Translated by Kouhei Kido
(掲載日 2021/02/02)
はじめに
やぁみんな!
『カルドハイム』がついに登場し、新カードによって新たな環境のスタンダードを探求することができるようになった。『カルドハイム』のカードの中には、正しく評価するのに時間がかかる非常に興味深いデザインのものもあるが、新しいカードによる変化をみんなすでに感じ始めているはずだ。
それでは新しいスタンダード環境について、俺の予感を語らせてもらおう!
1.「小道」サイクルが新しいアーキタイプへの道を開く
どの環境のスタンダードでも、多色土地によって流行るデッキが左右されるのは周知の事実であり、今回も例外ではない。すべての2色デッキは「小道」を使えるようになり、さらに重要なことに、3色デッキでは12枚の「小道」に加えて《寓話の小道》を使うことができるのだ。つまり、ほとんどのデッキで色マナの要件を満たしやすくなったと言えるだろう。「トライオーム」を使える3色デッキでは、比較的頻繁にダブルシンボルのカードをプレイできるようになると期待している。
今後は3色デッキを見る機会が増えるだろう。グルールやディミーアローグのように、すでに十分にバランスのとれたデッキでさえ《寓話の小道》を採用しているのだから、もう1色足すことを検討してもおかしくない。また、ディミーアコントロールのような遅いデッキは2色から色を増やすだろうし、ヨーリオンデッキは4色になることだって考えられる。そのまま4色で定着する可能性だってあるだろう。
2.《スカルドの決戦》は”本物”
初見では《スカルドの決戦》はプレイアブルであるが、そこまで特別なものではなく、サイドボードで採用されるくらいの弱体化した《僻境への脱出》のようなものだと思っていた。しかし、どうやら《スカルドの決戦》は《僻境への脱出》という禁止カードよりも強い可能性が高そうだ。まあ《僻境への脱出》も《創造の座、オムナス》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と同居していなければ禁止されなかっただろうとは思う。
《スカルドの決戦》はマナ・カーブさえ低く抑えたデッキを組んでいれば、すばらしいマナ効率を持つうえに、しっかりカードアドバンテージを得られるカードだ。それにとどまらず、2章と3章の存在によって軽い呪文でもゲーム終盤に役割を持てるようになる。
このカードは実質的に「カードを4枚引き+1/+1カウンターを4つ自分のクリーチャーに割り振る」という効果だ。これはたしかに最高を想定した展開ではあるけど、こうなるともう桁外れだろう。たとえ追放したカードを3枚しか使えなかったとしても、1枚のカードを3枚に変換しながら、使うカードを選ぶこともできる。さらに+1/+1カウンターもいくつか割り振れているはずだ。このカードはこれからよく見かけることになるだろう……『カルドハイム』で最高のカードのひとつだと思うし、そうでなくても相当優秀な部類だ。
カード自体が強いこと以外にも《群れの番人》とはかなり強力なシナジーがある。《スカルドの決戦》を手札に戻して使うことで、また4枚カードを引いて次の《群れの番人》を探しにいけるんだ!
「英雄譚」は最終章が誘発してスタックに乗ったあとも、「英雄譚」が生け贄になる前に優先権が発生する。なので最終章誘発スタックで《群れの番人》の「出来事」を唱えて「英雄譚」を手札に戻すことが可能だ。このやり方だと、3章の恩恵を受けつつも手札に戻った「英雄譚」は墓地に落ちず、再び唱えてさらにカードアドバンテージを得ることができる。
3.《古き神々への束縛》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》
これらのカードは、この色の組み合わせ自体が弱いという状況にならない限り、スタンダードで定番のデッキとなるだろう。
《古き神々への束縛》も過小評価していたカードだが、考えれば考えるほど《エルズペス、死に打ち勝つ》よりも強く見える。
両方とも章が進行すれば1枚の「英雄譚」からカード2枚分の働きをし、パーマネントを永久的に対処できるのも同じだ。それでは違いはなんだろう?まず1つ目、そして最大の要素は、《古き神々への束縛》は土地でないパーマネントならなんでもいいというところだ。《エルズペス、死に打ち勝つ》はディミーアローグのような特定のマッチアップでは非常に弱く、複数枚ドローしたり、たとえ最初の1枚でさえも負けにつながることがある。それに対し、《古き神々への束縛》は現行スタンダードで除去として不要牌になることはまずない。
両方とも「英雄譚」の章の1つで追加のカードを得られる。《エルズペス、死に打ち勝つ》の最終章はそのまま場に出してくれるからテンポアドバンテージも得られるのは確かだが、ヨーリオンデッキは墓地から戻せるクリーチャーやプレインズウォーカーをたくさんデッキに入れないから不発に終わることも多い。2章が相手を妨害してくれるのも《エルズペス、死に打ち勝つ》のいいところなのはたしかだ。それと比較される《古き神々への束縛》の3章は……。
もはや空欄に近いね。いっそテキストが何もなくてもいいくらいだ。でも、この「英雄譚」が3章を持っていることが肝なんだ。何もしなかったとしても3章があることでこのカードは相当カードパワーが上がっている。2枚分の働きをしてもらったあとに《空を放浪するもの、ヨーリオン》でブリンクできるターンがあるからね。これは《エルズペス、死に打ち勝つ》ではできないことだ。
最後にもう1つ《古き神々への束縛》のいいところを挙げると、《空を放浪するもの、ヨーリオン》と自然なマナ・カーブを描くところだ。《エルズペス、死に打ち勝つ》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》は両方とも同じ5マナだけど、《古き神々への束縛》なら次のターンに滑らかに《空を放浪するもの、ヨーリオン》につなげつつ再利用して最大限活用することができる。
《古き神々への束縛》の最大かつ自明なデメリットは、多色のカードであるうえに《空を放浪するもの、ヨーリオン》や《スカルドの決戦》とまったく色がかぶっていないところだ。《スカルドの決戦》も《空を放浪するもの、ヨーリオン》と相性がとてもいいことは言うまでもないだろう。
4. スタンダードで使われる神は過去に比べて少なくなる
『カルドハイム』にも強力な神のカードは存在しているが、その色のデッキや環境自体を定義した《熱烈の神ハゾレト》や《スカラベの神》ほど強力なものはないと思っている。
《嘘の神、ヴァルキー》がおそらく一番強い神だろう。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》対策カードとしてデザインされたのは明らかだけど、それによって《死の飢えのタイタン、クロクサ》対策にもなっている。《エッジウォールの亭主》を使うデッキに対してもそれなりに強いし、総合的に見てとてもいいカードだ。
俺はほかのプレイヤーほど《航海の神、コシマ》を高く評価していないが、《航海の神、コシマ》以外にも《語りの神、ビルギ》や《恐怖の神、ターグリッド》でさえもスタンダードで見かけることはあると思う。ただ過去の神々ほどではないというだけだ。
5.《不詳の安息地》によって復活する単色アグロ
ミシュラランド(クリーチャー化できる土地)として《不詳の安息地》のマナ効率は抜群だ。3マナでパワー4は確かな脅威で、赤単アグロのようなデッキで使われている限りは低いコストだ。
今まではアンタップインする土地が増えるという以外にデッキを単色にする理由はあまりなかった。もう1色足すことによって増すデッキパワーと天秤にかけると単色にはできないのだ。しかし、《不詳の安息地》は単色にする理由になる。軽いクリーチャーがたくさん入ったアグロデッキでは非常に活躍してくれるだろう。
アグロデッキは除去が弱点だ。特に《絶滅の契機》のような全体除去には苦戦するから、《不詳の安息地》はアグロデッキにとってすばらしい戦力になる。アグロデッキの《不詳の安息地》は《アーデンベイル城》よりも優れているだろうし、《エンバレス城》よりも優れている可能性すらある。赤単は両方採用することもありえるだろう。
《不詳の安息地》を使わない可能性があるとすれば、「氷雪」マナではない《髑髏砕きの一撃》を優先して使う場合があるときだ。もし小型クリーチャーがたくさん使われる環境になれば、《髑髏砕きの一撃》を使わないわけにはいかなくなるかもしれない。
今日の記事はこれで終わりだ。読んでくれてありがとう!『カルドハイム』の冒険を楽しもう!