Translated by Kouhei Kido
(掲載日 2021/02/08)
はじめに
やぁみんな!
今回は『カルドハイム』ドラフトと全体的なセットについての俺の所感をお話ししよう。
『カルドハイム』ではリミテッドに適した2つの新能力が登場した。「予顕」と「誇示」はリミテッドをより面白いものにしてくれてるし、マナスクリューやマナフラッドで試合にならないゲームも少し減っている。
ウィザーズはこの2つの能力を作ったことで、『カルドハイム』リミテッドでの土地事故を和らげてくれた。とても楽しい環境だから、レベルの高いリミテッドの大会がもっと増えたらうれしいね!
このフォーマットについての俺の直感では、各色に2枚のトップコモンがあり、3番手以降は大きくランクが下がると考えている。それもあってデッキの方向性を決めるのはアンコモンとレア次第になりやすい。
それでは、その各色のトップコモン2種類と、3位っぽいカードをランキング形式で見ていこう。先ほどの「3番手以降は大きくランクが下がる」という意味が分かるはずだ。
各色のベストコモン トップ3
緑
1. 《サルーフの群友》
『カルドハイム』の中でベストコモンだ。非常にスペックが高く、ランキングでこれから多く見ることになる「予顕」能力の強さを象徴するカードでもある。
このカードを2ターン目に「予顕」すれば、3ターン目に2マナで唱えて3/3を出しながら1枚ドローすることができる。すごい!もちろん、普通に4マナで唱えてもまったく問題ないカードだ。(3)(緑)で3/3が出てカードを1枚引けるだって?このカードはデッキに入れられるだけ入れていい!
2. 《スケムファーのための闘争》
これも「予顕」カードだ。よくある《弱者狩り》系のカードだけど《弱者狩り》よりも強い。「予顕」しておけば緑マナ1つで唱えられるので、2アクション取りながら強力にテンポアドバンテージを取って、相手を虚空へと置き去りにできる。
3. 《冬を彫る者》
これはデッキ全体でサポートしないと使いこなせないエルフのマナクリーチャーだ。このカードは「氷雪」シナジーのデッキ以外では実力を最大限に発揮できないから、「氷雪」土地を5枚以上入れて使うことをおすすめする。そうでなければ《灰色熊》にしかならないことが多い。
赤
1. 《悪魔の稲妻》
再び1位は「予顕」持ちのカードだ。このカードはいろんな意味で《スケムファーのための闘争》よりも強い。
自分の場にクリーチャーを必要としないし、同じく「予顕」しておけば1マナで唱えられて、しかもインスタントだ。1ターンに2アクション取って対戦相手をテンポで圧倒することも同様に可能だから、かなり強いコモンだと思ってくれていい。
2. 《霜噛み》
これは典型的な《ショック》系のカードで、状況次第で《ショック》よりも強くなるカードだ。「氷雪」をデッキに組み込んでいればクリーチャー用の《稲妻》と化す。
『カルドハイム』リミテッドではクリーチャーサイズが小さいこともあって、《霜噛み》は環境に合っている。
3. 《タスケーリの火歩き》
《タスケーリの火歩き》は過小評価されているが、このセットのリミテッドを通して俺は強いと感じているカードだ。新能力の「誇示」を持っているカードで、攻撃して1マナ支払うだけでデッキトップのカードを追放してターン終了時まで唱えられるようになる。このカードはマナカーブの低い超攻撃的なデッキで輝くことになるだろうし、まだ注目されていないカードのひとつだ。
黒
1. 《大蛇の餌》
最高クラスのコモン除去だ。4マナ払えばインスタントタイミングでなんでも除去してくれる。小型クリーチャーから巨大なプレインズウォーカーまで自由自在だ。俺が《サルーフの群友》のことを大好きでなければ、このセット最高のコモンとして名前を挙げていただろうし、コモンの除去としてはこのセットで最強のカードだね。
2. 《カーフェルの犬舎主 》
これも過小評価されているカードだ。俺はアグロデッキを好む傾向があり、このカードは5マナの4/4クリーチャーとしてアグロデッキにぴったりだ。派手に活躍するカードではないけど、最大2体のクリーチャーに+1/+0の修正と破壊不能をそのターンの間与えられる能力によって、たいていの盤面で攻撃できるようになる。多くのダメージを押し通すことができて、相手にとっては不意打ちとなる。
3. 《沈下》
《沈下》はもっと強いと思っていたんだけど、割とがっかりさせられたカードだったね。1枚目は必ずデッキに入れるけど、気をつけないと2枚目や3枚目は手札で不要牌として腐りやすい。このカードはそこまで優先的にピックしなくていい。特にすでに1枚ピックしている場合にはね。
青
1. 《占い鴉》
また「予顕」の手堅いカードを1位にランクインさせた。MTG歴の長い人であれば、盤面を支配してそのままゲームに勝利する《幻影獣》のことを思い出すカードだろう。あの時代と比べるとマジックのカードパワーは上がったしいろいろ変わったけど、これは新しい「予顕」メカニズムのいい見本でもある。
2ターン目に「予顕」して3ターン目に3/3飛行のクリーチャーを出せる。すばらしいスペックだ。もちろん普通に(3)(青)で3/3の飛行クリーチャーとしても出せるし、この環境では飛行が強いからなおさら活躍してくれるだろう。
2. 《多元宇宙の警告》
《天才の片鱗》は覚えているかい?言ってしまえば《多元宇宙の警告》はあれよりも強い。2ターン目に「予顕」してあとで2マナで唱えられるからね。相手から猛攻をしかけられていなければ、このカードが持つ占術してからドローできる能力によってマナスクリューもゲーム後半にアクションがない状況も回避できる。ゲーム中のどのタイミングで引いても強力なカードだ。
3. 《怪物縛り》
最近のセットのリミテッドで青は良い除去カードに恵まれている。《泡の罠》に続いて《怪物縛り》も得た。タップし続けるタイプの疑似的な除去ではあるけど、青い《血の復讐》と言ってもいいカードでマナ効率に優れている。ただ複数枚使うと、自分のライフを削りすぎてしまうこともあり得るから気をつけたほうがいい。その点以外はかなり手ごたえのいいカードだね。
青はパワーレベルが近い3つの優れたコモンを持っている唯一の色だと考えている。そのほかにも過小評価されているカードがあり、これは次の章で探ってみよう。
白
1. 《金への捕縛》
よくある《拘引》系のカードだけど、このセットには「機体」も存在しているから対象がパーマネント全般になっていてほとんどなんでも止められる。白を使っているなら、デッキに入れられるだけ入れたいカードだね。
2. 《確固たる戦乙女》
またまた昔のカードと比べると強くなったと感じるカードだね。あの謙虚な《噛みつきドレイク》と同じようなカードだけど、クリーチャーカードを自分の墓地から追放すれば2マナで出すことができる。これは大きな強化点で、マナカーブを低く抑えた白を含むアグロデッキであれば、序盤に2アクション取ってテンポアドバンテージを得るためにまず間違いなく採用するカードだ。
3. 《ドゥームスカールの神託者》
これも十分マナコストが軽い「予顕」カードだ。「予顕」したあとは白マナ1つで3/2のクリーチャーが出て1ターンに2つ呪文を唱えるシナジーにも貢献するし、2ライフ得られるというちょっとしたメリットもある。あとで触れるアーキタイプでとても重要なカードでもある。
過小評価されているカード
各色のトップコモンについて語ったところで、まだ過小評価されているカードを紹介していこう。使ってみると想像より強いと感じると思うよ!
1. 《猛り狂い》
このカードはアグロデッキならどの色でも使いやすい。俺が『カルドハイム』ドラフトで大好きなアーキタイプの白赤アグロで一番強いコンバットトリックの1つでもある。このカードを過小評価してはいけない。再録されたカードだからすでにこのカードの強さは知っているはずだ。信じて欲しい。俺はリミテッドの達人というほどではないけど、この評価の妥当さには自信がある。
2. 《煙霧歩き》
青赤巨人のような一部のデッキを組んでいるときなら、《占い鴉》よりもこのカードを優先してピックすることもある。環境理解が進んだときにこのカードが《占い鴉》よりも評価の高いカードになっていたとしても驚かないね。まだそこまでとは思っていないけど、『カルドハイム』ドラフトで「多相」を使えるといろんなことが可能になるからあり得る話ではあるんだ。
3. 《タスケーリの火歩き》
赤いアグロデッキがしっかりマナカーブを低く仕上げられると、《タスケーリの火歩き》はとても活躍する。相手をビートダウンしながら、タダ同然で土地や2~3マナのカードを得られるすばらしい3マナ域のカードだ。
4. 《星界の瞥見》
巨人デッキならこれは《時を越えた探索》だ。わずかなコストで多くのカードの中から手札に加えるカードを選ぶことができる。《煙霧歩き》について話したのを思い出してほしい。「多相」はこの環境で本当に優秀なんだ。
5. 「氷雪」土地
いつもそうだけどみんな軽んじていて、本当はもっと積極的にピックすべきだ。『ラヴニカ:ギルドの都』でバウンスランドが出たときに、環境末期になると1枚目のピックでピックする人もいたことを思い出すよ。「氷雪」土地はそこまで強くはないんだけど、「氷雪」シナジーのデッキを組むときは貴重なのを忘れてはいけない。過小評価してはいけないよ!
『カルドハイム』ドラフトアーキタイプ トップ4
最後に、俺が『カルドハイム』ドラフトで好きなアーキタイプを4つ紹介しよう。
1. 白赤アグロ
重要なカード:《猛り狂い》、《タスケーリの火歩き》、強い「誇示」クリーチャー、多くのアンコモンと「予顕」
誰も驚かないだろうけど、俺はドラフトでマナカーブの低いアグロデッキを好む。『カルドハイム』では白赤アグロがそういったアーキタイプの1つだ。「誇示」と1ターンに2枚唱えるシナジーを組み合わせたデッキはとても魅力的だ。手に入った《猛り狂い》を全部入れれば対戦相手にとっては悪夢だろう。
2. 5色氷雪
重要なカード:開封したパックに入っていたレアや流れてきたレアはほとんどどれでも使える
普段はあんまり好みではないけど、このアーキタイプはとても強力だ。自分で引いたレアや流れてきたレア、そしてトップアンコモンをすべて使えるからね。中心色は常に青と緑だ。
緑は《輝く霜》と《冬を彫る者》でランプしながらマナ基盤を整えてくれる。青は《多元宇宙の警告》などでマナフラッドやマナスクリューをしないように手札を整えてくれる。あとはいいアンコモンとボムレアが開封したパックに入っているのを楽しみにするだけだ。たとえばアンコモンなら《アルダガルドのスピリット》は、巨大なクリーチャーでありながらマナ基盤も整えてくれるから最高だね。
「氷雪」デッキのいいところは、ゲームの中後半になれば相手のデッキがふつうのデッキなら簡単に圧倒できるところだ。このアーキタイプを組むときに役立つカードで過小評価されているのは《貪欲なリンドワーム》だろう。出たときに4ライフ得られる6マナ6/6はほとんどの場合盤面を膠着させて、自分が攻勢に出て試合を終わらせに行くときにも役立つ。
3. 白単/白黒 呪文を2回唱えるシナジーデッキ
このアーキタイプのデッキがこの環境で一番マナカーブが低くなるデッキだ。1マナのカードと多くの「予顕」カードを重視することになる。見本としてRyan Saxeのデッキを強い白単の完成形として示しておこう。
-土地 (13)- 6 《戦場の猛禽》
3 《掟綴りの僧侶》
2 《堕ちたる者の案内者》
2 《クラリオンのスピリット》
1 《ベスキールの盾仲間》
1 《物語の探究者》
1 《ドゥームスカールの神託者》
1 《黄金口の勇者》
1 《正義の戦乙女》
1 《確固たる戦乙女》
-クリーチャー (19)-
4. 青赤巨人
紹介する最後のアーキタイプとなった青赤巨人を見てみよう。このアーキタイプは、多くの巨人が「氷雪」シナジーを持っているため、サブテーマとして「氷雪」が組み込まれることが多い。また、「多相」がこの立役者になることがよくあり、《煙霧歩き》や《リトヤラの同族探し》が巨人の枚数を増やしてくれる。
カギを握る要素を挙げていこう。《氷山の徘徊者》は「氷雪マナ」を1マナ要求する巨大な《冷気をもたらす者》だ。《圧死》はこのデッキならクリーチャーかプレインズウォーカーに使える2マナ6点火力ですばらしい。《煙霧歩き》がこのアーキタイプで最重要な理由の1つでもある。《星界の瞥見》も巨人デッキなら自明に強いカードの1つだ。キーカードやボムカードを探すためにデッキを掘ることができる。
おわりに
以上が俺の『カルドハイム』リミテッドの第一印象だ。時間が経てばみんな環境理解が進んでいって多くのことが明らかになるだろう。書いていて楽しい記事だったしみんなも楽しんでくれるといいね!
読者のみなさんのドラフトやシールドでの幸運を祈ってるよ!
マルシオ・カルヴァリョ (Twitter)