Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/02/11)
名古屋へ
みなさんごきげんよう。
今回はプレイヤーズツアー・名古屋2020のレポートをお届けする。その前に、何度も尋ねられた次の質問についてお答えしておこう。「なぜブリュッセルではなく名古屋を選んだの?」
大会の参加者や競技レベルを理由に選んだわけではない。“Play the Game, See the World.”の精神である。日本での滞在が本当に大好きなのだ。
プレイヤーズツアー・名古屋、初日
ファースト・ドラフト
まずはドラフトラウンドだ。私は『テーロス還魂記』ドラフトで青に対して強い思い入れがあるため、青のレアを引くことを期待していた。青は極めて強力なカードが複数あり、どの色とも上手く組み合わせられる。青黒と青緑は墓地利用デッキになるし、青赤フラッシュは一番好きと言えるほどのアーキタイプだ。青白は白緑ほどではないがオーラデッキとして優れているだけでなく、《ヘリオッドの巡礼者》のポテンシャルを最大限に発揮できる。
テーロスの神々は私の願いを聞き入れ、1パック目の初手は《急嵐のトリクス》、2手目は《嵐の怒り》をとることができた。ここですこし立ち止まり、このとき私が考えていたことを解説しよう。すでに明確なボムレアが1枚あり、ボムレアに限りなく近しいものが1枚ある(4点火力は環境の大半のクリーチャーを対処できるが、《アスフォデルの灰色商人》と同じパックに入っていたら《アスフォデルの灰色商人》をとるだろう)。
青赤の優秀な2~3マナ域はほとんどがエンチャントだ(《山岳猛火のオリアード》、《悪戯なキマイラ》、「お告げ」、《夢忍びのマンティコア》、《隠れた入り江のナイアード》)。よって、これらのエンチャントを優先してピックし、《塩水の巨人》の点数を高く設定する。違和感を覚えるかもしれないが、このセットで最大級のサイズのクリーチャーが青に存在している。「お告げ」が探し出す《嵐の怒り》を生き残れるほどだ。
2パック目。弱いパックからあまりにも強力な《エルズペス、死に打ち勝つ》が出てきたため、私はこれをカットしてプランを継続することにした。そして3パック目を開封して現れたのは《水底のクラーケン》。とはいえ、このカードの評価には迷いがあった。強力であることに違いはなく、《海の神のお告げ》や《胸躍る可能性》と組み合わせれば相手を飲み込むことができることをこのときも期待した。
しかし、何度も私の前に現れてきたクラーケンは”悪くない”ぐらいの活躍ぶりで、たいていは除去されてしまうし、仮に盤面に残っても数を増やす触手トークンが重要になったことは一度しかなかった。
組み上げたデッキがこちらだ。
7 《山》
1 《悪意の神殿》
-土地 (17)- 1 《哲学の幻霊》
2 《山岳猛火のオリアード》
1 《悪戯なキマイラ》
1 《海に愛されしカラフィ》
1 《水底のクラーケン》
1 《隠れた入り江のナイアード》
1 《闘技場のペテン師》
1 《ニクス生まれの海護》
1 《急嵐のトリクス》
3 《塩水の巨人》
-クリーチャー (13)-
私からすれば、このデッキは文句なしの仕上がりだった。ボムレア、全体除去、豊富なエンチャントシナジーとすべてが揃っていた。しかし、1回戦目にスフィンクスと完成度の高い白単信心によって3-0という夢はさらわれた。残る2回戦は計画通りに事が進んだものの、初戦を落としたことでタイブレイカー争いでは不利な立場となってしまった。
パイオニア
私が選択したのは黒単吸血鬼だ。アグロとの相性を考慮した結果であり、私の友人に言わせれば「君はサイドボーディングした状態でゲームを始めている」と思うらしい。それに5色《ニヴ=ミゼット再誕》との戦い方も心得ていたつもりだった。
ディミーア《真実を覆すもの》(以下、ディミーアインバーター)の人気が絶頂を迎えたとき、私はすでに韓国旅行を楽しんでいた。不安を駆り立てるニュースではあったが、信じるデッキを諦めるほどではなかった。
それではご覧いただこう、吸血鬼2.0だ。
4 《ロークスワイン城》
4 《変わり谷》
2 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
1 《ニクスの祭殿、ニクソス》
-土地 (25)- 4 《漆黒軍の騎士》
4 《薄暮軍団の盲信者》
4 《才気ある霊基体》
3 《残忍な騎士》
2 《ゲトの裏切り者、カリタス》
4 《薄暮の勇者》
-クリーチャー (21)-
2 《荒廃甲虫》
2 《悪ふざけの名人、ランクル》
2 《ドリルビット》
2 《最後の望み、リリアナ》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《壮大な破滅》
1 《闇の掌握》
1 《死の国への引き込み》
-サイドボード (15)-
以前に書いた吸血鬼の記事から日はそう経っていないため、説明を付け加えることはあまりない。しいていうなら、調整中に《失われた遺産》が5色《ニヴ=ミゼット再誕》に対して完璧な働きを見せたことぐらいだろう。
サイドボードの除去を1枚ずつに抑えているのは、デッキの構成として呪文の枚数を増やし過ぎるのは好ましくないし、3枚のなかから適切な1~2枚をサイドインできるようにするためだ。通常はサイドアウトするものに応じて投入枚数は決まる。
- 2020/01/17
- 吸血鬼に魅せられて
- ドミトリー・ブタコフ
4回戦: ディミーアインバーター(ミスその1)××
1ゲーム目は吸血鬼が勝つ可能性は低い。《思考囲い》がなければ、3ターン目に《薄暮の勇者》を出したとしても速度が足りないだろう。ただし、サイドボード後は別だ。5色《ニヴ=ミゼット再誕》とアゾリウスコントロール対策として多く採用したサイドボードが、ディミーアインバーターとの戦いにおいてもゲームプランを作ってくれた。
対 ディミーアインバーター
これでリベンジの準備は整う。2ゲーム目、クリーチャーと妨害をいい塩梅で引き込み、4マナしかない相手のライフを10点以下に追い込んだ。そして《思考囲い》を唱えると、手札には《神秘を操る者、ジェイス》と《真実を覆すもの》が含まれていた。
ここで私の思考は停止してしまい、すぐさま《神秘を操る者、ジェイス》を捨てさせた。その理屈はシンプルだ。相手がやむなく《真実を覆すもの》を展開すれば、《神秘を操る者、ジェイス》を含む墓地のカードが5枚もライブラリーに戻るのに対して、私はたった2ターンで勝てる。分の悪いかけとは思えなかった。
しかし《神秘を操る者、ジェイス》を手札に残していたら、より厳しい状況へと追い込めていた。4マナしかない状況で延命するのは難しく、コンボに向かおうにもライブラリーに3枚しか残っていない《真実を覆すもの》を引き当てる必要があるためだ。
試合時間に余裕はあったため、《真実を覆すもの》を捨てさせる選択肢をもっと検討すべきだった。次のターンに相手は《真実を覆すもの》を出し、さらに次のターンにプレイされた《タッサの神託者》はライブラリーに残された3枚からカードを探し出し、戦闘を生き延びるブロッカーともなった。
こういった状況はたまに発生するが、《真実を覆すもの》を捨てさせ、《神秘を操る者、ジェイス》を無視してプレイヤーを攻撃することが正しい選択であった。たった2ターンに渡るプレイで振れ幅が少ない状況だったため、正解を導き出すことはさほど難しくなかったはずだ。
いずれにせよ、このミスの原因は判断そのものにはない。判断までの思考プロセスだ。一見どれだけ簡単なものに思えても、自分のプレイを検討しなければならない。私の二の舞にならないように気をつけて欲しい。
5回戦: ディミーアコントロール ○○
相手のデッキリストを確認したところ、かなり戦いやすそうだった。《傲慢な血王、ソリン》や戦場に出たときの能力に対して有効な打ち消し呪文が少なかったのだ。クリーチャーもある程度入っており、除去の使いどころがあったのも追い風であった。
6~7回戦: 黒単アグロ ○○
デッキ公開制の下では、吸血鬼は少なくとも勝率65%ぐらい有利だと思っている。主な負け筋は2つだ。
これらの負けパターンを把握しておけば、万事問題ないだろう。
8回戦: 白単信心 ×○×
このマッチアップの準備はできていなかったが、白単は盤面に触る手段が少ないため《ニクスの祭殿、ニクソス》がキーカードになりそうだった。1ゲーム目はコンボの前にすぐに屈した。2ゲーム目は《荒廃甲虫》がMVP級の活躍をみせた。徐々に盤面を広げて《ニクスの祭殿、ニクソス》から12マナ近く生み出せるようになると、2体の《漆黒軍の騎士》と《ゲトの裏切り者、カリタス》が《太陽冠のヘリオッド》を乗り越えて攻撃を始めた。
3ゲーム目の時間はほとんど残されておらず、私は1マナ域と2マナ域を展開してから《薄暮の勇者》を戦場に送り込む。しかし3ターン目にタップアウトして《傲慢な血王、ソリン》を出した隙を狙われ、すでに戦場にいた《太陽冠のヘリオッド》と《歩行バリスタ》+ 《のどかな農場》のコンボで敗北した。
9回戦: アゾリウスコントロール ×○○
土地が1枚しかないものの、私は上記の手札をキープした。1ゲーム目は腐るカードが多いため、ここは我慢してキープすることが合理的だと思ったのだ。しかし2枚目の土地を一向に引けず、5ターン目の《時を越えた探索》で投了した。
サイドボーディング後のアゾリウスコントロールとの相性は非常に良い。無価値な除去をサイドアウトすれば、あるのは手札破壊、キャントリップ、速攻のクリーチャーだけだ。しかし何よりも重要なのは《ロークスワイン城》だ!
初日は6-3で悪くない成績だった。ドラフトの感触は良かったし、吸血鬼と相性の良いアグロと何度か当たることができた。
2日目
セカンド・ドラフト
最初のパックにボムレアはなかったものの、《魅了された者、アリリオス》は初手として十分なものだ。青黒や青緑においてはクリーチャー2体分になり(青緑なら《ハイラックス塔の斥候》で本体をアンタップできる)、青白なら「明滅」の対象になり、青赤なら《最期の噴炎》のエサになる。
2手目は《第1回イロアス競技会》で、アンコモンが3枚揃っていたかは記憶に定かではないが、《アスフォデルの灰色商人》だったとしてもこの緑のレアを優先させるだろうと思う。《鍛冶の神のお告げ》などがある赤には効力が下がってしまうが、そのほかの色には素晴らしいエンチャントだ。トークン、ドロー、マナ加速がたったの3マナでできるのだから!
その後は平凡な青のカードを何枚かピックしたが、《高波の神秘家》が11~12手目ほどのかなり遅い段階まで残っていたため、青が空いているシグナルだと思った。《高波の神秘家》は何度も使ってきたが、これまた卓を一周しやすい《死者の眠り》と組み合わせると非常に効果的なクリーチャーなのだ。
4年があっという間にすぎたのか、2パック目になると再び《第2回イロアス競技会》が開催された。この環境の青緑はあまり好きではないが、青と組み合わせる色が問題であり、2枚の英雄譚があるなら試してみる価値はあった。それに緑には墓地を肥やす呪文と墓地を利用する呪文の双方が揃っている。
ここからのドラフトの経過についても、特筆すべきことはなかった。優良のコモン、遅めの《死者の眠り》、追加の《高波の神秘家》。 3パック目の初手は、できればデッキに入れたくない《魚態形成》という残念なものだった。空から攻めるデッキなら悪くないが、攻撃的な青緑においては悲惨だ。《厳格な放逐》を数枚とれることを期待したが、結局《魚態形成》を使うハメになった。何度か救われる場面もあったが、このカードの評価を変えるつもりはない。
全てが計画通りに進んだ。追加のクリーチャー、さらなる《高波の神秘家》、(そこまで好きではないものの)数枚の《執拗な探求》。《死者の眠り》は2枚とれたが、1枚しか使わないことにした。青赤とは違い、ブロッカーをすり抜けて序盤にダメージを通すデッキではないからだ。
《瞬き翼のキマイラ》を幸運にもピックできたタイミングは覚えていないが、《第1回イロアス競技会》を楽しめることを確約してくれるカードであった。
8 《森》
-土地 (17)- 1 《鎖巣網のアラクニル》
3 《高波の神秘家》
1 《イリーシアの女像樹》
1 《挽歌の歌い手》
2 《精鋭の教官》
2 《毒々しいキマイラ》
1 《魅了された者、アリリオス》
1 《鬱陶しいカモメ》
1 《狩りに喚ばれしレナータ》
1 《瞬き翼のキマイラ》
1 《明日の目撃者》
-クリーチャー (15)-
10回戦: 青赤フラッシュ(ミスその2) ×○×
相手はごく平凡な青赤を使用していた。少なくともボムレアは確認できなかったし、レアを見た覚えもない。1ゲーム目は《第1回イロアス競技会》を設置したものの、+1/+1カウンターを置こうとしたクリーチャーを除去されたことでゲームプランが崩壊し、結果的にそれが敗因となってしまった。2ゲーム目は比較的あっさりと勝つことができた。
3ゲーム目は序盤からライフを削られたが、ライフ8点のところでゲームを安定させ、盤面を広げながら《死者の眠り》で相手の大型クリーチャーをタップする展開に持ち込んだ。それから捨て身のような攻撃をしかけられ、ライフが4点まで落ち込む。チャンプブロックをすれば6点にすることもできたが、《鍛冶の神のお告げ》はすでに2枚使われているし、《運命的結末》は3点しか与えられないため、戦闘ダメージさえ一切食らわなければ良い。
唯一の懸念は《炎の覆い》だったが、比較的ケアしやすいものだ。大型クリーチャーを眠らせ、盤面の優位を少しずつ築いていけば問題ない(相手のリソースが少なかったため、安全な戦略を見出すことは難しくなかった)。しかし、勝利まで1ターンというところでブラックアウトが再び訪れる。
戦闘後メインフェイズ、手札には《精鋭の教官》と《鎖巣網のアラクニル》があり、8マナが使える。相手の戦場には《鬱陶しいカモメ》が存在していたこの状況で、私は「これはかなり賢い!」と思えるプレイを思いついた。ところが《精鋭の教官》を唱えようとカード名を読み上げたところで、《炎の覆い》で負けてしまうプレイだと気付いた。
時すでに遅しだった。ジャッジを呼ぶことが脳裏によぎったが、何と言えば良いのだろうか?「私が愚かだったから、巻き戻したい」とでもいうのだろうか。万が一にもこの要求が通ったとしても、それはゲームへの冒涜になる。私は蜘蛛を「脱出」させ、罰を受ける覚悟を決めた。案の定、当然の報いである《炎の覆い》が唱えられた。
焦りから同じミスを2度もしてしまった。ポジティブな要素がひとつあるとすれば、問題が明るみになったことだろう。問題は特定できなければ対処のしようがないのだ。
11回戦: 白赤 ○○
白赤「英雄的」はおそらく最悪の相性だったが、《高波の神秘家》と相撃ちするかダメージを通すかという選択を相手に迫ることができた。いずれにしても墓地を肥やせる。マナカーブ通りに動き、《第1回イロアス競技会》を引けた点において幸運に恵まれていたと思う。
12回戦: 黒緑 ○×○
《死者の眠り》デッキは黒緑との相性が良い。相手のクリーチャーは重く、通常は1ターンに1体しか展開できないし、除去はソーサリースピードでありながら条件付きのものだ(《枯れ息吹のカトブレパス》は「信心」が必要だし、《戦茨の恩恵》はパワーが要求される)。
1~2戦目はいずれかのプレイヤーが一方的な展開であった。ところが3戦目は長引き、ライフが7点の状態で《死者の眠り》と適切に対峙することがいかに難しいかを証明するようなゲームになった。
相手はゲームの主導権を握り、盤面を構築していったが、《死者の眠り》がフルタップによる展開を許さない。対する私はドローが強く、《フィーリーズ団の喧嘩屋》の格闘能力に対応してサイズを縮める《挽歌の歌い手》や、勝利を決定づける《鬱陶しいカモメ》を引くことができた。世間でいう幸運よりも、私ははるかに幸運だと思うよ。
これで8-4。ここからが正念場だ。
パイオニア
13回戦: 黒単アグロ ○○
再びの黒単アグロ戦は特筆すべきことはなかった。タイミングを見計らって《ゲトの裏切り者、カリタス》を出して終わりだ。
14回戦: 白単信心 ○○
毎ゲームでマリガンしていた相手に対し、3ターン目にテンポ良く《薄暮の勇者》を展開。《歩行バリスタ》への除去も常に構えていた。
15回戦: 赤単アグロ ○×○
黒単アグロ以上に相性が良い相手がいるとすれば、それは赤単だろう。相手は9体の絆魂クリーチャーを除去できる呪文が4枚しかなく、こちらは除去がたんまりとある。《傲慢な血王、ソリン》は効果抜群だし、《ゲトの裏切り者、カリタス》はほぼ除去されない。
しかしこれだけの条件が揃っていても、平均的なドローでは4ターン目の《エンバレスの宝剣》には敵わなかった。3ゲーム目は当初のゲームプランに近しい展開に持ち込んだ。1体目の《ゲトの裏切り者、カリタス》は-1/-1カウンターが3つ乗せられたため、《傲慢な血王、ソリン》の生け贄となったが、2体目が盤面に着地して決着がついた。
11-4!プレイヤーズツアーファイナルの権利獲得だ!しかし11-4でもトップ8に入賞できないプレイヤーは1人出てくる。それが誰だかはわかっていた。タイブレイカーポイントは下から2番目の私だ。ここまでに散々運に味方されてきたし、結果には満足していた。
トップ8のアナウンスを待つ間、リー・シー・ティエン/Lee Shi Tianの武運を祈り、家に帰って次のプレイヤーズツアーまで眠ろうと思っていた。
「6位から8位の発表です。それぞれ勝ち点は33点、33点の方”全員”が入賞しました」
Congrats to the Top 8 of #PTNagoya!
— Magic Esports ✈️ #MTGWorlds (@MagicEsports) February 3, 2020
🔘Shintaro Ishimura – Dimir Inverter
🔘@vendilion – Dimir Inverter
🔘@death_snow – Sram Auras
🔘@yaya3_ – Dimir Inverter
🔘@jspd_ – Bant Spirits
🔘Akira Asahara – Dimir Inverter
🔘@leearson – Dimir Inverter
🔘@butakov_mtg – Mono-Black Vampires pic.twitter.com/hsVxmY9qG1
「プレイヤーズツアー・名古屋2020 トップ8入賞おめでとう!」
今も昔も運に愛されている。私の友人に訊けば口を揃えて言うことだろう。大学の試験で3桁の数字を勘で当てたことがあるほどだ。しかしどうして今回はこんな幸運が?なんと、フィーチャーマッチの1つの卓が引き分け、4敗のプレイヤーがその卓からは出なかったのだ。
言うまでもなく、私はトップ8をプレイする心構えができていなかった。プレイヤーズツアーファイナルの権利を得て満足していたところだったのだから。トップ8までの段取りが20分ほどあったことから、なんとか精神を統一することができた。
トップ8
準決勝: 青単信心インバーター ××
これまでMagic Onlineのアカウント名とその人物を結び付けようとしてこなかった。だから、Magic Onlineの強豪である”rizer”が石村 信太朗だとは気づけなかった。最初に彼のデッキリストを見たとき、「土地が27枚?マナフラッドしている隙をつけるかもしれない!」と直観した。
しかし彼はマナフラッドしなかった。マナフラッドの隙をつくことが、即死コンボを内蔵したミッドレンジに勝つ数少ない方法だったのに、だ。この試合はカバレージでご覧になれるから、このマッチの経過について解説しても仕方がないだろう。10分も経たないうちにコテンパンにやられた。
説明が不足しているマッチがあったら申し訳ない。しかし書き損じているということは、おそらく大した意味はないことなのだ。それを読んでも面白味や発見に欠けることだろう。
おわりに
今大会が”無条件で招待される”最後の大会であるはずだった。私は長らく2年前のMOCS優勝の栄光にすがってきて、マジックにおける何らかのインスピレーション、あるいは休息を求めていた。だからこそ、今大会の結末には大満足している。
大会運営は全体的にハイレベルなものであった。会場も素晴らしく、毎日開催されるイベントステージもあった(日本語はわからなかったが、楽しそうなものだった)。
不足していたカードを探してくれた晴れる屋には感謝したい。Hareruya Prosとしても、1人のユーザーとしても、かかわりが持てたことを嬉しく思う。
ここまで読んでいただきありがとう。お楽しみいただけたら幸いだ。
ではオンラインで会おう。
ドミトリー・ブタコフ (Twitter)