神インタビュー: 和田 寛也 ~勝負を行う「場」としての神決定戦~

晴れる屋

by Yusuke Kanazawa


 和田 寛也(東京)。


 多数のプロツアー出場経験や【グランプリ・静岡2015】9位入賞といった実績を持つ強豪プレイヤーである。

 その手腕をもって神の座を射止め、続く防衛戦においてもその座を守り抜いた和田。

 二度目となる防衛戦に際し、和田の言葉に耳を傾けるべくインタビューの席を設けたところ、彼の口から驚くべき事実が飛び出ることとなった。






■ 実は、マジックを引退しました。


選択


和田「まず最初にお伝えしなければならないことがあって、実はマジックを引退しているんです

――インタビュー開始直後にかなり衝撃的な発言をいただいてしまいましたが……。

和田「前シーズンをプロ・ポイント3点で終え、BIGMAGICとのプロ契約も終了した後に仕事先も変わりまして、それを機に引退を決めました」

――差し支えなければ、引退に至った経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか。

和田「端的に言えば仕事にオールインしたくなったからですね。前職、現職ともにゲーム開発に携わる仕事なのですが、今は作る側にやりがいを感じています。他にも、私生活の面も関係しています」

――両立という選択肢は考えましたか。

和田「片手間でやるのが苦手なんですよね。マジックに取り組むと、とくに構築フォーマットがそうなんですが、消耗が激しいんです。10年近く全力で取り組んで来て、『一度離れよう』という気持ちは以前からありました。私生活の面でも『一回マジックをやめないと人生進まないな』と考えるようになっていました」



■ プロツアーは『マジック理論』を磨く場

和田「本来の目標というのでしょうか。元々は、一年に一度プロツアーに出場できて、そこで自身の『マジック理論』とでも言うべきものを証明し、磨いていければそれでよかったというスタンスでした。プロツアー『闇の隆盛』からその目標は達成できて、以降継続することも出来ていましたし、その中で己のマジックの理論は年々磨きがかかっていった実感はあります」

和田「そんな中で、良い結果がコンスタントに生まれシルバーレベルにまでなれたのですが、次第に仕事でゲームを作っているほうが面白くなってきたと言いますか、マジックに対する自分の中での見方が変わってきました。それこそマジックを始めたての頃だったら毎週金曜夜のFNM(フライデー・ナイト・マジック)から始まる週末がとにかく楽しみでしたが、そこはやはり、今に至るまでにモチベーションは変化していきましたね」

――近年でのモチベーションはどのように維持されていたのですか。

和田「ともに仕事をしていたヤソ(八十岡 翔太)の存在は大きかったと思っています。ヤソはゲームも作れてマジックも勝てる。一緒に仕事をして同じトーナメントにも参加する中で『どうしたらこんな天才ができるのか』と考えて、そのヒントを探る手段としてマジックに取り組んでいた節はあります。また、ちょうどその頃にBIGMAGICからプロ契約の打診もあって、ユニフォームを着させて頂いたのも、昨年一年活動する上での動機付けになりました」






■ 勝負を行う「場」としての神決定戦

和田「マジックから離れると、人と対戦する感覚が鈍っていくんですよ。それが日増しに強くなっていきました。仕事をする上でもそれは問題で、勝負におけるある種の“真剣さ”が失われてしまう。10年近く築いて来たものが半年やそこらで失われてしまう、という危機感があります。今の自分にとっての神決定戦とは、そういったものを保ってくれる場としての意味合いが強いですね」

――対戦相手となる梅木さんへの印象はございますか。

和田「今まではあんちゃん(高橋 優太)や後藤さんといった個人を相手にしていましたが、今回は梅木会というコミュニティを相手取るものと思っています。個人へのメタ読みが通用しづらいので、そこは前回以上に考えても仕方ない部分ですね」

――それでは最後に、神決定戦へ向けた意気込みをお願いします。

和田「前回の神決定戦を防衛したときに『スタンダード神で連続防衛は誰もしたことがない』と聞いたので、それなら2回防衛したいですね。直近の上乗せがない分、今までの蓄積、経験に頼るしかありません。過去10年近くのキャリアをすべてぶつけるつもりでいきます」








 勝負を通じてこそ得られる”真剣さ”を求めて神決定戦の舞台に立つ和田。

 確かに一線は退いたかもしれない。それでも、そこには確かにマジックと向き合おうとするスタンダード神・和田 寛也の姿があった。

 彼が今までマジックにかけてきた年月、そしてそのキャリアは本物だ。それをもってすれば、未だかつて実現していない「スタンダード神の2期連続防衛」を我々に見せてくれるかもしれない。