Deck Tech: 瀧村 和幸の「究極完全体ドレッジ」

晴れる屋

By Atsushi Ito


 フロンティア環境の特徴の一つに、マナベースが強力というものがある。


溢れかえる岸辺梢の眺望花盛りの湿地


 フェッチランド、バトルランド、ファストランド。友好色と対抗色とを完璧にサポートするフロンティア環境のマナベースは、3色はおろか4色のデッキも自由に構築できるほどだ。

 そして構築が自由な環境であればあるほど、デッキビルダーの才能は光り輝く。しかもそれがプロプレイヤーともなればなおさらだ。

 フェッチ+バトラン環境の【プロツアー『戦乱のゼンディカー』】で優勝した、BIGMAGIC所属のプラチナ・レベル・プロプレイヤー。

 瀧村 和幸。

 ここでは彼がこの「BIGMAGIC協賛 フロンティアチャレンジカップ」のために製作したデッキ、「究極完全体ドレッジ」についてのインタビューをお届けしよう。





――「このデッキができた経緯はどういったものだったのでしょうか?」

瀧村「このデッキは《査問長官》から全てが始まっています。これを1ターン目に出すことで、2ターン目に《黄金牙、タシグル》《グルマグのアンコウ》といった『探査』クリーチャーを出すデッキを作りたかったんですね。いわば《査問長官》をフロンティア環境の《思考掃き》として使いたかったわけです」


査問長官黄金牙、タシグル思考掃き


――「なるほど。そのコンセプトにはどんな問題があったんでしょうか?」

瀧村「フロンティアという環境はみんな《はじける破滅》《アブザンの魔除け》などの強力な除去を撃ってくるので、『探査』クリーチャーをただ早く出しても勝てないだろうなと思い直しました。じゃあどうするかって考えたときに、《コジレックの帰還》の誘発型能力は環境的に強いなと気づいたんです。《包囲サイ》でも《黄金牙、タシグル》でも、5点オールでまとめて流すことができますから。しかも表の通常プレイも、《ゴブリンの熟練扇動者》《魂火の大導師》《ヴリンの神童、ジェイス》と、フロンティアで使われそうな強力なクリーチャーたちに刺さるので腐りにくいんですよね」


コジレックの帰還老いたる深海鬼


瀧村「そしたらもういつもの《憑依された死体》《秘蔵の縫合体》パッケージが入りますよね。スタンダードのグリクシス『現出』は土地がきつかったけど、フロンティアならフェッチ+バトランで安定するのが強みです。さらに《コジレックの帰還》の2点オールが効くということは、環境的には《集団的蛮行》もメインから入れて差し支えない性能になります。《ヴリンの神童、ジェイス》を除去しながら《時を越えた探索》が抜けたりするので。そしてモダンでも使われている《安堵の再会》《査問長官》《安堵の再会》とつなげれば、なんと3ターン目に《宝船の巡航》がプレイできます。これにて究極完全体ドレッジの完成、となりました」


憑依された死体集団的蛮行宝船の巡航


――「確かに《ヴリンの神童、ジェイス》《宝船の巡航》が使える上に《集団的蛮行》まで入っているドレッジというのはまさしく最終形態といった感じではありますね。ですがフロンティアといえば《先祖の結集》デッキがそのまま使えるということもあり、多くのデッキのサイドボードに《トーモッドの墓所》が採用されているように思うのですが、このデッキは《トーモッドの墓所》を置かれても大丈夫なんでしょうか?また、アグロデッキとの相性も気になります」

瀧村《先祖の結集》と違って《憑依された死体》《秘蔵の縫合体》がそれぞれ1枚以上ずつ落ちていればこちらは動き出せるので、そこまで致命的になりにくいと思います。また、早いデッキもたとえばアタルカレッドなどには《コジレックの帰還》がメインから刺さるので、そこまで相性は悪くないですね。ただ、おそらくですが《アーティファクトの魂込め》を使ったアーティファクトビートダウンとかになると厳しい戦いを強いられそうですね」

――「このデッキが一番厳しいカードとなると何になるんでしょうか?」

瀧村「やはり《ゲトの裏切り者、カリタス》ですね。《コラガンの命令》と一緒に使われることが多いので、一度捌いてもまた出てくるのが厳しいです」

――「瀧村さんといえばエターナルフォーマットではいつも墓地活用デッキを使っている印象がありますが、何か理由があるんでしょうか?」

瀧村「もはやですね。ドレッジ愛とでも言うんでしょうか。だって会場でたぶん俺一人だけですよ、《査問長官》なんてカードをフロンティアでプレイしてるのは

――「ありがとうございました」


 プラチナプロが愛をこめて製作した珠玉の墓地活用デッキ。プロが開拓した新たな地平の先にあるものを、このデッキでぜひ確かめてみて欲しい。



瀧村 和幸「究極完全体ドレッジ」
BIGMAGIC協賛 フロンティアチャレンジカップ

2 《島》
1 《山》
1 《沼》
2 《窪み渓谷》
1 《燻る湿地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《汚染された三角州》
3 《尖塔断の運河》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》

-土地 (23)-

4 《査問長官》
4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《秘蔵の縫合体》
4 《憑依された死体》
4 《老いたる深海鬼》

-クリーチャー (20)-
4 《安堵の再会》
4 《集団的蛮行》
4 《コジレックの帰還》
1 《残忍な切断》
4 《宝船の巡航》

-呪文 (17)-
3 《ゲトの裏切り者、カリタス》
3 《強迫》
3 《軽蔑的な一撃》
3 《残忍な切断》
2 《時を越えた探索》
1 《黄金牙、タシグル》

-サイドボード (15)-
hareruya



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