これまでのあらすじ
グランプリ・神戸2017でプロポイントを2点獲得し、合計22点となったタカハシ。目標とするゴールドレベルは35点。プロツアー『破滅の刻』での10点 (11勝5敗) で達成できるように、プロポイントを上乗せする必要がある。
さらなるプロポイントを求め、グランプリ・ラスベガスへ赴くのであった。
■ 6/14-18 グランプリ・ラスベガス
史上初のレガシー・リミテッド・モダン3連続開催となったグランプリ・ラスベガスに参加。プロポイントを加点するためには最低でも11-4が必要で、2日目進出を前提にするとどれか一つのフォーマットは切らなければいけない。
私はもともと構築寄りのプレイヤーでリミテッドは得意でないため、レガシーとモダンにオールインすることにした。
■ デッキ選択
《師範の占い独楽》禁止後に環境が多様化したこともあって、ここ最近はレガシーを楽しんでいた。
ひととおりのデッキを回した感想は、
デス&タックス……環境の2番手。デッキに入っているカードのすべてがシナジーを持ち、デルバー同様対応力が高い。《夜の戦慄》《硫黄の精霊》といった対策が刺さりやすい。
土地単……アンチデルバーの筆頭。遅いデッキ全般に有利だが、相手の呪文への妨害ができないため2~3ターンで決めてくるコンボデッキに弱い。
青白奇跡……《相殺》不在の分でコンボに弱くなっており、また土地単にも強くない。
スニークショー……デルバー系とデス&タックスに弱い。
ANT……相手への妨害力があり、《目くらまし》《呪文貫き》に強い。《虚空の杯》デッキが苦手。
・まずグリクシスデルバーを回すが、プレイの習熟度が低いからかミラーマッチで勝てない。《不毛の大地》で事故/除去の枚数差のゲームになりやすく、多いであろうデルバーミラーマッチに自信を持てなかったため断念。
・次は土地単が候補だったが、ドロースペルがないため《踏査》への初手依存度が高く、対策を多くとってもコンボデッキへの相性が改善しなかったため断念。《思案》《渦まく知識》がないデッキだと「相手の対策カードへの対策」を探すのが難しいことも理由だった。
・デス&タックスも強いデッキだが、土地単同様《霊気の薬瓶》への初手依存度が高く、また意識されているせいか《夜の戦慄》を結構な頻度で出される。土地単同様、1~2ターン目のコンボに対しても弱いため断念。
・レガシーは対策カードが強力で、《夜の戦慄》《血染めの月》《虚空の力線》など、デッキによっては1枚で負けてしまうカードも多数ある。特にレガシーは墓地対策が豊富で、土地単を回していたときにはあらゆるデッキから《外科的摘出》を撃たれた。《外科的摘出》はサイドイン範囲の広い墓地対策なので、どんなデッキに入っていてもおかしくない。便利すぎるからこその採用率の高さであり、このカードが存在する以上は墓地依存のデッキは使えないな、という感想。
・なるべく相手の対策カードを無視できる/乗り越えられるデッキが望ましい。しかしレガシーはデッキの種類が非常に多く、相手の対策すべてに対処するのは難しい。それならば相手の対策カードに付き合うよりも、対策を無視して2ターンで勝てるコンボデッキが良いのではないか。
そう考え、墓地対策の効きにくい2ターンキルコンボ・ANTを使うことにした。
■ ANTのスペル選択
2 《島》 1 《沼》 2 《Underground Sea》 1 《Volcanic Island》 4 《汚染された三角州》 2 《霧深い雨林》 2 《沸騰する小湖》 1 《溢れかえる岸辺》 -土地 (15)- -クリーチャー (0)- |
4 《ギタクシア派の調査》 4 《渦まく知識》 4 《思案》 2 《定業》 4 《暗黒の儀式》 4 《強迫》 4 《陰謀団の儀式》 4 《冥府の教示者》 3 《陰謀団式療法》 1 《炎の中の過去》 1 《苦悶の触手》 2 《むかつき》 4 《水蓮の花びら》 4 《ライオンの瞳のダイアモンド》 -呪文 (45)- |
3 《闇の腹心》 3 《致命的な一押し》 3 《外科的摘出》 2 《蒸気の連鎖》 2 《残響する真実》 2 《ハーキルの召還術》 -サイドボード (15)- |
4 《強迫》+3 《陰謀団式療法》
相手もコンボデッキだった場合は、初手の《強迫》の有無が勝敗を分ける。また対土地単も、サイド後は《抵抗の宝球》《虚空の杯》どちらかでキープされることが前提のゲームになるため、これもまた《強迫》が重要になる。
《ギタクシア派の調査》が絡んだときは《陰謀団式療法》に軍配が上がるが、対コンボやサイド後を考えると《強迫》を4にすべきだ。
《闇の誓願》不採用
《むかつき》と分けて1 : 1にすることが多いが、私は長らく《むかつき》2枚派だ。多くの場合、《むかつき》は15ライフ&1マナ残しなら「撃てば勝ち」のカードとなる。
しかし《闇の誓願》は撃った後にもう一種類マナを出すカードが必要になることが多く、手札に来たときの強さは断然《むかつき》の方が上だ。もちろんライフが減りすぎた場合や、サイド後に《冥府の教示者》を《外科的摘出》された場合に《闇の誓願》が重宝するケースもある。
2 《島》+1 《沼》
《師範の占い独楽》禁止後は、デルバー、デス&タックス、土地単など、《不毛の大地》を使うデッキの比率が増え、実に環境の半分が《不毛の大地》デッキなのが現状だ。最初は私も《Tropical Island》入りで《花の絨毯》《ザンティッドの大群》などを入れていたが、増えすぎた《不毛の大地》に対して特殊地形は余りに脆く、事故リスクを上げるだけだった。
レガシーで最も信頼できるマナベースは、「不毛されない」基本地形ということで、2 《島》+1 《沼》。それに合わせてサイドも多色化をせず、青と黒に統一。
例えば対土地単のサイド後を考えても、相手が《抵抗の宝球》《虚空の杯》と置いてある状況で《ハーキルの召還術》を撃つのには土地3枚が必要になってくるし、この変更には満足している。ただ、《不毛の大地》の入っていないデッキに対しては《島》1枚をサイドアウトすることも多い。
《巣穴からの総出》不採用
前述のように、今回の上位メタゲーム予想は「デルバー」「デス&タックス」「土地単」。
《巣穴からの総出》は《石鍛冶の神秘家》からの《殴打頭蓋》で逆転されやすく、「土地単」には《The Tabernacle at Pendrell Vale》がある。
そうなると《巣穴からの総出》が有効なのは「デルバー」のみで、それも序盤に10体出さなければ対処されやすい。その他の遅いデッキには《巣穴からの総出》がなくても勝てるので、どのマッチでも必要なしとして0枚に。
サイドに《闇の腹心》
サイド後は相手も手札破壊や《狼狽の嵐》などで妨害手段が増えてくるため、それに対抗するための軽いアドバンテージ源が必要と考え採用。主にデルバー系とコンボデッキにサイドインし、《定業》の枠と入れ替わることになる。
ANTは《狼狽の嵐》と墓地対策をサイドインされることの多いデッキだが、《闇の腹心》はその両方を無視することができる。そうして得たリソースで墓地を経由しない勝ち方をしても良いし、《闇の腹心》自体が《陰謀団式療法》のコストとなるため、手札破壊の水増しとしても使える。
1ターン目《暗黒の儀式》→《強迫》→《闇の腹心》という動きはサイド後のベストな動きだ。
■ 本戦
初日
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | BYE | |
Round 3 | BYE | |
Round 4 | 4色石鍛冶 | ×× |
Round 5 | 赤単プリズン | ×〇× |
Round 6 | 赤黒リアニ | 〇〇 |
Round 7 | 発掘 | 〇×〇 |
Round 8 | 魔の魅惑 | 〇〇 |
Round 9 | 4色石鍛冶 | 〇〇 |
赤単プリズンはメインから《虚空の杯》《三なる宝球》が入った苦手なデッキ。 先手を取れずに負け。
7-2で2日目へ。
2日目
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 10 | スゥルタイデルバー | ×× |
Round 11 | 青赤デルバー | 〇〇 |
Round 12 | 感染 | 〇〇 |
Round 13 | スニークショー | 〇〇 |
Round 14 | グリクシスデルバー | 〇〇 |
Round 15 | スニークショー | ×× |
11-4でプロポイント2点獲得。
最後のスニークショーは《神聖の力線》が入った最も苦手なタイプのデッキで、2ゲーム目0ターン目に敗北が決定 (《闇の腹心》で勝つしかない)。
対グリクシスデルバーで面白い局面があったため、久々に出題しよう。
■ ANTクイズ 「相手の思考を読み取れ!」
あなた ライフ:8 戦場(セットランド前): 《水蓮の花びら》 《水蓮の花びら》 《汚染された三角州》 《汚染された三角州》 《沸騰する小湖》 手札: 8枚 《水蓮の花びら》 《強迫》 《暗黒の儀式》 《暗黒の儀式》 《陰謀団の儀式》 《冥府の教示者》 《炎の中の過去》 《Underground Sea》 あなたの墓地: 《ギタクシア派の調査》 ストーム: 1 |
対戦相手 ライフ: 17 戦場: 《死儀礼のシャーマン》(アンタップ) 《死儀礼のシャーマン》(アンタップ) 《グルマグのアンコウ》(アンタップ) 《Underground Sea》(アンタップ) 《不毛の大地》(アンタップ) 《Underground Sea》(タップ) 《Volcanic Island》(タップ) 手札: 6枚 《目くらまし》 《目くらまし》 《目くらまし》 《もみ消し》 《もみ消し》 《意志の力》 |
あなたはANT、対戦相手はグリクシスデルバーを使用している。
相手が先攻で《死儀礼のシャーマン》スタートだったこともあり、あなたはフェッチランドを起動せず、《水蓮の花びら》を置くのみで手札が溜まるのを待っていた。
ところが前のターン、相手は《グルマグのアンコウ》を出してきた。どうやらこのターンが最後のチャンスのようだ。
現在はあなたの第1メインフェイズで、このターンドローしたのは《ギタクシア派の調査》。プレイして相手の手札を覗くと6枚とも強力で、非常に濃い内容だ。
ここから様々なパターンを想定したところ、あなたは「相手が正しいプレイをすると負けてしまう」ことに気付いてしまう。しかしANT側の手札は非公開情報であり、相手も正しいプレイをするのが難しい。相手が間違えてくれれば、勝利の可能性は見えてくる。
ここで問題だ。この状況で、相手のどの手札をどういう風に使わせれば、勝つことができるだろうか。カードをプレイする順番に気を付けて考えてみてほしい。
■ 解答
相手は《死儀礼のシャーマン》黒起動 or 《もみ消し》を合わせて2回しかできないことに注目する。
まずフェッチランドを青赤→青黒→青黒の順で起動。
・フェッチ起動を2つ《もみ消し》されたら
《死儀礼のシャーマン》の黒起動ができなくなるので、《強迫》で《意志の力》を抜く→儀式連打→《炎の中の過去》→《冥府の教示者》→《苦悶の触手》で勝ち。
・フェッチ起動を1つ《もみ消し》されたら
《強迫》で《意志の力》を抜く→儀式連打→《炎の中の過去》。ここで相手がスタック《死儀礼のシャーマン》の黒起動で《強迫》を追放するとマナが足りずに《もみ消し》が撃てなくなるので、いずれにせよ2枚目の《もみ消し》は墓地の《強迫》と交換となり、勝ち。
・フェッチランドに《もみ消し》を撃たれなかったら
実は負ける。フラッシュバックした《ギタクシア派の調査》のドローで《苦悶の触手》か手札破壊が見つからないと負け。
ではまた。
高橋優太
この記事内で掲載されたカード
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする