準々決勝: 中島 主税(東京) vs. 秦 英徹(神奈川)

晴れる屋

By Hiroshi Okubo




 第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦の準々決勝。

 その第3テーブルでは【前回】同様「サルベイジャーオース」を操るHareruya Pros・中島 主税と、パワー9なしの白単ヘイトベアーを操りスイスラウンドを無敗で駆け抜けた秦 英徹が激突していた。

 実力者同士のマッチアップで勝利を収めるのはどちらになるのか?

 ※中島のデッキ登録ミスのため、中島がゲームロスを受けた状態で準々決勝は開始となった。






Game 2


 中島は1ターン目から軽快にMoxenを連打し、《思案》を挟みつつ《ダク・フェイデン》を叩きつける! これが無事に通ることを確認した中島の満足げな表情は「これがヴィンテージだよ」と言わんばかりだ。

 この暴挙と呼んでも差し支えないほどのプレイを目の当たりにしながらも、秦は表情を変えない。今日、ここまでのスイスラウンドを戦い抜く間にもおそらく同じような展開を繰り返されてきたことだろう。


 だが、だからこそ、ここからがヘイトベアーの本領発揮だ。

 そう言わんばかりに第2ターンにプレイされたのは《戦争の報い、禍汰奇》


戦争の報い、禍汰奇


 メインボードから採用されているアーティファクト対策クリーチャー。これもまたヴィンテージならではの登用だろう。これには思わず中島からも「あちゃー」と声が漏れる。

 Moxenを維持するためにマナを支払った中島。《戦争の報い、禍汰奇》によってスローダウンするかと思われたが、その剛腕は到底《戦争の報い、禍汰奇》1枚では止まらないようだ。《ダク・フェイデン》によって墓地を肥やして、《宝船の巡航》をプレイ! これによって一気に手札を回復する。


 さすがにやや苦しげな表情を浮かべる秦は《スレイベンの守護者、サリア》を唱えるが、これにはさきほど稼ぎ出した膨大なアドバンテージから《Force of Will》を合わせられてしまい、続く中島のターンに満を持して《ドルイドの誓い》が現れた。


ドルイドの誓い


 わずかでも食い止めねばと秦は《ヴリンの翼馬》をプレイするが、無情にも続く中島のターンのアップキープには《グリセルブランド》が降臨する。これには《流刑への道》を合わせることに成功したが、続いて戦場に現れた《オーリオックの廃品回収者》には触れることができない。

 その能力によって墓地から《黄鉄の呪文爆弾》が回収され、秦の《ヴリンの翼馬》を焼き倒す。


オーリオックの廃品回収者黄鉄の呪文爆弾


秦「さすがに(墓地に《Black Lotus》)ありますよね?」

中島「ありますねぇ~」

 無限コンボの過程を説明されるまでもなく、秦はサイドボードに手を伸ばした。


中島 1-1 秦


 あれよあれよと言う間にゲームを決められてしまった秦。第3ゲームで巻き返しを図る。

 対する中島もまた、素早くサイドボードを終える。ヘイトベアーという決して多くはないアーキタイプ相手でも一貫したサイドプランが用意されているようだ。

 はたしてどのようなゲームが展開されてゆくのだろうか――?


Game 3


 静かにゲームの開始を待つ中島。第1ゲームを取ったからといって、油断する様子は一切ない。


中島 主税


 もちろん秦もこれに気圧されることなく、ゲームを開始する。初動は第2ターン、《Elvish Spirit Guide》を絡めた3マナから《ヴリンの翼馬》をプレイ。

 これには《Force of Will》で対応されるが、続くターンに《レオニンの裁き人》が着地すると、すぐさま《幽霊街》で中島の《禁忌の果樹園》を破壊。クロックを展開してマナ基盤を縛り上げる、ヘイトベアーの常套戦術である。


レオニンの裁き人幽霊街


 中島は特にできることもなく、《通電式キー》を設置するのみ。そんな中島の前に《スレイベンの守護者、サリア》までもが並べられる。

 これは中島もさぞ苦しいだろう……とその表情をチラリと窺うが、どこ吹く風といった調子だ。一体なぜなのかその答えは、返しのターンにすぐに明らかとなる。


天秤


 手札からプレイされたのは“バランスブレイカー”こと《天秤》

 一方的に秦のリソースを奪い去るその姿を見て、思わず「平等とはいったい……?」と考え込んでしまいそうになる。さらに続けて中島がプレイしたのは《宝船の巡航》! レガシー禁止級カードのオンパレードで一気にリソース差が拡がってゆく。


 ここからは一方的なゲーム展開となる。《濠の大魔術師》が秦の攻撃をシャットアウトし、素引きした《Time Vault》が設置されると、事前にプレイされていた《通電式キー》《Time Vault》によって文字通り“ずっと中島のターン”だ。ドロー、《Time Vault》起動、ターン終了、ドロー、《Time Vault》起動、ターン終了……この繰り返しに干渉する手段がない秦はその様子を見守ることしかできない。


秦 英徹


 ついに中島の盤面に《黄鉄の呪文爆弾》《オーリオックの廃品回収者》が揃うと、秦は「強すぎる~」と悔しそうに漏らしながらカードを片付け始めた。


中島 2-1 秦


 第6期ヴィンテージ神挑戦者決定戦 準々決勝 第3テーブル

 勝利を収めたのは中島 主税!




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