クイックインタビュー: エルドラージは一時代を築くのか?

晴れる屋





By Kenji Tsumura


 先月に開催された【プロツアー『ゲートウォッチの誓い』】は、モダンに革命が起きた日として多くの人々の記憶に焼き付いている。

 『ゲートウォッチの誓い』がリリースされたことで、飛躍的に力を増した【エルドラージデッキがトップ8に6名も進出】したのだ。


エルドラージのミミック難題の予見者現実を砕くもの


 他の追随を許さない圧倒的な速度が自慢のデッキだが、それを可能にしたのは《エルドラージの寺院》《ウギンの目》という2種類の土地だった。


エルドラージの寺院ウギンの目


 その後さらなる成長を遂げ、今ではモダン環境で最強のデッキとして君臨するエルドラージデッキだが、時を同じくしてレガシー界にもその触手を伸ばしてきた。



Eddie Whiteside「Colorless Eldrazi」
SCG Super IQ Columbia(1位)

4 《魂の洞窟》
4 《古えの墳墓》
4 《裏切り者の都》
4 《エルドラージの寺院》
4 《不毛の大地》
1 《水晶鉱脈》
4 《ウギンの目》

-土地(25)-

4 《果てしなきもの》
4 《エルドラージのミミック》
1 《ファイレクシアの破棄者》
4 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
3 《終末を招くもの》

-クリーチャー(24)-
3 《歪める嘆き》
4 《虚空の杯》
4 《アメジストのとげ》

-呪文(11)-
4 《トーモッドの墓所》
3 《幽霊街》
3 《漸増爆弾》
2 《真髄の針》
2 《抵抗の宝球》
1 《歪める嘆き》

-サイドボード(15)-
hareruya


 モダンとレガシーのエルドラージの決定的な違いは、安定性にほかならない。


古えの墳墓裏切り者の都


 モダンのエルドラージが《エルドラージの寺院》《ウギンの目》の2種に極度に依存しているのに対し、レガシーのエルドラージにはそこに《古えの墳墓》《裏切り者の都》が加わるのだ。

 また、《古えの墳墓》《裏切り者の都》の存在により、1ターン目に《虚空の杯》《アメジストのとげ》を設置するといったアクションも可能になっており、ロックデッキのような側面も持ち合わせている点も見逃せない。


虚空の杯アメジストのとげ


 モダン以上の爆発力、そしてモダンにはない安定性を擁するエルドラージデッキは、レガシーでも瞬く間に流行の兆しを見せた。

 果たしてこれは一過性のものなのか。それともエルドラージは《秘密を掘り下げる者》のように、これから一時代を築くのか。

 この度は強豪プレイヤーたちにエルドラージデッキの今後の展望と、今大会に参加するにあたりどれくらいエルドラージデッキを意識したのかについて尋ねてみた。



土屋 洋紀



エルドラージはこれからも活躍すると思います。ゴリゴリに攻める【MUD】みたいなデッキですよね。

ただ世の中で言われているほど、【青白奇跡】対して圧倒的に有利ではないのかなと。単に【青白奇跡】に勝ちたいのであれば、《忘却蒔き》を入れるのがいいと思いますが、そうすると「デルバー」系のデッキに弱くなってしまうので難しいところですね。


忘却蒔き


今日使っている【RUG Delver】もかなりエルドラージを意識していて、除去を《二股の稲妻》から《四肢切断》に変更したり、サイドボードの《クローサの掌握》だった枠を、複数枚の《虚空の杯》に対処できる《古えの遺恨》にしてます。


四肢切断古えの遺恨


個人的にビートダウンデッキがいる方が環境は健全だと思うので、【Zoo】【Maverick】以来のビートダウンデッキの再来を嬉しく思っています。



斉藤 伸夫



今は少し多すぎるかなという印象を受けていますが、強いデッキなのでこれからも活躍し続けると思います。

自分は【青白奇跡】を使っていて、メインボードに《罠の橋》、サイドボードに《基本に帰れ》を採用してエルドラージに強い構成にしました。


罠の橋基本に帰れ


また、《虚空の杯》《スレイベンの守護者、サリア》が多いときには《思案》が弱いため、《思案》を減らして《呪文嵌め》を増量しています。


思案呪文嵌め


エルドラージの隆盛で【ANT】が減って【Sneak and Show】【Shardless Sultai】が増えると思ったので、その辺りのデッキにも効く《罠の橋》《呪文嵌め》の増量に踏み切りました。



高野 成樹



エルドラージは《虚空の杯》を使ったデッキの中で1番強いと思います。

これまでの《虚空の杯》を使ったデッキ、例えば【MUD】なんかだと、《虚空の杯》を置いてからマナ加速を挟んでフィニッシャー、という流れでしたけど、エルドラージは《虚空の杯》を設置したあとすぐにフィニッシャーが出てくるんですよね。

今回はエルドラージ用に《罠の橋》《基本に帰れ》を用意した他に、《虚空の杯》に負けないように《摩耗+損耗》を2枚に増やして、メインに《仕組まれた爆薬》も採用しています。


仕組まれた爆薬


【MUD】が数を増やしたくらいじゃこんなに露骨な対策はしなかったので、エルドラージはレガシー環境を変えたデッキだと思います。



小林 龍海



エルドラージは強いですね。【青白奇跡】だとかなりきついです。ただし、《真の名の宿敵》が発売された直後みたいに、少し過剰に流行っているかなぁという気はしますね。

環境全体で言えば、エルドラージに勝てるように《悪意の大梟》を入れた【Shardless Sultai】デッキが増えてきたりと、エルドラージデッキがレガシーに与えた影響は大きいと思います。


悪意の大梟


今日は《誘惑蒔き》《罠の橋》を採用していますが、これくらいの対策は嗜みというかみんなやっていますよね。



行弘 賢



エルドラージはポテンシャルが高いデッキだと思いますが、まだ登場したばかりのアーキタイプなので、粗削りな部分が多いと思います。

例えば《裏切り者の都》の枚数だったり、色を足すべきかそうじゃないのかだったり、これから研究が進んでいけばさらに強化されるはずです。


裏切り者の都


もしかすると《空中生成エルドラージ》とか《希望を溺れさせるもの》が入るかもしれませんし、いずれにせよこのデッキが本当の意味で完成するのはまだまだこれからなんじゃないかと思ってます。





 エルドラージは今後もレガシーで活躍する。

 レガシーで数々の結果を残してきた猛者たちが、口を揃えてそう答えた。その影響はデッキ構築にも色濃く出ており、エルドラージ軍団をシャットアウトできる《罠の橋》や、《虚空の杯》に対応できる《摩耗+損耗》のようなカードは、現在のレガシーで必須カードと言えそうだ。


罠の橋摩耗+損耗


 また、すでに一線級のデッキとして認知されているデッキではあるが、行弘が指摘しているようにこれだけのポテンシャルを誇りつつも、まだ完成していないのがこのデッキの真に恐ろしいところなのかもしれない。

 モダンに引き続き、このままレガシーをも飲み込んでしまうのか。

 今後のエルドラージの動向にぜひご注目いただきたい。



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