Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/2/18)
たった1つの1ターンキル
みなさんお久しぶりです!今日解説するのは、モダンで唯一1ターン目に勝てるデッキです。嘘じゃないですよ?本当です!そのデッキとは……ネオブランド!
私が培ってきた経験をお話する前に、チームメイトであるパスカル・フィーレン/Pascal Vierenのネオブランドの記事をご紹介しておきましょう。この記事は数学的で、私のものとは毛色の異なるものです。自信を持っておすすめします!
- 2019/07/10
- モダンは4ターンも続かない ~私がネオブランドを使った理由~
- パスカル・フィーレン
コンボの概要
まずは簡易的にデッキの動きを解説させてください。このデッキのゲームプランですが、2枚の緑のカードを手札から追放し、マナコストを踏み倒して《アロサウルス乗り》を唱え、この恐竜をコストに充てて《新生化》や《異界の進化》で《グリセルブランド》をサーチします。
この強力なデーモンをもってすれば、すぐに7~14枚のドローが可能です。確かに起動するたびに7点のライフを失いますが、その損失をしっかりと補填してくれる《滋養の群れ》があります。ここで活きてくるのがマナコストの重い《土着のワーム》であり、《召喚士の契約》はあらゆる緑のクリーチャーを呼び寄せる頼もしい味方です。
《滋養の群れ》を十分に唱えたら、《グリセルブランド》でライブラリーを全て引き切れます。ライブラリーの枚数が6枚以下になったら《猿人の指導霊》を手札から3枚追放し、《野生の朗詠者》や《魔力変》を介して生成した青マナでデッキのMVPである《研究室の偏執狂》を唱えます。そして最後に《グリセルブランド》の能力を起動しておしまいです。簡単でしょう?
ここで強調しておきたいのは、この戦術が安定し、プレイアブルであるのはロンドンマリガンの功績だということです。マリガンを重ねても毎回7枚の初手から手元に残すカードを選べるというのは、このデッキにとって明確なアドバンテージなのです。
怒涛の連勝街道
このアーキタイプにとって理想のメタゲームは、《否定の力》が影をひそめ、手札破壊戦略が数を減らしているときです(青を含むあらゆるコントロールに比べれば手札破壊戦略の方が戦いやすい)。
デッキの立ち位置が良くなっているのはまさに今です。その証拠として、直近の私のMagic Onlineの成績をご覧いただきましょう。
参加者105名のモダンショーケースチャレンジ(2020/1/25)
ラウンド | 対戦デッキ | 対戦結果 |
---|---|---|
1回戦 | ネオブランド | 2-0 |
2回戦 | 赤白プリズン | 2-0 |
3回戦 | バーン | 2-0 |
4回戦 | タイタンシフト | 2-0 |
5回戦 | タイタン《死者の原野》 | 1-2 |
6回戦 | 赤単果敢 | 2-0 |
7回戦 | ドレッジ | 2-1 |
敗北した5回戦ですが、先手2ターン目の《新生化》を《神秘の論争》で打ち消されました。
ラウンド | 対戦デッキ | 対戦結果 |
---|---|---|
準々決勝 | エルドラージトロン | 2-0 |
準決勝 | アミュレットタイタン | 1-2 |
準決勝の3ゲーム目は後手でしたが、2ターン目に設置された《墓掘りの檻》を対処できませんでした。
いずれにしても、結果には満足しています。デッキは完璧な動きをしてくれました。
この大会で使用したデッキリストがこちらです。
デッキリストは素晴らしい仕上がりでした。強固なメインデッキと、及第点のサイドボード。しかし大会が終わってみてサイドボードにいくつか変更を加えたいと感じました。《否定の契約》2枚と《殺戮の契約》1枚を減らし、《神秘の論争》2枚と《撤廃》1枚を加えるのです(これらの「契約」呪文は大会中に一度も使いませんでした)。
モダンリーグ(2020/1/28)
10連勝で全勝のトロフィーを2つ獲得しました。
ラウンド | 対戦デッキ | 対戦結果 |
---|---|---|
1回戦 | グリクシスウルザ | 2-1 |
2回戦 | アミュレットタイタン | 2-0 |
3回戦 | 赤単果敢 | 2-0 |
4回戦 | エルドラージトロン | 2-0 |
5回戦 | タイタン《死者の原野》 | 2-0 |
6回戦 | トロン | 2-1 |
7回戦 | ジャンド | 2-1 |
8回戦 | 青赤ストーム | 2-1 |
9回戦 | アミュレットタイタン | 2-1 |
10回戦 | 白黒エルドラージタックス | 2-1 |
ジャンド、青赤ストーム、白黒エルドラージタックスは例外ですが、相性の良い相手に当たることが多かった大会でした。とはいえ、1~2ターン目に勝てる戦術であるため、どんな相手でも勝てる可能性があります。
以下に掲げたものが10回戦に渡って使用したリストです。
この時点で十分なゲーム数・リーグ数を消化したわけですが、ひとつだけ確信したことがありました。それはメインデッキの《否定の契約》が有用ではないということ。これまでいい成績を収めていたにも関わらず、です。それよりも《血清の幻視》の3枚目を足した方が安定性に寄与します。
サイドボードに関しては《撤廃》を抜きたいと考えるようになりました。《虚空の杯》《減衰球》《墓掘りの檻》といったアーティファクト対策に触りたいなら《造反者の解放》が4枚あれば十分ですし、《スレイベンの守護者、サリア》や《レオニンの裁き人》などのヘイトベア―を対処したいなら《殺戮の契約》に軍配が上がります。
モダンリーグ(2020/2/2~2/4)
今度は15連勝を達成し、立て続けにトロフィーを3つ獲得しました。
ラウンド | 対戦デッキ | 対戦結果 |
---|---|---|
1回戦 | アミュレットタイタン | 2-1 |
2回戦 | ドレッジ | 2-0 |
3回戦 | タイタン《死者の原野》 | 2-1 |
4回戦 | タイタンシフト | 2-1 |
5回戦 | アミュレットタイタン | 2-0 |
6回戦 | アミュレットタイタン | 2-1 |
7回戦 | ジャンド | 2-1 |
8回戦 | ドレッジ | 2-0 |
9回戦 | 赤緑ポンザ | 2-1 |
10回戦 | バーン | 2-0 |
11回戦 | バーン | 2-1 |
12回戦 | タイタン《死者の原野》 | 2-1 |
13回戦 | トロン | 2-0 |
14回戦 | 青黒ライブラリーアウト | 2-0 |
15回戦 | バーン | 2-1 |
15回戦を戦って苦手な相手はジャンドと青黒ライブラリーアウトだけであり、概ね相性が良い相手と当たりました。
戦っていくなかで採用枚数に多少の変更を加えましたので、これからご紹介するリストは11~15戦目で使用したものになります。現在でも使用しているデッキリストであり、以下で説明するサイドボードガイドもこちらを参照しています。
見ての通り、メインデッキは従来のものとほぼ変わりません。先ほど述べた《血清の幻視》が3枚になっているだけです。サイドボードでは《神秘の論争》を2枚減らし、《呪文貫き》を2枚入れました。後者の方が多様な状況で使える汎用性の高さを備えていると考えたのです。
《否定の契約》は3枚に増やし、《神聖の力線》は1枚減らしました。《神聖の力線》を4枚使うべきときは手札破壊戦略やバーンが数を増やしているときですから、今は4枚もいらないでしょう。
サイドボードガイドに移る前に、ネオブランドで使い得る1枚をご紹介しようと思います。フィニッシュ手段の選択肢となる1枚です。
『テーロス還魂記』からの新戦力
この新入りの登場により、戦場に出たときに勝てるようになりました。《研究室の偏執狂》が3マナのコンボパーツであったのに対し、2マナで唱えられる点を考えても《研究室の偏執狂》の枠に入り得ます。
ですが、青のダブルシンボルが裏目になることもあり、《タッサの神託者》の方が勝利への段取りがはるかに難しくなります。というのも、ライブラリーの枚数を「信心」以下に微調整せねばならないからです。たとえば、ライブラリーが0枚のときに《魔力変》で(青)(青)を生み出そうとすればライブラリーアウトになってしまいます。それでも十分に検討に値するカードですし、実際に採用しているデッキリストもありますが、私はMVPの活躍をしてきた《研究室の偏執狂》を選び続けるつもりです。
ではいよいよ各マッチアップの戦い方を学んで行くことにしましょう。
サイドボードガイド
赤単果敢
入れ替えは必要ありません。
アミュレットタイタン
対 アミュレットタイタン
ジャンド
対 ジャンド(先手)
対 ジャンド(後手)
エルドラージトロン
対 エルドラージトロン
ドレッジ
入れ替えは必要ありません。
バント石鍛冶
対 バント石鍛冶
タイタン《死者の原野》
対 タイタン《死者の原野》
グリクシスシャドウ
対 グリクシスシャドウ(先手)
対 グリクシスシャドウ(後手)
人間
対 人間(先手)
対 人間(後手)
トロン
対 トロン
アゾリウスコントロール
対 アゾリウスコントロール
バーン
対 バーン(先手)
対 バーン(後手)
ネオブランド
対 ネオブランド
運用上の注意点
さいごに
お別れのときがやってきました。みなさんに日々の発見を共有する記事を書くことが日に日に楽しくなってきており、筆をおくことが辛く感じるようになりました。また近いうちにお会いしたいですね。
毎度のことですが、執筆の機会を与え、サポートしてくれる晴れる屋には心から感謝を。
それから私を日々支え、インスピレーションを与え、常にプレイヤーとして成長したと思わせてくれる人、つまり読者のみなさんにも多大なる感謝をしています。
さらに、この記事は歴史上でも類まれなるアスリートであった方に捧げます。あなたのプレイは亡くなった今でも多くの人にモチベーションと興奮を与えています。本当にあなたを尊敬しています。コービー・ブライアント/Kobe Bryant。
何か疑問点がありましたら、SNSでお答えさせていただきます。