はじめに
みなさんこんにちは。
先週末はMagic Online(以下:MO)でMOCS Modern Showcase Qualifierが開催されました。予選を勝ち抜いたプレイヤーのみが参戦できるイベントであり、強豪揃いでした。
今回の連載では、MOCS Modern Showcase QualifierとModern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
MOCS Modern Showcase Qualifier
心強い相棒を得たBoglesが巨人を打ち倒す
2020年8月30日
- 1位 Bogles
- 2位 Bant Field
- 3位 Bant Field
- 4位 Selesnya Titan
- 5位 Devoted Druid
- 6位 Bogles
- 7位 Izzet Prowess
- 8位 Bant Field
招待制のイベントだけあって、小規模ながら強豪揃いだったMOCS Modern Showcase Qualifier。安定感のあるBant Fieldに特に人気が集まりましたが、Prowess系のアグロデッキも結果を残していました。
そんな中優勝を収めたのは、呪禁クリーチャーに強化オーラを付けてビートダウンしていくBoglesでした。
デッキ紹介
Bant Field
1 《森》
2 《冠雪の島》
1 《冠雪の平地》
1 《冠雪の森》
2 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《寺院の庭》
1 《大草原の川》
2 《神秘の聖域》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《霧深い雨林》
1 《海辺の城塞》
1 《雲の宮殿、朧宮》
2 《廃墟の地》
2 《死者の原野》
-土地 (28)- 2 《花の壁》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (6)-
1 《呪文嵌め》
2 《霊気の疾風》
2 《成長のらせん》
2 《マナ漏出》
1 《差し戻し》
3 《否定の力》
3 《謎めいた命令》
1 《至高の評決》
1 《約束の刻》
1 《仕組まれた爆薬》
3 《時を解す者、テフェリー》
1 《精神を刻む者、ジェイス》
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (26)-
2 《夏の帳》
2 《機を見た軍族朋》
2 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《ラムナプの採掘者》
1 《長老ガーガロス》
1 《霊気の疾風》
1 《天界の粛清》
1 《ドビンの拒否権》
1 《神秘の論争》
1 《覆いを割く者、ナーセット》
-サイドボード (15)-
今大会で結果を残したBant Fieldは、《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《時を解す者、テフェリー》という2種類の強力なプレインズウォーカーを搭載したバージョンです。《至高の評決》や《流刑への道》などクリーチャー対策カードが揃っており、サイドボードの選択肢も豊富なため苦手なマッチアップが少なく、全体的にバランスの取れた構成となっています。
このデッキのゲームプランは序盤は土地を伸ばし、中盤以降は《謎めいた命令》などでコントロールしつつ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や各種プレインズウォーカーでアドバンテージを稼ぎ、最終的に《死者の原野》でゲームを終わらせます。
Temur ReclamationやSultai Controlを含めて、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を採用したコントロールはUro Pileとも呼ばれています。
☆注目ポイント
《死者の原野》を使うには別々の土地を7枚以上用意する必要があるため、デッキの半数近くが土地となっており、氷雪基本地形と基本地形の両方に加えて《雲の宮殿、朧宮》や《海辺の城塞》のような特殊地形まで採用されています。その副次効果として、《沸騰》や《窒息》といった青メタカードによる被害を最小限に抑えることができています。《雲の宮殿、朧宮》は《死者の原野》とのシナジーも見逃せないポイントですね。
《成長のらせん》は序盤はマナ加速となり、後半は手札にきた《神秘の聖域》をインスタントスピードで置くことで、フェッチランドがない状態からライブラリートップへスペルを積み込むことができます。また、《死者の原野》をコントロールしていれば、インスタントスピードでトークンを生成することが可能です。
《約束の刻》は5マナと少し重いスペルですが、《死者の原野》をサーチできるため、土地を伸ばしつつ大量のゾンビトークンを生成できます。《時を解す者、テフェリー》がいれば[+1]能力を利用することで、隙を作らずにキャストすることが可能となります。
墓地対策や土地破壊に備えて、《ドミナリアの英雄、テフェリー》やサイドボードの《長老ガーガロス》のように、影響を受けない別軸のフィニッシャーも用意しておくべきです。
Bogles
1 《森》
4 《寺院の庭》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《地平線の梢》
4 《剃刀境の茂み》
1 《ドライアドの東屋》
-土地 (19)- 4 《林間隠れの斥候》
4 《ぬめるボーグル》
4 《コーの精霊の踊り手》
-クリーチャー (12)-
Boglesはトップメタではないものの、長い間モダン環境に存在するデッキのひとつで、呪禁クリーチャーにオーラを付けてビートダウンしていく、モダンらしい直線的な戦略です。
除去耐性と《夜明けの宝冠》の絆魂によって、トップメタのProwess系や単体除去が中心のミッドレンジ、コントロールに対して強いデッキです。今大会で上位に多数入賞していたBant Fieldもスイーパーはメインに1枚、サイドに追加の1枚程度と少なめなリストが多く、勝ちやすいメタゲームとなっていました。
☆注目ポイント
元々1-2マナのカードが中心だったため、《夢の巣のルールス》を「相棒」にする際も、デッキの構造に大きく手を加える必要はありませんでした。《夢の巣のルールス》自身が絆魂を持っており、強化先としても十分な戦力になります。
《至高の評決》のようなスイーパーも《蜘蛛の陰影》などの「族霊鎧」で対策することが可能であり、墓地に落ちたオーラ自体を《夢の巣のルールス》によって再利用することができるので、防御体制を整え直しやすくなっています。
《夢の巣のルールス》を使う上で注意しなければいけないことは、ハンデスやBurnとのマッチアップの場合に、《神聖の力線》をサイドインすると《夢の巣のルールス》を「相棒」として使用できない点です。相手のデッキによって、臨機応変に対応していきたいところですね。
Modern Challenge #12201355
安定のProwess
2020年8月30日
- 1位 Izzet Prowess
- 2位 Sultai Uro
- 3位 Izzet Prowess
- 4位 Bant Uro
- 5位 Tron
- 6位 Bant Blade
- 7位 Jund
- 8位 Bant Soulherder
トップ8のデッキリストはこちら
Izzet Prowessと各種Uro Pileが安定した結果を残しています。Bant、Sultai、Temurと、色の組み合わせや《荒野の再生》の有無など細部で異なる部分が見られますが、基本的に青ベースのフェアデッキは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》一色です。
デッキ紹介
Sultai Uro
1 《森》
1 《冠雪の島》
1 《冠雪の沼》
1 《冠雪の森》
1 《ゼイゴスのトライオーム》
2 《繁殖池》
1 《草むした墓》
1 《湿った墓》
2 《神秘の聖域》
4 《霧深い雨林》
4 《汚染された三角州》
1 《新緑の地下墓地》
1 《ヴァントレス城》
2 《死者の原野》
1 《爆発域》
1 《廃墟の地》
-土地 (27)- 1 《瞬唱の魔道士》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (5)-
《暗殺者の戦利品》や《突然の衰微》に代表される軽量パーマネント除去がSultaiの特徴です。効率のよい除去に恵まれているのでアグロデッキに強い反面、コントロール同型やコンボとのマッチアップはほかのUro Pileよりも厳しくなります。
☆注目ポイント
今大会で準優勝となったFAYRAWKSのリストの特徴は、メインボードにプレインズウォーカーが不採用なところです。《荒野の再生》を最大限に活用するために、デッキのほとんどがインスタントスペルで占められており、大きな隙を作らずに動けるのが強みといえます。メインからフル搭載された《嘘か真か》は手札を増やしつつ、同時に《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の「脱出」コストも稼ぐことができます。
《致命的な一押し》は《稲妻》と異なり、《タルモゴイフ》や《難題の予見者》などの高タフネスクリーチャーを処理できるのが強みであり、アグロデッキに強い理由のひとつです。《突然の衰微》と《暗殺者の戦利品》は置物やプレインズウォーカー対策にもなるフレキシブルなカードですね。
《疑念の影》はフェッチランドの無力化だけでなく、《探検の地図》や《原始のタイタン》などのサーチスペルを妨害することになりそうです。採用率の低さから読まれにくく劇的な効果をもつため、多くのマッチアップで活躍が期待できます。
Izzet Prowess
Uro Pileと並んでトップメタのProwess。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキはライフゲインと軽量除去により普通のアグロデッキでは押し切れないことが多くなりますが、Prowess系は果敢を持つクリーチャーと軽量スペルの連打による爆発力によって、一気にライフを削ることができます。
ミッドレンジ寄りのRakdosなどいくつかバリエーションがありますが、Izzet型がもっとも安定した成績を残しています。《選択》や《霊気の疾風》などの軽いスペルや《嵐翼の精体》といった優秀なクリーチャーにアクセスできるところが安定した勝率に繋がっています。
☆注目ポイント
《スプライトのドラゴン》は軽いコストに加えて回避能力持ちで、スペルを多用するこのデッキにマッチしたクリーチャーです。このタイプのデッキでよく見かける《窯の悪鬼》と比べると爆発力では劣りますが、+1/+1カウンターが置かれるので打点が継続し飛行によって安定したダメージが期待できます。
《嵐翼の精体》は軽いスペルを多用するこのデッキではほぼ2マナ3/3飛行、果敢持ちのクリーチャーとして機能します。《はらわた撃ち》や《魔力変》を利用することで、最速2ターン目から出すことが可能でこのデッキの最も強い動きのひとつです。点数で見たマナコストが5マナなので《致命的な一押し》や《突然の衰微》といった除去スペルに耐性があり、《変異原性の成長》や《はらわた撃ち》などのおかげで火力でも除去されにくい優秀なクリーチャーです。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《原始のタイタン》、《荒野の再生》など現環境には強力な赤緑のスペルが多数存在するため、《霊気の疾風》がメインから採用されています。同型でも除去兼妨害スペルとして機能するので使いやすいスペルです。アグロデッキにとって頭痛の種の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を徹底的に対策することにフォーカスしており、サイドには《神秘の論争》のほかにも墓地対策の《虚空の力線》もフルに採用されています。
総括
現環境は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を軸にした青ベースのコントロールと速さで勝るProwessが中心で、そのほかはGruul Midrange(Ponza)やJundなどミッドレンジが多数上位で見られます。
そういったメタを見越して持ち込まれたBoglesがMOCS Modern Showcase Qualifierを制しました。Boglesはマッチアップの相性が極端なデッキでいわゆる環境のベストデッキではありませんが、単体除去が中心のミッドレンジやコントロール、Prowessなどダメージで勝つアグロデッキが多いメタでは無類の強さを見せるデッキだったのでMOCS Modern Showcase Qualifierでは最高の選択肢のひとつでした。
新セットの『ゼンディカーの夜明け』のリリースも控えており、最近はカードパワーが高く新セットによる影響が大きいのでまた環境が変わりそうです。
USA Modern Express vol.45は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!