はじめに
みなさんこんにちは。
『イコリア:巨獣の棲処』から加わった「相棒」はあらゆるフォーマットの環境を激変させていますが、パイオニアも例外ではありません。どのフォーマットでも強すぎると声高らかに叫ばれている「相棒」ですが、5月18日付けの禁止制限告知ではパイオニアはノーチェンジでした。
さて、今回の連載ではPioneer Super QualifierとPioneer Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Pioneer Super Qualifier #12159745
パイオニアでも猛威を振るう《深海の破滅、ジャイルーダ》コンボ
2020年5月22日
- 1位 Gyruda Combo(Gyruda)
- 2位 Dimir Inverter
- 3位 Superfriends(Yorion)
- 4位 Dimir Inverter
- 5位 Dimir Inverter
- 6位 Superfriends(Yorion)
- 7位 UW Control(Yorion)
- 8位 Burn(Lurrus)
トップ8のデッキリストはこちら
Legacy Super Qualifierを制した《深海の破滅、ジャイルーダ》コンボは、パイオニアでも優勝できるポテンシャルがあると証明されました。
スタンダードで猛威を振るっている《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にしたコントロールデッキはパイオニアでも結果を残しています。Jeskai Lukkaでお馴染みの《銅纏いののけ者、ルーカ》もSuperfriendsに採用されており、パイオニアで十分通用する強さです。
Pioneer Super Qualifier #12159745
「Gyruda Combo」「Superfriends」
Gyruda Combo
4 《ラノワールの荒原》
4 《神秘の神殿》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
4 《光輝の泉》
4 《ザルファーの虚空》
-土地 (24)- 4 《楽園のドルイド》
4 《森の女人像》
4 《もう一人の自分》
4 《賢いなりすまし》
4 《灯の分身》
4 《難題の予見者》
1 《多面相の侍臣》
4 《たなびき織りの天使》
3 《深海の破滅、ジャイルーダ》
2 《龍王コラガン》
-クリーチャー (34)-
《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にした青ベースのコントロールデッキが多数入賞するなか、決勝戦では環境トップデッキであるDimir Inverterを倒し、見事優勝を果たした《深海の破滅、ジャイルーダ》コンボ。
デッキが点数で見たマナコストが偶数であるカードのみで構成されている必要がある《深海の破滅、ジャイルーダ》ですが、これをキーカードとしたコンボデッキはさまざまなフォーマットで結果を残しています。
マナ加速を利用して《深海の破滅、ジャイルーダ》を高速召喚し場に出たときの効果(以下ETB効果)を誘発させます。2枚目の《深海の破滅、ジャイルーダ》か《賢いなりすまし》などの《クローン》系のクリーチャー、もしくは《たなびき織りの天使》といった「明滅」持ちクリーチャーをめくることで《深海の破滅、ジャイルーダ》の能力を再び誘発させ、同様のプロセスを繰り返しクリーチャーを並べていきます。キーカードにもかかわらず、「相棒」の性質上ハンデスで妨害されず確実にキャストできるのがこのデッキの強みです。
☆注目ポイント
「相棒」の制約により、マナ加速は必然的に《楽園のドルイド》や《森の女人像》といったマナクリーチャーを使うことになります。クリーチャーを横に並べたあとは《龍王コラガン》で速攻を付けることで瞬殺が可能です。
デッキはほぼコンボオールインの構成ですが、メインボードに《難題の予見者》、サイドボードに《減衰球》《軍団の最期》など最小限の妨害要素が見られます。一見すると《深海の破滅、ジャイルーダ》の「相棒」条件を満たしながらカード選択に幅を持たせることは厳しそうですが、意外と選択肢はあるようです。
Superfriends
1 《島》
1 《山》
4 《ラウグリンのトライオーム》
4 《神聖なる泉》
3 《灌漑農地》
3 《聖なる鋳造所》
3 《蒸気孔》
2 《寓話の小道》
3 《硫黄の滝》
2 《断崖の避難所》
2 《氷河の城砦》
1 《啓蒙の神殿》
1 《天啓の神殿》
1 《アーデンベイル城》
1 《ヴァントレス城》
-土地 (35)- 2 《裏切りの工作員》
-クリーチャー (2)-
2 《至高の評決》
4 《海の神のお告げ》
4 《メレティス誕生》
3 《チャンドラの誓い》
2 《不可解な終焉》
4 《創案の火》
2 《エルズペス、死に打ち勝つ》
3 《サメ台風》
4 《覆いを割く者、ナーセット》
4 《時を解す者、テフェリー》
3 《試練に臨むギデオン》
2 《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》
4 《銅纏いののけ者、ルーカ》
-呪文 (43)-
3 《安らかなる眠り》
3 《盾魔道士、テヨ》
2 《毅然たる大天使》
2 《虚空の選別者》
1 《試練に臨むギデオン》
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-サイドボード (15)-
スタンダードのJeskai Lukkaと同様に、《空を放浪するもの、ヨーリオン》と各種プレインズウォーカー、ETB効果持ちのエンチャントメントを中心としたコントロールデッキに仕上がっています。
プレインズウォーカーを中心にした青白系コントロールは特に新しいデッキではありませんでしたが、最近はフィニッシャー枠にスタンダードでも猛威を振るっている《創案の火》と《銅纏いののけ者、ルーカ》が採用されるようになりました。
☆注目ポイント
《メレティス誕生》はこのデッキに必要な土地を確約しつつブロッカーを確保して、コントロール確立までの時間を稼いでくれます。
パイオニアでも《銅纏いののけ者、ルーカ》の[-2]能力によってデッキから《裏切りの工作員》を呼び出す戦略がとられています。何でも相手のパーマネントを奪える強力な能力ですが、相手によっては効果が薄い場合もあります。
サイド後は相手に合わせて《毅然たる大天使》や《虚空の選別者》と入れかえ、《銅纏いののけ者、ルーカ》によって場に出します。ライフを20まで回復させる《毅然たる大天使》はBurnとのマッチアップで、《虚空の選別者》はコンボ対策でありながらパワーも11と高く、フィニッシャーとしても有力です。
スタンダードのコントロールでは定番の1枚として定着している《サメ台風》はパイオニアでも有力なフィニッシャーとして密かに注目を集めています。トークンは《銅纏いののけ者、ルーカ》の[-2]能力の種としても使えるので無駄になりにくいのがこのカードの魅力です。
Pioneer Challenge #12159784
青いコントロールデッキとBurnが多数入賞
2020年5月24日
- 1位 Esper Control(Yorion)
- 2位 UW Control(Yorion)
- 3位 UW Control(Yorion)
- 4位 Burn(Lurrus)
- 5位 Burn(Lurrus)
- 6位 Ensoul Artifact(Lurrus)
- 7位 Burn(Lurrus)
- 8位 Burn(Lurrus)
トップ8のデッキリストはこちら
プレイオフの半数をBurnが占めた影響か、Dimir InverterやLotus Comboといった常連組の姿は見られず、青ベースのコントロールデッキ同士が決勝戦へと進みました。
優勝を果たしたのはハンデスによってコントロールミラーを制し、Burnとのマッチアップ用に《ケイヤの誓い》をメインから採用したEsper Controlでした。
Pioneer Challenge #12159784
「UW Control」「Burn」
UW Control
3 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《灌漑農地》
4 《寓話の小道》
1 《大草原の川》
4 《氷河の城砦》
3 《アーデンベイル城》
2 《ヴァントレス城》
3 《次元間の標》
2 《廃墟の地》
-土地 (33)- -クリーチャー (0)-
4 《検閲》
4 《吸収》
4 《至高の評決》
2 《燻蒸》
4 《不可解な終焉》
4 《海の神のお告げ》
2 《エルズペス、死に打ち勝つ》
3 《サメ台風》
4 《時を解す者、テフェリー》
3 《覆いを割く者、ナーセット》
4 《試練に臨むギデオン》
2 《太陽の宿敵、エルズペス》
3 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (47)-
UW Control自体はパイオニア初期から一定数存在していましたが、Dimir InverterやMono White Devotionに比べるとデッキパワーの面では平凡な印象でした。しかし『テーロス還魂記』『イコリア:巨獣の棲処』から新戦力を獲得し、最近はSuper QualifierやChallengeの上位でよく見られるようになりました。
元々青の3マナプレインズウォーカーと《ドミナリアの英雄、テフェリー》をカウンターとスイーパーでバックアップしていく戦略は動きも安定していました。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」に迎え入れたことで、《海の神のお告げ》《エルズペス、死に打ち勝つ》と組み合わせてアドバンテージを稼いでいきます。
☆注目ポイント
《太陽の宿敵、エルズペス》と《試練に臨むギデオン》は最近のUW Controlでよく見かけるようになったプレインズウォーカーです。《太陽の宿敵、エルズペス》はアグレッシブなゲーム展開を可能にし、中盤以降は「脱出」させることで何度もアドバンテージを取れる点が評価され採用されています。
《試練に臨むギデオン》はDimir Inverterが流行りだした『テーロス還魂記』リリース直後辺りから価値が上がり始めたプレインズウォーカーで、現在でも必ず採用しておきたい1枚です。4/4クリーチャーにもなるため、3マナのクロックとしても優秀です。
《エルズペス、死に打ち勝つ》はスタンダードでもお馴染みのエンチャントメントですが、そのカードパワーはパイオニアでも十分に通用しています。相手の脅威を対処しつつ墓地に落ちたプレインズウォーカーを再利用することで、相手とのアドバンテージ差を一気に広げるカードです。
5マナと重く、相手によって強さが変動するため、メインボードへの採用は2枚が限界そうです。ただし、コントロールやミッドレンジとのマッチアップが多いメタゲームでは3枚目を採用を検討することもありそうです。III章の対象を残しておくためにも、「脱出」する際は追放するカードに注意しましょう。
《サメ台風》はパイオニアでも青ベースのコントロールにとって定番の1枚として定着しつつあります。序盤はただのキャントリップとして「サイクリング」し、中盤以降はインスタントタイミングでフィニッシャーを作り出すなどフレキシブルなカードです。「サイクリング」は呪文としてカウントされないため、《時を解す者、テフェリー》への解答としても有力です。
Burn
《夢の巣のルールス》を「相棒」に、モダンで猛威を振るうBoros Burnはパイオニアでもコンスタントに上位入賞し続けるほどの強さです。
確実にキャストできる「相棒」の存在は速度以外の武器としてこのデッキにリソース回復手段を与え、ロングゲームにも強くなりました。
現在、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にした遅いコントロールが流行っているため、速度で勝り爆発力のあるこのデッキは有力な選択肢となります。また、トップメタのなかでは比較的安価で組めるデッキなのでパイオニアの入門デッキとしてもお勧めです。
☆注目ポイント
《大歓楽の幻霊》は特に低マナスペルを多用するLotus BreachやDimir inverterに対して真価を発揮するクリーチャーであり、1-3マナ域を主力としたデッキが多いパイオニアでは優秀なクリーチャーです。Breach Comboを意識していたらしく《灰の盲信者》もメインから採用されています。
最速4ターンキルもできる速攻デッキですが、《夢の巣のルールス》と《舞台照らし》のもたらすアドバンテージによって中盤以降も息切れがしにくくなっています。
クリーチャーデッキとのマッチアップでは《大歓楽の幻霊》が自分の首を絞めかねないため、除去として使えない《ボロスの魔除け》と合わせて《岩への繋ぎ止め》や《灼熱の血》と入れかわります。
総括
パイオニアでも上位に《夢の巣のルールス》、《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にしたデッキが多数見られます。《深海の破滅、ジャイルーダ》コンボもSuper Qualifierを優勝するなど高いポテンシャルを秘めています。
Lotus Breachなど「相棒」非採用ながら健闘していますが、最近は《夢の巣のルールス》によって大幅に強化されたBurnに押され気味です。6月1日には「相棒」について何らかの変更が加えられる可能性もあり、今後の動向からも目が離せません。
【お知らせ】来週の6月1日(日本時間該当日深夜)に最新の禁止制限告知が行われます。対象フォーマットはスタンダードおよびヒストリック、また「相棒」メカニズムについても対応を行う予定です。 https://t.co/FUohnn2Gm8
— マジック:ザ・ギャザリング (@mtgjp) May 27, 2020
USA Pioneer Express Vol.5は以上です。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいパイオニアライフを!