みなさんこんにちは。
禁止改定が発表され、環境を支配していたHogaak Bridgevineのキーパーツである《黄泉からの橋》が禁止カードに指定されました。オンライン、リアル問わずに高い勝率を出しており、キルターンも速く墓地対策も間に合わないことが多かったので、今回の変更は妥当だったと言えます。
さて、今回の連載では禁止改定後の大会結果を見ながら新環境を解析していきたいと思います。
SCG Classics Worcester
再び群雄割拠な環境へ
2019年7月14日
- 1位 Eldrazi Tron
- 2位 Humans
- 3位 Humans
- 4位 Burn
- 5位 Izzet Phoenix
- 6位 Colorless Eldrazi
- 7位 Izzet Phoenix
- 8位 Azorius Control
Miles Wilson
トップ8のデッキリストはこちら
Hogaak Bridgevineが弱体化したことで環境の速度が遅くなり、Humans、JundといったフェアデッキやTronが復権してくることが予想されました。禁止改定後初の本大会の結果は予想通りHumans 、Burn、Izzet Phoenix、Eldrazi Tronなど様々なデッキが上位で見られました。
環境が激変したことによりUW Controlなどは数を減らしていました。
SCG Classics Worcester デッキ紹介
「Eldrazi Tron」「Izzet Phoenix」
Eldrazi Tron
今大会で優勝を果たしたEldrazi Tronは、同週末にMagic Online(以下:MO)で開催されていたマンスリーMOCSでも全勝という成績を残していました。
『灯争大戦』から登場した《大いなる創造者、カーン》+《マイコシンスの格子》のコンボを導入したことにより、さらに強化されたデッキです。Eldrazi Tronはエルドラージクリーチャーによるクロックもあり、プレインズウォーカーを守るためのブロッカーを用意しやすくなっています。
☆注目ポイント
Eldrazi Tronはロンドンマリガンの恩恵を受けているデッキのひとつでもあります。《難題の予見者》や《現実を砕くもの》などエルドラージクリーチャーによるアグロプランがあり、《精神石》と《エルドラージの寺院》によってトロンランドに頼らずエルドラージクリーチャーをプレイできるのがこのバージョンの強みです。通常のトロンと比べると相手の土地破壊の影響が薄く、《虚空の杯》をメインから採用しているので、Izzet Phoenixなどに強い構成となっています。
サイドボードには《大いなる創造者、カーン》によるシルバーバレット戦略が採られているため1枚挿しが多く見られますが、Dredgeなど墓地デッキはいまだ健在なので《虚空の力線》がフルに採用されています。ロンドンマリガンの恩恵で初手に来やすくなっており、今後は多くのデッキの主要な墓地対策カードとなりそうです。
Izzet Phoenix
環境に登場して以来常にトップメタに位置しているIzzet Phoenix。軽い除去にドロースペルと揃っており、《信仰無き物あさり》から《弧光のフェニックス》を捨てて最速2ターン目にクロックをかけられるブン回りもあったりと人気があるデッキです。
ドロースペルを多数採用しているのでサイドボードのカードを引き当てやすく、環境の多くのデッキと互角に渡り合えます。
『灯争大戦』と『モダンホライゾン』から新戦力を獲得しており、禁止改定後の環境で最も有力な選択肢のひとつとされています。
☆注目ポイント
『モダンホライゾン』から登場した《焦熱島嶼域》が《硫黄の滝》の枠に採用されています。土地からのダメージが痛く、フラッド防止も《信仰無き物あさり》などドロースペルを多数採用しているこのデッキではそこまで重要ではないため、少なめの採用となっています。
自分のターンに動くことが多くカウンターを構えづらいこのデッキでは、マナを支払わずにキャストできる《否定の力》は念願のカウンターです。中盤以降は普通にキャストすることもでき、Tronなどコンボデッキとの相性が緩和されています。
《マグマの陥没孔》は、このデッキが苦手とする《覆いを割く者、ナーセット》などプレインズウォーカーも対策できるので、コントロールとのマッチアップでも不要牌にならない除去であり、墓地が肥えやすいこのデッキに合っています。
《炎のアリア》は新たに追加された勝ち手段で、相手にライフゲインさせてしまうデメリットもこのデッキでは取り返すのが容易で、特に《約束の終焉》と組み合わせが強力です。相手にライフゲインさせる効果は《死の影》対策にもなります。
また、「フラッシュバック」にマナがかからない《溶岩の投げ矢》のおかげで、《氷の中の存在》や《弧光のフェニックス》のスペルカウントを稼ぎやすくなりました。環境にはInfectやAffinity、《貴族の教主》、《スレイベンの守護者、サリア》といったタフネス1のクリーチャーが多いのも追い風です。
Modern Challenge #11917877
フェアデッキの復権
2019年7月13日
- 1位 Humans
- 2位 Burn
- 3位 Burn
- 4位 Mono Blue Tron
- 5位 Humans
- 6位 Grixis Urza
- 7位 Hollow One
- 8位 Mono Blue Tron
トップ8のデッキリストはこちら
禁止改定直後の新環境というだけあり、HumansやBurnといったアグレッシブなデッキが中心で、青白コントロールは上位に少数となりました。環境のスピードが減速したことで、Jundなどフェアデッキも復権の兆しを見せています。
Modern Challenge #11917877 デッキ紹介
「Humans」「Jund」
Humans
デッキ内のほとんどがクリーチャーで構成されていますが、《翻弄する魔道士》や《スレイベンの守護者、サリア》、《反射魔道士》、《帆凧の掠め盗り》など妨害能力を持つクリーチャーを多数採用しているため、コンボやコントロールデッキに対しても強く立ち回ることができます。Izzet Phoenixと同様に安定した成績を残し続けているデッキのひとつです。
『モダンホライゾン』から多数の新戦力を獲得しており、マナ基盤に《無声開拓地》が追加されています。そのほか、《溜め込み屋のアウフ》と《疫病を仕組むもの》によってAffinityなど以前から苦戦していたマッチアップとの相性の改善が見られます。
☆注目ポイント
《イーオスのレインジャー長》はカードアドバンテージ源となり、起動能力で全体除去の対策にもなります。場に出たときに誘発する能力持ちのクリーチャーは《幻影の像》ともシナジーがあります。
サイドの《拘留代理人》は、受けの広さからメインで採用されているリストも多く見られます。プレインズウォーカーや置物にも触れることが可能で、メインから採用しても腐ることがあまりないカードです。《古代の聖塔》や《魂の洞窟》がマナ基盤の中心で、《石のような静寂》などクリーチャー以外のスペルを運用することが難しいデッキでしたが、《溜め込み屋のアウフ》の登場によりAffinityやTronとの相性が改善しています。
《疫病を仕組むもの》はミラーマッチやGrixis Urzaの《飛行機械の鋳造所》+《弱者の剣》コンボ対策になります。《疫病を仕組むもの》の能力はライフゲインを防ぐことはできないものの、ブロッカーを生成することは妨害できるので押し切りやすくなります。
Jund
1 《山》
1 《森》
2 《草むした墓》
1 《血の墓所》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《新緑の地下墓地》
2 《血染めのぬかるみ》
2 《樹木茂る山麓》
4 《黒割れの崖》
2 《育成泥炭地》
1 《怒り狂う山峡》
1 《やせた原野》
-土地 (24)- 4 《タルモゴイフ》
2 《闇の腹心》
2 《漁る軟泥》
2 《歴戦の紅蓮術士》
2 《血編み髪のエルフ》
-クリーチャー (12)-
4 《コジレックの審問》
2 《思考囲い》
2 《致命的な一押し》
3 《暗殺者の戦利品》
1 《突然の衰微》
1 《コラガンの命令》
3 《レンと六番》
3 《ヴェールのリリアナ》
1 《最後の望み、リリアナ》
-呪文 (24)-
3 《大爆発の魔道士》
2 《溜め込み屋のアウフ》
2 《疫病を仕組むもの》
1 《集団的蛮行》
1 《嵐の乗り切り》
1 《神々の憤怒》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
-サイドボード (15)-
禁止改定による環境の変化と『モダンホライゾン』からの新戦力によって復権の兆しを見せているJund。モダンを代表するフェアデッキのひとつとして固定ファンも多いデッキです。
『モダンホライゾン』加入後のJundのリストは大きく変化しています。レガシーでも多くのデッキで採用されている《レンと六番》や、《疫病を仕組むもの》、《歴戦の紅蓮術士》、キャノピーランドやサイクリングランドなどを獲得し、『モダンホライゾン』から最も恩恵を受けたデッキといっても過言ではありません。
☆注目ポイント
あの《死儀礼のシャーマン》の再来とも囁かれている《レンと六番》。土地の確保や、キャノピーランド、サイクリングランドの再利用、タフネス1のクリーチャー除去と幅広いシチュエーションで活躍するプレインズウォーカーで、2マナと軽いのも魅力です。
《歴戦の紅蓮術士》は不要な除去やハンデスを有効牌に変換しつつクロックを展開できます。土地を捨てた場合トークンは出ませんが手札の質を高めることができ、《レンと六番》で捨てた土地を回収できます。
《疫病を仕組むもの》は単体除去を中心としたこのデッキにとって対処が困難だった《未練ある魂》やDredgeの《ナルコメーバ》、《恐血鬼》、Humans、Spiritなど刺さるマッチアップが多いクリーチャーです。《レンと六番》の[-1]能力との合わせ技でクリーチャーを除去しやすくなり、除去されても《コラガンの命令》で使い回すこともできます。
総括
《黄泉からの橋》が禁止になったことで環境を支配していたHogaak Bridgevineがトップメタから退場し、モダンは再び群雄割拠な環境になりました。Jundなどフェアデッキも復権してきており、それらと相性が良いTronなども見られます。環境変化直後なのでUW Controlにとっては勝ちにくい環境だったようです。
今月末にはミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019も開催されるので、世界のトッププレイヤーがどのようなデッキを持ち込むのか楽しみです。
USA Modern Express vol.30は以上となります。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!