準決勝: 中台/斉藤/島村(早稲田大学) 対 田中/川村/柳原(慶應義塾大学)

晴れる屋

BY Kazuki Watanabe

 ※記事公開時、ゲーム展開に関して誤った記述がございました。現在は修正しております。


 スイスラウンドが終了し、マジック・インターハイも決勝ラウンドに突入した。

 同じ学校に通う3名でチームを組む以上、「学校を代表して対戦する」という目線を向けてしまいやすい。筆者もその目線を持った一人だ。

 野球、サッカー、アメフトなどのスポーツ界では、おなじみの大学対抗戦。今回は同じ学校から複数のチームが出場できるため、「代表」ではないのだが、「学校」という場所から離れて久しく、そこに戻ることも想像できない筆者にとって、「友人とチームを組んでマジックの大会に出る」ということ自体とても羨ましく、少し大げさな目線を向けてしまうのだ。



 そもそも、「学校を代表して対戦する」という経験がある人は数少ないと思うのだが、その学校の生徒でなくても知っているライバル関係というものが、この世界には存在する。その中でも、とにかく有名で異様に盛り上がり、各種スポーツなどで対戦があるたびにニュースで報じられるレベルのものが存在する。



 早慶戦だ。



 マジック・インターハイ、準決勝。中台 圭介、斉藤 徹、島村 陸(早稲田大学)と、田中 翼、川村 匠、柳原 龍斗(慶應義塾大学)が対戦する。

 伝統ある一戦、ということで両者にライバル意識のようなものはあるのか!?と眺めていたのだが、そこはお互いマジックを愛するプレイヤー同士。にこやかに会話が交わされる。

「緊張するなぁ」

「そういえばスイスラウンドでも対戦しましたよね?」

「そうですね。うわぁ、またやるのかぁ」

「あ、写真撮影のときにカード持ってもいいですか?」

 もちろん大丈夫ですよ!


島村/斉藤/中台(早稲田大学) 対 田中/川村/柳原(慶應義塾大学)

「そういえば、早慶戦ですよね」

「負けられないなぁ」

 あ、やはり意識はしているんですね!?



Game 1


 《導路の召使い》《逆毛ハイドラ》とエネルギーカウンターを貯蓄しながら展開する柳原。相手のライフを一撃で削りうる「赤緑エネルギービートダウン」は、「序盤でどれだけエネルギーを貯蓄しつつ、盤面を維持するか」が鍵だ。さらに《逆毛ハイドラ》をプレイして、エネルギーカウンターは7個。

 島村は《発生の器》を起動し、「昂揚」達成を目指す。墓地に落ちたのは……《害悪の機械巨人》《ウルヴェンワルド横断》《殺害》《花盛りの湿地》。順調にカード・タイプを稼いぎ、さらに《残忍な剥ぎ取り》をプレイ。「昂揚」達成後に動き出す準備を整える。

 しかしながら、このゲームは『カラデシュ』の新技術が制した。そのまま相手の除去呪文を《逆毛ハイドラ》、そして《顕在的防御》の呪禁で凌ぎ、「昂揚」を達成する前に柳原がライフを削りきった。


逆毛ハイドラ


 《静電気式打撃体》が放つ一撃必殺ほどのインパクトはないが、各種呪文とエネルギーを味方に襲いかかる《逆毛ハイドラ》は、十分に強力である。


島村(早稲田大学) 0-1 柳原(慶應義塾大学)


 デッキの速度を考慮すれば、このC卓がもっとも速い展開になるであろうことは予想できた。さて、隣のマッチの進み具合は……と筆者が目を向けると、他の2卓も1ゲーム目の終盤を迎えていた。時計の針を少しだけ戻しつつ、まずはB卓を見てみよう。



 斉藤は、1ターン目《模範的な造り手》、2ターン目に再び《模範的な造り手》と展開した。1/1、という小ぶりなサイズではあるが、《密輸人の回転翼機》がプレイされたことで、白赤「機体」にエンジンが掛かる。《密輸人の回転翼機》に「搭乗」して戦場を飛び回り、自ターンならば3/2にサイズアップして戦闘に加わることができる。

 これだけならば、単純な白「機体」なのだが、このデッキには赤の除去呪文がある。《不屈の追跡者》《蓄霊稲妻》で除去し、クリーチャーが盤面に残ることは許さない。

 とはいえ、除去が豊富なのは赤だけではない。黒の豊富な除去を活かしながら、川村もじっくりとペースを握っていく。たしかにルーター能力だけでも《密輸人の回転翼機》は強力無比だが、「搭乗」させなければ攻撃される心配がなくなる。

 除去が飛び交う1ゲーム目は、川村が制した。


斉藤(早稲田大学) 0-1 川村(慶應義塾大学)


 場面は変わって、A卓だ。中台は《面晶体の這行器》からスタートし、速いターンで《難題の予見者》が盤面に現れる。公開された田中の手札は、《平地》《平地》《要塞化した村》《停滞の罠》、そして《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》2枚。中台は《停滞の罠》を追放する。

 田中は、ドローした《森の代言者》をプレイして、《難題の予見者》を食い止め、そして次のターン、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を唱える。「先手4ターン目」ほどのインパクトはないが、後手であろうとも早いターンで盤面に降り立てば、脅威であることに変わりはない。


呪文捕らえ


 降り立つことを《呪文捕らえ》が許したら、の話だが。

 マナを使い切った中台は、そのままターンエンド。2/3、飛行というスペックを活かして《呪文捕らえ》がライフを削る中、現れたのは《希望を溺れさせるもの》だ。

 中台はドローを確認し、そのまま投了。《面晶体の這行器》がマナを加速させたとはいえ、「白赤『機体』」と「赤緑エネルギービートダウン」とほぼ同時に1ゲーム目を終えたのは、両者が素早く的確なプレイを重ねた結果であろう。

中台(早稲田大学) 1-0 田中(慶應義塾大学)


 6名全員が、同時にサイドボーディングを行う。通常の1対1と違って、チームメイトと意見を交換しながら。


島村/斉藤/中台(早稲田大学)


 A卓は、「白青《パンハモニコン》」対「緑白ビートダウン」だ。


反射魔道士空中生成エルドラージ雲先案内人


 《反射魔道士》《空中生成エルドラージ》《雲先案内人》《希望を溺れさせるもの》などのETB能力を持ったクリーチャーが豊富に採用されている。《パンハモニコン》が置かれた状態でこれらのクリーチャーをプレイすれば、圧倒的なアドバンテージを奪うことが可能だ。《難題の予見者》は手札2枚を追放させ、《雲先案内人》5マナ、4点ライフゲイン、4ドローという圧倒的な性能になる。そして、見逃してはいけない凶悪なコンボも搭載されている。

 「緑白ビートダウン」は前環境の「緑白トークン」の系譜に連なるアーキタイプだ。トークン戦略の中心となる《ゼンディカーの代弁者、ニッサ》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》はそのままに、高性能なクリーチャーを豊富に採用して、ビートダウンしていく。序盤のマナを補う《導路の召使い》と、ロングゲームを耐え抜く《不屈の追跡者》はチームメイトのデッキで活躍しているため、《空中対応員》《発明の天使》を採用することで戦力低下を防いでいる。



 B卓は、「白赤『機体』」対「ジャンド『昂揚』」だ。


密輸人の回転翼機


 『カラデシュ』発売以降、環境を席巻している「機体」。特に《密輸人の回転翼機》は想定以上に流行している。「搭乗」コストとしてクリーチャーが必要ではあるが、攻撃でも防御でも3/3、飛行というスペックは頼りになるし、ルーター能力は、相変わらず強力だ。

 対する川村の「ジャンド『昂揚』」は、スタンダードで見慣れた「昂揚」に関するカードが豊富に採用されている。デッキリストを見ると、チームスタンダードであることを疑いたくなるほどだ。

 各種「昂揚」デッキは、決して遅いデッキではない。しかし、環境を「機体」に乗って駆け抜けるデッキが、あまりにも速すぎるのだ。



 同様に、C卓の「黒緑『昂揚』」対「赤緑ビートダウン」では、速さによって「昂揚」が置き去りにされた。

 新たなリソースである「エネルギー」を貯蓄、放出して戦う「赤緑ビートダウン」は、カードが噛み合えば20点以上のダメージを相手に与えることができる。



 中台、斉藤、島村(早稲田大学)は、「白青《パンハモニコン》」「白赤機体」「黒緑『昂揚』」。田中、川村、柳原(慶應義塾大学)は、「緑白ビートダウン」「ジャンド『昂揚』」「赤緑ビートダウン」。

 「ゼンディカー」「イニストラード」「カラデシュ」……スタンダードでプレインズウォーク可能なそれぞれの次元のカードをチーム内で分かち合い、両チームはこの準決勝に挑んでいる。


田中/川村/柳原(慶應義塾大学)


 いち早く2ゲーム目を開始したのは、C卓だ。さて、「エネルギー」充電が先か、「昂揚」達成が先か。



Game 2


 1ゲーム目は《逆毛ハイドラ》の力によってゲームを押し切った柳原。2ゲーム目の主戦力として選んだのは、サイドインした《ラスヌーのヘリオン》だ。


ラスヌーのヘリオン


 《ラスヌーのヘリオン》は3マナ、4/4、速攻という優秀なスペックを持つが、戦場に居座るために安くないエネルギーを要求してくる。無論、各種呪文の保護を受けて大きくライフを削る戦略ならば、2ターンという時間な十分な生存期間であるし、「赤緑”エネルギー”ビートダウン」という名のとおり、その気になれば数ターンの維持費を支払うことも可能だ。


放たれた怒り放たれた怒り顕在的防御蓄霊稲妻


 柳原の手札には、《放たれた怒り》2枚と、《顕在的防御》《蓄霊稲妻》も揃っている。マナを伸ばせば、そのまま勝ち切ることも可能だが、島村はそれを許さない。


ゲトの裏切り者、カリタス最後の望み、リリアナ


 プレイされたのは、《ゲトの裏切り者、カリタス》、そして《最後の望み、リリアナ》だ。

 前環境から引き続き活躍を続けている2枚。《最後の望み、リリアナ》の「+1」能力によってクリーチャーを弱体化されてしまうと、《ゲトの裏切り者、カリタス》を越えるために何枚かの呪文を唱える必要がある。それを嫌って《蓄霊稲妻》で除去しようとすれば、デッキを駆動させるエネルギーを支払わねばならない。この2体が並ぶ盤面は、想像以上に打開しづらい。

 《ラスヌーのヘリオン》《放たれた怒り》で強化しながら攻撃。《最後の望み、リリアナ》を落とした柳原は、《ゲトの裏切り者、カリタス》が居座ることを嫌ってエネルギーを放出し、《蓄霊稲妻》で除去することを選択した。



 《最後の望み、リリアナ》は、非常に優秀なカードだと、改めて気付かされる。3マナと軽く、各種能力が強力で、そして、カード・タイプが「プレインズウォーカー」なのだ


残忍な剥ぎ取り


 唱えられた《残忍な剥ぎ取り》は「昂揚」達成により、2マナ4/4で盤面に。さらに、マナを注ぎ込んで2体目の《ゲトの裏切り者、カリタス》も唱えられた。


墓後家蜘蛛、イシュカナ


 そして次のターン、「昂揚」デッキのフィニッシャー、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》が手下を引き連れながら這い出たところで、柳原は投了した。


島村(早稲田大学) 1-1 柳原(慶應義塾大学)


 一瞬で勝利する可能性を持つ「赤緑エネルギービートダウン」に対して、「黒緑『昂揚』」が着実にアドバンテージを稼いでゲームを決めた。「昂揚」を達成すれば、《残忍な剥ぎ取り》、そして《墓後家蜘蛛、イシュカナ》は凶悪なスペックになり、これらフィニッシャーを《ウルヴェンワルド横断》によって難なくサーチできるようになり、デッキ全体の強さが一段回跳ね上がる。

 両名がサイドボーディングを始めたところで、A卓の盤面が騒がしくなった。次はそちらに目を向けてみよう。


 中台の盤面には《反射魔道士》《難題の予見者》《変位エルドラージ》、そして2体の《呪文捕らえ》。どちらも《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を捕らえている。対する田中は《大天使アヴァシン》のみ、という盤面。

 これは田中が圧倒的に不利か……と眺めてゲームの進行を確認すると、ちょうど田中がエンドフェイズに入ったところであった。ターンを終えることを宣言し、ターンを受けた中台は土地をアンタップ。アップキープと宣言したところで、

田中「では、アップキープに」

 と告げて、《大天使アヴァシン》に手を伸ばした。


大天使アヴァシン浄化の天使、アヴァシン


 田中の墓地には死亡した《スレイベンの検査官》が眠る。それを契機に、《大天使アヴァシン》は変身を遂げた!



 盤面を打ち払う3点ダメージ。《変位エルドラージ》の能力を使えば数体は守れるはずだが、数は限られている。無色マナを出せる土地は《霊気拠点》《ウェストヴェイルの修道院》のみ。……《ウェストヴェイルの修道院》


ウェストヴェイルの修道院不敬の皇子、オーメンダール


 「どうせ除去されるのならば」と、中台は5体のクリーチャーを生け贄に捧げて《不敬の皇子、オーメンダール》を呼び起こす。9/7、飛行、絆魂、破壊不能、速攻!

 田中は《呪文捕らえ》から解放された《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を味方につけて、デーモンに立ち向かおうとする。そして、その姿勢にライブラリーが応えた。


停滞の罠


 《停滞の罠》

 さらに《折れた刃、ギセラ》をプレイして、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》と並んで田中を護る。中台は《無私の霊魂》、そして《反射魔道士》《折れた刃、ギセラ》を反射させる。

 そして、2体目の天使、《発明の天使》を降り立たせたことで、中台はサイドボードに手を伸ばした

中台(早稲田大学) 1-1 田中(慶應義塾大学)



Game 3


 手早くサイドボーディングを終えた両名は、早速3ゲーム目を開始する。中台は《面晶体の這行器》を活用して、早速《難題の予見者》をプレイ。公開された田中の手札を見て、長考。悩んだ末に《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》を追放する。


空中対応員折れた刃、ギセラ発明の天使


 公開された手札には《空中対応員》《折れた刃、ギセラ》《発明の天使》と、ゲームの中盤以降を優位に進めていくことが可能なクリーチャーが含まれていた。絆魂を持つクリーチャーが並べば、あっという間にライフレースで不利になってしまう。3体のクリーチャーの名前をしっかりとメモに記して、ターンを返す。

 田中はそのまま《空中対応員》。次のターンに中台がプレイした《変位エルドラージ》《石の宣告》でしっかりと除去するが、2体目の《変位エルドラージ》をプレイされてしまう。
 中台のデッキに採用されている「無色マナを生み出せる土地」は決して多くない。現在盤面にあるのは、《霊気拠点》のみ。毎ターン1回の起動ならば、さほど大きな影響はないはずだ。田中は《発明の天使》、そして《折れた刃、ギセラ》と展開して、《変位エルドラージ》のターゲットを分散させる。ひとまず中台は《変位エルドラージ》で1/1の霊気装置・トークンを除去して、ターンを受ける。


パンハモニコン


 そして、ついにプレイされる《パンハモニコン》

 ETB能力が2回誘発できるようになるアーティファクトは、先述のとおり《雲先案内人》《反射魔道士》と組み合わさることで、膨大なアドバンテージを稼ぎ出す。場には、《変位エルドラージ》《難題の予見者》が並ぶ。

 対する田中の盤面には《折れた刃、ギセラ》《空中対応員》《発明の天使》、そして霊気装置・トークン。まだ、ビートダウンできる時間はある。2体の絆魂持ちを《発明の天使》が強化して、ライフ差を広げていく!中台はターンを受けて、ドローを確認した。



 ライフの量、捻出できるマナの総数、パワーとタフネス、手札の枚数、クリーチャーの数……”数字”によってアドバンテージは分かりやすく伝えられる。1より10は多いし、20はさらに多い。「何を当たり前のことを」と思うかもしれないが、その”当たり前”の差こそが、マジックでは重要なのだ。

 ライフ差が10点に開いたのなら、それを上回るダメージを与えればいい。20でも、1万でも、5億でも。


希望を溺れさせるもの


 《希望を溺れさせるもの》


変位エルドラージパンハモニコン希望を溺れさせるもの


 《変位エルドラージ》、そして《パンハモニコン》が戦場にあるため、無限トークン!


中台(早稲田大学) 2-1 田中(慶應義塾大学)

 中台は大きくガッツポーズして、喜びを爆発させる!その喜びは、まだ戦いを続けるチームメイトを鼓舞し、対戦相手に少なくないプレッシャーを与えた。

 盤面を見つめていた島村も少しだけ笑顔を見せた。こちらも1-1で迎えた3ゲーム目だ。

 柳原の《森》、そして《霊気との調和》からゲームが開始される。《導路の召使い》を早速プレイして、序盤の準備は完了した。対する島村は《森》《沼》をプレイして《過去との取り組み》を唱える。


逆毛ハイドラ静電気式打撃体


 ターンを受けた柳原はドローを確認して一呼吸。チームメイトに手札を見せて、相談を持ちかける。悩んでいるのは《逆毛ハイドラ》《静電気式打撃体》、どちらからプレイするか。相談の末、今回は《逆毛ハイドラ》を唱えることに決定した。

 アタックを繰り返しながらエネルギーを2回注ぎ込み、《逆毛ハイドラ》は6/5にまで育った。さらに《静電気式打撃体》を唱えてゲームを決めようとするも、これは《闇の掌握》が許さない。

 インスタントが墓地に落ちたことで、「昂揚」達成。《墓後家蜘蛛、イシュカナ》が、蜘蛛・トークンを引き連れて戦場に現れる。さらに《最後の望み、リリアナ》も戦場に駆けつける。



 エネルギーの貯蓄はあるが、追加の戦力を呼び出せない田中。《逆毛ハイドラ》を弱体させながら忠誠度を増やし続ける《最後の望み、リリアナ》を、ただただ見つめることしかできない。ようやくドローできた2体目の《逆毛ハイドラ》を唱えるも、中台は追加の《墓後家蜘蛛、イシュカナ》を唱える。伝説のクリーチャーであるため、戦場に残るのは1体のみだが、蜘蛛・トークンの増援が、リリアナを守り続ける。

 そして、ついに忠誠度は7。《最後の望み、リリアナ》の奥義が放たれた。


最後の望み、リリアナ


 毎ターン呼び出されるゾンビ・トークン。相手の攻撃をブロックしながら数ターンを凌ぎ、8体、18体、38体と数を増やしていく。



 勝利は目前。それを逃さないように、島村は斉藤にアタックの相談をする。




 「相手に何かあったら」「トークンを一掃されたら」……その不安を拭い去るかのように、斉藤は「大丈夫」と頷きながら応えた。その言葉に背中を押された島村は、すべてのトークンに攻撃を指示する!



 「これだけの物量があれば、問題なく勝利できる」と言ってしまうのは簡単だ。この状況を一転させるカードは限られている。


 しかし、若きマジック・プレイヤーの姿をカバレージとして記録し、この大会が彼らの記憶に残ってほしいと願う筆者は、こう記しておきたい。


 その勝利は、友の言葉を信じたからこそ、掴めたものだ。





 島村(早稲田大学) 2-1 柳原(慶應義塾大学)


 中台、斉藤、島村(早稲田大学)、決勝進出!



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