Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/07/29)
《死者の原野》再び
今日は僕のお気に入りである”ヒスト”リックのデッキ、「スケープシフト」を紹介しよう!MTGアリーナで賞金制の大会が控えている今、この甘美なデッキをマスターするために知っておくべきことをすべて説明したいと思っていた。最近、《運命のきずな》が禁止されて《探検》が追加されたことで、このデッキはとても強くなったんだ。
《死者の原野》は、《風景の変容》を使わない《不屈の巡礼者、ゴロス》デッキで使われていることが多いけど、《風景の変容》というカードはあまりにも強すぎると思う。特に《時を解す者、テフェリー》と組み合わせると本当に強力だ。ゲームを即座に終わらせることができるし、ゾンビとアドバンテージで相手をじりじり追い詰めるだけでは十分でないマッチアップにおいてとても重要なことだ。
2 《島》
2 《森》
2 《寓話の小道》
2 《繁殖池》
2 《神聖なる泉》
2 《寺院の庭》
1 《インダサのトライオーム》
1 《ケトリアのトライオーム》
1 《ラウグリンのトライオーム》
1 《ゼイゴスのトライオーム》
1 《氷河の城砦》
1 《内陸の湾港》
1 《陽花弁の木立ち》
1 《啓蒙の神殿》
1 《神秘の神殿》
1 《豊潤の神殿》
4 《死者の原野》
1 《爆発域》
1 《光輝の泉》
-土地 (30)- 2 《ハイドロイド混成体》
4 《エルフの再生者》
2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
2 《不屈の巡礼者、ゴロス》
-クリーチャー (10)-
カード選択
マナベース
いつもなら呪文から説明するけど、今回は土地から行こう。このデッキには30枚の土地が入っていて、普通と違ってこのデッキでは呪文が土地のためにある。デッキの中核は《死者の原野》で、もう今となってはみんな土地を置いているだけでゾンビを生みだしながら無色マナも出す土地がどれだけ強いか知っているだろう。このデッキは土地を置く正しい順番を覚えるには最適のデッキで、あとでそれについては掘り下げよう。
理論上はほかの土地をすべて1枚ずつ入れる形になるけど、アンタップインランドが十分な枚数欲しいから各ショックランドと基本土地は2枚ずつ入っている。《寓話の小道》は2回《死者の原野》を誘発できるから優秀なカードだ。ただ、フェッチしてくる基本土地が切れるといけないからこの数に留めているよ。3枚目は入れてもいいかもね。
トライオームは様々な理由から強い。異なる名前の土地の種類を増やせるし、チェックランドはアンタップインできるようになる。それに、ゲーム後半では「サイクリング」できて、いつかは《不屈の巡礼者、ゴロス》の起動型能力を使えるようになるからね。このデッキで頻繁にやりたいことではないけど、その選択肢があるのはいいことだ。
3種類のチェックランドと3種類の神殿は単独で強いカードで、これ以上デッキに入れない唯一の理由は、7種類の土地を揃える前に複数枚引きたくないからだ。
能力を持つ土地については、僕は《光輝の泉》と《爆発域》を採用することにした。《死者の原野》が流行るようであれば、《廃墟の地》も検討の余地があるだろう。
呪文
4枚:《成長のらせん》《探検》
単純に30枚もの土地が入ったこのデッキに完璧にマッチした効果であり、ランプ呪文にドローがついていることでゲーム後半でも腐ることがない。そのおかげで、このデッキを従来のランプデッキよりもずっと一貫性のあるものにしている。
2枚:《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
アグロにもコントロールにも強いカードだけど、これ以上枚数を増量しない理由は、一般的にこのデッキがアグロとコントロールに強くてコンボ相手に苦戦するからだ。高速なアグロデッキに対しては《自然の怒りのタイタン、ウーロ》ですら間に合わないこともあって、全体除去のほうが必要になることもあるしね。
4枚:《エルフの再生者》
このデッキと非常に相性がよく、もし《死者の原野》を引けていないのであれば、ヒットする可能性はかなり高い。30枚も土地が入っていると1枚もめくれない可能性はとても低いけど、たくさんプレイしているうちにいつかは起こることだ。そういった多少のリスクがあるとはいえ、十分に良いカードだから失敗したときのことは心配しすぎないほうがいい。
4枚:《時を解す者、テフェリー》
もうみんなこのカードがどれだけ強いか知ってるよね。このデッキでは普段よりも[+1]能力が重要だ。対戦相手のターンの終わりに《風景の変容》を打てるようになることで、全体除去を回避しながら直後にリーサルダメージを与えられるからね。それと同時にきついマッチアップである《荒野の再生》に対して使える最高のツールのひとつでもある。
3枚:《空の粉砕》
少なくともランク戦ではアグロデッキが一番よく当たるデッキだからメインデッキに入れておくのには十分意味があって、想定するメタ次第では4枚入れてもいい。ケシスコンボやほかの《死者の原野》デッキに対しても有用性があるしね。20体のゾンビを超えてくる可能性があるのは《群衆の親分、クレンコ》を使えるゴブリンデッキだけど、それもその前に《空の粉砕》を打てればご破算だ。
2枚:《不屈の巡礼者、ゴロス》
ほとんどの場合必要ないから2枚しか入れていないけど、《死者の原野》を引けなかったときにとても有用だし、《風景の変容》で相手にとどめを刺す前にチャンプブロックする役割がある。
2枚:《移動経路》
このカードについてはあまり納得していないけど、このデッキが機能するためにはしっかりと土地を伸ばす必要があるから、入れざるを得ないね。ゲームが長引いた場合、デッキ内の基本地形が枯れることもあるから、ゲーム後半で「サイクリング」できることは重要だ。すでに5枚土地があって、そのうち1枚が《死者の原野》なら、その場で2体ゾンビが出せてチャンプブロックできるベストなターンを作りながら巨大な《風景の変容》を叩きつけられる。
2枚:《ハイドロイド混成体》
たくさんマナ加速したあとに《風景の変容》が見つからなかったり、《風景の変容》を唱えたけど相手が解答を持っていたときにできる一番いい行動のように思える。対アグロとコントロールの両方に優れているから、この役割を担うのに最適だ。
3枚:《風景の変容》
モダンの《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》みたいに、もし7~8枚の土地を出しながら《風景の変容》を解決するだけで相手に勝てるなら4枚入れるだろう。ただ、全体除去に突っ込まないように《時を解す者、テフェリー》を引くまで待ちたい状況もあるし、序盤に複数枚引くとゲームに負けるという事実が3枚”しか”入れない理由だ。
スケシ算は簡単だ。土地7枚でゾンビ7体、これは1ターン待てるなら待ったほうがいい。土地8枚でゾンビ16体、これで十分いい取引だ。マナを浮かせておけば《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を「脱出」させることもできる。土地9枚でゾンビ27体、これはオーバーキルだ。《光輝の泉》を持ってくれば生存するのに役立つかもしれないし、《寓話の小道》を持ってくることで必要なら次のターンに追加のゾンビを生産できる。
土地を置く順番
先に言っておいたように、このデッキは土地を置く順番を学習するにはいいデッキだ。単色デッキ以外のすべてのデッキにとって重要なことだけど、このデッキでは頻繁に違いが生まれる。 必ずしも両立しない複数の目的があって、どれを優先するか判断しなければならない。
明らかな間違い以外だと、例えばアンタップインする緑の土地を持っていないのに1ターン目に緑マナの出ない土地を置いた場合、次のターンに《探検》か《成長のらせん》を引いてしまって、2ターン目に唱えられない罰を受けるかもしれない。
もっと具体的な状況もある。僕にとって一番難しいのは早めに《死者の原野》をプレイするのかしないのかだ。ほかにタップインランドを抱えていないのなら、次のターンにアンタップインランドを出すことで使えるマナが増えるから早めに出すのは正しいのかもしれない。
でも、早めに《死者の原野》を出してしまって、7種類の土地が揃わないまま1、2ターン後に《エルフの再生者》か《不屈の巡礼者、ゴロス》を唱えたら、ゾンビを最速で出しつつ2枚目の《死者の原野》を確保する機会を逃してしまうかもしれない。2枚目の《死者の原野》はゲーム後半にかなり重要性をもつけど、早めにゾンビを出すことだって重要だ!ほとんどの場合、ミスをしてもすぐに気づくことが多いので、練習するのが一番だ。
もうひとつ注意しなければならないのは、2つの理由から序盤のターンに《寓話の小道》を置くのは遅らせるべきだということだ。1つめはフェッチしてきた基本土地の2枚目を引いてしまう可能性があること、2つめは《死者の原野》がゾンビを生産し始めたら2回誘発させることができるというのが理由だ。
サイドボード
ごめん!今回はサイドボードガイドはなしだ!ヒストリックに存在するデッキには多様なデッキリストとバージョンがあるからね。大きな大会がなかったから各アーキタイプはまだ発展途上で、正しくないかもしれないアドバイスはしたくない。でも、参考になる情報は書いておこう。
対アグロデッキ
アグロデッキに対してよくサイドアウトするカードは《時を解す者、テフェリー》と《移動経路》で、代わりに《空の粉砕》と《霊気の疾風》を足す(相手が赤単や緑単、グルールならね)。《秋の騎士》はクリーチャー中心のアグロデッキ相手に使うのはあまり好きではなくて、それよりはさっさと土地を伸ばして《空の粉砕》をプレイしたい。プレイヤーに直接火力をたくさん飛ばしてくるデッキに対しては強いだろうけどね。
対コントロールデッキ
コントロールとほかの《死者の原野》デッキ相手には、打ち消し呪文と《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を増やして《空の粉砕》を抜く。相手のデッキの内容次第で《光輝の泉》、《移動経路》、《不屈の巡礼者、ゴロス》、《風景の変容》1枚、《探検》1~2枚も選択肢だ。
対戦相手が全体除去をデッキに残したままだと予想するなら、こちらに《時を解す者、テフェリー》がいる状態でしか《風景の変容》を唱えないよう立ち回るから1枚抜いてもいい。
対コンボデッキ
《墓掘りの檻》は、こちらにとって脅威であるケシスコンボと《死の国からの脱出》を相手にしたときに効果抜群だ。相手に干渉するカードを増やして《不屈の巡礼者、ゴロス》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》、《ハイドロイド混成体》、《光輝の泉》を抜くことも可能だ。《風景の変容》で相手にとどめを刺せるようになるまで相手に十分干渉し続けられることを狙おう。
相手がサイドインしてくるであろうカード
サイドに《秋の騎士》を入れておく理由は、相手が使う一番の対策カードが《悪性の疫病》だからだ。《時を解す者、テフェリー》でバウンスできるとはいえ、《ドビンの拒否権》を持っていなければ問題の解決にならない。
《暴れ回るフェロキドン》のようなほかの対策カードについては、事前に《空の粉砕》を唱えたり、ゾンビをたくさんつくるターンの前にテフェリーか《霊気の疾風》でバウンスしたりするだけだからそこまで怖くない。
もうひとつ問題になるカードは、《死者の原野》を抜く《漂流自我》だ。このカードに対する一番の対策は、1~2ターン目に《死者の原野》を置いてしまうことだ。そういう遅いデッキには、《死者の原野》1枚で十分なことが多いからね。《神秘の論争》で対抗することももちろんできるけど、僕がたびたび犯した失敗は、《漂流自我》を打てるデッキ相手の2ゲーム目、3ゲーム目に初手で《死者の原野》を置かず敗北したことだ。僕は失敗を繰り返して覚えたね!
ゴブリンデッキには《ゴブリンの廃墟飛ばし》が採用されていることがあるので、本当に必要な土地を守れるように立ち回るべきだ。これはたいてい、《死者の原野》を場に出さないようにすることを意味する。もうひとつアドバイスは、白マナを出せる土地が3枚あるならできるだけ早くプレイすべきだ。《ゴブリンの廃墟飛ばし》が出てくるころに1枚しか場にないと、おそらく相手はその土地を破壊して次のターンに《空の粉砕》を打てないようにしてくるからね。
もし、サイドボードにあまり好みではないカードがあった場合のオススメを紹介しよう。《死者の原野》が環境に増えたらもう1枚《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を足すか、ゴブリンデッキに対して非常に強力な《時の一掃》のような全体除去をもう1枚増やしてもいいだろう。今一番使われているデッキはゴブリンだと思うからね。
《隠された手、ケシス》か《死の国からの脱出》が深刻な問題だと思ったら4枚目の《墓掘りの檻》を足すこともできるし、《荒野の再生》が問題なら《ドビンの拒否権》を足してもいい。
ここまで読んでくれてありがとう!近い将来のMTGアリーナのイベントで健闘できることを祈っているよ!
セバスティアン・ポッツォ (Twitter)