Deck Tech: 小平 善孝の「バント《珊瑚兜への撤退》」

晴れる屋

By Hiroshi Okubo



 小平 善孝(東京)という人物の名を知っているだろうか?

 知る人ぞ知るレガシーの強豪プレイヤーだが、晴れる屋のデッキ検索で見てみると、2016年4月29日(金)現在【実に63件もの『バント』デッキ】が登録されている。バントフリークとでも呼ぶべき生粋のバントデッキ使いである。

※ちなみに晴れる屋のデッキ検索に登録されているバントデッキの件数は現在327件なので、そのうちの約19%は小平のデッキということになる。


 そんな小平は今回の『第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦』でもまたバントカラーのデッキを持ち込んでいたのだが、その対戦風景を覗いてみるとヴィンテージでは見慣れない、あるカードが使われていた。


珊瑚兜への撤退


 そう、まさかの《珊瑚兜への撤退》である。


 モダンやレガシーではこれまでにも《聖遺の騎士》とのコンボで戦績を残してきたカードではあるが、さすがにヴィンテージ環境でこのカードを使うとは眉唾ものである。

 今回、そのヴィンテージ版「バント《珊瑚兜への撤退》」について、お話を伺った。




--「普段からバントデッキを愛用されているとのことですが、ヴィンテージでのバントデッキは強いのでしょうか?」


小平 「そうですね……まずざっくり言えば、ヴィンテージでのバントの優位性は2つあって、1つは《クァーサルの群れ魔道士》《三角エイの捕食者》をメインから無理なく採用できること。2つ目は《聖遺の騎士》が強いことです」


クァーサルの群れ魔道士三角エイの捕食者聖遺の騎士


--「前者は分かりやすいですね。ほとんどのデッキでアーティファクトが多用されるヴィンテージ環境なら、その2枚のクリーチャーは強そうです。でも《聖遺の騎士》はどうなんでしょうか?」


小平 「たとえばメンターのようなデッキに対しては《The Tabernacle at Pendrell Vale》を、オースやリアニメイトのようなデッキに対しては《Karakas》をサーチすることができるんですよ。それ以外のデッキにも《露天鉱床》《不毛の大地》をサーチしてマナ基盤を攻めることができます」


The Tabernacle at Pendrell ValeKarakas露天鉱床


小平 《壌土からの生命》も入っているので、これで《露天鉱床》《不毛の大地》を使い回し始めたらゴールが見えてきますね」


--「たしかに《露天鉱床》はヴィンテージならではの凶悪カードですね……《珊瑚兜への撤退》の使用感はいかがですか?」


珊瑚兜への撤退


小平 《珊瑚兜への撤退》はヴィンテージでもワンチャンあるかなと思って試してみたんですが、《聖遺の騎士》とのコンボはもちろんのこと、対戦相手のブロッカーをタップして『賛美』ビートダウンとして押し切る展開もありました。ダブったり、不要なときには《Force of Will》のコストにもなりますしね」


--「他にデッキ構築に際して工夫した点などはありますか?」


小平 「『イニストラードを覆う影』から《石の宣告》を得たので、さっそく採用しています」


石の宣告



--「《石の宣告》《剣を鍬に》と比べて1マナ重いのが気になりますが……」


小平 「いえ、ヴィンテージでは《精神的つまづき》があるので2マナ呪文であることがメリットになりますし、《僧院の導師》に強いことも重要です。また、レガシーと違って《目くらまし》《呪文貫き》も少ないのであまり警戒せずにプレイできます。唯一の欠点としてはソーサリーであることくらいでしょうか」


--「このデッキの得意な相手と苦手な相手を教えてください」


小平 オースやMUDに対しては強いです。墓荒らしにはクリーチャーの質で勝っていますが、相手はアドバンテージ源が多いデッキでこちらは《突然の衰微》がかなり厳しいので総合的な相性は4:6くらいです。メンターには明確に不利ですが、引き次第でワンチャンはあります。それ以外のデッキとは対戦経験が少ないのですが、五分くらいで戦えそうな印象です」


--「最後に、今日このデッキを実際に回してみて見えてきた改善点などがあれば教えてください」


小平 「サイドボードにアーティファクト対策カードを積みすぎてしまったので、もっとメンターやストームに対して強いカードを入れればよかったように思います」


--「ありがとうございました。このあとも頑張ってください!」




小平 善孝「バント《珊瑚兜への撤退》」
第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦

1 《森》
3 《Tropical Island》
2 《Tundra》
1 《Savannah》
4 《霧深い雨林》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《魂の洞窟》
1 《Karakas》
2 《不毛の大地》
1 《露天鉱床》
1 《The Tabernacle at Pendrell Vale》

-土地 (22)-

4 《貴族の教主》
2 《クァーサルの群れ魔道士》
4 《聖遺の騎士》
2 《三角エイの捕食者》
1 《永遠の証人》

-クリーチャー (13)-
3 《精神的つまづき》
2 《狼狽の嵐》
1 《Ancestral Recall》
1 《渦まく知識》
1 《Fastbond》
4 《石の宣告》
1 《壌土からの生命》
1 《Time Walk》
4 《Force of Will》
2 《誤った指図》
1 《森の知恵》
3 《珊瑚兜への撤退》
2 《精神を刻む者、ジェイス》

-呪文 (26)-
3 《墓掘りの檻》
2 《封じ込める僧侶》
2 《自然の要求》
2 《至高の評決》
2 《石のような静寂》
2 《神聖の力線》
1 《解呪》
1 《魔力流出》

-サイドボード (15)-
hareruya




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