第5期レガシー神決定戦: 川北 史朗(東京) vs. 土屋 洋紀(東京)

晴れる屋

By Atsushi Ito



 第4期レガシー神、川北 史朗

 第5期レガシー神挑戦者、土屋 洋紀

 2人が互いを認識した【エターナルフェスティバル2011】から4年と少し。

 【晴れる屋トーナメントセンターオープン記念レガシー杯】【レガシー神決定戦】【Eternal Festival Tokyo 2014】など、日本レガシー界の最前線で華々しく優勝トロフィーを掲げ続けてきた川北と、優勝こそしてこなかったものの数多のレガシー大会でひたすら勝ち星を積み重ね続けてきた土屋。

 これまで関東の草の根大会などで幾度となく対戦し続けてきたであろう2人。

 そんな2人が、「神」の座をかけて戦うときがきた。





 日本のレガシープレイヤーの中でもトップクラスの実力を持つ2人が雌雄を決する。

 そのためのテーブルに着いた彼らの胸には今、どのような思いが去来しているのだろうか。


 表情から察するに、川北の方はおそらく程よい緊張と「今回こそは負けるかもしれない」という若干の不安。そして「それでも自分ならきっと乗り越えられる」と、その不安すらも楽しもうとする気持ちがある。

 その余裕が、「最古の神」としての矜持だ。何より、既に最適なデッキは選択し終えている【先入観を逆手にとったデッキ選択】を目指す川北にとっては、その選択の方が大勝負だったのだ。だから今更揺るがない。あとは平常心を保つだけ。

 負ければ全てを失う……そんな緊張を強いるシチュエーションにおいても、いつも通りのプレイをすること。それこそが一番大切だと、これまで3度の防衛戦を乗り越えた最強の神である川北は知っているのだ。


 対して土屋は、【第4期レガシー神決定戦】で川北に敗北した親友・斉藤 伸夫の敵討ち……などという気持ちはもはや吹き飛んでいることだろう。しかもそれは勝負に逸る気持ちからではなく、「川北に出し抜かれたらどうしよう」あるいは「0-3では負けたくないな」といったネガティブな思いが支配しつつあるからなのかもしれない。

 悲観……しかし土屋の場合はそれでいいのだ。

 最悪に備えること。【常に自分が負けているものと想像する】という、徹底的なまでにまくられをケアしようとするその姿勢が、土屋をここまで強くした。

 きっとこれから起こることも最悪なのだろう。けれども、最悪程度ならこれまで何度も乗り越えてきた。最悪をねじ伏せるのは想像力だ。最悪を想像し、決してそのルートには乗らないプレイを選択する。だから土屋は最善を選択できるのだ。


 最適なデッキ選択を行うがゆえの最強と、最悪を想像するがゆえの最善。

 勝つのは川北か、土屋か。







Game 1


 ダイスロールで先手は土屋。セットした《汚染された三角州》を即起動する。今まさにデッキが明らかになろうとする瞬間だ。

 この瞬間こそが、神決定戦において神と挑戦者が互いに最も緊張する一瞬といっても過言ではないだろう。

 土屋がサーチしたのは《Badlands》。そして《死儀礼のシャーマン》をプレイする。


Badlands死儀礼のシャーマン


 ジャンド

 それは川北にとってこれ以上ない朗報であると同時に、この1ゲーム目についてだけ言うならば、最悪に近い展開だった。

 だからこそ、これを《目くらまし》を切ってまで《Force of Will》する。

 一拍の間。交錯する視線。

 《死儀礼のシャーマン》《Force of Will》する川北など見たことがない。この違和感は、土屋にもはっきりと感じられたはずだ。

 何か、想像を超えた事態が進行している。・・ ・・・・・・・・・・・・・・

 その違和感を解消するべく、《思考囲い》で川北のデッキの正体を明かしにいくが、これにはスタックで《渦まく知識》

 そして明らかになった川北の手札は。


大修道士、エリシュ・ノーングリセルブランドForce of Will


 リアニメイト!

 それは土屋にとって最悪中の最悪、もはや悪夢とも呼べるほどに知りたくなかった真実だった。

 何せジャンドとリアニメイトとは、デッキの構造的に『4 : 6』か、もしくはそれ以上の相性差があるのだ。

 しかしそれ以上に土屋を驚かせたのは、「あの川北が・・・・・リアニメイトを使っている」という事実そのものだった。

 なぜなら土屋の知る限り、川北がリアニメイトを使っていた姿は見たことがなかったからだ。

 しかもこの神決定戦は3本先取。ということは必然サイドボードが活躍する機会が増えるわけで、となるとサイド後に相性差が逆転されやすいコンボデッキを使うことはセオリー的には悪手になりやすい。それを3度も「神」の座を防衛した川北が知らないはずもない。

 にもかかわらず、川北はリアニメイトを選択してきたのだ。

 その勝ちへの執念は、確かに土屋の想像を超えていた。

 それでも。

 ことこのゲームに関してだけなら、それが最悪の事態ではなかったのがまだしも救いだった。

 《Force of Will》を叩き落とした土屋は、2枚目の土地をタップする。

川北「……《死儀礼のシャーマン》かなー?」

土屋「イエス」


死儀礼のシャーマン


川北「2枚引いてるのか、きっつー!」

土屋「変なデッキ使うねーw」

 土屋がプレイした2枚目の《死儀礼のシャーマン》が無事着地する。これによりメインボードに除去のない川北は、リアニメイトを成功させるためには「同一ターンに2枚のクリーチャーを墓地に落としつつの《死体発掘》」といった迂遠なプランをとらざるをえなくなってしまう。しかしそんなことができるようになるためには、あと何ターンかかるのか。

 もちろんそんな暇を土屋が与えるはずもなかった。





 続くターンに《闇の腹心》を送り出した土屋は、《死儀礼のシャーマン》で墓地に睨みをきかせつつ、川北が《渦まく知識》で戻したトップの2枚を再び引き込んだのを確認した返しで2枚目の《思考囲い》を叩き込み、《納墓》《死体発掘》と揃っていた手札からしっかり《死体発掘》を奪い去る。

 そして《タルモゴイフ》をも戦線に追加すると、「デッキ選択で勝つ」という川北の目論見をまずは見事に粉砕してみせたのだった。


川北 0-1 土屋


川北「くっそー、2枚目の《死儀礼のシャーマン》がなかったら勝ってたのにーw」

土屋「(勝ったけど) 相性やべーなこれw いやーメイン勝ててよかったw」

川北「予想外でしょ?」

土屋「予想外だねぇ。これ (ジャンド) は?予想してた?」

川北「予想してた。正直フェアなデッキでちゃんと戦ったら勝てねーなと思ってアンフェアなデッキ選んだんだけど、デッキ選択はドンピシャなのにメイン落として厳しー!」







Game 2


 互いのデッキが明らかになった以上、ここからは遠慮はいらないとばかりに《Underground Sea》からの《入念な研究》《グリセルブランド》 (と土地) を墓地に送り込む川北。

 しかし後手マリガンスタートの土屋が返しで《コジレックの審問》をプレイすると、手札に《目くらまし》《再活性》があるにもかかわらず長考に入る。





 その理由は、土屋のサイドボードにあった。

 先ほどサイドボーディング中に土屋が放った「予想外」という言葉。それはおそらく事実なのだろう。そこで咄嗟に嘘がつけるほど土屋は器用な人物ではない、と川北は知っている。土屋は川北がリアニメイトを使ってくるとは予想していなかった。これは間違いない。

 しかしだとしたら。

 はたして土屋はサイドボードに墓地対策として、どのカードを何枚とっているのか?

 たとえ予想していなかったとしても、サイドボードに嗜みとして墓地対策を数枚とることは十分ありうる。

 とりわけここで川北が問題としているのは、とある一種類のカードの有無だった。

 後手1ターン目に1マナを使ったジャンドの土屋が、なおも川北の先手2ターン目の《再活性》に合わせてプレイしうるカード。


外科的摘出


 《外科的摘出》

 はたして土屋は《外科的摘出》を持っているのか否か。

 持っているとしたら《コジレックの審問》《目くらまし》しての《再活性》は危険すぎる。あるいは2体目のクリーチャーが墓地に落ちるのを待って《死体発掘》した方が……

 と、ここまで考えて何かに気づいたような川北は、《コジレックの審問》《目くらまし》する。

 そして返すターン、《Underground Sea》をセットし直して《グリセルブランド》を対象に《再活性》

 はたして土屋は……

 苦笑しつつ「どうぞ」のジェスチャー!

 かくして2ターン目に《グリセルブランド》が降臨する。





 土屋も返しで《真髄の針》をプレイするが、これには当然川北もスタックで7ドロー。一応《グリセルブランド》が指定されるが、既に能力よりも7/7飛行絆魂だけで撲殺されそうな状況だ。

 対して川北は豊潤な手札から土屋が続けてプレイした《死儀礼のシャーマン》《目くらまし》すると、返すターンには《水蓮の花びら》2枚から《納墓》《再活性》《墓所のタイタン》を釣り上げる。

 川北がゾンビ・トークンを出すより早く、土屋の「はい、負けましたー」という声があがった。


川北 1-1 土屋


川北《外科的摘出》があるかもと悩んだけど、もし仮に既に《グリセルブランド》が墓地に落ちている状況で《コジレックの審問》《外科的摘出》と持っていたら、土屋くんなら《目くらまし》をケアして《コジレックの審問》をプレイしなかったはずなんだよね。土地と《外科的摘出》さえ構えていれば少なくとも《目くらまし》はかわせるんだから。でも《コジレックの審問》をプレイして1マナを使ってきたから、逆に《外科的摘出》がない、ってわかったんだよ」

土屋「……どうかなー?」

 確かに「最悪をケアする」土屋なら、仮に《外科的摘出》を持っていたなら《コジレックの審問》があってもプレイせず、《目くらまし》をケアしにいったかもしれない。

 土屋の性格まで踏まえての合理的な推論で川北が神の貫禄を見せつけ、星はイーブンに。



◆ 川北のサイドボード

変更なし


◆ 土屋のサイドボード

変更なし




Game 3


 土屋が先手で《思考囲い》を打ちこむと、川北はたまらず《実物提示教育》を切って《Force of Will》で阻む。

 そして返すターンには《Underground Sea》から《入念な研究》で土地と《墓所のタイタン》を落とすことに成功する。

 手札には《再活性》があり、このまま無事後手2ターン目がまわってくれば川北のリアニメイトが成功するという、もはやここから土屋が《死儀礼のシャーマン》をプレイしても間に合わない状況だ。

 だがそんな状況で、土屋がプレイしたのは。


Hymn to Tourach


 《Hymn to Tourach》

 川北の手札は4枚。《再活性》が落ちなければほぼ川北の勝利だ。確率は5分と5分。

 サイコロが転がる。そして。

川北「強い……!」

 墓地に落ちる《再活性》

 これにより仕掛ける手段を失った川北。ドローゴーでターンを返すと、さらに土屋の《コジレックの審問》《見栄え損ない》2枚と《水没》という力ない手札を晒す羽目になってしまう。

土屋「そのカード (《水没》)、好きだねー」

川北「(《水没》が入っているのが) バレちゃったw」

 こうなると土屋のクロックがないうちに何とかリアニメイト手段を引き込みたい川北だが、1枚目の《ヴェールのリリアナ》こそトップデッキした《目くらまし》で阻んだものの、2枚目の《ヴェールのリリアナ》が通ってしまい、残された時間は少ない。





 それでも、《渦まく知識》からセット《沼》、さらに《水蓮の花びら》からの《思案》へとつなげ、シャッフル後のドローにかける。

 それはちょうど【第4期レガシー神決定戦】の4ゲーム目に似ていた。あのときは最後に斉藤 (伸夫) がプレイミスでカウンターを構え損ねたところで、川北が《思案》のシャッフル後のドローで劇的に《稲妻》をトップデッキし、勝利の流れを引き寄せた。

土屋「手札、今はゼロだよね? で、《再活性》をトップ?w」

 川北のライブラリをシャッフルしながら、土屋もおそらくそのときと今の状況を重ね合わせているのだろう。「そんなこと2度もあるわけがない」と自分に言い聞かせるように川北を煽る言葉を言いながら、シャッフルを終えて2つに割ったライブラリーの片方をもう片方に載せ、川北の方へと差し出す。

 そして、そのわずかに力の入った川北のドローは、しかし今度こそ奇跡を起こさなかった。





 こうなるとあとは土屋が詰めるターンだ。《死儀礼のシャーマン》《不毛の大地》《森の知恵》とプレイし、《ヴェールのリリアナ》を「+1」で起動。

 《水没》が見えていたのに先に《不毛の大地》を起動しなかったせいでスタックで《死儀礼のシャーマン》《水没》を食らってしまう凡ミスもあったが、結局その後も川北が釣り竿に巡り合えなかったことで、まずは土屋が「神」の座に先に手をかけた。


川北 1-2 土屋


川北「やばい」

土屋「でもこの前ののぶ (斉藤 伸夫) のときもゲームカウント1-2からまくったよね?」

川北「いやでも今回はメイン落としたからなー……とはいえさっき市川 (ユウキ) さんはメイン戦を落としても勝ったから、ジンクス (※神決定戦は第4期まですべてメイン戦を勝ったプレイヤーが勝利している) を崩してるね」



◆ 川北のサイドボード

In
1 《目くらまし》

Out
1 《水没》


◆ 土屋のサイドボード

In
1 《大渦の脈動》


Out
1 《血編み髪のエルフ》




Game 4


 《入念な研究》《グリセルブランド》《納墓》と落とした川北に対し、土屋は後手1ターン目からの《不毛の大地》起動で抵抗を試みる。

 が、川北は意に介さずセットランドから《再活性》

 2ゲーム目同様、再び2ターン目に降臨する《グリセルブランド》

川北「もういいから5本目やろうぜーw」

土屋「うーん……まあでも一応やる!やり得だしね」

 だが結局返すターンの《死儀礼のシャーマン》《目くらまし》されてしまうと、次のターンに《思考囲い》で一応川北の手札を確認してすぐさま投了するしかないのだった。


川北 2-2 土屋


川北「これ先手超有利だね。びっくりするわ」

土屋「まあね。でも一応そっちには《水蓮の花びら》あるし」

 リアニメイト対ジャンドということで川北が超有利と思われたこの対戦だったが、蓋を開けてみれば5ゲーム目までもつれ込んだ上に、5ゲーム目は土屋の先手となった。





 メインで《死儀礼のシャーマン》を2枚引いたことや3ゲーム目の《Hymn to Tourach》など土屋の運が良かった点は否めないが、しかし《死儀礼のシャーマン》《思考囲い》《Hymn to Tourach》《ヴェールのリリアナ》というラインナップがもともとどのようなデッキ相手にも腐りづらいというのもあったのだろう。想像を超えた最悪の事態においてもここまで五分に戦えているのは、最悪を回避するという土屋の思想があればこそだ。





 とはいえ、それでもデッキ相性的には川北の有利は揺るがない。そもそもリアニメイトはコンボの代替パーツが多く、トップデッキの確率が高いため、手札破壊がそこまで致命的とならないコンボデッキなのである。その意味でも、やはり川北のデッキ選択はどこまでも最適だった。

 だが、所詮それはここまでの話だ。想像も、選択も、すべて次の瞬間には過去に収斂する。だから、大切なのは今。そしてこれからだ。何を言おうともあと1ゲーム。ここまで死力を尽くした2人の戦いも、残すところあと1ゲームしかないのだ。

 2人の口数も次第に少なくなり、やがてシャッフルの音だけが場を満たしていく。

 そして。ともにライブラリーを、相手に委ねる。

土屋「神頼み」

川北「お互いにね」

 互いにシャッフルを終え、手元に返ったライブラリーから7枚を引き、マリガンチェック。

 最後の戦いが、今始まった。



◆ 川北のサイドボード

In
1 《真髄の針》

Out
1 《目くらまし》


◆ 土屋のサイドボード

変更なし




Game 5


 マリガンスタートの土屋は《思考囲い》《死儀礼のシャーマン》もなく、土地を置いてターンを返すのみ。対して7枚キープの川北も《思案》でシャッフルスタートと決して芳しくはない動きだ。

 土屋はなおもマナを構え、続くターンの2枚目の《思案》《赤霊破》で弾くと、3ターン目には《不毛の大地》起動から《闇の腹心》で攻め立てる。

 だが、ここまでクリーチャーを墓地に送り込む手段を探していた川北が解答にたどり着く。ディスカード。川北のパーマネントはゼロ枚のまま、《グリセルブランド》が静かに墓地に送り込まれる。

 返しで《Hymn to Tourach》を打ちこむこともできた土屋だが、7枚の手札に効果は薄いと判断したか、悩んだ末に《タルモゴイフ》を戦線に追加してターンを渡す。

 そして、ついに川北が《再活性》をプレイする。《グリセルブランド》が降臨し、残りライフは9点。

 返す土屋は《ヴェールのリリアナ》をプレイするが、これは《Force of Will》に阻まれる。4枚目の土地さえ引けていたら《赤霊破》できてほぼ勝ち確だっただけに悔しいところだが、それを言っても始まらない。





 それに、まだ勝負は終わっていない。5/6の《タルモゴイフ》、そして《闇の腹心》もいる。さらに土屋の残りライフも16点もある。《グリセルブランド》がアタックしてきたとしても、その後で川北が7ドローするならまだライフは《稲妻》1枚で射程圏だ。

 もちろんそのことは川北にもわかっている。無事ターンは返ってきたが、はたしてドローすべきか、しないべきか。

川北「ここすごい重要」

 とりあえず《グリセルブランド》でアタックしてライフを川北15対土屋9とした上で、ひたすら悩む川北。

川北「……でも (ドローしないと) 結局《ヴェールのリリアナ》もう1枚あったら負けなんだよなー」

 やがて川北は意を決して、7ドローを宣言する。

 1,2,3,4,5,6,7……

 その中に。たった1枚しか入っていない、この局面で最高のカードがあった。


水没


 《水没》

 これにより川北は《タルモゴイフ》をトップに送り返し、安全な状態でターンを返すことに成功する。

 返す土屋も川北の予想通り2枚目の《ヴェールのリリアナ》《グリセルブランド》を処理するのだが、クロックが《闇の腹心》のみでは川北のライフを《稲妻》の射程圏に入れることすらかなわない。

 対し、《闇の腹心》《タルモゴイフ》をめくってしまったことにより土屋のライフは7まで落ち込んでいた。そして、川北が《死体発掘》で7/7の《エメリアの盾、イオナ》を降臨させる。指定は当然、「黒」。

 川北のライフは4点。《罰する火》はサイドアウトした。土屋に残された勝利手段は、2枚の《稲妻》《闇の腹心》を合わせての2ドローで2枚とも引くことのみ。

 《闇の腹心》が、最後のカードをめくり。

土屋「おめでとう」

 レガシーの「神」に、土屋が右手を差し出した。


川北 3-2 土屋


 実は5ゲーム目、川北はミスをしていた。

 後手1ターン目に《思案》を打たず、土地も置かずにいきなりディスカードしていたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・《Force of Will》構えの2ターン目リアニメイトが実現していたのだ。それなのに1ターン目に《思案》をプレイし、ディスカードのターンを遅らせたのはこれ以上ないほどに手痛いプレイミスだったと言えよう。

 だが、それも仕方のない話かもしれない。川北は実際、リアニメイトを使うのは初めてだったのである。それに、それでも川北は勝ったのだ。

 だから。土屋の持ち込んでくるデッキを読み、ミスをしても勝てるくらいの相性差があるデッキを持ち込んだ。それがやはり川北の最大の勝因と言えるだろう。

 レガシーというフォーマットを深く理解し、常に挑戦者の予想しないデッキを選択する。それこそがレガシー神たる所以なのだ。






 第5期レガシー神決定戦、勝者は川北 史朗(東京)!

 「レガシー神」防衛成功おめでとう!!




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