Deck Tech: 光安 祐樹の「アタルカ・レッド」

晴れる屋

By Kazuki Watanabe


 フロンティアのトップメタと聞いたとき、みなさんはどのようなデッキを思い浮かべるだろうか?

 「4Cラリー」「アブザンアグロ」「ダークジェスカイ」などの名前はすぐに浮かんでくるだろう。

 これらはスタンダードに君臨し、数多のデッキを葬り去ってきたトップメタである。したがって、強く印象に残っていても無理はない。

 しかし、当時のスタンダードのトップメタの一角を、我々は忘れているのではないだろうか?


僧院の速槍アタルカの命令ケラル砦の修道院長


 そう、『アタルカ・レッド』だ。

 【プロツアー・『タルキール龍紀伝』】、そして【グランプリ・神戸2015】を制した、超攻撃的な高速アグロデッキである。

 過去のトップメタが新カードによって強化されているように、このデッキもフロンティアで間違いなく強化されている。その証拠に今回の「BIGMAGIC協賛 フロンティアチャレンジカップ」でも、多くのデッキを焼き払い、殴り倒しているのだ。



 新カードによって新たな強さを手に入れた「アタルカ・レッド」について、BIGs所属プレイヤー、光安 祐樹に話を伺った!



■ 新たな戦力は、空を飛んでやってきた


――「今回、光安さんが使っているのは『アタルカ・レッド』のフロンティア版、ですよね。フロンティアによってどのような進化を遂げたのでしょうか」


密輸人の回転翼機


光安《密輸人の回転翼機》を手に入れたことが、やはり大きいですね。以前の『アタルカ・レッド』は、”地上を固められてしまうと身動きが取れなくなる”という弱点があったのですが、それがこの航空戦力によって解消されています」

――「スタンダードでも活躍をしていますが、フロンティアでも大活躍しそうなんですね」

光安「そうですね。そして、『アタルカ・レッド』でこそ活躍すると思います。当時は膠着した状態を打開するには、火力呪文で少しずつ除去していくか、コンバットトリックを無理矢理合わせるしかなかったのですが、この1枚でそれが解消されています。当時は《アラシンの僧侶》を越えるのも一苦労で、そこに《ドロモカの命令》もありましたからね。ただ、《密輸人の回転翼機》ならば楽々と越えていけますから」

――「飛行をもっている、ということが、やはり頼りになるわけですね」


僧院の速槍ケラル砦の修道院長


光安「航空戦力でありながら、デッキを円滑に回す能力を持っていますからね。それから、《密輸人の回転翼機》《僧院の速槍》《ケラル砦の修道院長》果敢を誘発できるのも強いんですよ

――「おお! アーティファクト呪文だからですね」

光安「忘れがちですが、重要です。クリーチャー要素を展開しつつ果敢を誘発できるので。こういった点も、デッキに噛み合っていると思います」

――「あらゆるデッキに入ると言われる1枚が、ここまでデッキに噛み合っているとは思いませんでした」

光安「たしかに《密輸人の回転翼機》は、『どんなデッキにでも入るくらい強い』とは思います。でも、この性能を一番活かせるのは、やはりアグロ寄りなデッキだと思うんですよ。《ドラゴンの餌》《軍族童の突発》というトークンを生みだすカードを採用しているので、『搭乗』要員がいなくて困る、という状況はほとんどありません」

――「聞けば聞くほど、このデッキに噛み合っているカードですね」

光安「3/3、飛行ですからね。真っ向からライフを詰めていけるカードだと思います」



――「その他の新しいカードは《通電の喧嘩屋》《ラスヌーのヘリオン》などですが、大きな部分は変わっていないんですね」

光安「そうですね。デッキのコンセプトはそのままにパーツが洗練され、そしてメタゲームが追い風になっている、という感じですね」

――「まだまだ環境初期ではありますが、すでにメタゲームの中で有利になっている、ということですか?」


時を越えた探索宝船の巡航


光安「たしかにフロンティアはまだまだ始まったばかりのフォーマットですが、環境に”コントロール系のデッキが非常に多い”と思っています。《時を越えた探索》《宝船の巡航》を使える、というイメージが強いですからね。そういった、皆がリソースを意識している環境だからこそ、リソースにとらわれないアグレッシブなデッキが輝きます。リソースを使わせる前に勝つことができるので、デッキのスピードが段違いなんです」

――「なるほど……たしかに『ダークジェスカイ』や『グリクシスコントロール』は多いですよね」

光安「そうですね。新カードだけではなく、フロンティアというフォーマットだからこそ、明確に強化されたデッキだと思います」



――「では最後に、光安さんの考える”フロンティアの魅力”についてお聞かせください」

光安「様々なカードが”これまでとは違った強さ”を見せてくれるのが面白いですね。当時スタンダードを楽しんでいた人、そして今スタンダードを楽しんでいる人は、カードを少し買い足すことで楽しむことができるので、これも一つの魅力だと思います。カジュアルではありますけどプロプレイヤーも参戦していますし、魅力にあふれるフォーマットだと思いますね。始まったばかりの新フォーマットですが、日曜日に300名が集まっている、ということが、何よりの証拠だと思います。ぜひ、もっと盛り上がってほしいです」

――「ありがとうございます。このあとも頑張ってください!」





 環境のトップに君臨した「アタルカ・レッド」が、フロンティアという新たな地でも活躍を始めている。環境を最速で駆け抜けるアグロデッキに、これからも注目しよう。



光安 祐樹「アタルカ・レッド」
BIGMAGIC協賛 フロンティアチャレンジカップ

6 《山》
1 《森》
4 《樹木茂る山麓》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《燃えがらの林間地》

-土地 (21)-

4 《僧院の速槍》
3 《鐘突きのズルゴ》
1 《鎌豹》
4 《ケラル砦の修道院長》
4 《通電の喧嘩屋》

-クリーチャー (16)-
3 《乱撃斬》
4 《ドラゴンの餌》
4 《アタルカの命令》
3 《稲妻の一撃》
4 《軍族童の突発》
4 《密輸人の回転翼機》
1 《反逆の先導者、チャンドラ》

-呪文 (23)-
4 《ラスヌーのヘリオン》
4 《焙り焼き》
2 《トーモッドの墓所》
2 《沸き立つ大地》
1 《焦熱の衝動》
1 《乱撃斬》
1 《粉々》

-サイドボード (15)-
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