齋藤友晴のプロツアー『イニストラードを覆う影』レポート

齋藤 友晴





こんにちは、【グランプリ・トロント2016】のためにカナダに来ているトモハルです。

先週末開催された【プロツアー『イニストラードを覆う影』】のレポートです☆



■ 前回のPT終了から今回にかけて


今シーズン、GPはけっこう勝ってますがPTは全然勝てていません。

前半2回のPTでは両方とも2日目には残るものの、最低点の3点で終わっています。


なので、前回のPTが終わったあとはGPとPTの違いについて真剣に検討しました。

やっぱりPTはかかっている賞金やプロポイントが多いので全体の真剣さが飛躍的にアップすることと、オープン戦か招待戦かという方式の違いが特に大きな要素かつ、チームで取り組むプレイヤーの割合がPTのほうが高いので、ドラフトもスタンダードも考えるべきメタゲームが全然違うということ。


GPはステップ1の作戦で勝てます。

ですがPTでは、ステップ2の意識が大事になってきます。


おもむろにステップと言い出してますが、プロ相手の普段の会話ではこれを多用していて分かりやすいと感じたんでここでも採用。

少し説明すると……


ステップ0 (現状) に対して優れた戦略がステップ1

・優れた戦略であるステップ1の流行も考慮した上で優れた戦略がステップ2


です。


例えば今回のドラフトで言えば


ステップ0 (現状) : 新セットが出たばかりで、強い色弱い色は大体分かるが、カードの点数順含め確信が持てない人が多い状態。

ステップ1: みんなが分かってない中、強い色の組み合わせを優先した受けドラフトや決め打ち。今回で言えば白緑、白赤、赤緑なんかがそうだった。カードの点数順がおかしい人が一定数いる前提なら、色が被ってもそこまでデッキが弱くならなかったりする。

ステップ2: 強い色の組み合わせは卓によってはかなり混むだろうから不人気な色を把握し、そのやり方、勝ち方を理解しておく。今回で言えば青黒をはじめとする黒プラス何か。 (ちなみに意見を聞いた参加者のうち9割が、1番やりたくない色は黒だと言っていた)


例えばスタンダードで言えば、


ステップ0 (現状) : バントカンパニー勝ちまくり、次いで人間、赤緑ランプが多く、メタ上のかなりの割合を占めている。

ステップ1: バントカンパニー、人間、赤緑ランプというメタゲームに強いデッキ。あるいはそれらの強化バージョン。

ステップ2: ステップ1のデッキに強いor弱くないデッキ。基本的にはステップ0 (現況) を無視したデッキというわけではない。


というものです。

これらをカードリスト公開からPTまでの短い期間の中で精度高く把握し、いかに入念な準備を行えるか。

このために多くのプレイヤーはチームで取り組んでいます。

なので、上記内容を検討したあと、まず自分がしたことは自身にとって最適なチームの検討。 (※ここで言うチームとは、普段所属しているチームではなく、PT専用の調整チームのことを指します。)


ここのところいつも【Team MTG Mint Card】に入ってましたが、色々考えました。

他チームに入れてもらうとか、日本勢としっかりチームを組むとか。


自分にとって【Hareruya Pros】が普段所属しているチームであり、ベストなPT専用のチームにもなったらそれは理想的で将来的に目指したいが、現状そもそもPT権利持ちが8人もいない状態。

なお、個人的には理想の情報量や準備効率を考えると、12-16人ぐらいが理想のチーム人数だと感じています。


それならばと日本勢全体にスポットを当てても、


・PT直前にフルコミットできる人が限られている。
・参加者共通の情報以外が日本の情報以外集まりにくかったりする。
・早めに現地入りして直前の移動時間をセーブしたり、合宿で効率良く準備時間を捻出ということ自体、誘ってもあんまり集まらなかった履歴もある。


などの理由から、まだ時間がかかる。

(※今回は最終的にはGP北京から直接現地入りして合宿調整した日本人グループがいました。個人的にはベターなので嬉しいことです。)

と考え、出た答えは……


【Team MTG Mint Card】ベースの今の自分のPT調整チームを強化する!


でした。

現状固定チームがなさそうなめぼしいプレイヤーに直接声をかけ、新たにこの6人の強豪メンバーがチームに入りました。


森 勝洋 (日本)
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


Christian Calcano (アメリカ)
※画像は【マジック:ザ・ギャザリング 日本公式ウェブサイト】より引用させていただきました。



Andrea Mengucci (イタリア)
※画像は【MAGIC: THE GATHERING英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


Jeremy Dezani (フランス)
※画像は【MAGIC: THE GATHERING英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


Raphael Levy (フランス)
※画像は【MAGIC: THE GATHERING英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


Thierry Ramboa (フランス)
※画像は【MAGIC: THE GATHERING英語公式ウェブサイト】より引用させていただきました。


Lee Shi Tianをはじめとする、もともといる固定メンバーや今回の権利獲得組合わせて、香港、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、イタリア、フランス、日本の8ヶ国15人。




このノーボーダーズ的な多国籍軍が今回の僕のチーム。

今回はネットでの情報交換からはじまり、【グランプリ・バルセロナ2016】【グランプリ・北京2016】に際し2グループで合宿を行なった後、PT開催地のマドリードでひとつ屋根の下で寝泊まりして練習。

ベッドが11人分しかなかった以外はかなり良い感じでした(笑)


気になったのは、自分達の中での解答が、研ぎ澄まされたバントカンパニー、白単人間、赤緑ランプ、アブザンカンパニー、青赤コントロールとなってしまったこと。人数をかけて色々試すも、目新しい合格点のデッキができなかった。

強いて言えばアブザンカンパニーと青赤コントロール (ノンゴーグル) は新しいものの、クリーチャーデッキ狙いのデッキで、メタゲーム依存度が高いものでした。

合格点の新しいデッキができなかったから、バントカンパニー、人間をはじめとするクリーチャーデッキが多いだろうというのが僕たちの結論。



■ チーム結果


今回はチームに焦点を置いたレポートとなっているので、チームの結果を発表します☆


チーム最上位 : 2位 (Andrea Mengucci)

次点が18位 (森 勝洋)

賞金獲得者数 : 8人 (15人中)

2日目進出者数 : 14人 (15人中)


と、大成功でした☆☆☆

道中も手応えあったし、引き続きこのチームを高め合い、次回はさらなる成功を狙います。



■ 個人簡易レポ


個人としては……

8-8でプロポイント3点アゲイン(T ^ T)

ついてなかったとは思うけど、スタンダードがベストなデッキ選択じゃなかったと思う。


・スタンダード


齋藤 友晴「青赤コントロール」
プロツアー『イニストラードを覆う影』

8 《山》
2 《島》
4 《高地の湖》
4 《シヴの浅瀬》
4 《さまよう噴気孔》
4 《溺墓の寺院》

-土地 (26)-

4 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《氷の中の存在》
4 《ゴブリンの闇住まい》

-クリーチャー (12)-
4 《焦熱の衝動》
4 《マグマの洞察力》
2 《引き裂く流弾》
4 《苦しめる声》
2 《焙り焼き》
4 《癇しゃく》
2 《炎呼び、チャンドラ》

-呪文 (22)-
4 《意思の激突》
3 《現実を砕くもの》
2 《否認》
2 《コジレックの帰還》
1 《引き裂く流弾》
1 《焙り焼き》
1 《呪文萎れ》
1 《炎呼び、チャンドラ》

-サイドボード (15)-
hareruya



クリーチャー狙いの青赤ノンゴーグルコントロールで4-6。

クリーチャーデッキに全部勝って、苦手な赤緑ランプ2戦含むほか全部負けました (笑)

今回はステップ1としてもクリーチャーデッキが強く、ステップ2同士はお互いクリーチャーメタだからお互いきついだろうと割り切ったんで、出るべくして出た結果だったと思います。

唯一75枚同じデッキで出たThierry Ramboaは7-3でマネーフィニッシュしてました♪


悪くない選択だったとは思いますが、想定よりはクリーチャーデッキが少なかったのと、ステップどうこうだけじゃなく、根本的なデッキパワーの高さも意識しないとダメだなと感じました。

久々にデッキ写真がないのは、2日目が終わるなりトップ8に残ったメングッチの準備のためにトップ8デッキ中、6つ作ったから栄光の傷跡 (笑)


・初日ドラフト


齋藤 友晴「青黒」
プロツアー『イニストラードを覆う影』

9 《沼》
7 《島》
1 《詰まった河口》

-土地 (17)-

1 《スレイベンのガーゴイル》
2 《グール呼びの共犯者》
1 《隠れるホムンクルス》
2 《縫合の刻み獣》
1 《闇告げカラス》
1 《薄暮のニブリス》
1 《無謀な識者》
1 《荒原のカカシ》
2 《嵐乗りの精霊》
1 《マルコフの戦慄騎士》
1 《モークラットの屍蛞蝓》

-クリーチャー (14)-
2 《殺人衝動》
2 《ギサの召集》
1 《教団の歓迎》
1 《絞首》
2 《死の重み》
1 《金縛り》

-呪文 (9)-
hareruya





3-0しそうな青黒で2-1。

濃い卓だったんでステップ2意識で初手から黒取ったらそのまま流れが良く大成功でしたが初戦でプラチナプロのやまけん (山本 賢太郎) 相手に大事故×2でさすがに秒負けでした (笑)


・2日目ドラフト


齋藤 友晴「赤白」
プロツアー『イニストラードを覆う影』

8 《山》
8 《平地》

-土地 (16)-

2 《村の伝書士》
2 《スレイベンの検査官》
1 《厳格な巡邏官》
1 《傲慢な新生子》
1 《燃えさし眼の狼》
1 《ケッシグの鍛冶場主》
1 《ムーアランドの流れ者》
2 《血狂いの吸血鬼》
1 《首折れ路の乗り手》
1 《不屈の聖戦士》
1 《薬剤師の霊》
1 《鼓舞する隊長》
1 《狂気の預言者》
1 《手に負えない若輩》

-クリーチャー (17)-
1 《アドレナリン作用》
1 《天上からの導き》
1 《死中に活》
1 《悪意ある動機》
1 《邪悪な囁き》
1 《爆発性の機器》
1 《信条の香炉》

-呪文 (7)-
hareruya






これまた3-0しそうな強い赤白で2-1。

殿堂オリヴィエ・ルーエル/Olivier Ruelの4色コン (NEW) に《突き刺さる雨》が2枚入ってて、2本ともそれで木っ端微塵にいかれました (笑)


突き刺さる雨


ってことでまたもや負けたPTでしたが、今までより手応えがあったので、それに磨きをかけて次こそは勝ちます。


以上、珍しく長文でした。

ここまで読んでくれた人どうもありがとう☆


トモハル



この記事内で掲載されたカード


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