11/26(土)~11/27(日)の2日間、グランプリ・千葉2016に参加してきました。
今回のグランプリは燃えに燃えていました。
と言うのも、先日開催された【グランプリ・クアラルンプール2016】にて松本 郁弥さんが優勝。
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング日本公式ウェブサイト】より引用しました。
彼は【グランプリ・京都2016】で共にトップ4入りを果たしたチームのメンバーです。
そして同じくチームメンバーである平見 友徳さんも【グランプリ・名古屋2016】の覇者。
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング日本公式ウェブサイト】より引用しました。
彼らとは仲間であると共に切磋琢磨し合う関係でもある(と勝手に思っている)わけですが、端的に言って悔しい! 完全に置いて行かれてしまいました。
すぐには無理でしょうがいずれは肩を並べて渡り合えるようになりたい。そのためにもまずは目の前の目標に対しベストを尽くすのみです。
1. デッキ選択
今回のデッキ選択は大迷走。と言うのも、はじめはプレイに自信のある「オムニテル」をほぼ決め打っていて、それで行く気満々でした。
【第7期レガシー神挑戦者決定戦】を8-1-1、直後に参加した【Magic Onlineのリーグ戦】で5-0、【晴れる屋休日レガシー杯】を4-1-1の後に【The Last Sun 2016予選】を4-0-1と絶好調。
「これは決まりだ!」と息巻いていたのですが、あるときを境に急激に勝てなくなってしまいました。
本番が近づくにつれ、主流デッキ達がコンボ相手に取る対策を確立し始めたことに由来し、2つのプランの板挟みになってしまったのが原因です。
1つは「奇跡」や「デルバー」が取る《狼狽の嵐》。
《狼狽の嵐》は非常に信頼性の高いカウンター呪文で、《実物提示教育》を対策する上では最上位に位置すると言っても過言ではありません。
「ストーム」の持つ性質上これをカウンターし返すのは難しく、コンボを通しに行く上では一度カウンターを許し、2枚目の《実物提示教育》を探しに行くのが妥当な対応策です。
ですが、特定の呪文の2枚目を探し出すというのもそう簡単な話ではなく、「オムニテル」はノンクリーチャー・ノーガードデッキですから、その猶予期間も非常に短いです。
「奇跡」相手にはじっくり探し出すことも可能ですが、「URデルバー」のような攻撃的なデッキ相手にその時間はロクに確保できません。
さらに一度キーカードが墓地に落ちてしまうと、普段は全く気にならない《外科的摘出》も危険なカードと化します。
1枚目の《実物提示教育》を巡る攻防に競り勝てば相手側の《外科的摘出》は腐らせることができるのですが、《狼狽の嵐》と組み合わさった際には大変な脅威です。
2つ目は「グリクシスデルバー」や「BUG続唱」が取る《陰謀団式療法》や《トーラックへの賛歌》。
「オムニテル」は原則3枚コンボなので十分な枚数の土地と手札が必要であり、カード枚数を削りに来るハンデスは非常に辛い一手。
《陰謀団式療法》は「フラッシュバック」能力がカウンターに対して強く、《トーラックへの賛歌》は《死儀礼のシャーマン》から始められてしまうと《呪文貫き》もできないので《意志の力》を使うしかなく、そうなると実質1:2交換を取られてしまっています。
ハンデス戦略に対抗すべく、アドバンテージ源として《パズルの欠片》を採用する構築が主流となり始めましたが、このカード、自ら《引き裂かれし永劫、エムラクール》や《全知》と言ったキーカードを墓地に落としてしまうため、上述の《外科的摘出》の格好の的になります。
かつ3マナとやや重いカードであるため、運用の都合《古えの墳墓》や《裏切り者の都》と言った2マナランドを増やさざるを得ず、「オムニテル」の「単色ゆえに《不毛の大地》を食らいづらい」という利点も失われつつありました。
あちらを立てればこちらが立たず。構築を変えるたびに片側に強くなったり弱くなったりでなかなか着地点が見えてこず、最終調整の場と考えていた【第8期レガシー神挑戦者決定戦】では4-5の惨敗。
この時点で本番まで残り1週間。
残り1週間で対極の課題に対する回答を閃くことに賭けるか、はたまたデッキを変更するか。決断を迫られます。
結論は保留としたまま、他の選択肢をプレイしながらアイデアを探る日々を過ごし、本番まで3日と迫った11月23日。晴れる屋でのThe Last Sun 2016予選を控えたこの日、「オムニテル」の改善案は浮かばなかったため、前日時点で感触の良かった「BUG続唱」あたりを持ち込もうとしていたところ、Twitterにて1通のDMを受け取ります。
再びのアレです。
彼は直前のトーナメントで「デス&タックス」をプレイしていました。(※タクヤは彼の愛弟子にちなんだ呼び方です)
好きなデッキではありませんが、やぶさかではないかと話を聞いてみると、まさかのノー。
そして恐る恐る探りを入れてみると…
デルバーは僕がこのフォーマットで最も毛嫌いしているデッキです。
とは言え、現状の候補も別段良しとされるものでもありません。この日の大会で使用し、フィードバックを行うことを条件にデッキをシェアしてもらいました。
3 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地 (18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (12)- |
1 《突然の衰微》 4 《渦まく知識》 4 《目くらまし》 1 《四肢切断》 4 《意志の力》 4 《稲妻》 2 《呪文貫き》 4 《もみ消し》 2 《思考掃き》 4 《思案》 -呪文 (30)- |
2 《悪意の大梟》 2 《思考囲い》 1 《硫黄の精霊》 1 《狼狽の嵐》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《呪文嵌め》 1 《外科的摘出》 1 《突然の衰微》 1 《古えの遺恨》 1 《真髄の針》 1 《梅澤の十手》 1 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード (15)- |
彼がこよなく愛した「カナディアンスレッショルド」を現代風味にチューンした内容で、コンセプトは「ミラクルに勝つデルバー」。
既存のデルバーが用いる《不毛の大地》《目くらまし》は「ミラクル」の基本地形を伸ばしていく戦術に弱くケアされやすいのですが、《もみ消し》を用いたマナ否定戦略を交えることで各カード間の相乗効果を狙っています。
詳しい話はいずれ彼の口から語られるはず…
ともあれ、シェアしたリストをそのまま持ち込んだ大会結果は以下の通り。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | デス&タックス | 〇〇 |
Round 2 | 赤単ストンピィ | ×〇〇 |
Round 3 | 《壌土からの生命》コントロール(行弘賢さん) | 〇×〇 |
Round 4 | URデルバー | ×× |
Round 5 | ミラクル | 〇〇 |
Round 6 | 赤単ストンピィ | ×〇× |
Round 7 | エルドラージ | 〇〇 |
Round 8 | ミラクル(三原槙仁さん) | 〇〇 |
6-2。
平凡な数字でしたがゲーム内容的には感触の良いものが多く、個人的には上々の結果でした。
現状のトーナメントシーンではほとんど見かけることがなくなった《もみ消し》は奇襲性が高く、見掛け以上の効果を発揮できたのも良好です。
翌日の大会では全勝を記録し、ビビッ!と来たため急遽ではあるもののデッキが決定。前日会場で市川さんと合流し、フィードバックを行った結果最終的なリストを以下としました。
3 《Underground Sea》 2 《Volcanic Island》 1 《Tropical Island》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《汚染された三角州》 4 《不毛の大地》 -土地 (18)- 4 《死儀礼のシャーマン》 4 《秘密を掘り下げる者》 4 《グルマグのアンコウ》 -クリーチャー (12)- |
1 《突然の衰微》 4 《渦まく知識》 4 《目くらまし》 1 《四肢切断》 4 《意志の力》 4 《稲妻》 2 《呪文貫き》 4 《もみ消し》 2 《思考掃き》 4 《思案》 -呪文 (30)- |
2 《思考囲い》 1 《四肢切断》 1 《硫黄の精霊》 1 《狼狽の嵐》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《呪文嵌め》 1 《外科的摘出》 1 《突然の衰微》 1 《古えの遺恨》 1 《真髄の針》 1 《冬の宝珠》 1 《罠の橋》 1 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード (15)- |
サイドボードとしてはクリティカルでなかった《悪意の大梟》と、デッキ的にフィットしなかった《梅澤の十手》をアウトし、該当するデッキに対して効果の大きい《四肢切断》《冬の宝珠》《罠の橋》に変更。
急遽決定したデッキのためまだ対戦できていないデッキも多く、フィーリングで戦わざるを得ない状況が多そうなのが懸念点ではありますが、よく考えてベストを尽くすことをテーマに当日へ臨むことを決意しました。
2. 本戦1日目
ちょうど1年前の今頃はプレインズウォーカー・ポイント(PWP)が不足しByeがなく四苦八苦していましたが、この所は海外グランプリへの遠征や神挑戦者決定戦などの中規模イベントへの参加が増えたためすでに4000近いPWPがあり、ラウンド2までをスキップできるようになりました。
特にレガシーグランプリは多種多様なデッキが存在し全く想定していないローグデッキと対戦する可能性もありますので、序盤戦のByeは安心感があります。
今回の《もみ消し》入りデルバーのようにピーキーなデッキでは、軸の違い過ぎるデッキに対してはあっけなく負けてしまうことも多いです。
さて、本戦の結果は以下の通り。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | BYE | |
Round 3 | 4Cデルバー | ×〇△ |
Round 4 | ミラクル | 〇〇 |
Round 5 | ミラクル | ×〇〇 |
Round 6 | 4Cジャンク | 〇×× |
Round 7 | ミラクル | ×〇〇 |
Round 8 | 青黒リアニメイト | 〇〇 |
Round 9 | 《食物連鎖》コンボ | 〇〇 |
初日の成績は6-2-1。
Bye明けの初戦を早速引き分けに…
確かによく考えることをテーマとしていたものの、考え込み過ぎて引き分けてしまっては元も子もなく、残念なスタートを切ってしまいました。
ミラーマッチは互いに土地を縛り合いクリーチャーを潰し合うので試合がぐだりやすく、互いにディスカードし合うようなズルズルの試合でした。
そして今回最も頭を悩ませたのが《思案》の扱いについて。
このデッキ、土地の枚数は18枚ですが、ほとんどのカードが色マナを要求しているので《不毛の大地》は土地としてカウントしづらく、実質の土地枚数は14枚。決して多いとは言えない枚数です。
場に1枚の土地と手札に《思案》《もみ消し》。盤面的に《もみ消し》を構えるのはマストであるものの、このまま土地を引かないようでは苦しいという状況がこの日3回あり、そのいずれも見た3枚にもシャッフル後の1枚にも土地が見つからず敗北に繋がってしまいました。
他のプレイヤーに相談した結果も「プレイしそう」との回答が多く、それでももう何ターンか粘ってみるべきだったのか、不運で済ますべきなのか、未だにモヤモヤしています…
3. 本戦2日目
初日の結果によりトップ8の目はなくなってしましたが、今シーズンの目標である「シルバーレベル」のため、1点でも多くのプロポイントを稼ぐ必要があります。
結果は以下。
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 10 | グリクシスデルバー | 〇〇 |
Round 11 | 赤黒リアニメイト | 〇〇〇 |
Round 12 | デス&タックス | 〇〇 |
Round 13 | ミラクル | 〇〇 |
Round 14 | ミラクル | ×〇× |
Round 15 | 青白クロックパーミッション | ×× |
デッキの理解が深まり4連勝と好調。
このままラスト2戦を勝ち抜いて貴重な3点を獲得!!と意気込みますが、最後をずるっといってしまい最終成績は10-4-1。
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング日本公式ウェブサイト】より引用しました。
R14でオーストリアのゴールドプロ・Valentin Macklさんとマッチング。
3ゲーム目に《思考囲い》で《精神を刻む者、ジェイス》3枚のみの手札を見たときは勝利を確信しましたが、怒涛のトップデック連打で細い勝ち筋を辿られてしまい敗北。悔しい~!
ここで集中の糸がプツリと切れてしまい、R15ではひどいミスを連発して敗北。接戦を落とすとそのままズルズル行ってしまうのは僕の悪い癖です。何とかしなければ…
4. まとめ
初日を成熟度の低さで落としてしまうのは前回の【グランプリ・広州2016】と同様のパターン。
結果を出せた【グランプリ・京都2016】は徹底的なやり込みによるものだったので、現状の腕前では急な乗り換えに対応できそうにありません。
早期にデッキを固めてしまうことが理想ですが、今後目標としていくプロツアーでは新セット発売から2週間しか間がなく、直前での変更もそう珍しいことではないはずです。
「向かないからやらない」ではなく「できるようになる」が引き続きの課題であり、「できるようになるための方法を探す」ことが次への第一歩です。
今回のデッキは自分のこれまでプレイしてきたマジックとは一風変わったもので、プレイするごとに発見の連続。あらゆる感覚・価値観を身につけていく事が今後のマジックライフで必ずや生きてくることでしょう。
結果とは別に一つ進歩できたように思います。
次なる舞台は【プロツアー『霊気紛争』】。
【プロツアー『マジック・オリジン』】ぶりのプロツアー参戦となりますが、ここでの結果が「シルバーレベル」の目標達成に大きく関わってきます。
良い結果を残せるよう、練習あるのみです。
それではまた次回。
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