Translated by Ryosuke Igarashi
(掲載日 2019/04/18)
はじめに
ご存知の方も多いと思いますが、『ラヴニカのギルド』で《任務説明》が登場し、使用に耐えうるデッキになってからというもの、私はモダンでライブラリーアウトデッキを使い続けています。
《クラーク族の鉄工所》が禁止されてからもこのデッキはメタ外のままではあるのですが、ロンドンマリガンによる新しいメタではミッドレンジデッキが押し出され、よりコンボデッキや直線的なデッキが増えてきています。
そこでこそ、この青黒ライブラリーアウトは真に輝くのです。誤解されている方もいるかもしれませんが、これはバーンデッキではありません。実際は、手札破壊とメインから投入された《外科的摘出》によって相手のゲームプランを妨害することに重きを置いた、青黒のコントロールデッキなのです。
主な勝利条件は相手のデッキを削りきることですが、相手の勝ち筋をなくして勝つことも多々あります。《罠の橋》のようなカードは、直線的なゲームプランのデッキにとって障壁となるカードですね。
この記事では、モダンにおけるトップメタかつ人気のデッキ、そして将来上位に躍り出るであろうデッキ、合計5つに対してのゲームプランやプレイ方法を簡単に解説しようと思います。本稿はサイドボードというよりはゲームプランのガイドになりますが、モダンのほとんどのデッキへの簡易なサイドボードガイドはこちらでご覧いただけます。
このデッキを回す際に、多くのプレイヤーはサイドボーディングではなくゲームプランを間違ってしまうと感じています。そのため、一般的な回し方に重きを置いた記事になっています。
現在のリスト
残念ながら、今回モダンで開催されるミシックチャンピオンシップには参加できないのですが……もし権利があったとしたら、このリストで参加していたことでしょう。
今後増えるであろう、まさに速度勝負となるマッチアップでは《書庫の罠》の増量が明瞭な解答になる思ったため、《罠師の引き込み》を採用しています。
また、青赤ストームが再び人気になるようなら、《罠師の引き込み》でサーチできる《精神壊しの罠》をサイドボードに1枚入れておいてもいいでしょう。
主要デッキ相手のゲームプラン
イゼットフェニックス
《外科的摘出》するキーカード
まずは《弧光のフェニックス》を、続いて全ての勝利条件(たいていは《弾けるドレイク》の後に《氷の中の存在》)を追放することになります。
ゲームプラン
キーカードを追放していき、最終的に相手の脅威を枯らしてしまいましょう。自分のライフを維持し、《弧光のフェニックス》を追放するまではデッキを削らないことです。
このマッチアップでのプレイ
イゼットフェニックス側の重要な対策カードは、《外科的摘出》や《有毒の蘇生》、《呪文貫き》です。
このマッチアップでは手札破壊が非常に輝きますね。相手の手札を見ることで、こちらが対処すべき脅威が何かを知ることができますし、相手は攻撃に転じるだけの呪文数を確保することも困難になります。
このマッチアップでは忍耐がすべてです。負け筋を把握し、それを防ぎましょう。また、このマッチアップは速度勝負ではありません。もし相手のデッキを削りすぎてしまえば、どこからともなく負けてしまうでしょうね。
トロン
《外科的摘出》するキーカード
まずはウルザ土地ですね。《外科的摘出》できず相手がウルザ土地揃えてしまったとしても、《解放された者、カーン》などの重い脅威を追放することで妨害できます。仮にトロンが揃ってしまったとしても、《廃墟の地》を使えば再び《外科的摘出》でトロンを阻害できるようになることは覚えておきましょう。
ゲームプラン
ウルザ土地を墓地へ落とし、《外科的摘出》!後は次のラウンドや、昼食について考えてればいいでしょう。
このマッチアップでのプレイ
トロンはライブラリーアウトにとって、最も相性のいいマッチアップの1つです。1つ目のプランは、できるだけ早く相手の山札を削り、ウルザ土地を《外科的摘出》してしまうというものです。相手が《大祖始の遺産》をコントロールしていると難しくなりますが、こちらにはまだ《根絶》があります。もしウルザ土地を追放できなかったとしても、《解放された者、カーン》のような脅威を《外科的摘出》すれば相手を遅らせることはできます。
もう1つのプランは、ただの速度勝負です。相手のキルターンは遅く、重い呪文を唱えることができても、先に山札を削りきれることが多々あります。
ドレッジ
《外科的摘出》するキーカード
《這い寄る恐怖》と《燃焼》です。サイドボード後は、《罠の橋》への解答が《古えの遺恨》のみならば、それも摘出してしまいましょう。
ゲームプラン
《外科的摘出》と《根絶》でキーカードを追放し、山札が薄くなっているところにとどめを刺しましょう。早いターンに削りすぎないように注意!
このマッチアップでのプレイ
マリガン基準を厳しめにし、ライブラリー破壊呪文が多い手札は避けるようにしましょう。早いターンに手札破壊呪文を唱えたいのもありますが、主な理由としては《外科的摘出》と《根絶》です。引けば引くほど、楽に勝てますからね。序盤はライブラリー破壊呪文を唱えるのは我慢です。相手の山札を削り始める際に、こちらの土地が伸びていれば伸びているほど簡単になりますよ。
おまけ
参考までに、チームモダン(グランプリ・リバプール2018)でドレッジと相対したときの動画をこちらで見ることができます。
アミュレットタイタン
《外科的摘出》するキーカード
《原始のタイタン》です。サイドボード後は《召喚士の契約》や《自然の要求》もありますね。
ゲームプラン
なるべく早く相手のライブラリーを削りましょう。デッキの大部分を削り、《原始のタイタン》や土地などの、サーチ先のカードがなくなると理想的です。
このマッチアップでのプレイ
最終的には、このマッチアップは速度勝負になります。アミュレットタイタンは、《面晶体のカニ》や《催眠の宝珠》を上手に対処することができません。
最も効率的に、そして素早く山札を削ることを目指しましょう。キーカードを1種類でも山札から枯らしてしまえば、《原始のタイタン》が着地したターンにこちらを倒すことができなくなるので、かなりのアドバンテージを得ることができます。
サイドボード後は、《罠の橋》や《催眠の宝珠》への対策をサイドインしてきます。これらの鍵となるアーティファクトを唱える前に、手札破壊呪文や《外科的摘出》を使っておいてもいいですね。
《発明品の唸り》プリズン
《外科的摘出》するキーカード
《発明品の唸り》。《飛行機械の鋳造所》や《弱者の剣》が採用されている場合には、それらも候補に挙がりますね。サイドボード後は、ここに《ボーラスの工作員、テゼレット》が加わります。
ゲームプラン
相手のキーカードをなるべく早く墓地に落としましょう。《外科的摘出》や手札破壊呪文、《廃墟の地》を無駄遣いしないよう気をつけてくださいね。
このマッチアップでのプレイ
最も恐ろしいカードは《魔女封じの宝珠》で、次に《虚空の杯》が控えています。《魔女封じの宝珠》を《発明品の唸り》でサーチされないよう、序盤に手札破壊呪文を唱えておきたいですね。また、《虚空の杯》を警戒して、1マナのカードは最初に使っておきましょう。
《廃墟の地》は《アカデミーの廃墟》のために温存します。《アカデミーの廃墟》がある限り、こちらは勝つことができませんからね(《外科的摘出》や《根絶》でも、これを掻い潜って勝つことができます)。
『灯争大戦』が加わる青黒ライブラリーアウトの行末
《夢を引き裂く者、アショク》
『灯争大戦』の中で既に内定が決まっているカードは、《夢を引き裂く者、アショク》ですね。
これまでは、3マナで山札を削るカードは遅すぎるという理由から避けてきました。しかしこのカードは速度勝負で輝くようなものではなく、相手を妨害するコントロールプランに噛み合ったカードなのです。
このデッキの真の目的は《廃墟の地》で確実に《書庫の罠》のコストを軽減することなのですが、これは《夢を引き裂く者、アショク》がいる状態でも問題なく機能します。直感的でないかもしれませんけどね。
加えて、《夢を引き裂く者、アショク》の対処に数ターンかかってしまえば、こちらが《書庫の罠》を引くチャンスが増えることになります。ようやく《夢を引き裂く者、アショク》を除去できたからとフェッチランドを切れば……その時、《書庫の罠》が襲いくるのです。
現在モダンに横行する墓地デッキに対し、メインから採用できる対策カードとしても素晴らしいですね。まずは《墓所への乱入》、その次には《集団的蛮行》や《罠の橋》と入れ替えてみようと思っています。《彼方の映像》との相性は悪いですが、許容範囲でしょう。
《大いなる創造者、カーン》
もう一つの選択肢としては、《大いなる創造者、カーン》が挙げられます。《虚空の杯》を破壊できるうえに、重いものの《石のような静寂》の能力も兼ね備えています。
さらには《罠の橋》や《催眠の宝珠》をサーチ可能ですし、この能力を生かして《倦怠の宝珠》や《真髄の針》、《魔女封じの宝珠》といったアーティファクトの採用も検討できますね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ジェイソン・チャン
ツイッターアカウント / ツイッチチャンネル