ヘッドジャッジインタビュー: Planes Walker’s Cup 中嶋 智哉

晴れる屋

by Kazuki Watanabe


 PWCと言えば、この方に話を聞かねばなるまい。




 中嶋 智哉。

 「関東の草の根大会」という言葉がお馴染みになるくらい、このPWCの歴史は深い。そしてその歴史とは、中嶋が作り、そして支えてきた。

 これまで招待制であったPWCCも、イベント規定の変更により、オープンイベントになった。その結果、様々な変化は生じたが、PWCの人気は変わっていない。今回もそのイベントを支え、現場でヘッドジャッジを務める中嶋に時間を頂き、話を伺った。

■ ヘッドジャッジ、中嶋にインタビュー!

――「今回、PWCCも大きな変化を迎えたと思うのですが、準備段階での変化がありましたらお教えください」

中嶋「招待制からオープンイベントになった、ということで、ホームページや紙媒体での告知を行いました。88名の内、これまで上位に入賞したことがない方が22名参加されているので、これも告知の結果かな、と思っています」

――「今回が初めてのPWC、という人もいるかもしれませんね」

中嶋「そうですね。PWCは、常連さんと共に、新規の方が増え続けている大会です。新しい方が居ないとイベントの規模は当然縮小してしまいますから、これは本当にありがたいことですね。ただ、今回はホームページの移転もあって、告知がうまくできなかったな、という反省点もあります。グランプリ・静岡2017春の直前ということで、様々なイベントとの兼ね合いもありましたから」

――「その辺りは、次回以降に工夫していくわけですね」





中嶋「そのつもりです。オープンイベントになったことも含めて、PWC全体のシステムが大きく変わったシーズンでもありました。今回初めてのスタイルなので、どうしても”お試し”になった部分があります。今回の結果、やはり良し悪しがあったので、良いところは残し、悪いところは改善して、来シーズンに繋げていきたいですね

■ PWCの歴史

――「今回、12代目ミスターPWCが決定しましたが、PWCの歴史は何年になるのでしょうか?」

中嶋「もう18年になりますね」

――「18年!?」





中嶋「PWCの第1回は、1999年に秋田で開催しました。懐かしいですね。現在のようなアプリもなかったので、全員の対戦結果を手書きで、しかも8桁のDCI番号を書く、という作業をしてました。今でも覚えているのですが、新規のメンバーシップカードを90枚発行しましたね。当初、『30枚くらいあれば足りるでしょ?』とホビージャパンの方に言われたけれど、まったく足りてなかったのも思い出です」

――「それからも秋田では大会を続けていたのですか?」

中嶋「大会自体は続けていました。ただ、その年に私が大学に進学して、関東に来たんです。なので、2ヶ月に1回くらい、夜行バスで秋田に帰って運営してましたね」

――「なるほど……ん? ということは、秋田でPWCを開始したとき、中嶋さんって……」

中嶋高校生でした。受験もある中で、マジックにのめり込んで大会を開いていたんです」

――「ものすごい行動力ですね……そこからは秋田に夜行バスで戻りつつ、関東でも大会を開いたわけですね」

中嶋「そうですね。2001年に“関東の第1回”を始めたんです。会場は横浜で、当時の参加者は10人くらいだったと思いますね」

■ 当時、噂になった中学生

――「少しPWCからは離れるかもしれませんが、当時のマジック界の思い出、って何かありますか?」

中嶋「では、晴れる屋さんということで一つ。当時、川崎のショップに『デッキはメタとは外れているけど、妙に強い中学生が居る』という噂を耳にしたんです。会いに行ってみたら本当に強くて、それが八十岡 翔太でしたね」


八十岡翔太
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


――「おお……噂になるくらい凄かったんですね」

中嶋「今考えれば凄いことですよ。インターネットが普及していなかった当時に、噂が広まっていたわけですから」

■ 王道をしっかりと

中嶋「少し変わったこと、PWCだからこそ楽しめることは、当然やり続けたいんですよ。去年の500回記念では、寿司職人を呼びました」

――「Twitterでも話題になっていましたね、マジックと寿司のコラボレーション」

中嶋「愛知県で水揚げしたばかりのマグロが食べられるマジック会場って、世界でも少ないはずですからね(笑) もちろん、次のイベントも考えていますよ。『破滅の刻』発売直後なんですけど」

――「とても気になるので、教えて貰えますか?」

中嶋「『破滅の刻』発売3日後が、海の日なんです。その日に大会を開催して、参加賞をかき氷にしてみようかな、と。業務用のかき氷機と大きな氷を用意して、その場で削るつもりです」

――「アニメ『ちびまる子ちゃん』のオープニングで見たやつですね!」





中嶋「まさにそれです! ちょうど暑い時期だし、喜んでもらえるかな、と」

――「こういった風変わりなことは、これからも続けるんですか?」

中嶋「そのつもりです。ただ、“風変わりなことをやるだけ”ではダメだと思っているんです。王道がしっかりと、PWCで言えばマジックの大会がしっかりとあった上で、『スパイスとして、何かできないかな?』と考えた結果が、様々な企画なんです」

――「なるほど。王道がしっかりあるからこそ、これだけの人が集まるわけですよね」

中嶋「参加人数ごとに、良し悪しがあると思うんです。少人数には少人数の良さがありますよね。私も、『ふらっと行って遊んでみよう』と思ったら、100人前後では多くて疲れちゃうかも、と思うはずです。でも、『マジックで一日遊ぼう!』と思うのだったら、一緒に参加している人が多い方が楽しいはずです。王道のスタイルをキープしつつ、それだけじゃつまらないから、人数が集まったときだからこそできる”特別なこと”をしたいんですよ。そして、プレイヤーの皆さんにはマジックを楽しんでもらいながら、“特別な時間”を過ごして貰いたいですね」


 会場に集ったプレイヤーは、PWCCという特別な時間を満喫している。これも、「プレイヤーに楽しんでもらいたい」と考えた中嶋の意志が、隅々まで行き渡っている証拠だろう。

 ちなみに、インタビューの終わりに、555回記念大会の計画も伺うことができた。これもかなりのスパイスである。「まだ内緒で」とのことだったため、ここに記すことはできないが、ぜひ楽しみにしていて欲しい。

Twitterでつぶやく

Facebookでシェアする