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こんにちは!
先週末はオーストラリアで開催された【グランプリ・メルボルン2016】 (モダン) に参加してまいりました。
世界は「エルドラージ」一色と言われていたモダン環境ですが、結果やいかに?
■ デッキ選択 ~青白か青赤か~
各大会結果を見ていて、そして実際に練習してみて、かなり早い段階からいずれかの「エルドラージ」デッキで参加するのは決めていました。
みなさんもご存知の通り、こやつらのパワーはただものではありません。《エルドラージの寺院》と《ウギンの目》を利用し、他のどのデッキよりも早く脅威を展開できる「エルドラージ」デッキは、もはやモダン環境最強のデッキと言って差支えないほどです。
ただし、どの「エルドラージ」デッキを使うべきかは判断が分かれるところ。「無色」、「青赤」、「青白」に「赤緑」と、実に多くのバリエーションが存在しますが、【まつがんさんがまとめてくれている】ように、各色にはそれぞれの長所と短所があります。
事前の印象としては、《空中生成エルドラージ》、《希望を溺れさせるもの》、そしてサイドボードの《頑固な否認》がある「青」は確定かなと思っていたので、「青白」と「青赤」に絞って調整することにしました。
「青白」はミラーマッチで強力な《変位エルドラージ》と《流刑への道》が採用でき、サイドボードにも《石のような静寂》を筆頭に、各マッチアップで劇的なカードを流用できる点が強みです。
一方の「青赤」は、《不快な集合体》がマッチアップを問わず活躍すること、そして赤い呪文が内包されていることで、他の「エルドラージ」デッキと比べて、多少なりとも《血染めの月》に耐性があるのが魅力的でした。
このふたつは甲乙つけがたいほどデッキパワーが高かったのでなかなか結論が出せずにいましたが、実際に「青白」対「青赤」をやってみて、《不快な集合体》が期待通りの活躍をしなかったことを受けて、最終的に「青白」を使用することに決めました。
《不快な集合体》は、《難題の予見者》も受け止められる高タフネスが魅力ではあるものの、いざ攻撃に移るまで=パワーが4か5を越えるまでにそれなりの時間がかかるため、ミラーマッチにおいては少し強い壁クリーチャーの域を出ないと思いました。
その点、「青白」が採用している《変位エルドラージ》はミラーマッチで最強クラスのクリーチャーです。
余ったマナで対戦相手のクリーチャーをタップしたりするだけでも十分に強力ですが、自軍のクリーチャーを除去から守ったり、《空中生成エルドラージ》や《希望を溺れさせるもの》を再利用し続ければ、それだけでゲームを決することができます。
今回はかなりの回数《血染めの月》を出されると予想していたため、そういった意味で「赤」自体には魅力を感じていたものの、ミラーマッチでここまで差が出るならば選択の余地はありません。そこからは可能な限りMagic Online (以下MO) のリーグ戦に参戦して、ミラーマッチで差が付くカードを探していました。
■ ミラーマッチを制するために ~最適なサイドボードとは?~
「青白エルドラージ」がミラーマッチ用に採用しているカードは、2枚の《崇拝》が一般的です。
端的に言えば《白金の天使》のような効果ですが、このカードの厄介なところは、何かしらの対策を講じない限りキャストされた段階で負けてしまうことです。つまり、対戦相手に《崇拝》を出されても大丈夫なように、基本的には何の役にも立たない《解呪》などをサイドインせざるをえないのです。
これは思った以上に深刻な問題でした。なぜならば、ミラーマッチで最も重要なのは序盤の攻防に他ならないからです。
ミラーマッチでは、序盤に主導権を握ったプレイヤーが大きなリードを手にします。《変位エルドラージ》や《希望を溺れさせるもの》がいかに強力といえど、後手にまわってしまうとその真価を発揮することはできません。これらのカードが真に輝くのは、膠着している状況や少し押している状況だからです。
そのため、ミラーマッチでは可能な限り有利な盤面を作ることに注力することになりますが、その際に《解呪》を引いてしまうと1枚分のハンデを背負って戦うことになるので、戦線の維持/構築が難しくなるというわけですね。
少し長くなってしまいましたが、簡潔にまとめると序盤の戦線構築に《解呪》は邪魔なので、序盤から終盤まで役に立つ《崇拝》対策が見つかれば理想的でした。
MOでは《蒸気の絡みつき》や《サイクロンの裂け目》が一般的だったものの、バウンス呪文も劣勢のときはそこまでの活躍は期待できないため、最終的に《崇拝》対策は《絶え間ない飢餓、ウラモグ》だけに任せてしまい、序盤から終盤まで安定した活躍が見込める《ファイレクシアの変形者》を採用することにしました。
このカードはMOの対戦相手が使っていたアイディアを拝借させてもらったんですが、ミラーマッチでは優勢であれ劣勢であれ役に立ってくれます。1マナ軽い《幻影の像》だと《変位エルドラージ》で対象に取られると死んでしまうので、追加で1マナを払う価値は十二分にあると思います。
《絶え間ない飢餓、ウラモグ》は《解呪》と同様に、序盤に引いてしまうと無駄カードになってしまいますが、(1)《解呪》と違って枚数が1枚でいいこと、(2)キャストできた際のリターンが大きいことを加味して採用しました。キャストできるターンこそ遅いものの、《崇拝》を2枚まとめて対処できますし、《崇拝》対策の中では比較的汎用性の高いカードではないかと思います。
そんなこんなで、リストはこのような感じになりました。
1 《島》 1 《平地》 1 《荒地》 2 《神聖なる泉》 4 《溢れかえる岸辺》 4 《アダーカー荒原》 2 《コイロスの洞窟》 2 《魂の洞窟》 4 《エルドラージの寺院》 4 《ウギンの目》 -土地(25)- 4 《果てしなきもの》 4 《エルドラージのミミック》 4 《空中生成エルドラージ》 4 《変位エルドラージ》 4 《難題の予見者》 4 《現実を砕くもの》 4 《希望を溺れさせるもの》 -クリーチャー(28)- |
4 《流刑への道》 3 《四肢切断》 -呪文(7)- |
3 《頑固な否認》 3 《石のような静寂》 2 《ファイレクシアの変形者》 2 《安らかなる眠り》 1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 1 《虚空の杯》 1 《解呪》 1 《ハーキルの召還術》 1 《ヴェズーヴァ》 -サイドボード(15)- |
一般的なリストと大きな差はありませんが、いくつかのカードの選択理由を。
● 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》→《荒地》
多くの「エルドラージ」デッキには《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》が採用されていますが、ミラーマッチでは対戦相手の《ウギンの目》からもマナが出てしまうため、極力引きたくない土地です。
ミラーマッチは最も多いと予想していましたし、「青白エルドラージ」を含め、《流刑への道》がかなり多いであろうこと、無色マナを増やしたかったことを受けて《荒地》に変更。
● 《安らかなる眠り》×3→《安らかなる眠り》×2、《虚空の杯》×1
《安らかなる眠り》は見た目通りの墓地対策カード。そして墓地対策が最も必要になるマッチは、「エルドラージ」デッキ対策として日の目を浴びている【死せる生】です。
しかし純然たる墓地対策を3枚も採用していいものか判断できなかったので、1枚は《死せる生》対策にもなり、【感染】や【バーン】対策にもなる《虚空の杯》に変更しました。
● 《ヴェズーヴァ》の採用
これも最近では当たり前のテクニックになりましたが、ミラーマッチのマリガンを減らすための工夫です。《ヴェズーヴァ》を採用すればキープできる初手が増えるので、枠が許せば2枚目を採用したかったくらいです。
● 《はらわた撃ち》の不採用
【親和】を筆頭に、【感染】や【エルフ】、はたまた【アブザン・カンパニー】などにサイドインするカードです。
特に【感染】と【エルフ】は「青白エルドラージ」が苦手としているデッキなので、MOで勝っている「青白エルドラージ」のリストでは、《はらわた撃ち》を3枚採用しているものも多々ありました。
しかしながら、それらのデッキが少ないと予想したので今回は不採用に。結果としてこれが最大の失敗で、次に大会に出るなら《ハーキルの召還術》1枚と何かを抜いて《はらわた撃ち》2枚を採用します。
■ グランプリ・メルボルン2016 初日
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 1 | BYE | |
Round 2 | BYE | |
Round 3 | BYE | |
Round 4 | 《死せる生》 | ×〇× |
Round 5 | エルフ | ×× |
Round 6 | 感染 | ×〇× |
Round 7 | 《御霊の復讐》 | 〇〇 |
Round 8 | 親和 | 〇〇 |
Round 9 | 青白エルドラージ | ×〇〇 |
初日は3連敗からの3連勝の6勝3敗で、ギリギリ初日突破。
《はらわた撃ち》を抜いてしまったのが仇となり、【エルフ】と【感染】に完膚無きまでにうちのめされました。
すでにトップ8の目はなさそうですが、プロポイントを目指して2日目に。
■ グランプリ・メルボルン2016 2日目
ラウンド | 対戦デッキ | 勝敗 |
Round 10 | 《死せる生》 | 〇〇 |
Round 11 | ジェスカイ | ×〇× |
Round 12 | エルフ | 〇〇 |
Round 13 | ブルームーン | 〇〇 |
Round 14 | 青白エルドラージ | ×× |
Round 15 | 感染 | 〇〇 |
2日目は4勝2敗でプロポイント1点獲得。
またもや初戦で《死せる生》と当たったときは死を覚悟しましたが、《安らかなる眠り》が火を噴いてなんとか勝利。
その方が日本勢の大ファンらしく、やまけん (山本 賢太郎) さんや瀬畑 (市川 ユウキ) さんのサインが入った《死せる生》をとても嬉しそうに見せてくれたのが印象的でした。
この対戦相手以外の方々も、日本勢にとてもあたたかく接してくださるプレイヤーが多く、殿堂プレイヤーがいつもグランプリで配布させていただいている殿堂バッチを渡す際に、これほどまでに喜んでくださる国はオーストラリアが初めてでした。
今回のGPはランダムイベントのHALLofFAMEバッチ配ってるんだけど、みんな喜んでくれる。 pic.twitter.com/W2BtIsS0B5
— ヤソ (@yaya3_) 2016年3月6日
また、とてもマニアックなファンの方 (?) が《甲鱗のワーム》にサインして!ついでに日本語で「画伯」って書いて!!と仰ってくれて、思わず笑ってしまう一幕も (笑)
今回はサインしてくださいって言われて1番衝撃だったカード…w pic.twitter.com/gvLOhLsmMX
— 津村 健志 (@KenjiTsumura) 2016年3月6日
メルボルンはただいま夏真っ盛り!ということで、非常に暖かくて終始快適に過ごすことができましたし、治安も良く深夜でも安心して外出できる良い街でした。
オーストラリアに行ったのは実に9年ぶりくらいだったのですが、大会結果以外は最高の旅だったので、これからもオーストラリアのグランプリには毎回参加しようと思いました。
殿堂バッチもこんなに喜んでいただけて嬉しかったので、他の国でも同じように喜んでいただけるように、殿堂バッチに見合うような結果が出せるようにがんばりたいと思います。
日本に帰国してからは、Hareruya Prosのはまさん (金川 俊哉) と同行の小林さんが、築地でお寿司を食べたあと晴れる屋まで送ってくださるという神様のような待遇をしてくださったので、本当に最初から最後まで最高の旅でした。
はまさんにお供させてもらって初築地へ。美味しかったー(^○^) pic.twitter.com/srdFnkCSpt
— 津村 健志 (@KenjiTsumura) 2016年3月7日
はまさんと小林さん、そして道中でお世話になったみなさん、ありがとうございました!
さてさて、今週はHareruya Pros所属の井川 良彦さん、そして【BIG MAGIC所属プロ】でプロツアーチャンピオンの瀧村 和幸さんと【グランプリ・ワシントンDC2016】 (チームリミテッド) に参戦予定です!
大変申し訳ございませんが、本日放送予定だった【津村健志のゴキゲン!MO生活】は、チーム戦の練習のため【まつがんのだらだら!MO生活】に変更させていただきます。
チームメイトのお二人にご迷惑をかけないよう、みなさんに良い結果報告ができるようにがんばってきます!
それでは、また次回のブログで!
コガモ
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