はじめに
みなさんこんにちは。
いよいよ今週末に新セットの『テーロス還魂記』がリリースされます。Magic Online(以下:MO)やMTGアリーナでは、すでに新環境のスタンダードが実装されています。
今回の連載では、直近に開催されましたMOのStandard ChallengeやStandard Leagueの結果などから、新環境のスタンダードを解析していきたいと思います。
Standard Challenge 1/19
「Simic Ramp」「Esper Heros」
「Simic Ramp」
4 《島》
4 《繁殖池》
2 《寓話の小道》
4 《神秘の神殿》
2 《ギャレンブリグ城》
2 《ヴァントレス城》
-土地 (27)- 2 《樹上の草食獣》
4 《枝葉族のドルイド》
3 《ハイドロイド混成体》
4 《発現する浅瀬》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
1 《深海住まいのタッサ》
4 《茨の騎兵》
1 《終末の祟りの先陣》
-クリーチャー (23)-
従来通りマナを伸ばしつつ、エレメンタルクリーチャーによるシナジーでリソースを稼ぎ、《世界を揺るがす者、ニッサ》や《ハイドロイド混成体》などでパワーカードへとつなげるSimic Ramp。『テーロス還魂記』からは新戦力として《深海住まいのタッサ》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を獲得しました。
☆注目ポイント
《深海住まいのタッサ》のタップ能力は起動コストが4マナとアグロデッキ相手には少し悠長ですが、このカードの真価はターン終了時に誘発する「明滅」効果です。《発現する浅瀬》や《茨の騎兵》といった場に出た時に誘発する能力持ちのクリーチャーと相性がよく、使い回すことでカードアドバンテージを稼ぐことができます。やや起動コストの重いのタップ能力も、《世界を揺るがす者、ニッサ》と組みあわせることで複数回起動することが可能となります。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は「脱出」しなければ場に残りませんが、わずか3マナで6/6のサイズに加え、場に出たときと攻撃時にドロー、ライフゲイン、マナ加速が誘発する破格のクリーチャーです。序盤はライフゲインつきの3マナの《成長のらせん》として使え、自分のデッキの動きを阻害せずにアグロデッキ相手に時間を稼ぐことができます。
「Esper Heros」
2 《平地》
2 《沼》
4 《神無き祭殿》
4 《神聖なる泉》
4 《湿った墓》
4 《寓話の小道》
2 《啓蒙の神殿》
1 《欺瞞の神殿》
1 《静寂の神殿》
1 《ロークスワイン城》
-土地 (27)- 4 《第1管区の勇士》
4 《半真実の神託者、アトリス》
2 《夢さらい》
-クリーチャー (10)-
2 《ドビンの拒否権》
2 《害悪な掌握》
2 《神秘の論争》
2 《エルズペス、死に打ち勝つ》
2 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》
1 《灯の燼滅》
1 《時の一掃》
1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》
-サイドボード (15)-
《ドミナリアの英雄、テフェリー》やマナ基盤であるチェックランドをローテンションで失い、弱体化を余儀なくされたEsper Heros。しかし『テーロス還魂記』から強力なプレインズウォーカー《悪夢の詩神、アショク》と、占術ランドである《啓蒙の神殿》、《欺瞞の神殿》の再録により復権してくることが予想されます。
☆注目ポイント
《悪夢の詩神、アショク》は初期忠誠値も5と高く、[+1]能力でトークンを生成できるので守りやすくなっています。また、[-3]能力も《はね返り》を彷彿とさせる万能感があり、Esper Herosの新たな主力プレインズウォーカーとして活躍が期待できそうです。
《半真実の神託者、アトリス》は相手との駆け引きはあるものの、手札補充をしつつ回避能力持つクリーチャーを展開できます。このため戦闘で相手のプレインズウォーカーを落としやすくなりました。また、除去耐性を持つ《夢さらい》は攻撃時最低でも5/5となり、カードアドバンテージを稼ぐたけではなく絆魂によるダメージレースも可能なため、攻防に活躍するフィニッシャーとなりそうです。
Standard League 1/20
「Mono White Aggro」「UW Control」
「Mono White Aggro」
4 《アーデンベイル城》
-土地 (20)- 4 《フェアリーの導母》
4 《巨人落とし》
4 《癒し手の鷹》
4 《忠実なペガサス》
3 《法ルーンの執行官》
4 《障害の幻霊》
4 《敬慕されるロクソドン》
-クリーチャー (27)-
話題の新カード《太陽の宿敵、エルズペス》をフル搭載した白単アグロもMOで結果を残していました。
低コストクリーチャーと相性の良い《敬慕されるロクソドン》は健在で、展開力と盤面強化の両立を果たします。『テーロス還魂記』から対プレインズウォーカー用ヘイトベアーの《障害の幻霊》も加入したことでコントロールに強くなりそうです。
☆注目ポイント
《太陽の宿敵、エルズペス》はクリーチャー強化、トークン生成とアグロデッキにマッチした能力を持つプレインズウォーカーです。キーワード能力「脱出」により息切れしにくく、カウンターやハンデスで対処されても再利用できるのでミッドレンジやコントロールにとっては厄介なプレインズウォーカーとなりそうです。
プレインズウォーカーの能力起動を制限する《障害の幻霊》はEsper Heroesなどプレインズウォーカーを多用する戦略や、Simic Rampのような《世界を揺るがす者、ニッサ》を使うデッキに対して強さを発揮します。自身が先制攻撃持ちなため、《太陽の宿敵、エルズペス》や《敬慕されるロクソドン》の強化能力と相性が良いクリーチャーです。
「UW Control」
1 《ドビンの拒否権》
1 《ヘリオッドの介入》
4 《吸収》
4 《意味の渇望》
4 《払拭の光》
4 《海の神のお告げ》
4 《メレティス誕生》
4 《時を解す者、テフェリー》
-呪文 (32)-
2 《ドビンの拒否権》
2 《魔術遠眼鏡》
2 《エルズペス、死に打ち勝つ》
2 《覆いを割く者、ナーセット》
2 《太陽の宿敵、エルズペス》
1 《ヘリオッドの介入》
1 《旋風のごとき否定》
-サイドボード (15)-
『テーロス還魂記』から待望の有効色占術ランド、《啓蒙の神殿》が再録されたことによりマナ基盤が強化されました。
青白コントロール自体は旧環境でも結果を残していましたが、マナ基盤にはじまりインスタントドロースペルの《意味の渇望》、完全無欠のフィニッシャー《夢さらい》を得て大幅に強化されています。
☆注目ポイント
《夢さらい》はEsper Heroesでも取りあげたようにコントロールデッキにおけるフィニッシャーとなります。《空の粉砕》は相手によってはドローさせてしまうデメリットがあるものの、念願の4マナスイーパーです。
《払拭の光》は再録カードですが、対策が難しかったプレインズウォーカーと各種置物を対処できる万能除去です。エンチャント版の《知識の渇望》である《意味の渇望》ですが、《払拭の光》、《海の神のお告げ》などが入ったこのデッキではインスタントタイミングでアドバンテージを稼ぐことができます。アグロ相手には《空の粉砕》を探したり、コントロール同型では手札で腐っていたエンチャントを有効牌に変えたりと優秀なドロースペルです。
《定業》と同様の効果を持つ《海の神のお告げ》は瞬速が付いているため使いやすく、場に出たあとも余剰マナを使ってさらにドローの質を高めます。《時を解す者、テフェリー》 でバウンスすることで、再利用してさらにアドバンテージを稼ぐことができます。
Early Access Streamer Event on MTG Arena
「Mono Black Devotion」
「Mono Black Devotion」
4 《ロークスワイン城》
-土地 (24)- 4 《大釜の使い魔》
4 《漆黒軍の騎士》
4 《ヤロクの沼潜み》
2 《死より選ばれしティマレット》
4 《残忍な騎士》
4 《ロークスワインの元首、アヤーラ》
4 《悪夢の番人》
4 《アスフォデルの灰色商人》
-クリーチャー (30)-
最後はマティアス・レヴェラット/Matias Leveratto選手が自身のTwitter上であげていたMono Black Devotion。『テーロス還魂記』からキーカードであった《アスフォデルの灰色商人》が再録されています。過去のスタンダードではトップメタであったため、プレビュー段階から話題になっていました。
現環境のスタンダードでも《ロークスワインの元首、アヤーラ》をはじめとした色拘束の強いクリーチャーがおり、《残忍な騎士》や《ロークスワイン城》などパイオニア級のカードも揃っているため、単色でもデッキとして成立しています。
またサクリファイス系の看板である《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》のCat Ovenコンボも搭載されていますが、《悪夢の番人》の加入により強化されています。
☆注目ポイント
『テーロス還魂記』からの新カード《悪夢の番人》は4マナ4/4飛行となかなかの性能でありますが、真価はその能力にあります。死亡したクリーチャーを1/1ナイトメアとして復活させるため《魔女のかまど》と相性が良く、特に《アスフォデルの灰色商人》を生け贄することで大量のライフドレインが見込めます。
《アスフォデルの灰色商人》や《魔女のかまど》のライフゲインにより、このデッキは信心を稼ぎつつ強力なアドバンテージ源となる《ボーラスの城塞》を永続的に使うことができます。ほかにも《悪夢の番人》、《ロークスワイン城》、《ロークスワインの元首、アヤーラ》などアドバンテージを稼ぐカードが多いためロングゲームに強く、《アスフォデルの灰色商人》による戦闘以外の勝ち手段も持ち合わせているためお勧めのデッキのひとつです。
総括
『テーロス還魂記』入りのスタンダードデッキを一通り見ていきましたが、再録された有効色占術ランドによりコントロールやミッドレンジの安定性が向上している印象を受けます。過去のスタンダードで活躍したMono Black Devotionも、《アスフォデルの灰色商人》、《悪夢の番人》などの新戦力に恵まれ人気が出そうです。
前環境で活躍していたRakdos Sacrificeなども『テーロス還魂記』から新戦力を獲得し強化されているので、来週末に開催されるSCGO Richmond(チーム構築戦)が楽しみです。
以上USA Standard Express vol.164でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!