主催者インタビュー: 晴れる屋 井川 良彦

晴れる屋

By Hiroshi Okubo


 「グランプリ・千葉2016」閉幕。

 参加者数は総勢2,503名。歴史に名を残す規模のイベントとなるであろう本グランプリでは、その他にも「オンラインデッキ提出」「プッシュ通知でペアリングを知らせるスマートフォンアプリ」「学生参加費無料」など数多くの新しい試みが見られ、話題を呼んだ。

 晴れる屋は今回のグランプリにどのような想いを込めたのか? 閉場時間が迫る慌ただしい中ではあったが、グランプリの主催者である井川 良彦に話を伺うことができた。






■ 自分の思い描く理想のグランプリ

--「ズバリ、今回のグランプリでは『参加者全員が、特別な体験ができるグランプリ』をテーマに掲げ、様々な新しい試みがなされています。これらはどういった経緯で実施することになっていたのでしょう?」

井川「私自身も【Hareruya Pros】として活動させていただいる中で、国内外のグランプリに出場して、もっと快適なグランプリに参加したい、開催したいと実感したのがスタートになっています。その上でスタッフと議論し、『オンラインデッキ登録』や『プッシュ通知でペアリングを知らせる』といったサービスを今回導入してみました」





--「なるほど。実際にプッシュ通知やオンラインデッキ提出を運用してみて、主催者としてはいかがでしたか?」

井川「実際にトーナメント運営もスムーズに進行していますので、成功だったと実感しています。プッシュ通知同様、オンラインデッキ提出も初めての試みでしたが、大きなトラブルもなく運用でき、朝のシートオール(集合)を省略できたことで初日は朝の9:09に第1回戦を開始することができました。これは世界最速記録だと思います」

--「世界最速ですか! それはすごいですね」

井川「もちろん、プレイヤーのみなさんの協力があってのことです。『便利で助かりました』という言葉もいただきましたが、こちらからも感謝の言葉を申し上げたいですね。本当に、ありがとうございます」

--「従来のように紙のペアリングが掲示された場所にプレイヤーが一斉に集まる……みたいなことはありませんでしたね。みんなスマートフォンで自分の席を探して直接プレイエリアへ移動する、といった感じで」

井川「そうですね。グランプリは長丁場でプレイヤーにとってもタフなイベントですが、運営スタッフやジャッジにとっても同様に大変なイベントです。なので、削れる労力を可能な限り削ることでスタッフの労力を減らし、その分他のことに人員を割いたり時間短縮を図ることができました。今はほとんどの人がスマートフォンを持っていますし、今後は弊社主催のグランプリだけではなく、こういった時代に合わせた運営が増えていくように思います」

--「休憩スペースやフリードリンク&スナックの提供も話題になっていました」

井川「そうですね。グランプリを戦い抜くには休む場所もほしいですし、自分もそうですが、本戦に参加しているときはあまりマジック以外のことに手間取りたくないですよね。自分だったらどんなグランプリに参加したいか? というプレイヤー目線を常に意識して、参加者にとって快適に過ごせるグランプリを目指したんです」

--「なるほど。そういった意識から、今回のフリードリンク&スナック、という企画が出たのですね」




井川「そうですね。特に今回の会場である幕張メッセは周囲のコンビニなども少ないので、気軽に食べ物や飲み物が手に入ったらうれしいだろうな、と。なかなかグランプリ参加中って会場から離れたくないじゃないですか? そういう“自分だったらこういうサービスを受けたい”みたいな理想を反映していきたいと思ったんです」

--「数多くのグランプリ参加経験が、今回の運営にも活かされているということですね。」

井川「そうかもしれません(笑) たとえば、今回はフィーチャー席の周りにステージを設けて上からも観戦できるようにもなっています。やはり私自身もフィーチャーマッチは間近で見たいと思いますし、フィーチャーマッチが『ショー』として盛り上がってほしいと思っています。そういった部分はかなり理想に近づけられたと思います」



※画像は【マジック:ザ・ギャザリング日本公式】より引用させていただきました。



■ マジックを文化にしたい

--「学生の参加費無料という試みも大きな話題を呼んでいました。これはどういった意図の企画なのでしょうか?」

井川「これは私自身がグランプリなどに参加していて肌で感じるのですが、最近では大型イベントに参加しているプレイヤーの年齢層も高まってきています。昔は10代でプロツアーデビューを果たすプレイヤーも少なくありませんでしたが、今ではほとんど見られません」

--「たしかに昔のカバレージなどを見ると、若いプレイヤーが多かった印象がありますね」

井川「そうですね。若い世代が世界で活躍する姿を見たい、と考えているベテランプレイヤーは、私も含めて多いと思います。そして、そのためには若いプレイヤーに実戦を経験して欲しいと考えました。そこで、学生など若い層のプレイヤーが参加しやすくなるよう『学生の参加費無料』を実施しました」




--「なるほど。グランプリのような大きな大会に参加することは貴重な経験ですし、実戦で得た経験というのは、何者にも代えがたいですよね」

井川「そのとおりですね。そして、若い世代が活躍することこそが、これからのマジックを盛り上げていく鍵であることも間違いありません。晴れる屋の大目標は『マジックをもっと盛り上げていくこと』です。そして、その盛り上がりが、5年、10年、さらにその先の未来まで続いていき、マジックが”文化”として根付いてほしい、と考えています。これは、今回のグランプリを主催するに際しても、私を含むスタッフ全員が常に意識していたことでもあり、主催した立場として、そして、一人のマジックプレイヤーとして、今回のグランプリをきっかけに、国内外のグランプリに参加する若い世代が増えてくれたら嬉しいですね」



--「そろそろ閉場の時間が迫ってまいりました。最後になりますが、みなさまへ向けて一言お願いします」

井川「これまでのグランプリ参加費と比べて、本グランプリの参加費は高めの設定でした。これについては数多くのご意見をいただいていましたが、皆様のご協力のおかげで、快適なグランプリがご提供できたのではないかと考えております。 グランプリ・千葉2016についてのご意見やご感想などございましたら、Twitterハッシュタグ『#GPChiba』『#GP千葉ご意見箱』でお聞かせください!来年以降のグランプリ運営の参考にさせていただきます!」

--「本日はお忙しいところありがとうございました!」



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