Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/5/15)
オルゾフシャドウの誕生
みなさんこんにちは。今回の記事はいつになく気合が入っています。私が今モダンで気に入っているデッキについて語れるんですからね!そんな今日のデッキは……オルゾフシャドウ(オルゾフ石鍛冶)です!
数か月前にモダンを再開したときはバント石鍛冶を使っていました。感触は良く、《石鍛冶の神秘家》の強さにも満足していました。ただ、《思考囲い》と《コジレックの審問》が入ったデッキを試したい気持ちがあったのです。グランプリ・リヨン2012をジャンドで優勝した私にとっては、手札破壊の入ったデッキがモダンでのお気に入りでしたからね。
1 《森》
2 《草むした墓》
1 《血の墓所》
1 《踏み鳴らされる地》
4 《新緑の地下墓地》
2 《湿地の干潟》
2 《霧深い雨林》
4 《黒割れの崖》
4 《樹上の村》
1 《黄昏のぬかるみ》
-土地 (24)- 4 《死儀礼のシャーマン》
4 《闇の腹心》
4 《タルモゴイフ》
4 《血編み髪のエルフ》
-クリーチャー (16)-
2 《古えの遺恨》
2 《ラクドスの魔除け》
2 《忍び寄る腐食》
2 《殴打頭蓋》
1 《シルヴォクののけ者、メリーラ》
1 《呪文滑り》
1 《暗黒破》
1 《炎の斬りつけ》
1 《思考囲い》
-サイドボード (15)-
モダンでの最高の体験は昨年に起こりました。チームモダンで行われたグランプリ・ヘント2019でマルドゥシャドウを使用してトップ4に入賞したのです。
1 《沼》
2 《血の墓所》
2 《神無き祭殿》
1 《聖なる鋳造所》
4 《湿地の干潟》
3 《血染めのぬかるみ》
2 《乾燥台地》
4 《無声開拓地》
-土地 (20)- 4 《死の影》
4 《ルーンの与え手》
1 《呪詛の寄生虫》
4 《潮の虚ろの漕ぎ手》
4 《イーオスのレインジャー長》
4 《通りの悪霊》
-クリーチャー (21)-
このデッキは使っていて楽しく、私は《イーオスのレインジャー長》の虜になりました。あまりにも強かったので、《死の影》デッキの考え方がすっかり変わったほどでした。
そこで私はマルドゥシャドウを再び手に取り、いまだに通用するのかを確かめました。手ごたえは悪くなかったものの、デッキ内の赤のカードには以前の輝きがありませんでした。《コラガンの命令》はゲームに及ぼすインパクトに対してマナコストが重すぎました。これはおそらく《オパールのモックス》の禁止が響いているのだと思います。《ティムールの激闘》はオーバーキルするか、腐るかの二択。《アングラスの暴力》と《稲妻》は替えが利きやすいだろうという印象でした。
デッキリスト
こうして、赤を抜いたオルゾフカラーに挑戦することになりました。今現在のデッキリストがこちらです。
1 《平地》
4 《神無き祭殿》
4 《湿地の干潟》
3 《乾燥台地》
3 《血染めのぬかるみ》
4 《無声開拓地》
-土地 (21)- 4 《死の影》
2 《ルーンの与え手》
4 《潮の虚ろの漕ぎ手》
3 《石鍛冶の神秘家》
4 《イーオスのレインジャー長》
4 《通りの悪霊》
-クリーチャー (21)-
4 《コジレックの審問》
4 《思考囲い》
1 《発掘》
1 《集団的蛮行》
1 《苦渋の破棄》
1 《四肢切断》
1 《饗宴と飢餓の剣》
1 《火と氷の剣》
-呪文 (18)-
2 《天界の粛清》
2 《ケイヤの手管》
2 《安らかなる眠り》
2 《減衰球》
1 《ブレンタンの炉の世話人》
1 《殴打頭蓋》
1 《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》
1 《最後の望み、リリアナ》
-サイドボード (15)-
カード選択:メインデッキ
まずはカード選択について個別に解析しましょう。
《死の影》 4枚
説明不要ですね。このデッキの主役であり、デッキ全体がこのカードのために存在しています。
《ルーンの与え手》 2枚
《イーオスのレインジャー長》でサーチできるもうひとつのクリーチャーであり、1ターン目の手札破壊がないときのアクションを埋めてくれます。《ルーンの与え手》は除去のおとりとなって《死の影》を守るだけでなく、邪魔なブロッカーがいるときも《死の影》の攻撃を通します。ただ、どのマッチアップでも強いわけではありませんし、《仕組まれた爆薬》や《爆発域》に脆いという弱点を浮き彫りにしてしまうので、3枚以上はいりません。それに、各種「剣」が似た役割を果たしていますしね。
《潮の虚ろの漕ぎ手》 4枚
1ターン目の手札破壊から追い打ちをかける呪文として優秀です。誘発型能力に対応して除去を打たれても手札破壊できるため、《帆凧の掠め盗り》の上位互換と言えます。
《石鍛冶の神秘家》 3枚
《死の影》とは別に、1ターン目の手札破壊のあとに展開して強い脅威を追加したいと考えました。《石鍛冶の神秘家》の突出した強さはバントで証明済みでしたから、このデッキでも試してみようと思ったのです。
《イーオスのレインジャー長》 4枚
シャドウデッキは《死の影》に大きく依存しているため、毎試合アクセスできるような仕組みが必要です。ジャンドには《ウルヴェンワルド横断》が、グリクシスには《血清の幻視》などのキャントリップがありますが、オルゾフでは《イーオスのレインジャー長》がその役割を担います。生け贄に捧げる効果も決して無駄なものではなく、勝利をもたらしてくれることもあります。
《通りの悪霊》 4枚
ライフを13未満にするのに一役買うキャントリップ。ゲームの初動が大切なデッキにとっては、デッキの枚数を実質的に56枚にできる点に価値があります。また、インスタントタイミングでライフを減らす手段でもあるため、相手にブロックされたあとに《死の影》のサイズを上げたり、同様に火力呪文の対象になったときにサイズを上げて守ったりできます。
《コジレックの審問》 4枚 / 《思考囲い》 4枚
手札破壊を増やすと、トップデッキ勝負になったときに弱くなるのが一般的です。しかしオルゾフシャドウでは、速攻によってわずかなターンで勝ち切ることを想定しています。このプランを遂行するには手札破壊が必要です。8枚未満にするのはおすすめしません。
《致命的な一押し》 4枚
しばらくは3枚にしていましたが、《夢の巣のルールス》は除去すべき対象であり、今現在人気のカードです。「紛争」を達成するフェッチランドが10枚、《無声開拓地》が4枚ありますので、《致命的な一押し》はほぼ万能な除去として使えます。
《発掘》 1枚
1枚採用する分には非常に優秀で、《イーオスのレインジャー長》を復活させる動きは強力です。ですが、初手には必要ありませんし、墓地に対象となるクリーチャーがいないときに複数枚あるのは好ましくありません。2マナを払って「サイクリング」するのはこのデッキでやりたいことではないですからね。ひとつ指摘しておくと、1ゲーム目に《発掘》を相手に見せると、《虚無の呪文爆弾》のような墓地対策がサイドインしてくれる可能性があります。しかし、墓地対策が刺さるのはデッキ内に《発掘》しかありません。
《集団的蛮行》 1枚
かつてはサイドボードにあったカードですが、現在のメタゲームは《夢の巣のルールス》、《召喚の調べ》を搭載したドルイドコンボ、《ゴブリンの先達》などが席捲しています。このような状況であれば、メインデッキに1枚入れておいたほうが理にかなっているでしょう。
《四肢切断》 1枚
自分のライフ調整に役立つ除去です。2ターン目の《死の影》を可能にする大活躍をすることもありますし、《通りの悪霊》と同じように戦闘中などでライフを減らすこともできます。
《苦渋の破棄》 1枚
《虚空の杯》《ワームとぐろエンジン》《精力の護符》などの厄介なパーマネントにメインデッキから対処できるようにしたいと考えました。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を追放できる強みもありますし、これもまたライフ調整の手段となります。ただ、3マナと重く、《四肢切断》のように支払うライフの量を調整できるものではないので、枚数は増やしたくない呪文です。
《饗宴と飢餓の剣》《火と氷の剣》 1枚
《石鍛冶の神秘家》のサーチ先として最強の2枚であるのは間違いありません。あらゆるクリーチャーをフィニッシャー化し、ほかのシャドウデッキと違って《死の影》に依存しなくなる利点があります。《潮の虚ろの漕ぎ手》でさえも「剣」を握ればフィニッシャーになりえます。
《湿地の干潟》 4枚、《乾燥台地》 3枚、《血染めのぬかるみ》 3枚
フェッチランドは《死の影》にとって欠かせない存在です。《乾燥台地》と《血染めのぬかるみ》は《溢れかえる岸辺》《吹きさらしの荒野》《汚染された三角州》《新緑の地下墓地》で代替可能ですが、《ティムールの激闘》を採用しているブラフをしかけたいので、赤絡みのフェッチランドを選択しています。
《神無き祭殿》 4枚
フェッチランドでサーチする土地の枚数は十分に確保しなければなりません。必ず3ターン目に白マナを2つ、黒マナを3つ出せるようにすることは非常に重要です。基本土地に加えて《聖なる鋳造所》や《血の墓所》があったマルドゥシャドウでは難しかったことですね。
《無声開拓地》 4枚
ライフの微調整をしやすい土地。このデッキを使っているとライフが1になることは珍しくありませんが、それができるのも主に《無声開拓地》のおかげです。このデッキはマナコストの低いカードが多いため、土地が伸びた終盤であれば《無声開拓地》でドローをしたカード(《死の影》や《致命的な一押し》など)を同一ターン内に唱えられる可能性があります。
《沼》 2枚 / 《平地》 1枚
《沼》1枚だけの構成を試したこともありますが、2枚目の必要性を強く感じました。ライフ損失が痛くないデッキとはいえ、ライフが危険水域になったときにアンタップインできる土地は必要です。《血染めの月》やアグロと対峙したときには、サーチできる基本土地が3枚あることに大きな意味があります。《暗殺者の戦利品》や《流刑への道》でサーチする土地がなくなる機会も減らせます。
カード選択:サイドボード
《ブレンタンの炉の世話人》 1枚
バーンや赤単果敢とのマッチアップでは、《イーオスのレインジャー長》のサーチ先として非常に頼りになります。
《天界の粛清》 2枚
《死の影》《夢の巣のルールス》《ヴェールのリリアナ》《血染めの月》《カマキリの乗り手》……。《天界の粛清》は幅広いカードに対処できます。
《ケイヤの手管》 2枚
4つのモードがある汎用性の高いカード。1枚で複数の役割を持つものはサイドボードの枠を節約することになりますから、とても貴重な存在です。バーン戦ではライフ回復と除去を、ドレッジ戦では墓地追放をすることができ、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に対しては除去したうえで墓地から追放できる可能性があります。1/1のトークンを出すモードは、ダメージレースを制したり生け贄の身代わりとなったりと、意外と便利です。メタゲーム次第ではメインデッキに入りうるインスタントですが、現状では《集団的蛮行》を優先させています。
《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》 1枚
《ケイヤの手管》と同じく、ライフ回復・除去・墓地追放を兼ねるカードです。[-1]能力で追放できる主な対象は、《精力の護符》《虚空の杯》《秘密を掘り下げる者》《教区の勇者》《死の影》などで、[+1]能力は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《ミシュラのガラクタ》などの再利用を防ぎます。
《最後の望み、リリアナ》 1枚
《致命的な一押し》や《貴族の教主》を用いるデッキに非常に強いプレインズウォーカー。アドバンテージを生み出すだけでなく、単体でコントロールプランを成立させます。
《墓掘りの檻》 3枚
《夢の巣のルールス》、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、《瞬唱の魔道士》、ドレッジ、《召喚の調べ》。現環境では《墓掘りの檻》に敗北するデッキは数多くあります。
《安らかなる眠り》 2枚
《安らかなる眠り》は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《タルモゴイフ》を使うデッキに欲しいカードです。もちろん、ストームやルールスデッキ、ドレッジに対しても頼りになります。「相棒」が導入されるまでは長らく4枚採用していましたが、今はサイドボードの《安らかなる眠り》と《墓掘りの檻》の合計枚数が5になるようにしています。
《減衰球》 2枚
主にトロンとアミュレットタイタンを意識したカードですが、ストームやアドグレイスに対しても使用できます。
《殴打頭蓋》 1枚
最近はサイドボード向けのカードだと考えるようになりましたが、メタゲームによってはメインデッキに入れて全く問題ないでしょう。
そのほかにサイドボード候補となるカード
対 タイタンシフト、トロン、アミュレットタイタン
対 コントロール
対 相棒/墓地デッキ
対 アーティファクトデッキ
《摩耗/損耗》を組み込む場合は、赤マナを多少採用しましょう。
対 ウーロザ
対 アグロ
採用を見送ったカード
《呪詛の寄生虫》
《呪詛の寄生虫》を使わずともライフ総量を上手くコントロールできるデッキですし、《ティムールの激闘》がないオルゾフシャドウにおいてはあまりにも弱いと考えました。
《流刑への道》
オルゾフシャドウにおいては、相手に追加のマナを献上したくありません。《流刑への道》そのものは強いですが、このデッキには合っていませんね。
ワンポイントアドバイス
土地:
メインデッキのそのほかのカード:
サイドボードのカードやサイドボーディング:
各マッチアップの戦い方
バーン
相手の狙いはライフを削ることだけですから、このマッチアップでは通常と異なるプランをとります。ライフの総量をできるだけ高く保ち、《死の影》は終盤のダメージレースでしか使いません。そのため、自らのライフを削るカードはサイドアウトします。フェッチランドでサーチするのは基本土地にし、クリーチャーは除去し、《殴打頭蓋》で勝利を目指します。1ターン目の手札破壊や《ルーンの与え手》で《石鍛冶の神秘家》を守れる可能性はありますが、除去されてしまった場合は5ターン目に《殴打頭蓋》を展開するまでコントロールとして立ち回りましょう。
《ブレンタンの炉の世話人》は《イーオスのレインジャー長》でサーチできます。ただ、「プロテクション(赤)」は《頭蓋割り》でダメージを軽減できなくなりますので、ブロッカーに回すときは注意が必要です。とはいえ、今は《頭蓋割り》が強くない環境で、《夢の巣のルールス》で再利用をするために《炎の印章》に取って代わられています。現在のバーンはオルゾフシャドウに対するサイドボードが1枚もなく、あったとしても2~3枚の《摩耗/損耗》だけです。《殴打頭蓋》を破壊されないように、余裕があれば3マナを構え続けましょう。
対 バーン
バント石鍛冶
とても厄介なのが《至高の評決》です。ソーサリータイミングの重量呪文を多く抱えているデッキなので、それらを妨害すべく《イーオスのレインジャー長》を生け贄に捧げることは珍しくありません。手札破壊で情報を把握している場合は特に当てはまります。このマッチアップでキーとなるのが《神秘の聖域》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《瞬唱の魔道士》なので、《安らかなる眠り》を設置しておくことが有効です。墓地を追放して《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を抹消する役割は《ケイヤの手管》も担えます。
《死の影》は《大魔導師の魔除け》にコントロールを奪われるだけでなく、4枚採用された《流刑への道》でも除去されてしまいます。先んじてこれらの呪文を手札破壊で捨てさせることが肝要です。《饗宴と飢餓の剣》と《火と氷の剣》は《氷牙のコアトル》にブロックを許しません。特に《火と氷の剣》は《空を放浪するもの、ヨーリオン》にもブロックさせず、《時を解す者、テフェリー》《精神を刻む者、ジェイス》《ドミナリアの英雄、テフェリー》のバウンス能力から装備クリーチャーを守ります。
相手は追加の《至高の評決》や2枚ほど《夏の帳》を投入してくるかもしれませんが、そのほかにはサイドインするものが大してないでしょう。
対 バント石鍛冶
ルールスジャンド
《夢の巣のルールス》にはデッキ構築の制約があるため、《致命的な一押し》は相手のあらゆるクリーチャーを対処できる万能除去となります。《安らかなる眠り》は《夢の巣のルールス》の効果を封じるだけでなく、《死の飢えのタイタン、クロクサ》《漁る軟泥》《タルモゴイフ》を弱体化させます。
除去は《夢の巣のルールス》のために必ず温存しておきましょう。一般的に《夢の巣のルールス》はその能力を一度でも使うためにマナが伸びてから戦場に出てくるので、わずかにアドバンテージを獲得されても問題ありません。そのうえ、こちらにもアドバンテージを確保できる《石鍛冶の神秘家》や《イーオスのレインジャー長》がいます。
相手は豊富な除去と《炎の印章》を抱えているため、特に後手では《潮の虚ろの漕ぎ手》の評価は低くなります。後手のときは《コジレックの審問》をもう少し残して、2ターン目の《レンと六番》に備える選択肢も考えられます。
相手がサイドインしてくるカードの候補はいくつかあります。《仕組まれた爆薬》や《夏の帳》がそのひとつであり、ときには装備品を破壊する狙いで《略奪》も考えられます。
対 ルールスジャンド (先手)
対 ルールスジャンド (後手)
ドルイドコンボ
ドルイドコンボは《献身のドルイド》と《療治の侍臣》の2枚を揃えることに特化したデッキです。手札破壊や除去を駆使すれば容易に妨害することができますが、相手に介入しないカードばかりを引いてしまうと負ける可能性があります。手札に《破滅の終焉》があることを把握していれば、《イーオスのレインジャー長》もその妨害手段のひとつとなります。《集団的蛮行》が非常に強いマッチアップですね。
《饗宴と飢餓の剣》は《死の影》に対するチャンプブロックを許さず、《火と氷の剣》は装備クリーチャーの攻撃を通せば2点ダメージを飛ばせるためチャンプブロックを強要できます。言うまでもなく、《墓掘りの檻》が効果てきめんな相手です。そのほかにも《最後の望み、リリアナ》や《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》が活躍するマッチアップでもあります。相手の主だったサイドカードは《夏の帳》ですが、相手は1~2ターン目にタップアウトするので、マナが構えられていない隙を突いて手札破壊呪文を唱えていきましょう。
対 ドルイドコンボ
アミュレットタイタン
とても相性はいいという印象です。手札破壊は相手を非常に嫌がらせるカードであり、除去は《迷える探求者、梓》《イリーシア木立のドライアド》《桜族の斥候》に当たるため腐るカードはありません。採用しているリストこそ少ないですが、《爆発域》には注意しましょう。《思考囲い》は《原始のタイタン》が出てくる直前のターンまで温存します。
《石鍛冶の神秘家》のサーチ効果で積極的に《饗宴と飢餓の剣》を求めていきましょう。手札破壊効果が強力なだけでなく、相手のあらゆる緑のクリーチャーと《死者の原野》のゾンビトークンに対する「プロテクション」を得られます。相手は《光輝の泉》と《ヴェズーヴァ》にアクセスできるので、《原始のタイタン》がいるときはダメージ計算を慎重に行いましょう。サイドボーディング後に相手が投入してくる可能性があるのは《仕組まれた爆薬》と《夏の帳》です。アミュレットタイタンはバウンスランドが8枚ほど入っているので《減衰球》が有効になります。
対 アミュレットタイタン
ウーロザ
非常に面白いマッチアップです。フェッチランドは無暗に起動せず、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《湖に潜む者、エムリー》《最高工匠卿、ウルザ》といった3~4マナのクリーチャーを《致命的な一押し》で除去できるようにします。相手は《感電破》と《神秘の聖域》で一挙に8点を奪う動きがあるので、ライフ総量には気を配りましょう。
《仕組まれた爆薬》が4枚搭載されているデッキですから、手札の情報がない状況では《死の影》を複数並べることは危険です。相手も《金のガチョウ》《アーカムの天測儀》《豊かな成長》といった1マナのパーマネントを巻き添えにすることになるので、《死の影》が1体除去される分にはまったく問題ありません。
ウーロザが再び勢力を伸ばした場合は《安らかなる眠り》を4枚にするといいでしょう。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《湖に潜む者、エムリー》が4枚ずつ、《神秘の聖域》が3枚入っているため、大きなインパクトを与えられます。
対 ウーロザ
グルールオボシュ
互角の相性ですが、《死の影》のサイズを引き上げれば相手を苦しめられます。ただし、《稲妻》や《栄光をもたらすもの》で負けないようなライフに調整しなければなりません。ライフを7にして《死の影》が6/6になれば、それだけでも盤面を支配できます。
マナコストが奇数の呪文しか入っていませんから、《東屋のエルフ》を《致命的な一押し》で除去できれば、2ターン目に危険な動きをされることはなくなるはずです。言うまでもないでしょうが、《月の大魔術師》をケアし、フェッチランドからは基本土地をサーチします。《潮の虚ろの漕ぎ手》は《砕骨の巨人》《栄光をもたらすもの》《稲妻》《反逆の先導者、チャンドラ》など多くのカードの除去対象となってしまいますし、生き残ったとしても攻撃できる機会はめったにありませんから、すべてサイドアウトします。
相手のサイドボードには特に有効なカードが存在しません。
対 グルールオボシュ
ルールスシャドウ
ルールスシャドウは《死の影》に大きく依存しています。《変異原性の成長》や《ティムールの激闘》など、《死の影》を対処してしまえば、そのほかのカードは弱体化するのです。こちらには手札破壊や除去で《死の影》を対処することができますから、このマッチアップは非常に簡単であるといえます。《夢の巣のルールス》が《死の影》を蘇らせられることから選択されるデッキですが、手札に多くのカードを腐らせるリスクに見合うほどだとは思えません。《僧院の速槍》などの別のクリーチャーでライフを狙ってくる場合でも、こちらの《死の影》の強化を手助けしてくれます。
相手のサイドボードには《夏の帳》があると思いますが、相手にはサイドインするものが多く、2戦目以降に何が使われるのかを正確に予想するのは正直難しいですね。
対 ルールスシャドウ
5色人間
5色人間は《教区の勇者》で怒涛の攻撃ができますが、こちらに除去があればそのプランを崩せます。序盤の猛攻をしのぎさえすれば、おそらく《死の影》でライフレースを制することができるでしょう。《死の影》のサイズを上げたくないという思いから、《カマキリの乗り手》の攻撃をためらってしまう場面は少なくありません。初動が《霊気の薬瓶》だった場合は手札破壊でクリーチャーを捨てさせることで機能を衰えさせます。1ターン目に《貴族の教主》が展開されたときは、後続のクリーチャーのために除去を温存しておきましょう。
《反射魔道士》が特に厄介なので、優先的に手札破壊で捨てさせます。ただ、1ターン目の《教区の勇者》を防げる場合は例外で、このときだけは《反射魔道士》よりも優先的に捨てさせたほうが賢明です。《火と氷の剣》は《反射魔道士》の誘発型能力から装備クリーチャーを守るだけでなく、《ミラディンの十字軍》や《オーリオックのチャンピオン》といったサイドボード後の煩わしいクリーチャーを除去してくれます。
対 5色人間
エルドラージトロン
相手はこちらに対して有効なカードを3種擁していますが、意識すればケアしやすいものばかりです。
《難題の予見者》を《致命的な一押し》で除去できるようにフェッチランドは温存します。ライフがあまりにも低くなってしまった場合は、《歩行バリスタ》や《現実を砕くもの》にとどめを刺されないように注意が必要です。このマッチアップでは《減衰球》はサイドインしません。
対 エルドラージトロン
トロン
エルドラージトロンと同様に、《大いなる創造者、カーン》《罠の橋》《爆発域》を採用しているデッキです。しかしそれ以外の妨害手段は乏しく、フィニッシャーや土地をサーチする呪文を手札から捨てさせればゲームを完全に支配できる可能性があります。《解放された者、カーン》も恐ろしくはありません。こちらは脅威を複数展開しますし、《イーオスのレインジャー長》をアップキープに生け贄に捧げることもできるからです。
《ワームとぐろエンジン》は脅威であり、できれば対峙したくはありませんが、トロン側が《ワームとぐろエンジン》で攻撃しても《死の影》がいれば絆魂によるライフ回復を無力化できます。仮に6点ダメージをもらったとしても、その分《死の影》が強化され、返しのターンにさらに大きなダメージを叩き込めますからね。《ワームとぐろエンジン》の絆魂を無力化するほかの方法としては、《ルーンの与え手》で「プロテクション(無色)」を与えたり、自分のブロッカーを《致命的な一押し》で除去したりすることが考えられます。
相手のサイドボードには《夏の帳》がありますが、緑マナをそう簡単に用意できるデッキではありません。
対 トロン
おわりに
今のモダンでお気に入りのデッキはオルゾフシャドウになりました。あまりにも好きになってしまったので、プレイする機会があれば実際のカードをすべて集めようと思っているほどです。それほどにも惚れ込んだデッキであり、プレイスタイルはまさに私が好みとするところです。
みなさんの好みにも合うといいですね。ツイッターのフォロワーのなかには、すでにこのデッキで勝ちまくっている人もいるようです。自分が作ったデッキで誰かが勝ってくれるのはとても気持ちがいいものです。
オルゾフシャドウをぜひ試してみてください。ここまで読んでいただきありがとうございました。