いつもと少し違った印象を受けるのは、グランプリ・千葉2016の直前だから。
いつもと同じなのは、レガシー神が川北 史朗であるということ。
お届けするのは第8期を迎えた、レガシー神挑戦者決定戦。田中 陽(東京)と片川 創太(神奈川)による準々決勝だ。
300名が集まった今回。グランプリ直前ということもあって、人数以上の盛り上がりを見せている。スイスラウンドの最中は、対戦を終えてからも積極的に意見交換をしているプレイヤーを各所で見かけることができた。
しかし、ここからは準々決勝。残ったプレイヤーはわずか8名。会場も少し閑散としてきている。
まずはこの一勝。神へ挑むため、両者の戦いが始まる。
Game 1
田中は即座にキープ。片川はしばらく悩んだ末に、マリガン。
先手の田中、《汚染された三角州》から《Underground Sea》。そして《死儀礼のシャーマン》を唱える。
対する片川がプレイしたのは《エルドラージの寺院》。ターンを受けた田中は《不毛の大地》で即座に破壊。《死儀礼のシャーマン》がマナを生み出し、《秘密を掘り下げる者》を2体唱える。片川は《ウギンの目》をプレイし、《エルドラージのミミック》を唱えてターンエンド。
田中のアップキープ。デッキトップは《稲妻》。2体の《秘密を掘り下げる者》が変身する。6点のダメージを与えながら土地を伸ばし、攻めてを緩めずに《真の名の宿敵》を唱える。
片川 創太 |
《ウギンの目》、そして《作り変えるもの》を2体唱えるが、《死儀礼のシャーマン》、2体の《昆虫の逸脱者/Insectile Aberration》、そして《真の名の宿敵》が並ぶ盤面を見て、片川は思わず苦笑い。
片川「相当ですね」
そう呟き、片川は土地を片付けた。
田中 1-0 片川
片川「かなり良い展開でしたね」
田中「今日初めてかもしれません。ここまで良いのは……」
田中のデッキに4枚ずつ採用されている《死儀礼のシャーマン》と《秘密を掘り下げる者》。どちらも1マナとは思えない働きをする、レガシー屈指の優秀なクリーチャーだ。
対する片川もマナを伸ばすことができれば《難題の予見者》や《現実を砕くもの》などの優秀なエルドラージを唱えることができる。点数で見たマナ・コストは大きいが、《ウギンの目》や《エルドラージの寺院》を用いれば、驚異的な早さで唱えることが可能だ。
土地が揃えば、あっという間に不利になる。許されるターンはそれほど多くない。
勝負の鍵は、その数ターンにある。
Game 2
両者、即座にキープ。片川は《エルドラージの寺院》、そして《果てしなきもの》を「X=2」で唱える。
田中は《溢れかえる岸辺》から《Underground Sea》、そして《死儀礼のシャーマン》と1ゲーム目と同じ展開だ。
片川は《不毛の大地》《作り変えるもの》と続けるが、《エルドラージの寺院》は《不毛の大地》で、《果てしなきもの》は《稲妻》で除去されてしまう。ひとまず、《不毛の大地》で《Underground Sea》を破壊して、ターンエンド。
田中 陽 |
田中は《Tropical Island》。土地を伸ばして《死儀礼のシャーマン》をもう一体追加。両者の墓地には、すでに土地が溜まりつつある。マナを生みだす準備は万端だ。
《死儀礼のシャーマン》のマナから《瞬唱の魔道士》。こちらもマジック史に名を残す強クリーチャーである。
《作り変えるもの》が攻撃を繰り返す。再び《エルドラージの寺院》をプレイし、片川は静かに手札を見つめた。唱えられたのは、《漸増爆弾》。
盤面に据えられたアーティファクトを見つめ、田中は一息ついてから《定業》。2枚目の《不毛の大地》をドローし、そのまま《エルドラージの寺院》を破壊する。
そして、田中もアーティファクトを唱える。《真髄の針》! 指定はもちろん《漸増爆弾》だ。
2体の《死儀礼のシャーマン》《秘密を掘り下げる者》《瞬唱の魔道士》が並び、盤石の体制。片川の《作り変えるもの》の攻撃を《瞬唱の魔道士》でブロックする。
片川は《虚空の杯》を「X=1」で唱えて相手の動きを妨害しようとするが、これには《突然の衰微》が突き刺さった。
そして、さらに追加される《不毛の大地》!
片川「3枚目ですか……」
土地を伸ばすことができない片川は、田中の墓地に並ぶ《不毛の大地》を見つめて思わず声を漏らす。それらを糧に《死儀礼のシャーマン》が絶え間なくマナを生み出している状況では、当然の感想と言えるだろう。
エンドフェイズ、その《死儀礼のシャーマン》がマナを生み出し《瞬唱の魔道士》を唱え、《稲妻》をフラッシュバックしたところで、片川は投了した。
田中 2-0 片川