2016年4月4日。ヴィンテージ環境に激震が走る。
《Mishra's Workshop》とともに「MUD」というデッキの中核を支えていた《磁石のゴーレム》が、【制限カード】に指定されたのだ。
これを受け、はたして「MUD」はこれからどう変化していくのか?
会場にいた強豪ヴィンテージプレイヤーに、意見を聞いてみた。
伊藤 弘道 【2009 Vintage Championship】優勝、【2016 AVC】準優勝
伊藤 「『MUD』にとっては大打撃間違いなしですね。他のカード、《アメジストのとげ》や《抵抗の宝球》はプレイしただけでは勝てないのに対し、《磁石のゴーレム》の『ロック』と『クロック』を兼ね備えた能力は唯一無二のものです。実は《磁石のゴーレム》が2010年の『ワールドウェイク』で登場して以降、『MUD』は『Vintage Championship』以外のほぼすべてのヴィンテージタイトルを獲得してると思うんですが、それくらい『MUD』というデッキを支える存在でしたね」
伊藤 「ただそれでも《Mishra's Workshop》というカードは依然として、土地1枚で3マナ出せるというふざけた能力なので、今後は3つのデッキタイプに分かれつつしぶとく生き残るんじゃないかなぁと思います。具体的には《煙突》を使ったロック偏重型、《カルドーサの鍛冶場主》を使ったコンボ型、そして《電結の荒廃者》や《搭載歩行機械》を使ったビートダウン型ですね」
伊藤 「また、これだけ弱体化すると、それに合わせてみんなのサイドボードからの対策カードも減ってくることも考えられます。あるいは今後のセットでヴィンテージ向きの強力なアーティファクトが出てきたりすれば、再び一線級のデッキとして活躍できる日が来るかもしれませんね」
中島 主税 Hareruya Pros/【ヴィンテージ神決定戦】トップ8
中島 「確かに《磁石のゴーレム》が制限になったのは痛手ですが、相手の行動を縛るカードとしては《アメジストのとげ》《抵抗の宝球》と残っているわけですし、《Mishra's Workshop》がある限りまだまだいけると思いますよ」
中島 「さっきも《Mishra's Workshop》デッキと対戦したんですけど、《Mishra's Workshop》入りのエルドラージみたいなデッキになっていたり、あるいは相手の行動を縛ってからのダメージソースとして《黒の万力》が採用されていたりと、《磁石のゴーレム》を使っていた側も既に色々な代替案を考えられているみたいです。今まで通りというと難しいかもしれませんが、形を変えて生き残っていきそうですね」
会場にいた「MUD」使いたちからは「《磁石のゴーレム》を制限するくらいなら先に《禁忌の果樹園》を禁止してくれ」「ついでに《噴出》もまた制限して欲しい」といった怨嗟の声が漏れ聞こえてくるほどの歴史的な変化をヴィンテージにもたらした今回の制限改定だが、弱体化は免れえないにせよ、それでも「MUD」は形を変えて生き残るだろうというのが大勢のようだ。
何より、ヴィンテージならアーティファクトデッキにおける最強の土地=《Mishra's Workshop》が4枚使えるのである。
全国の「MUD」使いたちはこれを受けてはたしてどのようなデッキを組み上げるのか。デッキビルダーたちの解答を楽しみに待つとしよう。