッキと戦えるデッキです。
『灯争大戦』でも使えそうなカードが数種類あるので、新環境でも人気がありそうです。
☆注目ポイント
相手によってムラがある《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》よりも、相手をあまり選ばない《ウルザの後継、カーン》が優先されています。このデッキが苦手とするNexus系のデッキ用に《漂流自我》がメインから採用されており、サイドにも追加で2枚採用されています。
『灯争大戦』でカウンターされない《否認》である《ドビンの拒否権》が登場しました。Mono Blue Tempoやコントロールミラーに強く、プレインズウォーカーが環境に増えそうなのでメインから採用されそうです。《終局の始まり》は、このデッキの新たなアドバンテージ獲得手段兼フィニッシャーとして期待できそうです。《奔流の機械巨人》+《天才の片鱗》を彷彿とさせ、カウンターされないためコントロールミラーで特に強さを発揮します。
《時を解す者、テフェリー》は、このデッキの新戦力として期待できます。3マナと軽くコントロールミラーでは、相手のカウンターを気にすることなくプレインズウォーカーやそのほかの脅威を着地させることができます。このデッキにとって相性の悪いNexus系デッキも、《時を解す者、テフェリー》の前では意味を成しません。また、「+1能力」によって《肉儀場の叫び》や《ケイヤの怒り》といった全体除去を相手のターンにも使えるので、速攻クリーチャーに耐性が付きます。《思考消去》を相手のドローステップに合わせて唱えるのも強力で、相手はそれに対応することもできません。
ボーナストピック:チャレンジャーデッキと『灯争大戦』
今回のボーナストピックでは、チャレンジャーデッキの中でも特におススメのデッキと新環境で使われそうな『灯争大戦』のカードを見ていきたいと思います。
チャレンジャーデッキ:「稲妻の猛攻」
-土地 (22)- 4 《狂信的扇動者》
4 《ギトゥの溶岩走り》
4 《遁走する蒸気族》
4 《ヴィーアシーノの紅蓮術師》
4 《ゴブリンの鎖回し》
1 《再燃するフェニックス》
-クリーチャー (21)-
チャレンジャーデッキはどれもフライデーナイトマジック(FNM)や、店舗大会でそのまま使用しても戦える強さです。その中でも「稲妻の猛攻」は、現環境で使われている赤単のリストとほぼ同じ内容となっています。購入してすぐに使っても十分な強さですが、追加で《実験の狂乱》や《再燃するフェニックス》を、それぞれの好みやメタに合わせて足すことで更に強化することも可能です。
モダンなどでよく使われている《樹上の村》や《変わり谷》などのミシュラランド(クリーチャー化できる土地)は、息切れ防止にもなりコントロール、アグロ問わず多くのデッキで活躍しています。新カード《総動員地区》も例外ではなく、起動コストは少し重めに設定されていますがソーサリー除去や全体除去に耐性があり、プレインズウォーカーを牽制できるので1~2枚ほど採用されそうです。
チャレンジャーデッキ:「連帯する突撃」
《不屈の護衛》、《アダントの先兵》、《ベナリアの軍司令》など白単アグロの主要なクリーチャーが揃っており、《軍団の上陸》、《ベナリア史》といったキーカードも入っています。《軍団の上陸》と《ベナリア史》を2枚ずつ追加し、《短角獣の歩哨》と《敬慕されるロクソドン》を加えることで更に強化することもできるので「稲妻の猛攻」同様におススメのデッキです。
先ほどの《総動員地区》はこのデッキでも使われそうです。すでに各所で話題になっている《高名な弁護士、トミク》ともシナジーがあります。
『灯争大戦』加入後のスタンダードデッキ
『灯争大戦』の新カードを使ったデッキも見ていきたいと思います。
Esper Controlは現環境の代表的なコントロールとされていますが、新たなプレインズウォーカーである《龍神、ニコル・ボーラス》によってGrixisカラーのコントロールも活躍する可能性があります。
Grixis Control
4 《血の墓所》
4 《蒸気孔》
4 《湿った墓》
4 《竜髑髏の山頂》
4 《水没した地下墓地》
4 《硫黄の滝》
-土地 (26)- 4 《ボーラスの占い師》
3 《破滅の龍、ニコル・ボーラス》
-クリーチャー (7)-
4 《思考消去》
2 《アングラスの暴力》
2 《喪心》
2 《否認》
3 《魔性》
3 《肉儀場の叫び》
2 《悪意ある妨害》
1 《興行/叩打》
4 《龍神、ニコル・ボーラス》
-呪文 (27)-
《龍神、ニコル・ボーラス》の能力はどれも非常に強力で、特に奥義の「-8能力」は条件を満たせば確実に勝利できるので、このカード自体がフィニッシャーとなります。
再録された《ボーラスの占い師》は青の必須カードとしてよく見られるカードになりそうです。アグロデッキに対してはドローを進めつつブロッカーとして序盤を凌ぎ、プレインズウォーカーにまで繋げやすくなります。
《アングラスの暴力》はソーサリーではありますが、プレインズウォーカーを対処できるのは大きく、《魔性》と合わせてGrixisは相手のプレインズウォーカーを処理する手段に恵まれているようです。
Izzet Drakes
最後にもうひとつ新カードを使ったデッキをご紹介したいと思います。《崇高な工匠、サヒーリ》は、あの《僧院の導師》や《若き紅蓮術士》と同様の能力を持つ強力なプレインズウォーカーです。このカードを活かせるデッキに、軽量呪文を連打するIzzet Drakesが挙げられます。
《ボーラスの占い師》は、このデッキでも序盤を凌ぎつつ必要なスペルを探し出します。サイド後は、追加の勝ち手段として《パルン、ニヴ=ミゼット》や《つぶやく神秘家》などをサイドに取ることで、異なる角度から攻めることができます。
総括
『灯争大戦』は下の環境でも通用するカードが多数見られる強力なセットのようです。環境にプレインズウォーカーが増える思うので、《呪文貫き》や《否認》といったスペルの価値も上がりそうです。
新セット発売時期は環境がガラッと変化する一番面白い時期なので、いろいろと試してみることをお勧めします。
USA Standard Express vol.145は以上です。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!