グランプリ・京都2016もいよいよ最終日になった。
最終日ということもあって、本戦のチームシールドに負けず劣らず、サイドイベントもかなりの盛り上がりを見せている。
なかでも先日からPPTQのフォーマットとなっているモダンは、この「晴れる屋協賛 日本モダン選手権2016 Summer」に140名もの参加者が集うという人気ぶりだった。
今大会は【The Last Sun2016】の予選も兼ねた大会であり、参加者達の熱意も見て感じ取れるようだった。
さてそのモダンという環境は、言うなればいい意味で“なんでもあり”。環境に存在するデッキのうち、どのデッキが勝ってもおかしくない。
そんなモダンに惹かれたのか。
ここに、熾烈を極めたスイスラウンド8回戦、そしてシングルエリミネーション3回戦を勝ち抜き……
決勝という名のステージに駒を進めた二人がいた。
澁江 敬弘。そして長谷 真太。
2人の最終戦が、いま始まった。
Game 1
まず互い7枚でキープし、スイスラウンドを1位で通過した澁江が先攻で決勝戦が開幕。1ターン目《島》を置いてエンドする澁江に対して長谷は《ヤヴィマヤの沿岸》から《貴族の教主》という良い滑り出しでターンを返す。
対する澁江の動き出しは返しのターン、《変わり谷》を置き《銀エラの達人》をキャストして公開は《メロウの騎兵》、マーフォークとしてはまずまずの滑り出しといったところ。しかし長谷も応戦するように《魂の洞窟》(指定はエルドラージ)、そして《変位エルドラージ》という動きを見せる。
ここで澁江は《メロウの騎兵》をプレイ、3/2にサイズアップした《銀エラの達人》でアタックにいくと、長谷は数が並んでいくのを嫌ったのか、《変位エルドラージ》でブロックし相打ちとなる。
返す長谷は4マナから《難題の予見者》をキャスト。公開されたカードには除去はなく、ロードが並ぶのを嫌い《メロウの騎兵》を追放。応戦する澁江は《呪い捕らえ》プレイで《メロウの騎兵》の能力を誘発させ、《難題の予見者》をタップしつつ《変わり谷》をクリーチャー化して5点を与えにいく。
長谷も負けじと《エルドラージの寺院》を置くと5マナから《現実を砕くもの》をプレイし、《難題の予見者》と共に戦闘。これにより澁江は9点のダメージを受け、傷ひとつなかったライフを一気に半分近く失うこととなる。
これには澁江も苦い表情を浮かべながら、《霊気の薬瓶》にカウンターを置きながらドロー。《島》をセットし《銀エラの達人》をキャスト、公開は《波使い》。そして《メロウの騎兵》の能力誘発で《貴族の教主》を対象にする……が、これを宣言したあとに澁江は酷く後悔する。
澁江 敬弘 |
澁江「ミスったぁ~」
そうそれは長谷の視点からしても明らかなミスだった。澁江のコントロールしている土地は(セットランド前で)《島》が2枚の《雲の宮殿、朧宮》、そして《変わり谷》。つまり《メロウの騎兵》の誘発でタップではなく自身の《島》をアンタップしていれば、《銀エラの達人》をキャストしたときに公開していた《波使い》を続けてキャストできていたことを両者が気づいたのだ。
これには澁江も動揺と後悔が隠せない、そして《呪い捕らえ》と《メロウの騎兵》でアタックし4点を与えてエンド。長谷は残り10点に。
しかし長谷もこのターンは命拾いしたとはいえ、手の中に見えている《波使い》を対処する方法がない。ひとまず2体目の《貴族の教主》をキャストし、賛美が2回誘発した《現実を砕くもの》でアタックしにいく……と、この7/7トランプルという恐ろしい打点を澁江の側は素通りさせるしかなく、澁江のライフは11点から一気に4点まで減ってしまう。さらに《作り変えるもの》を追加する長谷。
苦しい澁江、先ほどプレイできなかった《波使い》をキャスト。信心は4、2/1のエレメンタルトークンが4体生まれる。そしてまた長谷の7/7になった《現実を砕くもの》が襲い来るが、これは《変わり谷》とトークン4体でブロックをし、どうにか打ち取ることに成功する。
しかも返すターンのドロー、ここで澁江がキャストしたのはなんと2体目の《波使い》。8体もの3/2トークンが立ち並ぶ盤面、これにはさすがに長谷も苦い顔だ。
長谷は「もってるなぁ」とこぼすと、長谷は悩みに悩んだ末、フルパンを選択し《作り変えるもの》2体、《難題の予見者》、そしてこのターンキャストした《現実を砕くもの》で総攻撃をかける。
澁江もライフに余裕もなく全て打ち取れるようにブロックし,、トークンを4体、《銀エラの達人》、《呪い捕らえ》をそれぞれ失うが、戦線にはまだまだエレメンタル・トークンが並ぶ。
《作り変えるもの》が誘発し、長谷の場には《変位エルドラージ》が残るのだが。
澁江が引き込んだ《潮流の先駆け》をキャストすると、《メロウの騎兵》と合わせてのトリックで長谷の防御は崩壊。ほぼ空になった長谷の場に全てのクリーチャーが雪崩れ込み、残りの10点をあっという間に奪い去って澁江が勝利した。
澁江 1-0 長谷
Game 2
そもそもこのマッチアップが不利だと辛そうな長谷。しかしそれでも2人の雰囲気はとてもマジックを楽しんでるように見えた。
澁江がマリガンした開幕、長谷は《吹きさらしの荒野》から《寺院の庭》をアンタップイン、3点失いながら《古きものの活性》をキャストし《仕組まれた爆薬》を手札に加えてターンを返す。
対する澁江は《島》をセットしてエンドするも、長谷は《エルドラージの寺院》をセットしまたも2ターン目に《変位エルドラージ》をプレイすることに成功する。
澁江も2ターン目に《アトランティスの王》をキャストするが、決して遅いわけではないとはいえ相手の展開を見ると速度の不足は否めない。
長谷 真太 |
さらに長谷は《作り変えるもの》をキャストし、《変位エルドラージ》で攻撃を始める。
澁江も応戦するように《メロウの騎兵》をキャスト、ロードが2体並んだが、まだサイズは同等、加えてどちらかを除去されるととても厳しい展開だ。
流れを掴みつつある長谷は《仕組まれた爆薬》をX=2で設置。マーフォークはベースとなる部分が2マナ域に集中しているため、澁江としては早く《仕組まれた爆薬》をなんとかしたいところである。すかさず《地盤の際》で《エルドラージの寺院》を破壊すると、それに対応して《仕組まれた爆薬》を起動する長谷。
だが澁江は狙い通り被害を最小限にとどめることに成功したが、依然として不利な状態。《真珠三叉矛の達人》をプレイして終了。
その返しで長谷は即総攻撃、気が付けば澁江のライフは8点まで減っていた。そのまま畳みかけるように長谷は《難題の予見者》をプレイ、公開されたカードは……
《波使い》と《非実体化》。
澁江の土地は3枚で止まっていた。もう1枚土地を引かれなければプレイできない《波使い》と、《難題の予見者》を戻されるとドローされてしまう《非実体化》。少し悩んだ末、先ほどの展開がよぎったのか《波使い》を選択する長谷。
はたして運命の悪戯か、返す澁江のドローは先ほどまで欲しかった4枚目の土地、《地盤の際》。悔しい表情を浮かべながらそのままターンを返すほかない。
安堵の顔を見せながら長谷はドロー、《仕組まれた爆薬》をまたX=2で置き即起動。対応で《難題の予見者》を《非実体化》で戻されドローされてしまうも長谷の有利は変わらず、攻める長谷、耐える澁江の構図が続く。
時刻は午後9:00を過ぎていた。
そんな消耗戦の末、最後の望みとばかりに出した《波使い》も対処され、《真珠三叉矛の達人》のみが場に出ている状態。ライフは澁江が2、長谷が14と、澁江は消耗戦ではかなり分が悪そうだ。
そしてこのゲームに決着を着けるべく長谷が引いたカードは《変位エルドラージ》。澁江はドローゴーだが、長谷が最後にドローした《エルドラージの寺院》を見てクリーチャーを全てタップさせられて負けることを悟り、ここで澁江投了。
澁江 1-1 長谷
Game 3
「長丁場でしたが泣いても、笑っても最後です」
そんなジャッジの言葉とともに3ゲーム目が始まる。
澁江は《呪い捕らえ》を出してエンド、続く長江も遅れをとらまいと《低木林地》から《貴族の教主》をプレイ。
澁江は返しに《低木林地》に《広がりゆく海》を付け、無色マナを潰しながら島渡りの準備を整えた。
しかしそんなことはおかまいなしに長谷は《エルドラージの寺院》をセットし《難題の予見者》をプレイ。公開されたカードには《波使い》が2枚あり一瞬《真珠三叉矛の達人》と迷うも《波使い》の1枚を追放した。
ここまできたら澁江も自分の手を進めるだけ、《真珠三叉矛の達人》をプレイしてすれ違いのダメージレースを望みにいく。
だがすれ違いのダメージレースならと長谷は《現実を砕くもの》をプレイし、《難題の予見者》と共にアタック、9点通って澁江のライフは一気に11点に。
澁江はここで《変わり谷》をセットし《波使い》をプレイ。信心は5、よってトークンは5体。こうなると長谷も苦しくなってきて何か解答を探すために《古きものの活性》をプレイするが、手札に加えたのは《難題の予見者》。そのまま《現実を砕くもの》と《難題の予見者》でアタックして《難題の予見者》はトークンにブロックされ5点通って残り5点。
しかし返しのターン、澁江の場には《真珠三叉矛の達人》、《波使い》、《呪い捕らえ》そして4体のトークンと《変わり谷》が2体、しかもトークン以外は全て島渡りを持っている。加えて《変わり谷》は《波使い》と《真珠三叉矛の達人》の修正を受けて4/4である。
ここで試合終了。
日本モダン選手権2016 summerを制したのは、澁江 敬弘のマーフォークに決まった。
澁江 2-1 長谷
晴れる屋協賛 日本モダン選手権2016 Summer、優勝は澁江 敬弘!おめでとう!!
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