はじめに
みなさんこんにちは。
いよいよ今週末には、『イコリア:巨獣の住処』がリリースされます。新たなキーワード能力として「変容」と「相棒」が登場しました。これからのスタンダードが楽しみですね。
さて、今回の連載では初のMTGアリーナを用いて開催されたMagicFest Onlineの入賞デッキを見ていきたいと思います。また、記事後半では『イコリア:巨獣の住処』で活躍しそうなカードをご紹介します。
MagicFest Online Weekly Championship
すべての構築フォーマットで活躍する巨人
2020年4月6日
- 1位 Bant Ramp
- 2位 Rakdos Sacrifice
- 3位 Temur Flash
- 4位 Temur Flash
- 5位 Rakdos Sacrifice
- 6位 Temur Flash
- 7位 Temur Clover
- 8位 Rakdos Sacrifice
トップ8のデッキリストはこちら
MTGアリーナで行われた本大会の上位入賞デッキは、コンスタントに結果を残し続けているRakdos SacrificeやBant Rampのほかに、《夜群れの伏兵》や《エリマキ神秘家》など瞬速クリーチャーとカウンターを多数採用したTemur Flashが複数の入賞者を出していました。
MagicFest Online Weekly Championship デッキ紹介
「Bant Ramp」「Temur Flash」
Bant Ramp
2 《島》
2 《森》
4 《繁殖池》
4 《神聖なる泉》
4 《寺院の庭》
4 《寓話の小道》
3 《啓蒙の神殿》
2 《神秘の神殿》
2 《豊潤の神殿》
-土地 (29)- 2 《ハイドロイド混成体》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
2 《夢さらい》
-クリーチャー (8)-
3 《霊気の疾風》
2 《神秘の論争》
2 《空の粉砕》
4 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《時を解す者、テフェリー》
2 《伝承の収集者、タミヨウ》
2 《世界を揺るがす者、ニッサ》
-呪文 (23)-
3 《狼の友、トルシミール》
2 《裏切りの工作員》
2 《神秘の論争》
1 《霊気の疾風》
1 《ドビンの拒否権》
1 《空の粉砕》
1 《覆いを割く者、ナーセット》
-サイドボード (15)-
環境のトップを走るバントカラーの優秀なカードを集めたグッドスタッフ。
Sultai Rampと比べると、インスタントスピードでの駆け引きを否定する《時を解す者、テフェリー》や多くの場合確定でアドバンテージが取れる《エルズペス、死に打ち勝つ》がある分有利で、ミッドレンジ、コントロールミラーを想定するのならベストなチョイスとなります。
《成長のらせん》と《霊気の疾風》以外の軽いアクションが少ないので動きがもっさりしてしまうことがあり、Mono RedやRakdos Sacrificeなどの速いデッキや、今大会でも複数入賞していたTemur Flashなどテンポデッキに対して苦戦を強いられます。
☆注目ポイント
パイオニア、モダン、レガシーでも第一線で活躍している《自然の怒りのタイタン、ウーロ》はスタンダードでも最高のカードの1枚です。墓地を肥やせる《伝承の収集者、タミヨウ》を採用しているので、メインからフル搭載されています。
《神秘の論争》は、《時を解す者、テフェリー》などの脅威に対して1マナの《マナ漏出》として機能します。Mono RedやRakdos Sacrificeなど速いデッキに対しては3マナという重さが気になりますが、環境の多くのデッキには青が含まれているので腐りにくくメインでの採用となっています。
《霊気の疾風》も、《世界を揺るがす者、ニッサ》《夜群れの伏兵》《荒野の再生》など現環境ではAzorius Control以外では対象に困る場面が少なく、Mono Redとのマッチアップでは序盤の猛攻を凌ぐ助けになります。
絆魂持ちで除去耐性を持つ《夢さらい》は、主にMono Red、Rakdos Sacrifice、Temur Cloverといったアグロデッキとのマッチアップで有力なフィニッシャーとなります。
Temur Flash
2 《森》
1 《山》
4 《繁殖池》
4 《蒸気孔》
4 《踏み鳴らされる地》
2 《寓話の小道》
3 《神秘の神殿》
2 《天啓の神殿》
1 《奔放の神殿》
2 《ヴァントレス城》
-土地 (27)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
2 《厚かましい借り手》
4 《夜群れの伏兵》
2 《エリマキ神秘家》
-クリーチャー (11)-
Simic Flashに赤を足したバージョンで、《成長のらせん》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》でマナ加速していき、キーカードである《荒野の再生》や《夜群れの伏兵》に繋げていきます。
大半のアクションがインスタントスピードなので《荒野の再生》によるマナアドバンテージを活かしやすく、瞬速クリーチャーを利用することでテンポデッキのように振舞うことができます。
☆注目ポイント
《エリマキ神秘家》は、色拘束こそ強いものの相手のスペルをカウンターしつつクロックを展開できるので、テンポとカードアドバンテージを同時に取ることが可能です。《夜群れの伏兵》はインスタントスピードでのアクションが主なこのデッキにフィットしたクリーチャーで、これ一体でゲームを決めてしまえるインパクトがあります。
墓地を利用するRakdos Sacrificeが現環境のトップメタの一角であることから、クリーチャーを追放できる《焦熱の竜火》が有力な除去スペルとして機能します。プレインズウォーカーも対象にできるのでメインから採用していても腐りにくく、3点ダメージはRakdos Sacrificeの主力クリーチャーである《波乱の悪魔》を含めた多くの脅威に対応できます。また、追放なので《エルズペス、死に打ち勝つ》でリアニメイトされることを防ぐこともできます。
《幽体の船乗り》は1マナ瞬速持ちと隙が少なく、中盤以降に余ったマナをドローに変換できるのでフラッド防止になります。使えるマナが倍になる《荒野の再生》と相性が良く、コントロールやミッドレンジとのマッチアップで活躍します。
MagicFest Season 1 Finals
Rakdos Sacrificeを駆るFabrizio Anteriが環境末期を制する
2020年4月13日
- 1位 Rakdos Sacrifice
- 2位 Jeskai Fires
- 3位 Jeskai Fires
- 4位 Bant Ramp
- 5位 Temur Clover
- 6位 Bant Ramp
- 7位 Temur Clover
- 8位 Rakdos Sacrifice
トップ8のデッキリストはこちら
MagicFest Season 1 Finalsの優勝を果たしたのは、現環境のトップメタの一角であるRakdos Sacrificeでした。日本勢からも同デッキを使用していた覚前 輝也選手がトップ8入賞を果たしていました。
ほかにはアグロデッキに強いJeskai Firesや安定した勝率を出しているBant Ramp、Temur Cloverが勝ち残っていました。
MagicFest Season 1 Finals デッキ紹介
「Rakdos Sacrifice」
Rakdos Sacrifice
4 《山》
4 《血の墓所》
4 《寓話の小道》
4 《悪意の神殿》
3 《ロークスワイン城》
-土地 (25)- 2 《石とぐろの海蛇》
4 《大釜の使い魔》
2 《どぶ骨》
4 《忘れられた神々の僧侶》
3 《リックス・マーディの歓楽者》
4 《波乱の悪魔》
4 《真夜中の死神》
4 《悲哀の徘徊者》
-クリーチャー (27)-
3 《苦悶の悔恨》
3 《害悪な掌握》
2 《焦熱の竜火》
1 《レッドキャップの乱闘》
1 《壮大な破滅》
1 《反逆の行動》
1 《ファリカの献杯》
-サイドボード (15)-
最近よく見るリストは、《死の飢えのタイタン、クロクサ》を採用しアドバンテージを重視したミッドレンジ寄りでしたが、今大会で優勝を収めたFabrizio Anteri選手が使用したのは、《どぶ骨》などを採用したアグロ寄りのバージョンでした。
デッキとしてはすでに完成された感がありましたが、メインから採用されているプロテクション(多色)持ちの《石とぐろの海蛇》など環境に合わせてリストが洗練され続けています。
☆注目ポイント
《どぶ骨》は1マナ域の墓地から再利用することができる優秀なアタッカーです。このデッキのサクリファイスエンジンとも相性が良く、Sultai RampやBant Rampとのマッチアップで特に強さを発揮します。
2マナ域に《リックス・マーディの歓楽者》が選択されており、中盤以降は「絢爛」によってアドバンテージも獲得しやすく、手札を捨てることで墓地も肥えるので《悲哀の徘徊者》ともシナジーがあります。
《石とぐろの海蛇》は今回最も印象に残ったイノベーションで、プロテクション(多色)を持つので同型の《波乱の悪魔》やBant Rampの《時を解す者、テフェリー》にも耐性があり、《夢さらい》でも止まりません。
新セット特集:『イコリア:巨獣の住処』
さて、いよいよ明日発売の『イコリア:巨獣の住処』の新カードも見ていきたいと思います。
《見事な根本原理》
高コストでパワフルなスペル、クリーチャーが多数収録されている『イコリア:巨獣の住処』。その中でも根本原理シリーズはマナコストが重く色拘束も強いという特徴がありますが、ゲームの勝敗を決定付けるほどのインパクトを持ちます。その中でも《見事な根本原理》は色の組み合わせの関係で《時を解す者、テフェリー》と一緒に使うことができ、新たに《古き道のナーセット》も登場するので新環境ではJeskai Controlが流行るかもしれません。
《古き道のナーセット》
《古き道のナーセット》は[+1]能力でライフを回復しつつ、クリーチャーでない呪文限定ですがマナを生成することができるので、次のターンからテンポよく立ち回りやすくなります。[-2]能力はドローを進めつつ除去としても機能するので、特にコントロールとのマッチアップで手札で腐っている除去やスイーパーを有効牌に変換しつつ、相手のプレインズウォーカーを対策できるのが魅力的です。
《永遠の頂点、ブロコス》
「変容」持ちの多色クリーチャーである《永遠の頂点、ブロコス》は、墓地から「変容」させることもできるので墓地を肥やせる《伝承の収集者、タミヨウ》や《茨の騎兵》などと相性が良く、Sultai Rampの新戦力となりそうです。
《無情な行動》
《無情な行動》は環境の新たな主要な除去となりそうです。環境に存在するほとんどのクリーチャーを除去でき、+1/+1カウンターを3つ取り除くモードによって《世界を揺るがす者、ニッサ》によってクリーチャー化された土地に対しても除去として機能します。
《狡賢い夜眷者》/《滑りかすれ》
《狡賢い夜眷者》や《滑りかすれ》といった優秀な瞬速クリーチャーも見られ、特にほかの瞬速スペルをキャストすることによってアドバンテージが得られる《滑りかすれ》は、DimirカラーのFlashが成立する可能性があるほどのポテンシャルがあります。《幽体の船乗り》《塩水生まれの殺し屋》《厚かましい借り手》など現環境には多数の瞬速持ちのクリーチャーが揃っています。
総括
現環境のスタンダードは終盤までメタが変化し続け、様々なデッキが活躍する面白い環境でした。
『イコリア:巨獣の住処』が加入し、環境がどのように変化をするのか楽しみですね。新環境後も引き続きMagicFest Onlineが開催されるので、スタンダード好きな方はお見逃しなく!
以上、USA Standard Express vol.169でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!