高橋優太のプロツアー『異界月』☆トップ8☆レポート

高橋 優太



これまでのあらすじ

【グランプリ・台北2016】入賞により、プロポイント34点となったタカハシ。
今シーズンの大きな目標、プラチナレベル到達を目指し、プロツアー『異界月』に向けて練習するのであった。



■ 『異界月』発売


仮説


呪文捕らえ


《呪文捕らえ》は強いが、過信は禁物。捕らえるカードが強ければ強いほど、除去されたときのリスクを抱えることになる
 特に黒に対しては《闇の掌握》との1:1交換で1マナ損するし、《衰滅》を捕らえると常に除去に怯えることになる。《呪文捕らえ》は一時しのぎ程度の認識で、除去されても良いような状態を保ちたい。


墓所破り


《墓所破り》《群れネズミ》に似た強さがある。新カード《闇の救済》との相性も良く、除去の薄いデッキ、例えばバントカンパニーに対しては特に強そうだ。
 →ゾンビを生贄に《老いたる深海鬼》《膨らんだ意識曲げ》を使ったら強いのでは?



No.1 青黒ゾンビ

上記の仮説をもとに、新デッキ「現出」ゾンビで発売日に晴れる屋FNMへ参加。



高橋 優太「青黒ゾンビ」
平日スタンダード17時の部(3-0)

10 《沼》
2 《島》
4 《窪み渓谷》
4 《詰まった河口》
2 《水没した骨塚》
3 《ウギンの聖域》

-土地 (25)-

4 《墓所破り》
4 《無情な死者》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《戦墓の巨人》
4 《秘蔵の縫合体》
4 《憑依された死体》
3 《膨らんだ意識曲げ》
2 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー (29)-
4 《闇の救済》
2 《闇の掌握》

-呪文 (6)-
3 《否認》
3 《死の重み》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《ヴォルダーレンの下層民》
2 《龍王シルムガル》
2 《鞭打つ触手》
1 《膨らんだ意識曲げ》

-サイドボード (15)-
hareruya



秘蔵の縫合体憑依された死体


ゾンビと「現出」は相性が良い!

《膨らんだ意識曲げ》はコントロール相手でないとそこまで強力ではなく、2枚目を引いても弱いという欠点がある。


膨らんだ意識曲げウギンの聖域老いたる深海鬼


《ウギンの聖域》《老いたる深海鬼》が連鎖するパターンは強かった。

しかし、このデッキは《墓所破り》を引いたときと引かなかったときの差が激しく、引かなかったときは2マナ2/2、3マナ3/3のバニラビートダウンに陥ってしまうと言う弱点があり、《墓所破り》を引かないと「バントカンパニー」を倒せなかったので解体



No.2 緑黒ゾンビ

「青黒ゾンビ」を使っていて思ったのは、スタンダード最強カードの《集合した中隊》を使わないのは損!


集合した中隊


「1ターン目《墓所破り》、2ターン目起動、3ターン目《ナントゥーコの鞘虫》+ 3体タップでドロー」という発想を得て、今度は「緑黒ゾンビ」に着手。

《闇の救済》の除去+大量トークンは実にデッキに合っており、「バントカンパニー」に少し有利だったため、手ごたえを感じる。



高橋 優太「緑黒ゾンビ」
平日スタンダード20時の部(3-0)

8 《沼》
5 《森》
4 《ラノワールの荒原》
4 《風切る泥沼》
1 《穢れた果樹園》
2 《ウェストヴェイルの修道院》

-土地 (24)-

4 《墓所破り》
4 《ズーラポートの殺し屋》
4 《エルフの幻想家》
4 《ナントゥーコの鞘虫》
4 《肉袋の匪賊》
4 《地下墓地の選別者》
2 《異端の癒し手、リリアナ》
2 《巨森の予見者、ニッサ》
-クリーチャー (28)-
4 《闇の救済》
4 《集合した中隊》

-呪文 (8)-
4 《膨らんだ意識曲げ》
4 《闇の掌握》
3 《ゲトの裏切り者、カリタス》
2 《苦痛の公使》
2 《強迫》

-サイドボード (15)-
hareruya



このデッキで【BIG MAGIC Open】に参加したが、「緑黒昂揚デッキ」の《最後の望み、リリアナ》《約束された終末、エムラクール》の前に完全敗北


最後の望み、リリアナ約束された終末、エムラクール


デッキの構成上、相手の先手3ターン目《最後の望み、リリアナ》は負けに近く、《約束された終末、エムラクール》《ナントゥーコの鞘虫》絡みで壊滅的な場になる。

どちらもプロツアーで多く使われるであろうカードであり、この2枚が致命的、という点でデッキでは無いため解体

結局、単体のカードが強く最も弱点が少ないデッキということで、「バントカンパニー」に決定。



■ プロツアー『異界月』

8/5-8/7

● 1stドラフト

初手《流電砲撃》から赤単をピックし、緑の狼男が遅く取れたため赤緑に。

マナクリーチャーが3体いる割に重い所が少ないためマナフラッドしやすかった。《ヴィルディン群れの除けもの》《ケッシグの不吉な豚》が取れたらもっとデッキが引き締まっていたと思う。



高橋 優太「赤緑」
1st ドラフト

9 《山》
8 《森》

-土地 (17)-

1 《節くれ木のドライアド》
2 《ウルヴェンワルドに囚われしもの》
1 《死天狗茸の栽培者》
1 《怒り刃の吸血鬼》
1 《血狂いの吸血鬼》
1 《ウルリッチの同族》
1 《吠え群れの狼》
1 《猛々しい狼》
1 《既決殺人犯》
1 《ガイアー岬の山賊》
1 《けたたましく吠えるもの》
2 《強欲な過食者》
1 《敏捷な巣紡ぎ》
1 《くすぶる狼男》
1 《ガツタフの放火魔》
1 《茨隠れの狼》

-クリーチャー (18)-
1 《流電砲撃》
1 《狂気の一咬み》
2 《木こりの気概》
1 《過去との取り組み》
1 《錬金術師の挨拶》

-呪文 (6)-
hareruya





ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 1白緑 ×○○
Round 2赤白 ××
Round 3白黒 ××

1-2
気を取り直してスタンダードへ。



● スタンダード:初日

デッキは「バントカンパニー」。



高橋 優太「バントカンパニー」
プロツアー『異界月』

4 《森》
4 《平地》
1 《島》
3 《梢の眺望》
3 《大草原の川》
4 《進化する未開地》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
2 《伐採地の滝》

-土地 (25)-

4 《薄暮見の徴募兵》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《森の代言者》
4 《反射魔道士》
4 《呪文捕らえ》
4 《不屈の追跡者》
2 《巨森の予見者、ニッサ》

-クリーチャー (26)-
4 《ドロモカの命令》
4 《集合した中隊》
1 《オジュタイの命令》

-呪文 (9)-
4 《否認》
3 《ラムホルトの平和主義者》
2 《ランタンの斥候》
2 《神聖なる月光》
2 《石の宣告》
1 《苛性イモムシ》
1 《即時却下》

-サイドボード (15)-
hareruya



今回、「バントカンパニーは最大勢力で対策されているだろう」という予想から、対策されても粘り強く叩けるように長期戦に強い構成にした。


不屈の追跡者ヴリンの神童、ジェイス巨森の予見者、ニッサ


《最後の望み、リリアナ》に弱い《無私の霊魂》は採用せず、《不屈の追跡者》4枚、《ヴリンの神童、ジェイス》4枚、《巨森の予見者、ニッサ》2枚でアドバンテージを取り続けるクリーチャー選択にしている。

私は上手い構成を見つけられなかったが、ゾンビデッキは居るだろうと思い、サイドに《神聖なる月光》(同型には入れない。お互いほとんどメインフェイズに《集合した中隊》を撃つため)。

「現出」+《コジレックの帰還》デッキもいると思い、《即時却下》。ただ予想よりも「現出」デッキが多かったため、《苛性イモムシ》を削ってもう1枚追加で入れれば良かった。


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 4青黒ゾンビ ×○○
Round 5青単プリズン ○○
Round 6ティムール「現出」 ○○
Round 7白黒コン ○×○
Round 8赤緑ランプ ○×○

5-0!

全体的に、《集合した中隊》のめくれ運が良かった。

6-2で2日目へ。



● 2ndドラフト

初手は弱めのパックから《熱錬金術師》で、その後は赤単ピックしつ《謎の石の断片》が1周したのでピック。

1パック目の赤が弱かったため参入者が少なかったらしく、2パック目で《流電砲撃》2枚、3パック目で《霊魂破》3枚が流れて来る幸運もあり、強力な赤黒コントロールが完成


高橋 優太「赤黒」
2nd ドラフト

8 《山》
8 《沼》

-土地 (16)-

2 《熱錬金術師》
2 《ケッシグの鍛冶場主》
1 《オリヴィアの竜騎兵》
1 《グール呼びの共犯者》 1 《嵐の伝導者》
1 《猛々しい狼》
1 《吠え群れの狼》
1 《強欲な過食者》
1 《ガヴォニーの不浄なるもの》
1 《霊動カカシ》
1 《マウアー地所の双子》
1 《夜深の死体あさり》

-クリーチャー (14)-
2 《流電砲撃》
1 《癇しゃく》
3 《霊魂破》
1 《錬金術師の挨拶》
1 《リリアナの誓い》
2 《謎の石の断片》

-呪文 (10)-
hareruya






ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 9白黒 ×○○
Round 10赤黒 ○○
Round 11バント ×○○


3-0!

再びスタンダードへ。



● スタンダード:2日目


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
Round 12緑黒「昂揚」 ××
Round 13赤緑ランプ ○○
Round 14緑黒「昂揚」 ○○
Round 15赤緑ランプ ○×○
Round 16ID


3-1-1で、トップ8へ


● 決勝ラウンド


ラウンド 対戦デッキ 勝敗
準々決勝ティムール「現出」
【テキストカバレージ】
 ○×××


Owen Turtenwaldは強かった!世界ランキング1位は伊達じゃない!

負けはしたが新しい目標を見つけることが出来て、実に清々しい気分だった。

トップ8入賞により、念願のプラチナレベル到達!やったね!


■ プレイングの極み

※画像をクリックすると拡大します。

対戦相手 (緑黒「昂揚」)


ライフ:18

戦場:

《精神壊しの悪魔》(タップ)
《巨森の予見者、ニッサ》
《風切る泥沼》
《沼》(タップ)
《沼》(タップ)
《森》(タップ)
《森》(タップ)


手札:5枚

《衰滅》(スタック上)


これは14回戦で実際に起こった場面だ。

現在は相手の第2メインフェイズで、6ターン目に《精神壊しの悪魔》で攻撃しつつ、第2メインで《衰滅》をプレイしてきた。

この場でどうプレイするのがベストか考えてほしい。


ではまた


高橋優太



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