みなさんこんにちは。
先週末はグランプリ・ミネアポリス2019が開催されました。今月はさらにグランプリ・バーミンガム2019、グランプリ・ラスベガス2019が控えており、モダンの大会が充実しています。
さて、今回の連載ではミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019、グランプリ・バルセロナ2019、グランプリ・ミネアポリス2019の結果を見ていきたいと思います。
ミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019
Hogaakの勢い止まらず
2019年7月26-28日
- 1位 Mono Green Tron
- 2位 Hardened Scales
- 3位 Eldrazi Tron
- 4位 Jund
- 5位 Thoptor Control
- 6位 Jund
- 7位 Arclight Red
- 8位 Hogaak
Thoralf Severin
トップ8のデッキリストはこちら
プレイオフこそ多種多様なデッキが勝ち残っていましたが、モダン部門で8勝以上の成績を出していたデッキの半数近くはHogaakでした。《虚空の力線》が最も使われたカードであったなど、極端な結果になっています。
今大会で優勝を果たしたTronは、JundやHumans、Eldrazi Tronを選択したプレイヤーがそれなりにいたため良い選択だったようです。
Hogaakに対する対抗馬として有力とされていたUW Controlも、勝率は50パーセント未満と振るいませんでした。
ミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019 デッキ紹介
「Hogaak」「Mono Green Tron」
Hogaak
2 《血の墓所》
2 《草むした墓》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《新緑の地下墓地》
1 《湿地の干潟》
3 《黒割れの崖》
-土地 (19)- 4 《屍肉喰らい》
4 《墓所這い》
4 《縫い師への供給者》
3 《傲慢な新生子》
4 《恐血鬼》
4 《サテュロスの道探し》
4 《復讐蔦》
4 《甦る死滅都市、ホガーク》
-クリーチャー (31)-
《黄泉からの橋》が禁止になったことで弱体化すると思われていましたが、序盤から墓地を肥やし2ターン目に安定して《甦る死滅都市、ホガーク》を出すことは依然として可能です。
プレイオフに進出したのは1名でしたが、今大会の最大勢力でモダン部門ではダントツの勝率を叩き出していました。
☆注目ポイント
《黄泉からの橋》を失ったことで《狂気の祭壇》によるライブラリーアウトはできなくなりましたが、複数枚の《復讐蔦》を2ターン目から走らせたり、《甦る死滅都市、ホガーク》を高速展開する動きは健在です。新たに加えられた《サテュロスの道探し》は、墓地を肥やしつつ《甦る死滅都市、ホガーク》を探すことができます。
同型戦が多くなることを想定していたチームも多かったようで、《虚空の力線》がメインから採用されています。リスト公開制でメイン戦から探しにいけるため、同型戦で差をつけるため採用にも納得です。
メインの除去枠には《暗殺者の戦利品》と《稲妻の斧》が選択されています。前者は墓地対策が当たり前のように採用されている環境なので、万能除去として活躍します。後者は、《復讐蔦》など墓地から復活するクリーチャーを落とすことが可能です。
サイドには、Humansなどクリーチャーデッキに効果的な《仕組まれた爆薬》が採用されています。《墓掘りの檻》も一緒に流せるので、Humans相手には有力なスイーパーとして働きます。追加の勝ち手段として採用されている《朽ちゆくレギサウルス》も面白いチョイスです。墓地に頼らず、毎ターンカードを捨てるデメリットもこのデッキではメリットとして機能することの方が多くなります。
Mono Green Tron
今大会では決して高いとは言えない勝率だったものの、使用者の多かったフェアデッキに強く立ち位置が良かったと言えます。Hogaakが《黄泉からの橋》+《狂気の祭壇》コンボを失い、ビートダウンすることでしか勝てなくなったため、《ワームとぐろエンジン》などで時間を稼ぎやすくなりました。
環境の大本命であったHogaak対策に多くのサイドボードの枠を割く必要があったため、Tron対策にまで手が回っていなかったことも追い風でした。ロンドンマリガンの恩恵も大きく、トロンランドやサーチスペルを求めて積極的にマリガンすることができます。
☆注目ポイント
『灯争大戦』がリリースされて以来、《大いなる創造者、カーン》+《マイコシンスの格子》や《罠の橋》、《三なる宝球》などを搭載したシルバーバレット戦略が主流となっていました。しかし、Hogaakの隆盛により《虚空の力線》など墓地対策にサイドボードのスペースを割く必要があったため、《大いなる創造者、カーン》パッケージの採用は見送られています。
《爆発域》は《森の占術》や《探検の地図》でサーチ可能な全体除去で、《血染めの月》を処理できないのは残念ですが、この土地のおかげで以前よりも軽いクリーチャーで押し切られることが少なくなりました。
『基本セット2020』から《夏の帳》という新戦力を獲得しました。《暗殺者の戦利品》、《大爆発の魔道士》といった土地破壊からトロンランドを守り、UW Controlとのマッチアップでも《謎めいた命令》などカウンターを無効化できる優秀なサイドボード要員です。
グランプリ・バルセロナ2019
フェアデッキの復権
2019年7月27-28日
- 1位 Jund
- 2位 Jund
- 3位 Humans
- 4位 Esper Control
- 5位 Thoptor Control
- 6位 Eldrazi Tron
- 7位 Izzet Phoenix
- 8位 Hogaak
Troels Munk
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ミシックチャンピオンシップと併催して開催された今大会のプレイオフは、Hogaakがわずか1名で決勝戦はJund同型とフェアデッキの活躍が目立ちました。
グランプリ・バルセロナ2019 デッキ紹介
Jund
1 《山》
1 《森》
2 《草むした墓》
1 《血の墓所》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《新緑の地下墓地》
3 《血染めのぬかるみ》
1 《樹木茂る山麓》
3 《黒割れの崖》
2 《育成泥炭地》
1 《怒り狂う山峡》
1 《幽霊街》
-土地 (23)- 4 《タルモゴイフ》
3 《漁る軟泥》
1 《不屈の追跡者》
3 《血編み髪のエルフ》
-クリーチャー (11)-
3 《コジレックの審問》
3 《思考囲い》
2 《稲妻》
3 《暗殺者の戦利品》
1 《コラガンの命令》
1 《大渦の脈動》
2 《虚無の呪文爆弾》
4 《レンと六番》
4 《ヴェールのリリアナ》
-呪文 (26)-
3 《虚空の力線》
2 《疫病を仕組むもの》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《外科的摘出》
1 《古えの遺恨》
1 《集団的蛮行》
1 《神々の憤怒》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》
-サイドボード (15)-
『モダンホライゾン』は、Jundを再びモダンを代表するミッドレンジへと復権させました。《レンと六番》や《疫病を仕組むもの》といったカードのおかげで、Humansやトークンによって横に並べるマッチアップが楽になりました。
苦手なTronやTitan Shiftなど、土地コンボが減少傾向にあるのもJundの復権を後押ししています。
☆注目ポイント
《レンと六番》は、フェッチランドや《育成泥炭地》を使い回すことでカードアドバンテージを稼ぎつつ、奥義まで辿り着ければそのまま勝利に繋がります。墓地から土地を回収する能力は、《ヴェールのリリアナ》との相性が良く、Tronとのマッチアップでは《幽霊街》を使い回すことでトロンランドを妨害することができます。[-1]能力によって、タフネス1のクリーチャーを多用するデッキとのマッチアップは以前よりも有利が付くようになりました。また、《レンと六番》の影響で処理されやすい《闇の腹心》の採用は見送られています。
Hagaak対策もメインから《虚無の呪文爆弾》が2枚、《漁る軟泥》が3枚、サイドにも《ゲトの裏切り者、カリタス》、《虚空の力線》、《外科的摘出》と徹底しています。
サイドの《疫病を仕組むもの》は、Humansなど部族アグロのほかにも同型戦で《闇の腹心》や《歴戦の紅蓮術士》の対策になり、接死持ちなので《タルモゴイフ》とも相打ちを取ることが可能です。《墨蛾の生息地》や《ちらつき蛾の生息地》といったミシュラランドを無力化したり、《飛行機械の鋳造所》+《弱者の剣》コンボやHagaakの《恐血鬼》など、多くの戦略に刺さる優秀なクリーチャーです。
グランプリ・ミネアポリス2019
Hogaakの夏
2019年8月10-11日
- 1位 Hogaak
- 2位 Hogaak
- 3位 Mono Red Prowess
- 4位 Hogaak
- 5位 Hogaak
- 6位 Burn
- 7位 Hogaak
- 8位 Human
Justin Plocher
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あらゆる大会で猛威を振るうHogaakは、今大会でもプレイオフの半数以上を占めていました。それ以外のデッキは、Mono Red ProwessやBurnといったアグロデッキが多く、土地からのダメージやブロックできないクリーチャーなど守りの面で難のあるHogaakに対して有利なデッキが中心でした。
ミシックチャンピオンシップでも活躍していたことで相当意識されていたことは明白でしたが、結局決勝戦はHogaak同型という結果になりました。
グランプリ・ミネアポリス2019 デッキ紹介
Mono Red Prowess
Mono Red Phoenixから《弧光のフェニックス》を解雇し、《突破》や火力を追加することで相手のライフを速攻で削ることにフォーカスした構築です。現環境トップメタのHogaakに強い構成となっています。
モダンで赤い速攻デッキといえばBurnが思い浮かびますが、「果敢」クリーチャーと火力による組み合わせでライフを速攻で削るプランのほかに、《騒乱の歓楽者》や《舞台照らし》などでロングゲームにも対応可能なところがこのデッキの魅力です。
☆注目ポイント
《弧光のフェニックス》が抜けても、《信仰無き物あさり》は《騒乱の歓楽者》や《溶岩の投げ矢》との相性が良いため採用されています。《溶岩の投げ矢》 は、このデッキにとって厄介となる《スレイベンの守護者、サリア》を処理でき、フラッシュバックにマナがかからないので無駄なく動くことができます。
《突破》は軽いキャントリップスペルで「果敢」とのシナジーがあり、トークンやHumansがサイドインしてくる《オーリオックのチャンピオン》 といったブロッカーを突破する手段として有用です。
同型やBurnとのマッチアップ用にサイドには《ドラゴンの爪》が採られています。そして、墓地対策には《虚空の力線》ではなく《外科的摘出》や《トーモッドの墓所》といった「果敢」を誘発できる墓地対策が選択されているのもポイントです。
総括
《黄泉からの橋》の禁止はHogaakを止めるには至らず、ミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019では、最大勢力であると同時にモダン部門で最も高い勝率を記録しました。その後に開催されたグランプリ・ミネアポリス2019でも2日目進出率が20パーセント近く、プレイオフにも5名の入賞者を輩出、決勝戦もHogaak同型と現環境を支配しています。
《虚空の力線》や《外科的摘出》など、墓地対策カードが当たり前のようにメインから散見される環境はお世辞にも健全とは言えず、今月末の禁止改定ではなにかしらの調整が加えられることが予想されます。
以上、USA Modern Express vol.31でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!