準決勝: 岡井 俊樹(東京) vs. 川上 紘司(静岡)

晴れる屋

By Kazuki Watanabe


 88名のプレイヤーが4人に絞り込まれた。PWCCは、早くも準決勝である。





 岡井 俊樹(東京)は「4Cサヒーリ」を手にして、対する川上 紘司(静岡)は「ジャンド昂揚」を操って、この準決勝の席にたどり着いた。

 会場を埋め尽くしていたプレイヤーたちの姿も少なくなり、会場は少々静かになった。デッキをシャッフルする音が室内に響き渡った後に訪れる、静かな時間。その中で、両者は開戦の合図を待つ。



Game 1


 ジャッジの合図と共に、先攻の川上が《風切る泥沼》、そして岡井が《植物の聖域》をプレイしてゲームが開始された。



川上 紘司



 最初に唱えられたのは川上の《巻きつき蛇》。これは次のターンに《チャンドラの誓い》で除去されるが、展開を止めることなく《歩行バリスタ》をX=1で唱える。

 岡井は早速《サヒーリ・ライ》を唱えて、占術。対する川上は《ウルヴェンワルド横断》。続けて《残忍な剥ぎ取り》を唱えて、「昂揚」達成を目指していく。

残忍な剥ぎ取り

 《サヒーリ・ライ》で占術をしてから《導路の召使い》。これを川上は《致命的な一押し》で落として墓地にインスタントを追加。クリーチャー、ソーサリーと合わせて「昂揚」のカウントは3。

川上「ターン貰って良いですか?」

 岡井が頷くのを確認してから、《新緑の機械巨人》を戦場へ。能力は《残忍な剥ぎ取り》《歩行バリスタ》を対象にする。





 岡井はじっくりと長考。打点が高くなることを危惧し、《残忍な剥ぎ取り》《蓄霊稲妻》を見舞う。

 次のターン、川上は《新緑の機械巨人》で攻撃して《サヒーリ・ライ》を排除。さらに《残忍な剥ぎ取り》を追加したことで、盤面が一層強固なものとなった。

 それでも岡井は慌てることなく、2枚目の《サヒーリ・ライ》を唱える。そして一言、「能力はマイナスで」。



岡井 俊樹



 川上は大きく身を乗り出し、「マイナス?」と確認しながら盤面を見つめる。

サヒーリ・ライ

 マナこそ残っていないものの、《サヒーリ・ライ》がいる状況で、“当たり”を引かれる確率は下げておきたい。ここでは《歩行バリスタ》のカウンターを増やし、そのまま《ならず者の精製屋》を除去することを選んだ。

 ターンを受けた川上。《風切る泥沼》を起動し、《新緑の機械巨人》《残忍な剥ぎ取り》とともに攻撃。先ほど《歩行バリスタ》を落としたことで、墓地のタイプはクリーチャー、インスタント、ソーサリー、アーティファクトとなって「昂揚」を達成《風切る泥沼》のみで《サヒーリ・ライ》を落とし、残りの8点は岡井に与える。

 大きくライフを減らされた岡井。《つむじ風の巨匠》を唱えて、エネルギーは10。まだまだ戦線を維持できそうだが、川上は再び《風切る泥沼》を起動して攻撃を続ける。《ならず者の精製屋》を唱えてエネルギーを増やしながら、ドロー。強烈な攻撃の前では、ブロッカーにしかなれそうにない。《つむじ風の巨匠》が生成した飛行機械トークンも、《致命的な一押し》で除去されてしまった。

 そして、川上は容赦なくゲームを決めに行く。《領事の旗艦、スカイソブリン》を唱えて、《ならず者の精製屋》に砲撃。岡井が対応して《蓄霊稲妻》を唱えてきても、意に介さずターンを渡す。

領事の旗艦、スカイソブリン

 このまま攻め続ければ、と川上は考えていたに違いない。もう一度ターンが返ってくれば、ゲームを決めることも不可能ではない状況だ。

 だからこそ次のターン、この有利な状況からあっという間に敗北が決まった瞬間、「えー!?」と声を上げたのだ。

守護フェリダーサヒーリ・ライ

 岡井のドローは《守護フェリダー》。手札の《サヒーリ・ライ》と共に戦場に姿を見せ、1ゲーム目の終了を告げた。


岡井 1-0 川上


 両者、手際良くサイドボーディングを進めていく。先にシャッフルを終えた川上は、一度天を見つめてから目を閉じ、思考を巡らせる。

 コンボの成立は、あらゆるアドバンテージに勝る。それが魅力であり、恐ろしさだ。対応する手段がなければ、為す術もなく敗北が決定する。1ゲーム目の終わり方は、その事実を観るものに強く印象づけた。実際に味わった川上には、さらに強く刻み込まれたに違いない。

 川上が深呼吸をすると同時に、岡井もシャッフルを終えた。2ゲーム目の開始が迫る。



Game 2


 川上はマリガン。岡井は迷うことなくキープを宣言。川上は占術をトップに据えて、《風切る泥沼》。続けて《精神背信》で相手の手札を暴く。

精神背信

 公開されたのは、《不屈の追跡者》《つむじ風の巨匠》《ニッサの誓い》《蓄霊稲妻》《霊気拠点》《島》。ここでは、《不屈の追跡者》を射抜いてターン終了。

 ひとまず岡井は《ニッサの誓い》で手札に《守護フェリダー》を加える。続けて《霊気拠点》をプレイし、一呼吸。





 ここから盤面を強固にしていくのは、1ゲーム目と変わって岡井であった。《つむじ風の巨匠》を唱えて飛行機械トークンを生成。さらに《反逆の先導者、チャンドラ》を唱える。

 対する川上は《ピーマの改革派、リシュカー》、続いて《領事の旗艦、スカイソブリン》《つむじ風の巨匠》を除去。状況を覆すには至らず、大きくため息をつく。

 この状況を活かして岡井が動く。《ニッサの誓い》で再び《守護フェリダー》を手札に加え、《反逆の先導者、チャンドラ》の「-3」能力で《ピーマの改革派、リシュカー》を落とし、ターンエンド。

 少しでも戦力を増やしておきたい川上は《巻きつき蛇》を戦場へ。相手の《守護フェリダー》に対応して《無許可の分解》を唱え、《守護フェリダー》《反逆の先導者、チャンドラ》を同時に落とし、盤面を片付けていく。

無許可の分解

 勢いに乗り、《残忍な剥ぎ取り》を唱えて即座に「搭乗」。《領事の旗艦、スカイソブリン》を駆動して形勢逆転を狙うが、岡井の《蓄霊稲妻》で落とされてしまう。

 岡井は《ならず者の精製屋》《導路の召使い》を唱える。川上が《風切る泥沼》を起動し、《残忍な剥ぎ取り》《巻きつき蛇》とともに攻撃してくると、迷うことなく2体を《残忍な剥ぎ取り》のブロックへ向かわせた。さらに《ならず者の精製屋》《反逆の先導者、チャンドラ》を戦場へ送り出し、攻勢を維持。

反逆の先導者、チャンドラ

 「+1」能力で追放して2点。さらに《守護フェリダー》でコピーして2点。プレインズウォーカーをコピーする動きは、無限コンボでなくても強力だ。

 諦めることなく盤面を見つめる川上。《ピーマの改革派、リシュカー》を唱えて《領事の旗艦、スカイソブリン》に「搭乗」。《反逆の先導者、チャンドラ》を除去してこのターンを凌ぐが、状況は好転せず。そして、迎えた次のターン。

川上《歩行バリスタ》《ウルヴェンワルド横断》!」

 と、祈りながら力強くドローを確認する。

 その祈りは天に届かず。うなだれながら、土地を畳んだ。



岡井 2-0 川上


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