「ヴィンテージは昔のカードを使うことができる」と表現されることもあるが、このフォーマットの魅力を表現するには少々物足りない印象を受ける。
「ヴィンテージはすべてのカードを使うことができる」、つまり新しいカードも活躍しているのだ。
今回の第7期ヴィンテージ神挑戦者決定戦のスイスラウンドでも、《僧院の導師》や《変位エルドラージ》、《異端聖戦士、サリア》といったカードが活躍している。発売が迫る『カラデシュ』のカードが活躍する可能性も、もちろん否定できない。
あらゆるカードが使えるヴィンテージは、多くのプレイヤーを魅了する。
ヴィンテージが持つ魅力とは?そして、ヴィンテージプレイヤーが注目する、新たなエキスパンション『カラデシュ』のカードとは?
神の座を目指してスイスラウンドを戦うプレイヤーに聞いてみよう!
松本 友樹 BIG MAGIC所属プロ 【グランプリ・京都2016】 優勝
――「グランプリ・京都2016、優勝おめでとうございます!」
松本「ありがとうございます。皆さんに祝福していただいて……本当に嬉しいです」
――「今回はヴィンテージですが、松本さんの考えるヴィンテージの魅力は何でしょうか?」
松本「そうですね。あらゆるカードを使える楽しさはもちろんなのですが、その上で自分のやりたいことができることでしょうか。とても面白いフォーマットですよ。資産が許すならば、もっとデッキを作りたいくらいです」
――「強力なカードが多くて、他のフォーマットとは違った雰囲気がありますよね」
松本「そうですね。他のフォーマットにはない動き、例えば1ターンキルや、何ターンも身動きが取れないこともあって、別のゲームのように思えるかもしれませんが、これもマジックの奥深さだと思います」
――「では、そんなヴィンテージで活躍しそうな『カラデシュ』のカードはありますか?」
松本「やはり《儀礼的拒否》ですね。ヴィンテージではアーティファクトとエルドラージが非常に強いので、ここに劇的に刺さるというのは魅力的ですね。『MUD』に対するサイドボードとして採用されそうですね」
――「『カラデシュ』のアーティファクトが活躍する可能性はどうでしょうか?」
松本「まだまだ未知数ですが、『MUD』で《金属製の巨像》は試してみたいですね。《からみつく鉄線》などの妨害するアーティファクトが、そのままマナコストの軽減になりますから。あとは各種「機体」にも注目しています。ヴィンテージでは1ドローの価値が非常に高いので、《密輸人の回転翼機》は気になりますね」
藤井 秀和 【第6期ヴィンテージ神挑戦者】
――「早速ですが、ヴィンテージの魅力は何でしょうか?」
藤井「何をしても許されるというところでしょうか。理不尽な展開になることもありますが、『お互い様だから』といって楽しむことができますよ。他のフォーマットでは理不尽な動きは禁止されていくのですが、ヴィンテージでは別世界ですからね」
――「大会の雰囲気も独特ですよね。仲間に会う場所のような印象を受けます」
藤井「そうですね。同窓会のようなものですね、ヴィンテージプレイヤーにとっては」
――「ちなみに、『カラデシュ』のカードで注目しているものはありますか?」
藤井「まだすべてのカードを把握しているわけではないのですが……《儀礼的拒否》は良さそうですね。現在のヴィンテージではエルドラージとアーティファクトという無色が強く、青が弱い状態です。そのメタゲームが崩れるかもしれませんね」
――「ヴィンテージの中でも、メタゲームの動きはあるのですね」
藤井「ええ、ヴィンテージもマジックですから。動かないメタゲームはやはり面白くないので、新しいセットの登場で動きがあると嬉しいですね」
宮薗 猛 【第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦】 決勝進出
――「宮薗さんの考える、ヴィンテージの魅力について教えてください」
宮薗「パワー9などの強力なカードを使うことができること、自分のやりたいことを相手を気にせずプレイできること、という楽しさが最大の魅力ですね。マジックプレイヤーなら誰もが憧れるカードを思う存分使えますから」
――「たしかに、《Ancestral Recall》や《Time Walk》を使ってみたい!と私も思います」
宮薗「楽しいですよ、本当に。もちろん、パワー9がなくてもヴィンテージは楽しめますよ。私もまずはパワー9が入っていない『白単エルドラージ』から始めて、そこから少しずつ新旧のカードを増やしていきました。新しいカードが活躍することもありますからね」
――「まずはやってみる、ということですね。新しいカードといえば『カラデシュ』が発売されますが、注目しているカードはありますか?」
宮薗「個人的にはアグロ寄りのデッキが好きなので、《通電の喧嘩屋》のようなカードが好きなんですよ。ヴィンテージでは、新しいメカニズムが活躍するかどうか気になります」
ヴィンテージプレイヤーは、やはり《儀礼的拒否》に注目しているようだ。ヴィンテージで大暴れしているアーティファクトとエルドラージを打ち消す、となれば当然と言えよう。
ヴィンテージの魅力について、3名の言葉は本当に熱いものだった。時間の都合上、インタビューができたのは3名だったが、会場のほとんどのプレイヤーが同様の意見を述べるのではないだろうか。
とある試合の様子を眺めていたとき、筆者の目の前で《Time Vault》と《通電式キー》による華麗なコンボが決まった。まさに一瞬の出来事だったのだが、そのコンボによって敗れたプレイヤーは、
「これぞヴィンテージ、ですよね」
と言いながら、笑顔でデッキについて意見交換を始めていた。
「この一言にヴィンテージの魅力がすべて詰まっている」というのは言い過ぎかもしれないが、こういったやり取りも魅力の一部であると、筆者は確信している。
Twitterでつぶやく
Facebookでシェアする