決勝に残った2人、中野と佐野は旧知の間柄で、普段は横浜にある信心亭でプレイしている。
オリジナルデッキを作って多くの票を集めた2人がこの席に座っているのはただの偶然で、信心亭コミュニティに普段から珍妙なデッキで遊ぶ文化があるというわけではないらしい。
楽しげな雰囲気でゲームスタート。
Game 1
先手の中野は《古えの墳墓》から《虚空の杯》X=1。
普通のレガシーであれば機能不全に陥るデッキも少なくないはずだが、1マナのカードがほとんど入っていないデッキを構築している佐野。「そんなの効かねえよ」という言葉に偽りはない。さらに中野は《蛇術師》をプレイし、佐野の《水蓮のコブラ》に対しては《ヴェールのリリアナ》で対処する。
中野 彰教 |
対する佐野の次なる手は《往時の主教》、そして《不屈の追跡者》。デッキの”手掛かり”となるクリーチャーが並んできた。しかし中野は《肉裂き魔》をプレイし、《蛇術師》で出た蛇トークンを生け贄に捧げて育てていく。6/6威迫がアタックして佐野のライフは8。そのままこの巨大な《肉裂き魔》を止められない佐野が1本目を落とした。
中野 1-0 佐野
佐野は1枚挿しが15枚並ぶ怪しいサイドボードから、《弱者の石》や《原基の印章》そして《Hymn to Tourach》や《ヴェールのリリアナ》にハマれば爽快な《メトロノーム》をサイドインする。
Game 2
後手中野が《Hymn to Tourach》を2枚重ねるスタート。さらに《虚空の力線》で《罰する火》が再利用できなくさせる。
《燃え柳の木立ち》を含んだ土地を並べるのみで動きがなかった佐野だが、この《虚空の力線》はきっちり《原基の印章》で破壊。これが非常に効果的で、中野の《灯の再覚醒、オブ・ニクシリス》を《罰する火》の連打で叩き落とすことができた。
佐野 大基 |
《罰する火》が回り始めると中野は厳しい。6/6の《深淵の迫害者》にはすぐさま《剣を鍬に》が飛んでくる。《罰する火》こそ《虚空の力線》で取り除くことができたものの、佐野の場に現れた《タミヨウの日誌》がじわじわとアドバンテージを広げていく。《タミヨウの日誌》が割れない中野は増え続けていく手がかりトークンをどうすることもできない。やがて《ギラプールの霊気格子》によって焼き尽くされてしまった。
中野 1-1 佐野
おや、思っていたのと違うなというのが正直な感想である。得票数上位のトンデモデッキ同士の対決を覚悟してこのカバレージ執筆に臨んでいたのだが、なんだか普通のマジックではないか。
それもそのはず。中野はこのデッキを今回のために特別に用意したわけではなく、普段からプレイしているのである。
特徴的なのはやはり8体の悪魔、フル投入された《冒涜の悪魔》と《深淵の迫害者》だろう。「悪魔杯」の決勝戦に相応しいデッキだ。
先ほどの「普通のレガシー」という表現は少々失礼だったかもしれない。見慣れないカードこそ入っているものの、彼らは真剣にデッキを構築してレガシーを楽しんでいる。
Game 3
先手の中野は《金属モックス》からの《Hymn to Tourach》で佐野の土地を2枚落とし、サイドインした《記憶殺し》で《罠の橋》を取り除く。「黒単は手札から落とすしかないんですよ」とは中野の弁だ。
佐野の初動《水蓮のコブラ》は《迫撃鞘》で除去されるが、2体目の《水蓮のコブラ》から《不屈の追跡者》に繋げる。佐野の初手には土地が多かったようで、先ほどの《Hymn to Tourach》で土地を捨てさせられたのは僥倖だった。
中野の動きが良くない、土地を引きすぎているのだ。さらに佐野は中野にとって致命的となるカード、《森の知恵》をプレイする。佐野は豪快にライフを支払い攻め手を求める。《不屈の追跡者》の攻撃こそ《冒涜の悪魔》で抑えるものの、2ゲーム目と同様に手掛かりトークンが止まらない。
溢れる手がかりトークンの力を借りて、《ギラプールの霊気格子》が中野を介錯した。
中野 1-2 佐野
「目指せデッキ賞!」「Dig」協賛「悪魔杯」レガシーStage、『デッキ賞』は佐野 大基(神奈川)。おめでとう!
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