はじめに
みなさんこんにちは。
来月末に開催されるThe Last Sun 2020、そして今週末にあるMagic Online Championshipのフォーマットであるパイオニアは、今もっとも熱いフォーマットのひとつです。
今回もMOの大規模なイベントの入賞デッキを見ながら、環境の解析をしていきたいと思います。
Pioneer Champs #12223550
優勝はプレインズウォーカー満載の緑単
2020年10月31日
- 1位 Mono Green Planeswalkers
- 2位 Burn
- 3位 Sultai Delirium
- 4位 5C Niv
- 5位 4C Reclamation
- 6位 Burn
- 7位 4C Omnath
- 8位 Burn
トップ8のデッキリストはこちら
MOで開催されたChamp Qualを通過したのは、《ニッサの誓い》が解禁されたことで安定性が著しく向上したMono Green Planeswalkersでした。
また、『ゼンディカーの夜明け』からの新カードである《乱動する渦》をサイドに採用したBurnが、プレイオフに3名と健闘していました。
コンボデッキは少数で、多色コントロールや5C Nivなどのコントロールやミッドレンジが多数勝ち残っていました。モダンと同様にChamp Qualでは安定したパフォーマンスが期待できる戦略が好まれるようです。
デッキ紹介
Burn
《夢の巣のルールス》を「相棒」に採用したBurnは、『イコリア:巨獣の棲処』がリリースされて以来、定番のデッキのひとつとして定着しています。
モダンのBurnでも主力として使われている《大歓楽の幻霊》を始め、軽い優秀なクロックと火力、「相棒」の《夢の巣のルールス》によって環境でもトップクラスの爆発力と粘り強さを兼ね揃えたデッキです。
今大会では惜しくも優勝こそ逃したものの、トップ8に3名送り込むという安定感を見せました。
☆注目ポイント
《ギトゥの溶岩走り》《損魂魔道士》《ヴィーアシーノの紅蓮術師》といった軽いウィザード・クリーチャーを多数採用しているため、《魔術師の稲妻》を《稲妻》のようにプレイできます。
軽いクリーチャーと火力で相手のライフを速攻で攻めるアグロデッキですが、《舞台照らし》と《夢の巣のルールス》いったカードアドバンテージ源も採用されているため、ロングゲームにも対応することができます。
今大会で入賞したすべてのBurnのサイドに採用されていた《乱動する渦》は、《硫黄の渦》と似たエンチャントで、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などのライフゲインを阻止できるため、コントロールデッキに対して押し切りやすくなりました。
4C Reclamation
1 《平地》
1 《山》
1 《森》
4 《寓話の小道》
4 《ケトリアのトライオーム》
4 《ラウグリンのトライオーム》
3 《寺院の庭》
2 《繁殖池》
2 《踏み鳴らされる地》
1 《神聖なる泉》
1 《蒸気孔》
2 《ヴァントレス城》
-土地 (28)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
3 《創造の座、オムナス》
-クリーチャー (6)-
2 《パルン、ニヴ=ミゼット》
2 《霊気の疾風》
2 《幻惑の旋律》
2 《魂標ランタン》
1 《爆発域》
1 《神々の憤怒》
1 《サメ台風》
1 《時を解す者、テフェリー》
-サイドボード (15)-
複数のフォーマットで活躍している《創造の座、オムナス》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のコンビは、パイオニアでも第一線で活躍しています。元々はTemurカラーのコントロールでしたが、《創造の座、オムナス》が登場して以来、白をタッチした4色バージョンが主流になっています。基本的な構成はTemurバージョンのときと大きな変化はなく、従来通りのプレイができます。
《荒野の再生》の提供するマナアドバンテージを活かして、《サメ台風》や《発展/発破》などでアドバンテージ差を広げます。
サイドボードを含めるとカウンターを複数採用しているため、ほかのミッドレンジに対して強い戦略となっています。《荒野の再生》を採用したコントロールデッキは、トップメタのBurnと並んで現環境のトップメタに位置しているのです。
☆注目ポイント
《荒野の再生》を使ったデッキには、Sultaiなどいくつか異なるバリエーションが存在しますが、Temurバージョンは《神々の憤怒》が使えるので、Mono Blackなどアグロデッキとの相性が良くなります。また《発展/発破》を採用できるため、《荒野の再生》をより有効に使うことができます。
白をタッチしたことで《時を解す者、テフェリー》と《ドビンの拒否権》が使えるようになったので、3色のときと比べてほかのコントロールとのマッチアップにさらに強くなりました。ライフゲイン能力を持つ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《創造の座、オムナス》は、現環境のトップメタである赤いアグロデッキとのマッチアップでも最適なフィニッシャーとなります。
5C NivやSultai、Esper、同型など現環境のミッドレンジやコントロール系の多くは青ベースなので、《神秘の論争》がメインからフル搭載されています。もちろん相手が青いデッキでなくとも、最近流行りのThe Spyとのマッチアップではカウンターは必須なので、完全に腐ることはほぼありません。
サイドの《パルン、ニヴ=ミゼット》は、インスタントやカードをドローする手段が多いこのデッキにおいて、多大なアドバンテージを稼ぐことができる対コントロールの最終兵器となります。
Pioneer Challenge #12225855
スタンダードでも猛威を振るっていたジェスカイルーカが優勝
2020年11月08日
- 1位 Jeskai Luuka
- 2位 Mono Green Planeswalker
- 3位 Burn
- 4位 Burn
- 5位 Jeskai Luuka
- 6位 Sultai Midrange
- 7位 Sram Aura
- 8位 Burn
トップ8のデッキリストはこちら
Champ Qualと同様にBurnがプレイオフに3名と安定した成績を残していました。
また、同大会で優勝していたMono Green Planeswalkerは、今回のPioneer Challengeでも準優勝と健闘しており、現環境の有力な選択肢のひとつであることは間違いなさそうです。
今大会で優勝を果たしたのは、《銅纏いののけ者、ルーカ》か《異形化》で《裏切りの工作員》をサーチするコンボを搭載したJeskai Luukaでした。
デッキ紹介
Sultai Midrange
2 《森》
1 《沼》
3 《寓話の小道》
2 《ゼイゴスのトライオーム》
2 《繁殖池》
2 《草むした墓》
2 《湿った墓》
4 《花盛りの湿地》
2 《清水の小道》
1 《内陸の湾港》
1 《森林の墓地》
-土地 (24)- 4 《サテュロスの道探し》
3 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
2 《残忍な騎士》
2 《不屈の追跡者》
1 《半真実の神託者、アトリス》
1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
-クリーチャー (17)-
2 《再利用の賢者》
2 《見栄え損ない》
2 《害悪な掌握》
2 《屍呆症》
1 《貪欲なチュパカブラ》
1 《約束された終末、エムラクール》
1 《強迫》
1 《神秘の論争》
-サイドボード (15)-
5C Nivや4C Reclamationとは異なるスタイルのミッドレンジで、ハンデスや優秀なクリーチャー、除去、カードアドバンテージ源と一通りそろったJundのようなデッキです。
また、《サテュロスの道探し》で墓地を肥やして「昂揚」の条件を満たし、《ウルヴェンワルド横断》で状況に応じたクリーチャーをサーチするツールボックス的な側面もあります。
☆注目ポイント
「昂揚」や「脱出」のために墓地を肥やしつつ必要な土地を確保する《サテュロスの道探し》は、このデッキにとって重要なカードになりキープ基準にもなります。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を墓地に落とす手段にもなるので、さらなるアドバンテージに繋がりやすくなるのです。
カードアドバンテージを稼ぐ《不屈の追跡者》は、必要な土地や妨害スペルを引き当てる助けになります。相手にとってマスト除去でありながら、除去されてもすでに十分なアドバンテージが取れていることも多く、このデッキの主力となるクリーチャーです。
《屍呆症》は相手に追加のドローをさせてしまう《漂流自我》と比べてゾンビ・トークンを与えてしまいますが、除去が多くクリーチャー性能で勝るこのデッキでは問題になることはなさそうです。小道サイクルの《清水の小道》はパイオニアでは不足していた友好色の2色地形で、マナ基盤の安定性の向上に一役買っています。
Mono Green Planeswalker
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》
-土地 (21)- 4 《エルフの神秘家》
4 《ラノワールのエルフ》
4 《炎樹族の使者》
4 《大食のハイドラ》
3 《ラノワールの幻想家》
-クリーチャー (19)-
1 《ダークスティールの城塞》
1 《石とぐろの海蛇》
1 《新緑の機械巨人》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《トーモッドの墓所》
1 《墓掘りの檻》
1 《真髄の針》
1 《影槍》
1 《キランの真意号》
1 《連結面晶体構造》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
1 《王神の立像》
1 《グレートヘンジ》
-サイドボード (15)-
Champ Qualで優勝、今大会でも準優勝とトップメタではないもののコンスタントに結果を残し続けているMono Green Planeswalker。デッキの動きはシンプルで、パーマネントを可能な限り展開していき、《ニクスの祭殿、ニクソス》を使って大量のマナを捻出してビッグスペルをプレイしていきます。
《ニッサの誓い》が解禁されたことで、元からあった爆発力に加えて安定性も大きく向上し、大きな大会の上位では見かけることが多くなったデッキです。
デッキとして完成されているため、『ゼンディカーの夜明け』以前までのカードでまとめられています。
☆注目ポイント
《炎樹族の使者》は実質フリースペルであり、緑のダブルシンボルなので《ニクスの祭殿、ニクソス》と相性が良くこのデッキの爆発力を支えます。
《エルフの神秘家》《ラノワールのエルフ》《ラノワールの幻想家》とマナクリーチャーが多く採られているため、早い段階から《世界を揺るがす者、ニッサ》や《アーク弓のレインジャー、ビビアン》など強力なプレインズウォーカーを連打していくことでゲームを支配します。
《アーク弓のレインジャー、ビビアン》は色拘束が強く、《ニクスの祭殿、ニクソス》のための「信心」も集めやすいので、《大食のハイドラ》《グレートヘンジ》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》などのビッグスペルに繋げやすくなります。《アーク弓のレインジャー、ビビアン》と《大いなる創造者、カーン》の能力によって、サイドボードのカードを状況に応じてサーチしてこれるため、単色ながらフレキシブルな動きがこのデッキの特徴です。
総括
現環境のパイオニアはデッキのバリエーションが豊富で、モダンやレガシーとはまた違った環境を楽しむことができるフォーマットです。
Burnのように赤い高速アグロとコントロール、ミッドレンジが中心なので比較的健全な環境と言えます。The SpyやLotus Fieldなどコンボデッキは存在しますが、環境を支配するまでには至っていない印象です。
USA Pioneer Express vol.13は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいパイオニアライフを!