はじめに
みなさんこんにちは。
いよいよ今週末には『基本セット2021』がリリースされます。テーブルトップに先駆けてMOではすでにリリースされ、同セットのカードを採用したデッキも活躍しています。
今回の連載ではここ2週間に開催されたModern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Challenge #12171462
優勝はBlue moon
2020年6月20日
- 1位 Blue Moon
- 2位 Devoted Combo
- 3位 Thoptor Control
- 4位 Amulet Titan
- 5位 Urza
- 6位 Ad Grace
- 7位 Bant Control
- 8位 Blue Moon
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ルール変更によって一部を除いて「相棒」を採用したデッキは見られなくなり、環境は多様性を取り戻したため面白くなってきました。
Devoted ComboやAd Graceといったコンボデッキをはじめ、ビッグマナ系のAmulet Titan、コントロールデッキとさまざまなアーキタイプが活躍するモダンらしい結果となりました。今大会で優勝をおさめたのは古典的な青ベースのコントロールデッキであるBlue Moonでした。
デッキ紹介
Blue Moon
長い間環境に存在している青赤ベースのコントロールであり、2色を活かしたマナ基盤の強さが特徴です。そのため特定のアーキタイプに刺さる《血染めの月》をメイン、またはサイドに採用でき、このことからBlue Moonと呼ばれているデッキです。
青はカードアドバンテージとカウンター、赤は除去とシンプルながら綺麗に役割がまとめられています。除去はクリーチャーだけではなくプレインズウォーカー対策も兼ねるため、コントロールやミッドレンジとのマッチアップでも無駄になるカードが少ないのもこのデッキの強みです。軽い火力と《瞬唱の魔道士》の組み合わせは小型クリーチャーを多用する戦略に強く、コントロールやコンボに対してはアグロプランを取ることも可能です。
デッキパワーでゴリゴリ押していくタイプではなく、相手の動きに合わせて適切にプレイするため繊細なプレイングが求められます。難易度は高めですが、クラシックなパーミッションタイプのコントロールデッキが好きなプレイヤーにおすすめできるデッキです。
☆注目ポイント
《大魔導師の魔除け》《謎めいた命令》など色拘束は強いが強力なスペルを運用できるように、このデッキのマナ基盤は基本地形の《島》が中心となっています。基本地形が多いため、特定のデッキや戦略に対して勝ちが確定する《血染めの月》も採用可能です。
しかし、最近では多色コントロールのマナ基盤は《アーカムの天測儀》と氷雪基本地形によって構成されていることが多く、《血染めの月》が効きにくくなっているためこのデッキではサイドに落とされています。
《氷の中の存在》はブロッカーでありながら、中盤以降は変身することで攻守を入れかえるカードとなります。能動的にキャストできる軽いスペルが多いため変身させやすく、このデッキにとって重要な1枚です。
除去は火力が中心なので、《タルモゴイフ》《聖遺の騎士》などの高タフネスクリーチャーの処理が困難でしたが、《霊気の疾風》を採用したことで大幅に改善されました。
Devoted Combo
クリーチャーベースのコンボデッキで、数少ない「相棒」を使ったデッキ。構成上マナクリーチャーを多数採用しているため、ルール変更による大きな弱体化は見られません。《献身のドルイド》と《療治の侍臣》を揃えて無限マナ・コンボを決め、最終的に《破滅の終焉》や《歩行バリスタ》で勝利します。
《夢の巣のルールス》を採用することで、コンボパーツの《献身のドルイド》《療治の侍臣》を再利用できるようになり、除去を多用するデッキにもある程度耐性がついています。
☆注目ポイント
元々デッキ内のパーマネントのマナコストは2以下が中心だったため、《夢の巣のルールス》を「相棒」にすることは容易です。定番の《ミシュラのガラクタ》に加えてクリーチャーを再利用できるので、除去を多用するデッキに対しても何度もコンボを仕掛けることが可能なのです。
一時的なリアニメイトスペルである《死後の一突き》は、最近4枚積まれていることが多いカードです。速攻を付与できるため、除去された《献身のドルイド》や《療治の侍臣》をリアニメイトして即座にコンボを狙えます。
相手の妨害スペルが増量されるサイド後は《ブレンタンの炉の世話人》《夏の帳》《顕在的防御》を使い、自軍のクリーチャーやコンボを守ります。コンボ達成のため、コストが軽いものを優先的に選択しています。
Modern Challenge #12174832
優勝は『基本セット2021』からの新カードを使ったゴブリン
2020年6月27日
- 1位 Goblins
- 2位 Eldrazi Tron
- 3位 Dredge
- 4位 Bant Control
- 5位 Blue Tron
- 6位 Jund
- 7位 Azorius Stoneblade
- 8位 Gruul Midrange
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今大会で優勝を果たしたGoblinsは『基本セット2021』の新カードを軸に据えたデッキとなります。
デッキ紹介
Goblins
1 《冠雪の沼》
2 《血の墓所》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《魂の洞窟》
4 《婆のあばら家》
4 《黒割れの崖》
1 《焦熱島嶼域》
-土地 (22)- 4 《人目を引く詮索者》
4 《モグの戦争司令官》
4 《飛び道具の達人》
4 《ボガートの先触れ》
4 《ゴブリンの女看守》
2 《パシャリク・モンス》
1 《ゴブリンの戦長》
2 《投石攻撃の副官》
1 《ゴブリンの首謀者》
1 《鏡割りのキキジキ》
-クリーチャー (27)-
2 《タール火》
2 《沸騰》
2 《血染めの月》
2 《大祖始の遺産》
1 《ゴブリンのクレーター掘り》
1 《ゴブリンの首謀者》
1 《ゴブリンの損壊名手》
-サイドボード (15)-
マジックの世界において、ゴブリンはエルフと並んでもっともポピュラーな部族の1つです。近年、レガシーのGoblinsでも活躍している《ゴブリンの女看守》《ゴブリンの首謀者》《ゴブリンの戦長》といった強力なゴブリンが次々と再録され、さらに『モダンホライゾン』からも新戦力が登場したことでトーナメントレベルのデッキとなりました。
『基本セット2021』で登場した《人目を引く詮索者》はGoblinsを1つ上のステージへと押し上げ、遂に強豪の集まるModern Challengeで優勝するまでになったのです。
☆注目ポイント
新カード《人目を引く詮索者》はゴブリン・呪文限定の《未来予知》であり、戦場に生き残り続ける限りアドバンテージを稼ぐことができます。これだけでも十分に優秀ですが、《鏡割りのキキジキ》と組み合わせることでなんと無限コンボを決めることもできます。
2ターン目に《人目を引く詮索者》、3ターン目に《ボガートの先触れ》でライブラリートップに《鏡割りのキキジキ》を置きます。必要な数だけ《人目を引く詮索者》のクリーチャー・トークンを生成し、最後に《ボガートの先触れ》を対象にコピーして《投石攻撃の副官》をライブラリートップに置くことで瞬殺コンボが成立します。
《ゴブリンの女看守》や《ゴブリンの首謀者》によってアドバンテージを稼げるため、フェアなゲームでも十分に戦うことができるのがこのデッキの特徴です。クリーチャーが並ぶので単体除去が効きにくく、スイーパーで流されても《ゴブリンの首謀者》や《人目を引く詮索者》によって立て直すことができます。
《飛び道具の達人》は瞬速持ちのため《霊気の薬瓶》がなくてもコンバットトリックとして使えます。
サイド後は《沸騰》や《血染めの月》といった相手の土地を縛る手段も用意されています。今後、このデッキが使われることを考えるとサイドに《疫病を仕組むもの》は必須となりそうです。
Modern Challenge #12174833
決勝戦は青ベースのコントロール対決
2020年6月28日
- 1位 Bant Control
- 2位 Sultai Control
- 3位 Mono Red prowess
- 4位 Temur Scapeshift
- 5位 Sultai Control
- 6位 Infect
- 7位 Grixis Delver
- 8位 Amulet Titan
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《アーカムの天測儀》と氷雪基本地形によって、青ベースの多色コントロールは安定性を損なわずにデッキパワーを高く維持することが可能となっています。そのため現環境では常に安定した成績を残し続けています。
今大会の注目デッキは『基本セット2021』からの新カードである《盗賊ギルドの処罰者》を採用したGrixis Delverです。
デッキ紹介
Sultai Control
1 《冠雪の沼》
1 《冠雪の森》
1 《ゼイゴスのトライオーム》
1 《繁殖池》
1 《湿った墓》
4 《霧深い雨林》
4 《汚染された三角州》
1 《沸騰する小湖》
2 《神秘の聖域》
4 《廃墟の地》
-土地 (25)- 4 《氷牙のコアトル》
1 《瞬唱の魔道士》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (8)-
1 《塵へのしがみつき》
3 《マナ漏出》
1 《突然の衰微》
3 《否定の力》
2 《大魔導師の魔除け》
2 《真冬》
2 《謎めいた命令》
4 《アーカムの天測儀》
1 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《最後の望み、リリアナ》
3 《精神を刻む者、ジェイス》
-呪文 (27)-
3 《虚無の呪文爆弾》
2 《夏の帳》
1 《疫病を仕組むもの》
1 《外科的摘出》
1 《大魔導師の魔除け》
1 《真冬》
1 《サメ台風》
1 《夢を引き裂く者、アショク》
-サイドボード (15)-
マジック殿堂顕彰者であるGabriel Nassif選手がModern Challengeで使用し、優勝したことで知名度を上げたSultai Snow Control。ほかのSnow Controlと同様に、《アーカムの天測儀》と氷雪基本地形の恩恵で3色ながら安定感のあるマナ基盤を獲得しています。《血染めの月》に耐性があるのはもちろんのこと、3色以上のデッキでは使いにくかった《廃墟の地》も無理なく4枚採用されています。
環境が変わって以来、Snow Controlは引きムラの少ない60枚型が主流となっています。
☆注目ポイント
BantからSultaiに変わったことで主に使える除去、プレインズウォーカーの種類に大きな変化が見られます。白と比べると効率的で汎用性が高い除去を採用できることが黒を足すメリットの1つです。バントでは序盤をしのぐために《流刑への道》を使ってしまい相手のマナが増え、結果的に不利なゲームを強いられるリスクがありました。
しかし、《致命的な一押し》はリスクをとらずに相手のクリーチャーを除去できます。《突然の衰微》はクリーチャーだけではなく、《時を解す者、テフェリー》《レンと六番》《夢を引き裂く者、アショク》など厄介なプレインズウォーカーも対策できる1枚です。
3マナのスイーパーである《真冬》を採用できるところも黒を使う理由の1つです。自軍の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を巻き込まないように氷雪パーマネントの枚数を調整する必要はありますが、《氷牙のコアトル》を残しつつ場を更地にできるため後続にもしっかり対応できます。
《最後の望み、リリアナ》はクリーチャー戦だけではなく、同型でも《氷牙のコアトル》や《瞬唱の魔道士》を除去したり《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のために墓地を肥やしたりとデッキとかみ合った能力を持つプレインズウォーカーです。奥義によるフィニッシャーも兼ねています。
《サメ台風》はパーミッションスペルを構えながら隙を作らずにフィニッシャーを生成可能であり、モダンのコントロールでも採用されるようになりました。同型に強いカードですが、トークンは《大魔導師の魔除け》で奪われる恐れがあるため注意が必要です。
種族デッキでは定番のHumansに加えてGoblinsが台頭してきているので、《疫病を仕組むもの》は今まで以上に重要なカードとなりそうです。
Grixis Delver
1 《沼》
3 《湿った墓》
2 《蒸気孔》
1 《血の墓所》
4 《汚染された三角州》
4 《沸騰する小湖》
1 《神秘の聖域》
-土地 (17)- 4 《秘密を掘り下げる者》
4 《盗賊ギルドの処罰者》
3 《瞬唱の魔道士》
3 《ヴァントレスのガーゴイル》
1 《厚かましい借り手》
-クリーチャー (15)-
「相棒」ルールの変更によって一時は環境から消えていたGrixis Delverですが、『基本セット2021』から新戦力を獲得したことで復権してきました。これまでは《夢の巣のルールス》を最大限活かすためにミッドレンジになっていましたが、今回のデッキは《盗賊ギルドの処罰者》や《ヴァントレスのガーゴイル》といった条件付きながら高いマナレシオを持つクリーチャーが多数採用されたアグロ寄りの構成です。
☆注目ポイント
《盗賊ギルドの処罰者》は《思考掃き》やハンデスを駆使することで、1マナ3/2と中々のサイズのクリーチャーとなります。瞬速と接死があるため、疑似的な除去としても使えます。
《盗賊ギルドの処罰者》や《思考掃き》を利用することで、《ヴァントレスのガーゴイル》の攻撃条件を満たしやすくなっています。2マナ5/4飛行という破格のマナレシオであり、アタッカーとして十分機能します。
墓地の状況に依存したカードが多く、サイド後は《安らかなる眠り》など対策が厳しくなると予想されるため、追加の勝ち手段として《苦花》が採用されています。除去を多用するコントロールとのマッチアップで特に有効です。また、生成されるトークンもならず者(Rogue)クリーチャー・トークンであり、《盗賊ギルドの処罰者》とシナジーがあります。
総括
モダンは変化し続けているデッキが多く、Goblinsのように『基本セット2021』で強化され早くも結果を残したデッキも見られます。
日本国内ではテーブルトップの大会も復活してきています。晴れる屋 トーナメントセンター 東京では7月12日にモダン神挑戦者決定戦トライアルの開催が予定されています。モダン好きな方はお見逃しなく!
USA Modern Express vol.42は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!