準々決勝: 梅澤 忍(東京) vs. 和田 悠佑(東京)

晴れる屋

By Yuya Hosokawa

 『アモンケット環境名人戦』もいよいよ残すところ、シングルエリミネーションのみ。

 スタンダード6ラウンド、ドラフト3ラウンドというマジックの総合力が試される『環境名人戦』。通常の9ラウンドよりも遥かに長いと感じるであろう予選を終え、勝ち残った8名。

 その中から、スイスラウンドを1位で突破した梅澤 忍と、8位から環境名人を狙う和田 悠佑の戦いをお届けしよう。

 梅澤が今大会に選んだデッキはティムール・エネルギー。ティムールカラーでエネルギーを生み出すデッキと言えば《霊気池の驚異》だが、現在は禁止カードとして指定されている。そのため、生み出したエネルギーはライブラリーを6枚めくるのではなく、《つむじ風の巨匠》《蓄霊稲妻》のためだけに使用される。

つむじ風の巨匠霊気との調和導路の召使い

 マナ基盤を安定させる《霊気との調和》、マナブーストの《導路の召使い》《ならず者の精製屋》というアドバンテージ源、さらには万能除去の《蓄霊稲妻》と、ティムール・エネルギーは良質なカードを大量に使えるため、この『環境名人戦』でも人気のデッキのひとつとなっている。

 さて、そんなティムール・エネルギーと同等の人気を誇るデッキ。それが和田の使用する黒緑だ。

巻きつき蛇ピーマの改革派、リシュカー新緑の機械巨人

 《巻きつき蛇》《ピーマの改革派、リシュカー》、そして《新緑の機械巨人》で圧倒的なサイズのクリーチャーを展開して相手を踏み潰すパワフルなこのデッキ。ビートダウンとしてもミッドレンジとしても立ち回れるため、環境の多くのデッキに対して五分以上に戦えるため、黒緑を好むプレイヤーも多い。

地下墓地の選別者

 その中でも和田の黒緑は、《地下墓地の選別者》が特徴的だ。このカードは+1カウンターをばらまく対象を増やしてくれるだけでなく、4ターン目に《新緑の機械巨人》を展開することもでき、より早く対戦相手のライフを0にしてしまえるのだ。

 人気のアーキタイプ同士の戦いとなった準々決勝。まさしく『環境名人戦』。

 環境名人を目指す者たちが織り成す濃厚な試合をご堪能あれ。

Game 1

 オープニングハンドを見た梅澤はすぐにキープし、和田も迷うことなく7枚で始める意志を伝える。

 主導権を握ったのは先手の梅澤。《霊気との調和》からゲームを開始し、2ターン目に《導路の召使い》をキャスト。3ターン目は《ならず者の精製屋》と、ティムール・エネルギーという名前に相応しく、3ターン目にして6個のエネルギーを獲得する。

 一方の和田の展開も悪くない。スタートこそタップインだったものの、《屑鉄場のたかり屋》から《地下墓地の選別者》へと繋げ、4ターン目の《新緑の機械巨人》が控える。この4ターン目の《新緑の機械巨人》が、《地下墓地の選別者》を入れた緑黒の持ち味だ。

 ティムール・エネルギーは除去が《蓄霊稲妻》しかなく、そのため《新緑の機械巨人》によりクリーチャーを強化されることが非常に厳しい。特にこの戦いに置いて《新緑の機械巨人》の高速召喚はキーとなる。

 しかし、このロケットスタートをもってしても、和田は梅澤のスピードには追いつくことができない。

梅澤 忍

梅澤 忍

 まず梅澤は《導路の召使い》の力を借りて4ターン目に《栄光をもたらすもの》を唱えて攻撃し、《地下墓地の選別者》を焼く。

栄光をもたらすもの

 さらに続くターン、6マナから《ならず者の精製屋》《つむじ風の巨匠》を連続で並べる。エネルギーも豊潤で、3体の飛行機械トークンを生み出せる量だ。

 《ピーマの改革派、リシュカー》によって9/9となった《新緑の機械巨人》で和田も攻撃してみるものの、ダメージレースで全く追いつけていない。

 2枚目の《栄光をもたらすもの》がブロッカーの《ピーマの改革派、リシュカー》を丸焦げにしたのを見て、和田は次のゲームに進むことを決めた。

梅澤 1-0 和田

Game 2

 テイクマリガンした和田が《風切る泥沼》を2ターン連続でタップインするスタート。戦場に現れた最初のクリーチャーは梅澤の《牙長獣の仔》となった。

牙長獣の仔

 この《牙長獣の仔》を、メインフェイズに入った後に《致命的な一押し》で除去した和田だが、ここで異変が起きる。和田は3枚目の土地を置くことができなかったのだ。

 2マナで止まった和田に対し、梅澤は少考する。手札には3マナのカードは1枚のみ。そしてフルタップでそのカード――《不屈の追跡者》を唱えた。

不屈の追跡者

 《不屈の追跡者》は通常、3ターン目にプレイするカードではない。セットランドすることで手がかりを生み出せるこのカードは、4ターン目以降にプレイすることで、仮に除去されたとしても手がかりを残すことができるようにしておくのが基本だ。手がかりを出せない状況で《不屈の追跡者》を唱えることは、土地が詰まっているなどといった事情がある場合を除いてほとんどない。

 だが対戦相手が土地を1枚しか立たせておらず、かつ2枚で止まっている。この状況ならば、話は変わってくる。

 まずエンド前に《不屈の追跡者》が除去されることはない。あるとしても相手のターンのメインフェイズで、そうすれば相手の次のターンは丸々パスとなり、こちらが再び先手を打てる。これは望ましい展開だ。

 除去されなかった場合は、確実にクリーチャーかプレインズウォーカーを展開されるだろう。すると次のターンに《不屈の追跡者》を出して手がかりを残せたとしても、相手の攻めに対して後手後手に回ることとなってしまう。

 土地事故を起こした相手に対して、現在の梅澤の手札における最良のプレイが、この3ターン目《不屈の追跡者》プレイだったのだ。

 そしてこの梅澤のプレイが、3枚目の土地を引くことができずに《巻きつき蛇》を唱えた和田に突き刺さる。

 ターンの返ってきた梅澤は、力強くセットランドで手がかりを生み出し、そのまま生贄に捧げる。《蓄霊稲妻》《巻きつき蛇》を退けると、《不屈の追跡者》で攻撃。

 さらにようやく3枚目の土地を引いて和田が出した《地下墓地の選別者》を、《栄光をもたらすもの》で薙ぎ払う。

和田 悠佑

和田 悠佑

 《歩行バリスタ》をX=2で唱えて立たせる和田だが、《不屈の追跡者》のおかげで梅澤の手札は潤沢だ。《蓄霊稲妻》で唯一のブロッカーを排除し、《不屈の追跡者》が攻撃し、これでライフは残り3点。

 とどめの一撃は、初手から持っていた《焼夷流》

焼夷流

 事故を起こしてしまった和田を完璧なプレイで介錯してみせた梅澤が、準決勝へと駒を進めた。

梅澤 2-0 和田

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