森田 侑(東京)。
ヴィンテージ神の初防衛から約5か月が経過し、いよいよ森田にとって2回目となる防衛戦、ヴィンテージ神決定戦が開催される。
多くの知識と長年の経験から導かれる森田の慧眼は、前回の挑戦者だった藤井 秀和の使うデッキ予想をぴたりと当てた。また、【第7期ヴィンテージ神挑戦者決定戦】のプレイオフの生放送ではゲストとして解説を行い、目の前で行われるプレイを全て言い当てるという離れ業を見せ、尋常ならざるやり込みに視聴者を驚嘆させた。
それはヴィンテージ神のみぞ知る領域なのか? 彼のシナプスはどのような思考を紡ぎ出しているのか? 長年ヴィンテージ界のトップランカーとして環境を支えて来たヴィンテージ神・森田 侑へと話を伺った。
■ 守れるところまで守ってやります
--「前回初防衛と言うことで、何か森田さんの周りで変わったことなどありましたか?」
森田: 「相変わらず周りからの呼び名は”神”です(笑) 防衛したことで何かが変わった、というのも特にないですが、自分の中ではようやく他の神と並べたかなと思いました」
--「初防衛のときから今まで何か継続している気持ちやモチベーションなどはありますか?」
森田: 「こうなったら、守れるところまで守ろうかなと思っています!」
--「ありがとうございます。ちなみに森田さんはヴィンテージ神になられるよりもずっと前からヴィンテージをプレイされていると思うのですが、所持カードの量ってどのくらいなのでしょうか?」
森田: 「いや、実はだいぶ処分してしまったのでそこまで多くないんですよ。普段使っているものと、使うであろうカードしか残していません。あまりにも量が多かったので実は数年前から徐々に処分しています」
--「そうなんですね。では、今お持ちのカードの中で自慢できる一品みたいなカードは……?」
森田: 「私はコレクターではないので大したものは持っていませんが、大長サイクルのフォイルは4枚ずつ持っています。そのくらいですね」
--「ヴィンテージ以外に別のフォーマットはプレイされていますか?」
森田: 「以前はスタンダードをやっていましたが、仕事が忙しくなってしまって追いきれなくなってしまいました。数年前まではスタンダードのグランプリなどにも出ていたのですが、さすがに無理かなぁと。社会人になると難しいですね」
--「その点、ヴィンテージはローテーションがないのも魅力ですね」
森田: 「そうですね。それに、モダンやレガシーと比べてやっぱり派手ですし。ヴィンテージは1枚1枚のカードがゲームに及ぼす影響が非常に大きいので、強い人も大崩れすることがあります。まあ逆にそこが面白いですね。」
■ 気になるヴィンテージコミュニティ
--「森田さんは普段、どのような環境でヴィンテージをプレイされているのでしょうか?」
森田: 「基本的に東京周辺のヴィンテージの大会にはなるべく参加するようにしています。あとは顔見知りのヴィンテージ勢たちとフリープレイ会をしていろいろと練習をしています。」
--「なるほど。そのヴィンテージ勢と集まる頻度は多いのですか?」
森田: 「最近は月に2、3回ペースでやっています。ヴィンテージ勢は社会人の方が多いので、休みを使わないと調整が難しいんです」
--「たしかにみなさん社会人だと休みを合わせるのも大変そうですね。コミュニティーは大きな集まりなのでしょうか?」
森田: 「うーん……大きいコミュニティが一つある、というよりは小さいグループがいくつもあって、そのグループ同士で予定が合えば集まっています。平日集まりやすいグループとか、週末集まりやすいグループとかがあったりしますね」
--「来る神決定戦に向けて、ヴィンテージのコミュニティーやフリープレイ交流会などで特別な準備などしていますか?」
森田: 「全くしてないです(笑) というのも、いつも通りいろんなデッキを試してみて、何が強くてベストな選択か試行錯誤を重ねる、といったことは日頃から行っているので、相手が誰であろうと普段と同じように全力でぶつかるつもりです」
--「普段通りですか。森田さんは調整会などで上達するために意識していることはありますか?」
森田: 「ヴィンテージの制限カードが危ないのは当然ですが、どちらかというと制限カードではないカードにも危ない物が多いです」
森田: 「制限ではないカードは4枚まで入るので、当然ですが引く頻度が全然違います。《Mana Drain》とか《Mishra's Workshop》とかその辺りの使い方を練習することがとても大切です」
■ 強い人が勝つ
--「話は変わりまして、今度対戦する原根さんについてはどのような印象をお持ちですか?」
森田: 「第7期神挑戦者決定戦ではフォーマット問わずすごい勢いで勝たれていましたよね。【グランプリ・京都2016】でもトップ4に入られていたり……マジックをプレイされている期間はそこまで長くなかったと思うのですが、そこまでいろんなところで結果を残しているのは本当にすごいことだと思います」
--「今回、原根さんはヴィンテージ初参戦で挑戦権を勝ち取りました。そういった流れで森田さんのお気持ちというか、何か思うことはありましたか?」
森田: 「やはり強い人が勝つんだな、ということですね。原根さんのマジックの地力が高さが窺えます」
--「ありがとうございます。最後になりますが、森田さんの神決定戦に対する意気込みをお願いします」
森田: 「原根選手には申し訳ないのですが、普段からヴィンテージをプレイしている者として負けるわけにはいかないので、全力でお相手させていただきます!」
--「本日はありがとうございました!」
ヴィンテージ神として、どのようにヴィンテージと関わり、どのような想いを抱くのか。それを語る森田からは、長年ヴィンテージの環境を支えてきた者としての矜持が垣間見えた。
第7期ヴィンテージ神決定戦ではルーキー・原根 健太を相手にどのような戦いを繰り広げるのか? 目が離せない。