準々決勝: 辰巳 晃司(大阪→東京) vs. 片寄 真吾(神奈川)

晴れる屋

By Hiroshi Okubo

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 片寄 真吾といえば過去にはプロツアー出場経験もあり、現在は晴れる屋のスタッフとして勤務している強豪プレイヤーだ。知る人ぞ知る【「親和」デッキの導師】だった片寄だが、今大会では「無色エルドラージ」を選択している。

 その理由について、【トップ8プロフィール】では“親和が感染に勝てなかったから”と語っている。「エルドラージ」系デッキの隆盛から「感染」が増えることを予測し、それに弱いデッキを選択することを避けたようだ。


 対する辰巳 晃司は前回の第5期モダン神挑戦者決定戦でも【「エターナルブルー」を持ち込み】、惜しくもプレイオフ進出の懸かったバブルマッチで【魔王・三原に惜敗】してしまったが、今日はしっかりとトップ8に進出を果たしている。その十分な実力を疑うものはいないだろう。

 辰巳にとってはモダン神挑戦者決定戦という舞台へのリベンジ。彼の携えるそのデッキは、今「エルドラージ」系デッキの中でも最も人気のある「青白エルドラージ」である。


 はたして“エルドラージ狩り”「青白エルドラージ」が勝利を収めるか。それとも“純正”「無色エルドラージ」が意地を見せるか――?






Game 1


 先攻の片寄は《エルドラージの寺院》《幽霊街》から2ターン目に《作り変えるもの》をプレイするスタート。

 対する辰巳は《魂の洞窟》《ウギンの目》とプレイし、2ターン目に《変位エルドラージ》《エルドラージのミミック》の2体を戦場に送り込む。


 突如現れた2体のエルドラージにも動じず、片寄が静かにプレイしたのは《難題の予見者》 辰巳の4枚の手札から《現実を砕くもの》を抜き去り、《作り変えるもの》で攻撃を仕掛ける。これをブロックせずにライフで受け止めた辰巳は、《四肢切断》を4点ペイライフで唱えて片寄の《難題の予見者》を排除する。


 返すターン、辰巳からも《難題の予見者》がプレイされ、お返しと言わんばかりに片寄の手札から《現実を砕くもの》を追放する。さらに《変位エルドラージ》と4/4になった《エルドラージのミミック》が反撃に走り、互いにライフは13点。緊迫したライフレースが巻き起こる。



片寄 真吾



 片寄は《呪文滑り》、続けて《果てしなきもの》を「X=2」でプレイ。

 互いの戦力図は拮抗しており、辰巳も攻撃に向かうことができない。片寄はさらに続けて《虚空の杯》《漸増爆弾》をプレイする。


 睨み合うエルドラージたちだったが、辰巳には変化球投手である《変位エルドラージ》がいる。これによって《果てしなきもの》を追放しにかかり、片寄に《呪文滑り》の能力を起動させることに成功する。さらに返す辰巳のターンに再び《変位エルドラージ》が能力を起動。

 《果てしなきもの》を容易く殺されてしまってはたまらないと片寄も再び《呪文滑り》を起動するが、じわじわとペイライフによって息が詰まってくる。


 さらに辰巳は2枚目の《難題の予見者》をプレイし、《エルドラージのミミック》を4/4にしてすでに戦場にいた《難題の予見者》とともにレッドゾーンに向かわせる。

 残りライフ9の片寄にこれを受け止める余裕はなく、《果てしなきもの》《作り変えるもの》《難題の予見者》をダブルブロックして止める。窮地に追いやられつつある片寄は自身の《作り変えるもの》の死亡誘発型能力と、辰巳の《難題の予見者》の死亡誘発型能力によって2枚のリソースを補充し、デッキトップに望みをつなぐが……


 万事休す。戦力差が開き、《変位エルドラージ》が1ターンに複数回能力を起動できるようになると、もはやライフ3の片寄にいくらかのブロッカーが残っていようとも関係はなく……


辰巳 1-0 片寄


 早くも土俵際へと追いやられてしまった片寄。その表情は険しい。

 だが、素早くサイドボーディングを終えてライブラリーをシャッフルし始めるその瞳には、しっかりと闘志が宿っていた。


Game 2


 初手の7枚を睨みながら小考し、マリガンを宣言する片寄。対する辰巳は淡々とした様子で「キープします」と宣言。祈るように引いた6枚は片寄にとって満足のいくものだったようで、即座にキープを宣言する。

 これは筆者が個人的にHareruya Pros・中島 主税から聞いた話だが、エルドラージ系デッキ同士の試合では初手の2マナランドの有無は勝敗に直結するため、1,2回のマリガンはさした問題にはならないそうだ。


エルドラージの寺院


 第1ターンにしっかりと《エルドラージの寺院》をセットし、《エルドラージのミミック》をプレイ。さらに第2ターンには《漸増爆弾》を置いて辰巳の動きに対応する構えを見せる片寄。

 片寄の順調な立ち上がりに対し、辰巳も負けてはいない。第2ターン目にして《空中生成エルドラージ》を呼び出し、片寄の《エルドラージのミミック》の前にブロッカーを用意する。突如現れた2体のブロッカーを前に、片寄は攻撃することも後続を展開することもできず、先手と後手が入れ替わる展開となってしまった。



辰巳 晃司


 辰巳はこの隙に、畳みかけるように3ターン目《現実を砕くもの》 《空中生成エルドラージ》と合わせて7点のダメージを片寄に叩き込む。

 5/5に対処する手段を持たない片寄は相変わらず何もできずにターンを返すのみ。辰巳はガラ空きの片寄にさらに7点の猛打を加え、第2メインフェイズには「X=5」で《果てしなきもの》! これで辰巳の盤面のクロックは末裔トークンも合わせて13点。

 ここまでのダメージレースで残りライフが6まで削られてしまっている片寄。ここで状況を変えるカードをプレイしたいところだが……


忘却蒔き


 ギャラリーが固唾を呑んで見守る中、片寄の手札からプレイされたのは《忘却蒔き》! 5/8の頼もしいブロッカーの登場にようやく風向きが変わり始めたかと思われたが、辰巳は不吉にもそれをどこ吹く風といった様子で眺める。

 返す辰巳のターン、5/5の《果てしなきもの》《空中生成エルドラージ》《現実を砕くもの》が一斉攻撃を仕掛ける。


 明らかに除去を持っている。そういう攻撃だったが、片寄にはできることをするしかない。《漸増爆弾》《空中生成エルドラージ》を処理し、《果てしなきもの》《エルドラージのミミック》でチャンプブロック、《現実を砕くもの》《忘却蒔き》で受け止め、ただ祈る……

 辰巳は一呼吸おいて《四肢切断》。これによって《忘却蒔き》を0/3にし、《現実を砕くもの》《忘却蒔き》を屠ると片寄の盤面は完全に空に。

 万策尽きた片寄はトップデッキを確認すると、このマッチの勝者となった辰巳を称えるため、握手の手を差し出すのだった。


辰巳 2-0 片寄


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