By Atsushi Ito
メタゲームブレークダウンを見た方の中には、私と同じくある事実に気づいた方もいらっしゃるかもしれない。
「新たな視点」コンボ 7 1.9%
まさかこの「機体」や《霊気池の驚異》が跋扈する環境で、しかもプロツアーで、あの「ゼウスサイクリング」を7名ものプレイヤーが選択しているとは!
5 《森》 1 《沼》 1 《島》 1 《平地》 4 《灌漑農地》 4 《隠れた茂み》 1 《異臭の池》 2 《要塞化した村》 4 《まばらな木立ち》 -土地 (23)- 4 《砂時計の侍臣》 4 《シェフェトのオオトカゲ》 1 《終止符のスフィンクス》 -クリーチャー (9)- |
4 《ウルヴェンワルド横断》 4 《花粉のもや》 4 《葬送の影》 4 《新たな信仰》 3 《奇妙な森》 4 《排斥》 4 《新たな視点》 1 《副陽の接近》 -呪文 (28)- |
4 《うろつく蛇豹》 3 《光輝の炎》 2 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》 2 《終止符のスフィンクス》 1 《山》 1 《周到の神ケフネト》 1 《造反の代弁者、サムト》 1 《過ぎ去った季節》 -サイドボード (15)- |
だが、「ゼウスサイクリング」が世に出た段階では、まだプロレベルでそこまで通用するデッキには見えなかった。
一体「ゼウスサイクリング」に何が起こり、どのような進化を果たしたというのだろうか?
ちょうどいいところに、「ゼウスサイクリング」の始祖にして日本有数のデッキビルダーとして知られる浅原 晃が、公式生放送解説の休憩中に会場をぶらぶらしていたので、「ゼウスサイクリング」の現在について話を聞いてみた。
ゼウステク: 「ゼウスサイクリング」の現在
--「プロツアーに『ゼウスサイクリング』が大量に持ち込まれているようなのですが、あのデッキは何らかの進化を果たしたのでしょうか?」
浅原「かなり強くなった。まず《要塞化した村》などの特殊地形をほとんど全部抜いて基本地形とサイクリング土地だけに絞ることで、《シェフェトのオオトカゲ》を何度《葬送の影》で回収しても有効にマナが伸ばせるようにしたのが1点」
--「なるほど。確かにほぼ緑マナだけで回るデッキですし、基本地形が枯渇するとコンボ中にマナが伸びにくくなるので納得の変更です」
浅原「それからこれはまだ俺だけしか使ってないバージョンだけど、《副陽の接近》が抜けた」
--「えっ!? じゃあどうやって勝つんですか?」
浅原「《信者の確信》だね。《副陽の接近》だと合計14マナ必要なところ、これなら設置3+タダのサイクリング10回それぞれに1マナ払って合計13マナで済むし、素引きしたときに耐えるパーツにもなる」
--「けどそれだと《否認》でggでは……?」
浅原「メインで《否認》は切った方がいいという結論に達したね。全部はメタってられないし、そうすることで《終止符のスフィンクス》のスロットも空いて、サイクリング土地を増やせる」
--「色々進化しているんですね。ありがとうございました、ではこのへんで……」
浅原「待ちたまえ」
--「!?」
ゼウスミッション: “神7″を探せ
浅原「どうも最近たるんでいるようなので、まつがんにはゼウスミッションを受けてもらう。“神7”を探してきなさい」
--「“神7”……?」
浅原「メタゲームブレークダウンを見ただろう。このプロツアーで『ゼウスサイクリング』を使っている7名の戦士たちのことを、俺の中で“神7”と呼ぶことにした。彼らを探し出し、『ゼウスサイクリング』の戦いぶりをその目に焼き付けるのだ」
--「そんな無茶苦茶な……」
今回のプロツアーの参加者は378名。つまり毎ラウンド189卓が対戦をすることになる。
その中からたった7人の「ゼウスサイクリング」使いを見つけ出すなど、容易なことではない。
しかし幸いにして、日本人のグループが「ゼウスサイクリング」を調整して持ち込んでいたのは調査済だった。
第4回戦のフィーチャーマッチで久しぶりに「リアルF6」を実現させたことで盛り上がった殿堂プレイヤー・大礒 正嗣。同じく殿堂プレイヤーの三原 槙仁。プロツアーチャンピオンにしてプラチナレベル・プロの瀧村 和幸。プロツアートップ8経験を持つシールドの達人・石村 信太朗。これで4人。
公式生放送に視聴者プレゼントとして提供した
さらにプレイエリアを歩き回り、手札にサイクリングのカードを大量に抱えた2人を発見することに成功する。
だが、最後の一人。”神7″の7人目がどうしても見つからない。
--「これ、もうドロップしちゃったのでは……?」
浅原「いや、違う。最後の一人はまつがん、お前だ」
--「!?」
浅原「あの7という数字は、一週間後の未来から過去に跳び《新たな視点》を握ってこのプロツアーに参加していたお前自身をカウントしていたのだ」
--「なにそのSF設定」
浅原「というわけで、今からお前をゼウスの力でプロツアーの一週間前に飛ばしてやるから、あと一週間でプロツアーを優勝できる『ゼウスサイクリング』を完成させ、過去を変えるのだ!」
--「えっ、ちょ……うわああああああ!!!!」
……ワームホールをくぐり、突如として謎の光に包まれた私は、気が付くと「ミュージック・シティ・センター」の前に放り出されており、ホールに戻ってみるとプロツアーの痕跡は跡形もなかった。
恐る恐るスマートフォンで確認してみると、日付は「2017年5月5日」。
--「こ、これは……一週間前の世界!?くそ、こうなったら最強の『ゼウスサイクリング』を完成させてプロツアーで優勝してやる!」
……だがデッキが完成したはいいものの、冷静に考えてプロツアーの参加権利がなかった私が当然プロツアーに参加できるはずもなく。
――まつがんは――
つづ……かない
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