Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/10/28)
はじめに
やぁみんな!
先週末、初めての『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンドが開催され、そこでアゾリウスコントロールを使用した。この記事では、デッキが出来上がるまでの話やデッキに関するコツや小技について話したいと思う。
アゾリウスブリンクかアゾリウスコントロールか
俺の考えでは、共通のカードがたくさんあってもこの2つのデッキは異なるアーキタイプでデッキの動かし方も違う。
これが『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンドで使ったデッキリストだ。
9 《島》
4 《寓話の小道》
4 《啓蒙の神殿》
1 《這い回るやせ地》
-土地 (27)- 4 《スカイクレイブの亡霊》
2 《玻璃池のミミック》
4 《真面目な身代わり》
3 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
2 《夢さらい》
-クリーチャー (15)-
3 《否認》
2 《垣間見た自由》
2 《神秘の論争》
4 《空の粉砕》
1 《崇高な天啓》
4 《エメリアの呼び声》
1 《海門修復》
1 《オンドゥの転置》
4 《海の神のお告げ》
2 《メレティス誕生》
4 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《精神迷わせの秘本》
2 《ガラスの棺》
-呪文 (38)-
俺のデッキは《空を放浪するもの、ヨーリオン》を活用するためにシナジーのあるカードは入っていても、単なるコントロールデッキだ。このブライアン・ブラウン=デュイン/Brian Braun-Duinのデッキと比較してみよう。
8 《平地》
4 《ラウグリンのトライオーム》
4 《啓蒙の神殿》
2 《平穏な入り江》
2 《ヴァントレス城》
-土地 (30)- 4 《魅力的な王子》
4 《スカイクレイブの亡霊》
2 《魅了された者、アリリオス》
2 《トレイリアの大魔導師、バリン》
2 《玻璃池のミミック》
4 《真面目な身代わり》
1 《深海住まいのタッサ》
3 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-クリーチャー (22)-
1 《否認》
1 《意味の渇望》
1 《空の粉砕》
1 《崇高な天啓》
4 《エメリアの呼び声》
4 《海の神のお告げ》
4 《メレティス誕生》
1 《太陽の神のお告げ》
4 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《ガラスの棺》
-呪文 (28)-
2 《垣間見た自由》
2 《否認》
2 《神秘の論争》
2 《空の粉砕》
1 《夢さらい》
1 《太陽の宿敵、エルズペス》
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-サイドボード (15)-
繰り返しにはなるけど共通のカードは多い。でも、俺のデッキは《精神迷わせの秘本》といったカードが生む純粋なカード・アドバンテージを重要視しているけど、彼のデッキはもっとシナジーに寄せて組まれているんだ。
カード選択
デッキを構築している際の取捨選択について軽く語っていこうと思う。デッキから最終的に抜いたカードについても言及するよ。
《魅力的な王子》
早い段階から、妨害してくるデッキを相手にしているときには《魅力的な王子》が弱点になると感じた。ただ、毎ターン全パーマネントをブリンクさせて対戦相手のブン回りすら上回る動きを可能にするのは、このカードの強みでもあったんだ。
デッキから《魅力的な王子》を抜くことで相手に妨害されにくくはなったけど、一方で《魅力的な王子》《トレイリアの大魔導師、バリン》《空を放浪するもの、ヨーリオン》《海の神のお告げ》《エルズペス、死に打ち勝つ》を場にそろえて相手に追いつくことを許さないような状況も発生しなくなった。
デッキ構築をするうえで、カードの選択はデッキの方向性から見て妥当なものであるべきだと思っている。だから《魅力的な王子》のような要素をデッキから排除するなら、相手を妨害する呪文にもっと頼らなくてはいけないということは明らかだった。
《トレイリアの大魔導師、バリン》
《トレイリアの大魔導師、バリン》は初期のアゾリウスブリンクで一番好きなカードのひとつだった。クリーチャー主体のデッキに対して決定的に活躍するカードだったからね。ただ、《トレイリアの大魔導師、バリン》は《スカイクレイブの亡霊》との相性がとてもいいとはいえ、ミラーマッチでとても弱く、この大会ではあまり使われなかったのもそういうわけだ。
《深海住まいのタッサ》
《深海住まいのタッサ》は素のカードパワーが《魅力的な王子》よりも高いとはいっても同じような機能のカードだ。ブリンクとのシナジーを形成するカードをデッキから抜き始めたら、どれも予想通り弱くなったしまったので結局どちらも0枚になった。
《スカイクレイブの亡霊》
《スカイクレイブの亡霊》がスタンダードで一番強力なカードの中の1枚なのは明らかで、スタンダードで使える間は頻繁に見かけるカードになるだろう。《スカイクレイブの亡霊》はすでにエターナル・フォーマットにも定着したカードで、使う条件が厳しくないのに何にでも対処できるとても強力なカードだ。今回使ったアーキタイプのデッキを使う理由にもなるカードだね。
《エルズペス、死に打ち勝つ》
《エルズペス、死に打ち勝つ》はこのデッキで最も重要なカードのひとつで、そのカードパワーの高さゆえに使う側・使われる側のデッキ構築に大きく影響している。より強く使うために《意味の渇望》をデッキに入れることまではしなかったが、《エルズペス、死に打ち勝つ》を使うのだからクリーチャーを多少は入れたくなった。そこで白羽の矢が立ったのは…。
《真面目な身代わり》
俺はコントロール型のデッキで《真面目な身代わり》を使う少数派のプレイヤーに属した。《真面目な身代わり》を使わない側の理由は打ち消し呪文と一緒にデッキに入れたときに、相手のターンに構えられないから相性が悪いという理屈だ。この主張自体には同意するが、経験上打ち消し呪文をデッキに入れると、ブリンク中心のデッキよりもさらに多くのマナが必要になるんだ。だから、どのデッキと当たっても《真面目な身代わり》はデッキに入っていたほうがいいと感じた。《夢さらい》にも上手く繋がるしね。
《玻璃池のミミック》
《玻璃池のミミック》はかなりよかった。土地でもあるから枠を割くのは難しくない。2体目の《真面目な身代わり》になることが多かったけど、理想としては2体目の《夢さらい》にしてゲームの勝利を確実にするのが一番だ。
《空を放浪するもの、ヨーリオン》
《空を放浪するもの、ヨーリオン》はこのデッキではあまり強くない。ブリンク中心のデッキではかなりのパワーカードだけど、このデッキでは時として非常に物足りない状況も発生する。5マナで4/5のバニラとして場に出すことも稀ではない。そうはいったものの、《空を放浪するもの、ヨーリオン》は特定の状況では最高のカードでデッキに入れるに値する。でもこれ以上増やせたとしても増やしたいとは思っていないし、《エルズペス、死に打ち勝つ》が弱い試合ではサイド後減らすこともありえる。
《夢さらい》
このデッキの《夢さらい》は大好きだ。ブリンク中心の構築でも好きだったね。《夢さらい》は6マナのカードとして優れたカードパワーで、ほかのカードでは勝てないような試合も勝たせてくれる。《真面目な身代わり》を活用して5ターン目に叩きつけることすらできるんだ!
《オンドゥの転置》
《オンドゥの転置》は使いづらいこともあるけど、追加の全体除去があることは俺にとってはありがたかった。特にサイドボード後のゲームでは、予想外の脅威に対して解答が少ないこともあるからね。8マナは確かに重いんだけど、ゲームが長引いたときにこういうカードを求めてデッキを掘ることができるのは魅力的だと思う。
《海門修復》
《海門修復》も7マナで盤面に影響を与えられないカードだから、ゲームが長引いたとき以外に使わないという意味では似たようなカードだ。でも稀にコントロールミラーの試合で唱えて、6枚以上のカードを引いたりするとその場で勝利は約束される。
《精神迷わせの秘本》
4枚入っている《精神迷わせの秘本》はミラーマッチ用に備えたカードだ。ゲーム開始時の手札にあったらうれしいカード筆頭だからね。もし後手で自分の手が比較的弱いなら、《精神迷わせの秘本》を出してからカードを1枚引ける状況になるまでは出すのを我慢したほうがいい。ミラーマッチにおいて本来そこまで強くない《スカイクレイブの亡霊》を有効に使われるのは避けたほうがいいからね。
《太陽の神のお告げ》
みんな《海の神のお告げ》が優れていることを認めている。でも、《太陽の神のお告げ》は何度も使いまわすのでなければあまり強くないカードだと感じたからデッキからは抜くことにした。アグロデッキと当たったときには《太陽の神のお告げ》のおかげで勝てる試合もある。でもコントロールミラーが多くなると想定したから、デッキの中でブリンクとのシナジー込みの枠には《真面目な身代わり》を入れることにした。カードパワーでは《太陽の神のお告げ》よりもはるかに強力なカードだと思うよ。
《メレティス誕生》
《メレティス誕生》はあまり好きではない。少し過大評価されているカードだと思っている。結局のところ、0/4の壁を出すことに意味がある試合か相手が《予言された壊滅》を使っている試合でなければ活躍しないカードだからね。土地が滑らかに伸びるようにしてくれるし、《空を放浪するもの、ヨーリオン》とも《平地》が1枚手札に増えるちょっとしたシナジーもあるけど、全体としてはこのカードは弱いと感じたからデッキに2枚しか入っていない。それによって多くの試合でサイドボーディングが楽になった。
《垣間見た自由》
3枚目と4枚目の《メレティス誕生》の枠には《垣間見た自由》を2枚入れた。《垣間見た自由》がすごく強いと思っているわけでもないけど、さっき言ったように《メレティス誕生》はあまり好きではないし、アドベンチャーデッキと当たったときすら複数枚は引きたくない。だからサイドボードの枠を節約するためにもこの2種類のカードで4枚分の枠を分けることにした。このデッキにとって最悪の相性であるディミーアローグに対してとても強いという要素もあるしね。
《本質の散乱》
《本質の散乱》は4枚投入することにした。ほとんどのデッキがクリーチャーの多いデッキになると思ったからね。場に出た瞬間に仕事を終える《空を放浪するもの、ヨーリオン》に対する理想の答えでもある。
《ガラスの棺》
《本質の散乱》と引き換えに《ガラスの棺》を何枚かメインデッキから削らざるを得なかったんだけど、大会でのローグの多さを考えるとあまりいい判断ではなかった。《本質の散乱》はインスタントだから優れているのではないかと思うかもしれないけど、ローグのクリーチャーに対する解答としては《ガラスの棺》のほうが優れていると思っている。
実際の試合では、ローグ側のプレイヤーがいつクリーチャーカードを唱えるかという判断の主導権を持っているから、《本質の散乱》を的確に使うのはかなり難しい。《ガラスの棺》なら場にいるクリーチャーに対していつ使うかの主導権はこちらにあるので、《否認》みたいなカードと一緒に唱えることも可能になる。
《空の粉砕》
メインデッキの主な除去としては《空の粉砕》を選んで4枚投入した。緑のデッキが多かった場合には相手の攻勢をしのぐのに最高のカードだし、ミラーマッチでも《ガラスの棺》よりはるかに優れていると感じた。その最大の理由はほかのカードでは対処できない《夢さらい》の存在で、この大会では多く使われるカードだと想定していた。
《否認》
今回《否認》を3枚入れたが、《本質の散乱》もたくさん入っていたことを考えると奇妙に思えるかもしれない。採用したのはアゾリウスミラーで《エルズペス、死に打ち勝つ》が本当に強力だから、解答を用意しておきたかったんだ。あと、緑のデッキに対する主要な負けパターンには《グレートヘンジ》か《怪物の代言者、ビビアン》が絡んでいると思う。《否認》はこのデッキを相手にしたときに優れたカードではないけど、この2枚に対しては解答となる。
《崇高な天啓》
《崇高な天啓》も好きだ。見てわかる通り重い呪文だけど、6マナ分の働きをしっかりやってくれるカードだ。《真面目な身代わり》や《空を放浪するもの、ヨーリオン》をコピーして派手なターンを作ってくれるだけでなく、《スカイクレイブの亡霊》も《エルズペス、死に打ち勝つ》も効かない《サメ台風》に対する優れた解答でもある。
《這い回るやせ地》
《ヴァントレス城》や《アーデンベイル城》のような能力を持つ土地の枠では《這い回るやせ地》を採用した。5マナで1回起動するだけなら《這い回るやせ地》は明らかに両方の「城」よりも劣っているが、このゲームでは序盤のターンに何もマナを使わないことはほとんどないことに気がついた。
土地で何かしたい状況というのは試合がとても長引いたときで、土地が12枚以上に伸びたようなときこそ《這い回るやせ地》が真価を発揮する。《這い回るやせ地》が重要になる試合は多くはないが、その試合が訪れたときには試合に勝たせてくれるカードで、安定したマナ基盤に無色の土地を足すという判断を正当化するだけの価値がある。
《巨人落とし》
《巨人落とし》は緑のデッキに対して十分に強いカードで、《サメ台風》を使うデッキに対しても多少の防衛になる。メインデッキに採用するほどのカードではないとは思うけど、もしグルールが環境に多くなるようなら枚数を増やすのが正しいはずだ。
《サメ台風》
メインデッキに何枚か《サメ台風》を入れるべきだったとは思っている。対戦相手のデッキに入っている試合で自分のデッキに入っていないとメインゲームを勝つためには難しいかじ取りが必要になってしまうからだ。
青黒のデッキに対しては「サイクリング」せず6マナで呪文として唱えても素晴らしいカードだし、単純に打ち消し呪文を使うどんなデッキに対しても強いカードだからね。アグロ相手には《精神迷わせの秘本》の代わりに使えるし、こちら側が除去を中心に立ち回るならそれなりに活躍する。
《神秘の制圧》
《神秘の制圧》はデッキから《メレティス誕生》を2枚減らしたときにサイドボードに採用したカードだ。《エッジウォールの亭主》は対処しなければならないカードだし、《本質の散乱》と共にデッキに入れるカードとして妥当だと思う。打ち消し呪文を構えるために土地を立たせておいて、相手が何もしなかったらどこかに《神秘の制圧》を使えばいい。
ローグに対しても《本質の散乱》や《ガラスの棺》の良いとこ取りをできるから優れたカードだ。弱そうに見えるカードかもしれないけど、このカードを使うという判断ができたことをとてもうれしく思っている。
《魂標ランタン》
《魂標ランタン》がラクドスエスケープに対して抜群の効果を発揮するのは明らかだけど、サイドボードに入れた理由は《アガディームの覚醒》の存在だった。デッキの主な除去は《空の粉砕》だったから、《アガディームの覚醒》のせいで何度も敗北を味わった。なのでサイドボードに解答を用意しておいたほうがいいという結論に至ったんだ。
『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンド
このデッキを使った成績は7勝5敗だった。普段の大会で期待される成績と比べるとあまりいい成績に見えないかもしれないけど、対戦相手の実力を考えれば十分満足すべき成績だ。
《空を放浪するもの、ヨーリオン》系のデッキはこの大会に適したデッキではなかった。みんな仮想敵として打ち倒しに来たし、《空を放浪するもの、ヨーリオン》デッキは実際に打ち倒されていた。それはこのデッキにとって何を意味するだろうか?むしろ吉報だと思っていて、メタゲームがメインデッキに打ち消し呪文を満載するのをやめて今度はほかのデッキを倒そうとする方向に動くからだ。グルールが今大会で一番活躍したデッキだった。つまり《空の粉砕》は強くなるということだ!
サイドボードガイド
相手を妨害するデッキのサイドボーディングは、いつでも相手のデッキに実際に入っているカード次第である。相手の脅威に対して解答を用意できるようにするべきということだ。サイドボードについて考える際にはそれを忘れないでほしい。
アゾリウスヨーリオン
vs. アゾリウスヨーリオン
ディミーアローグ
vs. ディミーアローグ
ラクドスクロクサ
vs. ラクドスクロクサ
グルール
vs. グルール
読んでくれてありがとう!