はじめに
みなさんこんにちは。
11月18日に禁止制限告知があり、《王冠泥棒、オーコ》《むかしむかし》《夏の帳》の3種類が禁止カードに指定されました。《王冠泥棒、オーコ》が禁止になることは予想通りでしたが、そのほかのふたつは最近強すぎた緑を弱体化させることで環境の多様性を取り戻すという意図もあるようです。
さて、今回の連載では禁止改定直後に開催されたMOPTQの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Standard PTQ #12028083
FiresとOvenによる熱い戦い
2019年11月23日
- 1位 Jeskai Fires
- 2位 Golgari Sacrifice
- 3位 Jund Sacrifice
- 4位 Jund Sacrifice
- 5位 Jeskai Fires
- 6位 Jeskai Fires
- 7位 Jund Sacrifice
- 8位 Jeskai Fires
トップ8のデッキリストはこちら
大規模な禁止改定直後に開催されたMOPTQは、これからのスタンダードを考える上で非常に参考になります。
Simic Food系のデッキは衰退し、旧環境でも結果を残していたJeskai FiresとSacrifice系のデッキが上位で多数見られました。
Standard PTQ #12028083 デッキ紹介
「Jeskai Fires」「Golgari Sacrifice」「Jund Sacrifice」「Rakdos Aggro」
Jeskai Fires
《創案の火》の強さは健在で、環境に高速アグロやコントロールデッキが少ないので良い立ち位置にいます。
《創案の火》でカードパワーの高い4-5マナのスペルを数枚キャストすることでゲームが有利に進んでいくので、相手のターンにスペルをキャストできなくなるという制限もあまり気になりません。
☆注目ポイント
《創案の火》は、《炎の騎兵》や《帰還した王、ケンリス》といった起動能力を持つカードと相性が良く、プレイしたターンに速攻を付与することでいきなり大ダメージを与えることができます。
《予見のスフィンクス》はこのデッキの安定性の向上に貢献しています。占術によって必要な土地やキーカードの《創案の火》や《炎の騎兵》などを引きやすくなります。
4マナの《創案の火》をキーカードとしているためカウンターを苦手としていますが、メインからフル搭載された《時を解す者、テフェリー》によって対策可能で、サイド後は軸をずらした勝ち手段として《軍勢の戦親分》も投入されます。
メインから《轟音のクラリオン》がフル搭載されており、サイドには《神秘の論争》や《霊気の疾風》、《敬虔な命令》などがあるためJeskai Controlとしても振舞うことができるのも強みです。カウンターと《創案の火》のディスシナジーが気になりますが、サイド後のゲームは《創案の火》+《炎の騎兵》のコンボをちらつかせつつ、《軍勢の戦親分》でプレッシャーをかけていくゲームになることが多くなります。
Golgari Sacrifice
《魔女のかまど》+《大釜の使い魔》のコンボは旧環境でもグランプリやミシックチャンピオンシップで結果を残しており、新環境の有力な戦略の一つとして注目を集めていました。
強力なアドバンテージエンジンとして機能する《パンくずの道標》が採用されるようになり、《魔女のかまど》+《大釜の使い魔》戦略が一気にトップメタに上り詰め、Sultai Foodのミラー打開策としてもミシックチャンピオンシップで高い勝率を出していました。
☆注目ポイント
《王冠泥棒、オーコ》と《むかしむかし》を禁止により失いましたが、《魔女のかまど》+《大釜の使い魔》のコンボは健在です。《王冠泥棒、オーコ》のための青マナを確保する必要もなくなり、Golgariの2色になりました。《パンくずの道標》を採用できるGolgariカラーは、Rakdosバージョンにはない強みです。
《金のガチョウ》や《楽園のドルイド》といったマナクリーチャーのおかげで、《戦争の犠牲》や《不死の騎士》といった色拘束の強いカードもキャストしやすくなっています。《夏の帳》が禁止になったことで、《戦争の犠牲》がより強力になりました。速攻持ちで再利用可能な《不死の騎士》は、コントロールやミッドレンジとのマッチアップで活躍します。《魔女のかまど》との相性が良く、余ったマナを有効に活用する手段となります。
メインから採用されている《虐殺少女》は、《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》を利用することでスイーパーとして機能し、単体でも回避能力付きの4/4とフィニッシャーとしても十分な性能のクリーチャーです。《魔女のかまど》、《パンくずの道標》、《創案の火》、《エンバレスの宝剣》、《荒野の再生》など現環境の多くのデッキに最低一種類は脅威となる置物が採用されているため、それらを対策できる《打ち壊すブロントドン》はメインからでも十分に活躍します。
Jund Sacrifice
先ほどご紹介したGolgari Sacrificeに赤を足すことによって、《波乱の悪魔》や《フェイに呪われた王、コルヴォルド》といったサクリファイスシナジーを搭載することによってデッキパワーが向上しています。
禁止改定直後にMTGアリーナで開催されたTwitch Rivalsでも準優勝という好成績を残していたことからも注目を集めていたデッキです。
☆注目ポイント
赤を足した最大の理由の一つである《波乱の悪魔》は、《魔女のかまど》 +《大釜の使い魔》によって3点のダメージを与えられるので、相手のクリーチャーを除去しつつフィニッシャーとしても機能します。
《フェイに呪われた王、コルヴォルド》は、食物トークンや《大釜の使い魔》などサクリファイスするパーマネントが豊富なこのデッキではデメリットが問題にならず、ドローしつつ自身を強化できるので逆にメリットになります。《波乱の悪魔》と並んでこのデッキの有力なフィニッシャーとして活躍します。
旧環境でFoodミラー対策に採用されていた《ゴルガリの女王、ヴラスカ》は、[+2]能力で食物トークンをドローに変換できるので相性が良く、デッキの方向性に合っていることから引き続き採用されています。
Rakdos Aggro
禁止改定後の環境では、Jeskai FiresやSacrifice系のデッキが中心となっていますが、これらのデッキに対して《エンバレスの宝剣》を使った速攻で殴り勝つ戦略も存在します。
《王冠泥棒、オーコ》の退場によりアグロデッキにもチャンスが出てきました。Jeskai Firesは《轟音のクラリオン》や《炎の一掃》など火力除去が中心なので、それらが効かない《朽ちゆくレギサウルス》にアクセスできるRakdos Aggroは有力な選択肢となり得ます。
☆注目ポイント
Rakdos Aggroを使うメリットとして《漆黒軍の騎士》や《嵐拳の聖戦士》など優秀な騎士クリーチャーが揃っているため、《試合場》を有効活用できるのでマナ基盤が安定します。
《エンバレスの宝剣》を軽いコストでキャストすることも容易で、《熱烈な勇者》に装備させる際はマナコストがかかりません。《熱烈な勇者》の先制攻撃は《黒槍の模範》とも相性が良く、相手にとってブロックしたくない厄介なクリーチャーとなります。
《嵐拳の聖戦士》は息切れ防止になり、速攻で攻めるこのデッキでは相手にもドローさせてしまうデメリットはあまり気になりません。《朽ちゆくレギサウルス》は3マナという軽さでありながらサイズが大きく、《エンバレスの宝剣》の最適な装備先となります。
総括
《王冠泥棒、オーコ》退場後のスタンダードの環境は、Jeskai Fires、Sacrifice系のデッキ、《エンバレスの宝剣》を使った高速アグロなどのデッキが中心でした。
現環境のキーカードの多くは置物なので、《時を解す者、テフェリー》や《秋の騎士》、《打ち壊すブロントドン》などこれらのカードにアクセスできるデッキ、戦略が活躍しそうです。
以上、USA Standard Express vol.161でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!