みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの大久保です。
【フロンティア神決定戦】から1ヵ月が経ち、『霊気紛争』がリリースされました。フロンティアフォーマットでも様々な変化が見られ、ますますおもしろい環境になっています。
さて、今週末には【『タルキール覇王譚』争奪フロンティア杯】が開催されます。本イベントに向けて、最新のデッキリストとメタゲームをチェックしましょう!
1. データから見るフロンティア
《密輸人の回転翼機》の存在感
直近1か月間のメタゲーム
2. 『霊気紛争』がくれたもの
黒緑コンストリクター
サヒーリコンボ
バント人間カンパニー
スゥルタイ昂揚
3. 総括
データから見るフロンティア
フロンティアフォーマットも開始から4ヵ月以上が経過し、晴れる屋のデッキ検索に登録されているデッキリストの数も330を上回りました。国外のデッキリストも集まってきており、徐々に十分なデータが揃いつつある今、暗黙の前提となっている環境の話をしていきましょう。
フロンティアを代表するカードと言えば、【フロンティア神決定戦】でも八面六臂の活躍を見せていた《密輸人の回転翼機》がその一角を占めていると言えるでしょう。
不特定2マナで「搭乗1」という運用しやすい低コストに加え、3/3飛行、ルーティング能力持ちという超効率的なカード。攻防に渡って活躍するこのカードはスタンダードで禁止されてしまったのも納得の強力な1枚ですが、実際にフロンティアではどの程度使用されているのでしょうか? 以下に時期・採用率の2軸でグラフを用意しました。
青い線が「その週のデッキリスト登録数」、そして赤い線が「《密輸人の回転翼機》を採用したデッキの数」です。
こうして見るとこれら2つの線は概ね同様の推移を見せており、全体を通して約30%程度のデッキが《密輸人の回転翼機》を採用しているのが分かります。特に【フロンティアチャレンジカップ】が開催された10月下旬や、【フロンティア神決定戦】が開催された1月中旬には赤い線に大きな山ができており、大型イベントでも安定して《密輸人の回転翼機》入りのデッキが勝ち進んでいることが分かります。
すなわち、フロンティア環境で勝つには全体の3割程度のプレイヤーが使用している《密輸人の回転翼機》を意識すべきと断言できそうです。
次に、直近1ヵ月の間に晴れる屋にデッキリストが登録されたデッキからメタゲームを見ていきましょう。『霊気紛争』がリリースされ、環境はどのように変化を遂げているのでしょうか? 以下のグラフでは、「ローグ」および使用者数2名以下のデッキを「その他」に分類し、それ以外のデッキに関してはデッキリストを個別に精査したうえでアーキタイプを振り分け直しています。
依然としてメタゲーム上の最大勢力は「アタルカレッド」系の高速アグロデッキで、「バント人間カンパニー」がその後を追随しています。しかしながら【フロンティア神決定戦のメタゲーム】と比較すると「アブザン」の使用者数は激減しており、「ダークジェスカイ」に至っては「その他」に分類されてしまうほどまでにその数を減らしています。
環境が高速化し、《密輸人の回転翼機》をはじめとした航空戦力が戦場を支配するようになってくると、動き出しが遅く対空性能に若干不安の残る「アブザン」や「ダークジェスカイ」といったデッキにとっては逆風のようです。
また、中には少数ながら「サヒーリコンボ」、「黒緑コンストリクター」といった新興勢力も見られます。これらは『霊気紛争』以降環境に登場したデッキです。
次の項では、『霊気紛争』がもたらしたフロンティアの変化をテーマにいくつかのデッキをご紹介させていただこうと思います!
『霊気紛争』がくれたもの
スタンダードやモダン、レガシーでも活躍している『霊気紛争』のカードの数々は、もちろんフロンティア環境にも大きな影響を与えています。
前項でもちらっと名前を出した「サヒーリコンボ」や「黒緑コンストリクター」、あるいはその勢力規模を拡大しつつある「バント人間カンパニー」などはスタンダードのリストと比べてどういった変化がもたらされているのでしょうか? さっそく見ていきましょう!
6 《森》 1 《燻る湿地》 4 《樹木茂る山麓》 3 《吹きさらしの荒野》 4 《花盛りの湿地》 4 《ラノワールの荒原》 -土地 (22)- 4 《搭載歩行機械》 4 《歩行バリスタ》 4 《エルフの神秘家》 4 《毅然さの化身》 4 《巻きつき蛇》 4 《マナ喰らいのハイドラ》 3 《ピーマの改革派、リシュカー》 2 《新緑の機械巨人》 -クリーチャー (29)- |
4 《致命的な一押し》 4 《硬化した鱗》 1 《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》 -呪文 (9)- |
3 《強迫》 2 《巨森の予見者、ニッサ》 2 《空への斉射》 2 《精神背信》 1 《再利用の賢者》 1 《顕在的防御》 1 《究極の価格》 1 《領事の旗艦、スカイソブリン》 1 《最後の望み、リリアナ》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
《巻きつき蛇》+《硬化した鱗》によって「エイトコンストリクター」の構成が可能となったこのデッキ。「+1/+1」カウンターとの強烈なシナジーを形成する《搭載歩行機械》や《歩行バリスタ》が一層の破壊力を持つのはもちろん、《マナ喰らいのハイドラ》などは一瞬で冗談のようなサイズに成長することでしょう。
いずれのクリーチャーも除去耐性こそありませんが、《硬化した鱗》か《巻きつき蛇》さえ戦場に出ていればいずれのクリーチャーもマスト除去のフィニッシャーと化します。
従来の「硬化した鱗」は白緑の2色で《アブザンの鷹匠》と組み合わせることで空からの突破力を武器にしていたデッキでしたが、景山さんは黒緑の2色でまとめることで安定感と爆発力を重視したようです。
スタンダードの緑+白/黒系のデッキの弱点である《密輸人の回転翼機》に弱いという部分は《致命的な一押し》が加入したことで克服されています。サイドボード後には《空への斉射》と《再利用の賢者》まで入れることで《密輸人の回転翼機》絶対殺すマンと化すことでしょう。
2 《島》 1 《山》 1 《平地》 1 《沼》 2 《燻る湿地》 2 《窪み渓谷》 1 《大草原の川》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 2 《神秘の僧院》 2 《乱脈な気孔》 -土地 (26)- 2 《守護フェリダー》 4 《ヴリンの神童、ジェイス》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》 2 《奔流の機械巨人》 -クリーチャー (10)- |
3 《致命的な一押し》 1 《払拭》 2 《軽蔑的な一撃》 4 《はじける破滅》 3 《コラガンの命令》 3 《苦い真理》 1 《苦渋の破棄》 3 《時を越えた探索》 3 《サヒーリ・ライ》 1 《炎呼び、チャンドラ》 -呪文 (24)- |
3 《アラシンの僧侶》 3 《光輝の炎》 2 《払拭》 2 《精神背信》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《龍王シルムガル》 1 《軽蔑的な一撃》 1 《否認》 1 《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》 -サイドボード (15)- |
スタンダードでも活躍中の「サヒーリコンボ」はフロンティアでも活躍が見られます。これまでフロンティア環境にありそうでなかった2枚即死コンボで、Snap-Bolt氏のリストはダークジェスカイを基本形としてコントロール的な立ち回りをしつつ隙あらばコンボで勝利を狙うといったデッキになっています。
《時を越えた探索》や《苦い真理》といったドロー呪文で探しに行くこともできるため、《サヒーリ・ライ》と《守護フェリダー》自体は枚数が絞られています。いずれも《奔流の機械巨人》や《ピア・ナラーとキラン・ナラー》といったETB能力持ちのカードとの相性は良好ですが、単体で十分な仕事をしてくれるとは言いにくいので納得です。
サイド後はコンボパーツを抜きながら相手に合わせて効果的なカードをサイドインし、重コントロールへとスイッチすることになりそうです。
3 《森》 3 《平地》 1 《島》 2 《大草原の川》 1 《梢の眺望》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《吹きさらしの荒野》 4 《樹木茂る山麓》 3 《植物の聖域》 -土地 (25)- 4 《始まりの木の管理人》 4 《サリアの副官》 4 《ラムホルトの平和主義者》 3 《ヴリンの神童、ジェイス》 4 《反射魔道士》 4 《改革派の結集者》 4 《不屈の追跡者》 -クリーチャー (27)- |
4 《ドロモカの命令》 4 《集合した中隊》 -呪文 (8)- |
4 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》 3 《ランタンの斥候》 3 《払拭》 2 《再利用の賢者》 2 《勇敢な姿勢》 -サイドボード (14)- |
野生のモダン神・松田 幸雄さんが組んだのは「バント人間カンパニー」。元々人気のデッキでしたが、『霊気紛争』で《改革派の結集者》を得たことでさらなるグレードアップを実現しました。サイドボードが14枚になっていますが、ご本人に話を聞いてみたところ「このときは間違えて14枚で参加していたが、もし何か1枚入れるとしたら《否認》」と言っていました。
従来型のデッキリストではフェッチランド~10枚程度で組まれることが多かったものの、このデッキでは「紛争」達成のために12枚まで増量されており、《改革派の結集者》の誘発型能力を安定して運用できるようになっています。除去された《サリアの副官》を戻すことで戦線を強化したり、《ヴリンの神童、ジェイス》を戻す動きも強そうです。
スタンダードでは禁止されてしまった《反射魔道士》もフロンティアでは健在です。《集合した中隊》から出てくるカードとしては依然としてトップクラスの強さで、これからもこの組み合わせはよく見かけることになるでしょう。
6 《沼》 2 《島》 2 《窪み渓谷》 1 《梢の眺望》 1 《燃えがらの林間地》 4 《血染めのぬかるみ》 4 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 3 《風切る泥沼》 1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》 -土地 (26)- 4 《サテュロスの道探し》 3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 3 《奔流の機械巨人》 1 《害悪の機械巨人》 -クリーチャー (11)- |
4 《致命的な一押し》 2 《ウルヴェンワルド横断》 1 《強迫》 1 《革命的拒絶》 1 《本質の摘出》 1 《餌食》 1 《虚空の粉砕》 3 《衰滅》 2 《残忍な切断》 4 《時を越えた探索》 4 《最後の望み、リリアナ》 -呪文 (24)- |
2 《軽蔑的な一撃》 2 《死の重み》 1 《再利用の賢者》 1 《豪華の王、ゴンティ》 1 《ゲトの裏切り者、カリタス》 1 《約束された終末、エムラクール》 1 《払拭》 1 《本質の摘出》 1 《失われた遺産》 1 《陳腐化》 1 《破滅の道》 1 《餌食》 1 《邪悪な復活》 -サイドボード (15)- |
【フロンティア神決定戦】を制した「スゥルタイ昂揚」も軽量除去呪文枠の《闇の掌握》が《致命的な一押し》に置き換わり、純粋に強化されています。こちらはメインボード61枚になっていますが、個人的には【ご本人が語っていた通り】《燻る湿地》を《窪み渓谷》に変えて《強迫》を抜きそうです。
大量の除去を駆使して消耗戦にもつれこませ、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》+《最後の望み、リリアナ》でゲームを決めるというデッキの性質上クリーチャーデッキに強く、フェアな殴り合いが多いフロンティア環境では非常に有力なコントロールデッキと言えるでしょう。
《ウルヴェンワルド横断》や《時を越えた探索》といった優秀なサポートスペルによってアクセスが可能ということもあってか、サイドボードに1枚挿しのカードが多いのが特徴的です。その分採用されているカードは後引きでも機能しやすいカードが多くなっており、状況に合わせて柔軟に戦うことができそうです。
他にも「アタルカレッド」に《航空船を強襲する者、カーリ・ゼヴ》が入っていたり、「先祖の結集コンボ」に《改革派の結集者》や《不死の援護者、ヤヘンニ》が入るなど様々なデッキに変化が見られます。
特に《致命的な一押し》はフェッチ+バトルランド環境であるフロンティアではかなり安定して運用することができ、《密輸人の回転翼機》はもちろん《包囲サイ》や《ゲトの裏切り者、カリタス》といったクリーチャーもテンポよく処理することができるので、今後はよく見かけることになりそうです。
総括
さて、ここまで『霊気紛争』リリース後のフロンティア環境についての話を中心に書かせていただきました。
未だ「アタルカレッド」の勢いは衰えずトップメタに君臨していること、そして《密輸人の回転翼機》の採用率などを考えると、より一層軽量のアグロデッキに対するガードを高める必要がありそうです。
今週末の【『タルキール覇王譚』争奪フロンティア杯】を制し、BOXを手にすることができるのは果たしてどのデッキになるのでしょうか? 個人的にはメインから比較的「アタルカレッド」に耐性がある「黒緑コンストリクター」がやってくれそうな気がしています。
以上、フロンティア情報局でした。不定期連載ではありますが、次回をお楽しみに!
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