はじめに
みなさんこんにちは。
『カルドハイム』がMOに実装され、今週末にはテーブルトップでもリリースされます。《ティボルトの計略》という強力なカードが話題になっており、ここ最近メタゲームが落ち着いていたモダンの環境に変化が訪れようとしているようです。
さて、今回の連載ではModern ChampsとModern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Champs #12256300
やはり最強は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
2021年1月30日
- 1位 4C Omnath
- 2位 4C Omnath
- 3位 Hammer Time
- 4位 Heliod Combo
- 5位 Rakdos Death’s Shadow
- 6位 The Spy
- 7位 4C Omnath
- 8位 Humans
トップ8のデッキリストはこちら
『カルドハイム』実装前の環境ですが、予想通りトップメタである4C Omnathがワンツーフィニッシュしました。
優勝した4C Omnathは《時間のねじれ》と《神秘の聖域》で複数の追加ターンを得るコンボを搭載したバージョンで、そのほかのデッキは《月の大魔術師》や《血染めの月》など、4C Omnathのマナ基盤を攻める要素を取り入れたものが中心となっていました。
デッキ紹介
4C Omnath
1 《島》
1 《森》
1 《ケトリアのトライオーム》
1 《ラウグリンのトライオーム》
2 《繁殖池》
2 《蒸気孔》
1 《神聖なる泉》
1 《寺院の庭》
3 《神秘の聖域》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《霧深い雨林》
4 《沸騰する小湖》
-土地 (26)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
4 《創造の座、オムナス》
-クリーチャー (8)-
4 《成長のらせん》
4 《否定の力》
1 《謎めいた命令》
3 《時間のねじれ》
4 《レンと六番》
3 《時を解す者、テフェリー》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (26)-
4C Omnathはここ数か月のモダンの大きな大会で結果を残し続けており、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は間違いなく現環境のベストカードの1枚であると言えます。
ですが、デッキの強さに反して使用率が常に一定でした。デッキを組むためのコストがMOでも1000チケット前後と高額だったため、資産の関係でデッキ選択にもある程度の影響が出ていたようです。しかし今大会は、ほかの大会よりも競技志向の高いプレイヤーが多く参戦するPTQで、All-Accessサブスクリプションサービスも導入された影響もあり上位に多数の入賞者を出しました。
今大会で優勝を果たしたデッキリストは、《時間のねじれ》を《神秘の聖域》や《レンと六番》で使いまわすバージョンでした。《創造の座、オムナス》によるマナブーストをより有効活用できる構成になっています。
☆注目ポイント
デッキリストがすでに完成された感のある4C Omnathですが、従来のものとは異なり《死者の原野》が不採用となっています。《時間のねじれ》を再利用することに特化しているため、コントロール要素はほかのリストに比べてそこまで強くありません。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《成長のらせん》でマナを伸ばし、可能な限り早い段階で5マナが出せる状況に到達することを狙います。
《神秘の聖域》で《時間のねじれ》を再利用し、プレインズウォーカーでアドバンテージを稼ぎ続けれるので、ゲームに勝つのに十分なアドバンテージ差を付けることができます。数回追加ターンを得ることができれば、《レンと六番》の[-7]能力を起動して《時間のねじれ》を「回顧」させることで無限ターンを得ることが可能です。
Modern Challenge #12256327
上位を支配する異なる《死の影》
2021年1月31日
- 1位 Jund Death’s Shadow
- 2位 Mardu Death’s Shadow
- 3位 Rakdos Death’s Shadow
- 4位 4C Omnath
- 5位 Rakdos Death’s Shadow
- 6位 Izzet Prowess
- 7位 Humans
- 8位 Mono Blue Tron
トップ8のデッキリストはこちら
4C Omnathが多数入賞していたModern Champsの結果と大きく異なり、Death’s Shadow系が多数勝ち残りました。
同じDeath’s Shadowでも定番のRakdosから今大会で優勝を果たしたJundや準優勝したMarduなど複数の異なるバージョンが結果を残していました。
また、惜しくもタイブレーカーによって9位になってしまいましたが『カルドハイム』から登場した話題の新カードである《ティボルトの計略》を使ったコンボデッキも見られました。
デッキ紹介
Jund Death’s Shadow
1 《冠雪の森》
2 《血の墓所》
2 《草むした墓》
2 《踏み鳴らされる地》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《新緑の地下墓地》
2 《樹木茂る山麓》
1 《育成泥炭地》
-土地 (19)- 4 《死の影》
4 《僧院の速槍》
4 《スカイクレイブの災い魔》
4 《タルモゴイフ》
1 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
-クリーチャー (17)-
4 《思考囲い》
3 《致命的な一押し》
3 《コジレックの審問》
2 《ティムールの激闘》
1 《暗殺者の戦利品》
2 《四肢切断》
1 《炎の印章》
4 《ミシュラのガラクタ》
-呪文 (24)-
3 《魂標ランタン》
2 《外科的摘出》
2 《コジレックの帰還》
2 《沸騰》
1 《夏の帳》
1 《ティムールの激闘》
1 《夢の巣のルールス》
-サイドボード (15)-
今大会でプレイオフの半数を占めたDeath’s Shadow。Death’s Shadowはプレイヤーの好みに応じてカスタマイズが可能で、今回優勝したJundバージョンのほかにも準優勝したMarduバージョンや定番のRakdosバージョンなど、現環境にはさまざまなバリエーションのDeath’s Shadowが見られます。
元々モダン定番のアーキタイプのひとつでしたが、『ゼンディカーの夜明け』から《スカイクレイブの災い魔》という新戦力を獲得したことで脅威の密度が増して大幅に強化されました。ハンデスで相手のプランを妨害しつつ強力なクリーチャーでプレッシャーをかける戦略は、デッキの種類が多いモダンでは強力で、特にコンボデッキに強いのでプロアクティブな戦略が好きな方におすすめのデッキです。
デッキ内の特殊地形が増えるので、Rakdosバージョンとは異なり《血染めの月》などアンチ特殊地形への耐性は下がっていますが、Jundバージョンはサイズで勝る《タルモゴイフ》やフレキシブルな除去である《暗殺者の戦利品》が使えるのでデッキパワーが高めです。
☆注目ポイント
《タルモゴイフ》は除去耐性は皆無ですが、ライフトータルに依存しないサイズで勝る脅威となり、墓地の状況によっては《自然の怒りのタイタン、ウーロ》をも上回るサイズになります。
《レンと六番》《血染めの月》《虚空の杯》、各種装備品などクリーチャー以外でも現環境にはさまざまな脅威が存在するので、《暗殺者の戦利品》は優秀な除去として機能します。土地も対象にできるのでトロンランドや《死者の原野》対策にもなります。
《死の影》や《スカイクレイブの災い魔》を《ティムールの激闘》で強化して瞬殺を狙うコンボデッキのように振舞いつつ、「相棒」の《夢の巣のルールス》で《ミシュラのガラクタ》や《炎の印章》を再利用してアドバンテージを得る中速デッキのような動きもできるフレキシブルさを持っています。プレイングの難易度は高めですが、環境の様々なデッキに対応できるのがDeath’s Shadowというアーキタイプなのです。
サイドボードの《沸騰》は、トップメタである4C Omnathのマナ基盤に壊滅的な被害をもたらすことができるので、今ではサイドボードの標準装備になっています。
Mardu Death’s Shadow
1 《沼》
1 《山》
2 《血の墓所》
2 《神無き祭殿》
1 《聖なる鋳造所》
4 《湿地の干潟》
3 《乾燥台地》
3 《血染めのぬかるみ》
4 《無声開拓地》
-土地 (22)- 4 《死の影》
4 《潮の虚ろの漕ぎ手》
3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
-クリーチャー (11)-
基本的な動きはほかのバージョンとあまり変化はなく、《コジレックの審問》や《思考囲い》といったハンデスで相手のプランを妨害しつつ、《死の影》+《ティムールの激闘》のコンボで瞬殺を狙っていきます。Marduバージョンは《僧院の速槍》や《スカイクレイブの災い魔》が不採用で、代わりに《未練ある魂》などが採用されており、カードアドバンテージを重視したミッドレンジ寄りに調整されています。
Marduといっても《イーオスのレインジャー長》や《流刑への道》といった白いカードは不採用で、Rakdosバージョンに《潮の虚ろの漕ぎ手》や《未練ある魂》のために白をタッチした構成になっています。
☆注目ポイント
白をタッチすることでマナ基盤に《無声開拓地》が加えられています。マナを捻出する際にライフを支払う必要があるので、《死の影》を強化する手段になり、中盤以降はドロー補助にもなるなど、地味ながらDeath’s Shadowの強化に一役買っています。
白をタッチするメリットのひとつは、追加のハンデスとして機能しつつクロックにもなる《潮の虚ろの漕ぎ手》を使えることです。1ターン目に《コジレックの審問》や《思考囲い》、2ターン目に《潮の虚ろの漕ぎ手》をプレイして相手の除去などを抜いて《死の影》に繋げていく動きが強力で、このデッキ相手に除去やカウンターを構えるのは困難を極めます。
《未練ある魂》は飛行クロックとしてだけでなく、《ヴェールのリリアナ》など布告系の除去対策にもなります。横に並ぶので、単体除去が中心のデッキに対しては《死の影》とは違った軸で攻めることができます。
白を入れたことでサイドボードに選択肢が生まれました。《摩耗/損耗》は大変フレキシブルなスペルで、《血染めの月》《霊気の薬瓶》《シガルダの助け》、各種装備品などさまざまな置物に対応することができます。
Tibalt Combo
4 《真鍮の都》
4 《宝石の洞窟》
4 《宝石鉱山》
4 《マナの合流点》
4 《パルンズの柱》
1 《反射池》
-土地 (25)- 4 《猿人の指導霊》
4 《真実の解体者、コジレック》
4 《無限に廻るもの、ウラモグ》
4 《引き裂かれし永劫、エムラクール》
-クリーチャー (16)-
『カルドハイム』からの新カード《ティボルトの計略》を軸にしたコンボデッキで、惜しくもタイブレーカーに敗れてプレイオフ進出はならなかったものの9位と好成績を残していました。
《ティボルトの計略》で自分のスペルを対象にすることで、《引き裂かれし永劫、エムラクール》などより強力なスペルのコストを踏み倒すことがこのデッキの主な動きとなります。
《ティボルトの計略》を確実にプレイするために採用されているのが、《暴力的な突発》や《献身的な嘆願》といった「続唱」スペルです。《暴力的な突発》など「続唱」スペルによって《ティボルトの計略》を唱え、そのままスタック上の《暴力的な突発》をカウンターすることで《引き裂かれし永劫、エムラクール》を始めとした強力なカードをタダでプレイすることができます。《引き裂かれし永劫、エムラクール》をプレイできれば追加ターンも得られるので、決まればほぼ勝ち確定です。
☆注目ポイント
《猿人の指導霊》や《宝石の洞窟》を利用することで、2ターン目にコンボを決めることもできます。このデッキをプレイする際は「続唱」スペルのために積極的にマリガンをしていくことが重要です。また、ロンドンマリガンによって初手に来てしまった《ティボルトの計略》をライブラリーのボトムに送ることができます。
オールインコンボデッキの宿命として妨害スペルに弱いので、サイドボードには相手のスペルを重くする《別館の大長》や「回顧」持ちでハンデスなどに耐性のある《混沌の辛苦》、同型も含めたほかのコンボとのマッチアップ用の《精神壊しの罠》といったカードが採用されています。
《輝く根本原理》や《全知》を採用することによって各種エルドラージをプレイしやすくなっています。複数回コンボを仕掛けることができるため、《否定の力》1枚で止まることがなくなりました。プレイングが簡単で強力なカードを叩きつけて相手を圧倒する非常にアンフェアな戦略で、今後の動向からも目が離せません。
総括
旧環境から活躍していた4C OmnathやDeath’s Shadow、Prowessは新環境でも結果を残し続けています。
『カルドハイム』は環境にTibalt Comboという新たなデッキを生み出しました。直線的な戦略なので妨害や対策には弱いという弱点を抱えていますが、まだ登場して間もないため今後どのようにチューニングされていくのか要注目です。
USA Modern Express vol.52は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!