はじめに
みなさんこんにちは。
Magic Online Championshipが終了したことでひと段落した感のあるモダンですが、MOでは定期的に大会が開催されています。
今回の連載では先週末のModern Challengeから入賞デッキをみていきたいと思います。
Modern Challenge #12231143
群雄割拠なモダン環境
2020年11月21日
- 1位 Eladamri’s Toolbox
- 2位 Bant Ephemerate
- 3位 Eladamri’s Toolbox
- 4位 Heliod Company
- 5位 Rakdos Death’s Shadow
- 6位 Merfolk
- 7位 Oops! All Spells
- 8位 Humans
トップ8のデッキリストはこちら
今大会を制したのはツールボックス的な要素を取り入れたTitan Fieldでした。《エラダムリーの呼び声》があるため、状況に応じてさまざまなクリーチャーをサーチ可能となっています。
ほかにもETB能力(戦場に出たときに誘発する能力)持ちクリーチャーを「明滅」してアドバンテージを稼ぐミッドレンジタイプのBantやMOCS覇者Michael A Jacob選手も使用していたHeliod Company、環境の定番Rakdos Death’s Shadowと多種多様なアーキタイプが勝ち残っていました。
デッキ紹介
Bant Ephemerate
2 《冠雪の平地》
2 《冠雪の森》
2 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《大草原の川》
1 《寺院の庭》
1 《神秘の聖域》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《霧深い雨林》
1 《吹きさらしの荒野》
2 《秘教の門》
-土地 (24)- 4 《氷牙のコアトル》
3 《前兆の壁》
4 《スカイクレイブの亡霊》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
2 《永遠の証人》
1 《造物の学者、ヴェンセール》
-クリーチャー (17)-
《前兆の壁》《永遠の証人》《氷牙のコアトル》などのETB能力持ちのクリーチャーを《儚い存在》で「明滅」してアドバンテージを稼ぐミッドレンジデッキ。フィニッシャーは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》となっています。
《前兆の壁》や軽量除去、《ウーロ》によるライフゲインがあるのでアグロに対して強いデッキとなっています。3色デッキながら基本地形を多数採用しているので《血染めの月》に耐性があるのも特徴です。
☆注目ポイント
《儚い存在》は相性の良いクリーチャーが多く、1マナと軽いため相手の除去に対してキャストすることでカウンターのように機能します。「反復」を含めキッチリとアドバンテージを稼ぐためにも、能動的に使用する場合は相手のマナがタップアウトのときを狙っていきましょう。
Death and TaxesやHeliod Company、Eladamri’s Toolboxなどさまざまなデッキで採用されている《スカイクレイブの亡霊》。《エラダムリーの呼び声》でサーチできるパーマネント対策であり、《儚い存在》との相性も抜群です。
《スカイクレイブの亡霊》のETB能力にレスポンスして《儚い存在》をキャストすることで、先に戦場を離れたときの能力が解決されます。これによりイリュージョン・トークンを生成せずにパーマネントを追放することができるのです。
《造物の学者、ヴェンセール》はスペルを打ち消さずバウンスするので、《魂の洞窟》や《夏の帳》経由でキャストされたスペルにも効果があります。
《物語の終わり》はプレインズウォーカーをカウンターできるので4C UroやTronに対して使えるほか、すでに戦場に出ているプレインズウォーカーの忠誠度能力自体を打ち消すことが可能です。
Heliod Company
2 《平地》
4 《寺院の庭》
4 《吹きさらしの荒野》
1 《霧深い雨林》
1 《新緑の地下墓地》
1 《樹木茂る山麓》
4 《地平線の梢》
-土地 (21)- 2 《歩行バリスタ》
4 《東屋のエルフ》
1 《貴族の教主》
3 《オーリオックのチャンピオン》
2 《議事会の導師》
1 《漁る軟泥》
1 《呪文滑り》
4 《太陽冠のヘリオッド》
4 《イーオスのレインジャー長》
4 《スパイクの飼育係》
2 《スカイクレイブの亡霊》
-クリーチャー (28)-
2 《エイヴンの思考検閲者》
2 《スカイクレイブの亡霊》
2 《流刑への道》
2 《安らかなる眠り》
2 《窒息》
1 《オーリオックのチャンピオン》
1 《エメリアのアルコン》
-サイドボード (15)-
ここ最近のモダンでは、クリーチャーをベースにした2枚コンボが注目を集めています。《歩行バリスタ》+《太陽冠のヘリオッド》のコンボはモダンでは比較的マイナーな立ち位置でしたが、Michael A Jacob 選手がMOCSを優勝したことで、その強さが本物であると証明されました。
コンボパーツがすべてクリーチャーであるため《集合した中隊》や《エラダムリーの呼び声》など揃える手段がいくつもあります。万一コンボが揃わない場合は《集合した中隊》が提供するカードアドバンテージを活かし、ミッドレンジアグロとして振舞えるようになっています。
☆注目ポイント
《ヘリオッド》を軸にして、《スパイクの飼育係》と《歩行バリスタ》を組み合わせることで、2つの無限コンボが組み込まれています。《スパイクの飼育係》との無限ライフは強力なコンボであり、決まればライフを削りきられることはほとんどありません。
歩く《硬化した鱗》こと《議事会の導師》の登場によって、プレイングの幅が広がりました。クリーチャーであるため対処されやすくなりましたが、《集合した中隊》から場に出せるなどの強みもあります。
デッキ名にもなっている《集合した中隊》は不確定な部分はありますが、上手くいけば1枚のカードで《スパイクの飼育係》+《ヘリオッド》のコンボが揃うことになります。これに加えてサーチスペルの《エラダムリーの呼び声》もあるため、安定してコンボを決めることができるのです。
Modern Challenge #12231149
レアなコンボデッキが優勝
2020年11月22日
- 1位 Puresteel Combo
- 2位 4C Uro
- 3位 Yorion and taxes
- 4位 Belcher
- 5位 Grixis Death’s Shadow
- 6位 Amulet Titan
- 7位 Rakdos Death’s Shadow
- 8位 Mardu Midrange
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今大会では定番の4C UroやDeath’s Shadow系以外にPuresteel ComboやYorion and taxes、Belcherなどが結果を残し、モダンらしい結果となりました。
入賞したほとんどのデッキに『ゼンディカーの夜明け』のカードが含まれており、同セットは環境の多様化に貢献しているといえます。
Modern Challenge #12231149
Belcher
4 《棘平原の危険》
4 《捨て身の儀式》
4 《魔力変》
4 《発熱の儀式》
4 《髑髏砕きの一撃》
4 《バーラ・ゲドの復活》
4 《小道の再交差》
4 《ヴァラクートの覚醒》
4 《アイレンクラッグの妙技》
1 《魂の再鍛》
4 《海門修復》
4 《変わり樹の共生》
3 《血染めの月》
4 《ゴブリンの放火砲》
-呪文 (56)-
『ゼンディカーの夜明け』から登場した呪文/土地の両面カード(以下、スペルランド)によって新しいコンボデッキが生まれました。
《猿人の指導霊》や《捨て身の儀式》などの儀式系スペルによるマナ加速を利用して、高速で《ゴブリンの放火砲》を起動するBelcher。土地としてカウントされないスペルランドの特性を活かしたコンボとなっています。
☆注目ポイント
スペルランドは戦場以外では土地としてカウントされないため、《小道の再交差》の効果でライブラリーのカードを任意の順番にすることができます。新セットのメカニズムやカードによって過去のカードが再評価され、時代を超越した共演が実現するのもモダンというフォーマットの魅力ですね。
《ゴブリンの放火砲》を起動したそのターンに勝利するので、契約コストの払い忘れを気にする必要がありません。このデッキでは《否定の契約》は0マナのカウンターとなり、コンボを無理やり通す手段となります。
相手のデッキによってはコンボを決めずとも《血染めの月》を張ることでロックすることが可能であり、トップメタの4C Uroなどに有効です。勝ちが確定せずとも相手の動きを大幅に制限できるため、コンボを決めやすくなります。
メイン戦では高確率で勝ちを拾える一方で、サイド後は相手側に対策カードが増えるため、コンボを決めるのも一筋縄ではいきません。こちらも《防御の光網》や《神聖の力線》をサイドインして対抗する必要があります。《沸騰》は4C Uroなどカウンターを多用する青ベースのデッキにとって、追加のマストカウンターとなります。相手のエンド・ステップに《沸騰》をキャストすることでカウンターを誘い、返しのターンでコンボを狙っていきます。
レガシーのBelcherと同様に、カウンターを多用する青いデッキとのマッチアップでは《巣穴からの総出》は有効なフィニッシャーとなります。《集団恐慌》を張ればトークンを出したターンにゲームを終わらせることもできるので、返しにスイーパーで流される心配もなくなります。
4C Uro
1 《森》
1 《冠雪の平地》
1 《冠雪の島》
1 《冠雪の森》
1 《ケトリアのトライオーム》
1 《ラウグリンのトライオーム》
1 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《蒸気孔》
1 《踏み鳴らされる地》
1 《寺院の庭》
2 《神秘の聖域》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《霧深い雨林》
3 《沸騰する小湖》
2 《廃墟の地》
2 《死者の原野》
-土地 (29)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
3 《創造の座、オムナス》
-クリーチャー (7)-
さまざまなデッキが存在するモダンですが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を使った4C Uroは現環境最高デッキのひとつであることは間違いありません。
軽量除去やカウンターでゲームをコントロールしつつプレインズウォーカーなどでアドバンテージを蓄積していき、最終的に《ウーロ》や《死者の原野》によってゲームを終わらせます。動きに一貫性があり、デッキの種類が多いモダンでも安定した成績が期待できます。
元々大会上位でみかけることが多いデッキでしたが、《創造の座、オムナス》を獲得してさらに強化されました。
☆注目ポイント
《レンと六番》はタフネス1のクリーチャーに睨みを利かせ、[+1]能力で墓地からフェッチランドを回収してカードアドバンテージを稼ぎます。最低でも7枚まで土地を伸ばす必要があるため、《レンと六番》とフェッチランドの組み合わせはこのデッキに安定性をもたらしているのです。中盤以降は《神秘の聖域》をサーチすることで、実質的に呪文を回収するのと同様の効果が得られます。
《死者の原野》をサーチできる《約束の刻》はこのデッキのフィニッシャーであり、2枚採用することを推奨します。《謎めいた命令》と並んで《神秘の聖域》の有力な回収先となっており、《約束の刻》を再利用することでゲームを速やかに終わらせることができます。5マナのソーサリーであるため枚数を入れすぎるとデッキがもっさりしてしまいますが、《創造の座、オムナス》との組み合わせも強力なので、最近ではプレインズウォーカーを削って3枚採用したリストも散見されます。
《原始のタイタン》デッキやProwess、4C Uroなど多くのデッキが赤ないし緑を使用しています。対象が多いため、色対策の《霊気の疾風》がメインから採用となっています。
Death’s Shadowのような高タフネスクリーチャーでプレッシャーをかけてくるデッキが増えたため、サイドに《至高の評決》が増量されています。《封じ込める僧侶》は各種《霊気の薬瓶》デッキやThe Spyの《復讐蔦》、《集合した中隊》に対する優秀なヘイトベアーといえるでしょう。
総括
アーキタイプが多いモダンでは既存デッキの強化にとどまらず、エキスパンションが発売されるたびに新しいデッキや新戦略の可能性が生まれます。現環境の4C Uroのように主要なデッキこそありますが、さまざまなデッキにチャンスがあるのです。今回ご紹介したBant Ephemerateのように、意外なカードを軸にして大会で入賞することもできるのです。そう、モダンならね。
Show Case ChallengeやChamp Qualなどの大規模イベントでは4C Uroの使用率が上がる傾向がありますが支配的というほどではないため、『カルドハイム』リリースまではこの環境が続きそうです。
以上、USA Modern Express vol.49でした。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!