HJインタビュー: PWC協賛「スーパーサンデーシリーズ」 HJ 川添 啓一氏

晴れる屋

By Daisuke Kawasaki





いまや、グランプリのサイドイベントとして定着した感のある「スーパーサンデーシリーズ」。

このグランプリ・東京16では、256人を超える309人の参加者が集まったため、155人と154人のふたつのトーナメントに分けて運営された。

そして、ふたつのトーナメントに分かれた以上、ヘッドジャッジも二人いる。

ここでは、そのうちの一人、川添 啓一氏へとインタビューをしよう。





--「本日はヘッドジャッジ、お疲れ様でした」

川添 「ありがとうございます。スーパーサンデーシリーズのヘッドジャッジをやるのはかなり久々ですね……2年ぶりくらいですかね。グランプリの2日目はチームリーダーやその他で本戦を担当することが多いです」

-- 「そうなんですか?」

川添 「そうですね。僕は今、レベル2ジャッジなんですが、レベル2になって、さらに上のレベル、つまり、レベル3を目指しているので、グランプリのチームリーダーをやれるチャンスがあるならやりたいなと思っています」

-- 「レベル3とグランプリのチームリーダーってなにか相関関係があるのですか?」

川添 「まず、最初に予防線というわけじゃなくて、伝えておきたいことは、当然ながら僕はまだレベル3ではないということです。なので、あくまでも僕の考えているレベル3ということで聞いていただければと……『レベル3になっている人間』と『レベル3になろうとしている人間』では、当然見えている『レベル3の姿』は全然違うわけですから」

-- 「そうですね。むしろ、僕みたいな『ジャッジですらない人間』からすると、ジャッジの皆さんのお仕事自体に勘違いしていることも多いなぁと思うことが多くて、だからこそこういうインタビューをやらせて頂いていますし、レベル3ともなると、もう、まったく想像つかない世界なので、少しでも知りたいなと……なので、あくまでも川添さんの視点からでいいので、教えていただければと」

川添 「個人的にレベル3を目指す上で2日目のチームリーダーをやる理由は、そもそもグランプリのチームリーダーをやる経験って、グランプリでしか得られないじゃないですか」

-- 「グランプリですもんね、あたりまえの話ですが。でも、レベル3にとって、グランプリのチームリーダーって重要なんですか?」

川添 「グランプリの初日は、原則的にレベル3がチームリーダーをやっているので、その時のためにはグランプリのチームリーダーの経験を積んでおきたいですね。それと、二日目は本戦のジャッジの人数も減るんですが、上のレベルのジャッジは本戦に残るので、(ジャッジレベルという観点では) 密度が高くなるんです。実際、僕がはじめて二日目のチームリーダーをさせてもらった時は、他のチームメンバー4人のレベルが、4・3・2・2でした」

-- 「単純にチームリーダーとしての経験を積める、というだけでなく、高レベルジャッジの仕事を身近で見る勉強の機会にもなるということですか?」

川添 「高レベルのジャッジの仕事を見れますし、また、自分の仕事をレベル3ジャッジに近い距離でみてもらうチャンスにもなりますね。レベル3になるためには、レベル3からの推薦も必要なんですが、その推薦文はかなり多岐にわたる項目があるので、より多く自分の仕事を見てもらってアピールしたいと思っています」

-- 「川添さんは、『レベル3を目指す』という目標を持っていらっしゃいますが、そもそも、レベル3になりたいと考えている動機というか……理由を聞かせていただいてよろしいですか?」

川添 「一言では言えないのですが……一番大きいのは、次の世代を育てたいということですね」

-- 「レベル3になって次の世代を育てたいといいますと?」

川添 「最近システムが代わってレベル2もレベル2を認定できるシステムがはじまるので、ちょっと事情も変わってきているのですが、今までレベル2を認定できるのはレベル3以上だったので、レベル2を認定できる状況を自分の力で増やし、次世代の国内のジャッジコミュニティを育てたいと考えています」





-- 「ちょっと個人的に気になるのですが、川添さん自身もジャッジコミュニティの中ではかなりお若い方かなと思いますし、むしろ『次世代のジャッジ』よりなのかな、なんて僕なんかは考えてしまうのですが……」

川添 「もちろん、僕もまだまだなんですが、やはり、ジャッジの技術を身に付けるには、それなりに時間はかかるんです。僕がはじめた頃は、いわゆるレベル0でもグランプリに来てその中で死ぬ気で詰め込んで一気にスキルアップする、みたいなこともできましたが、今はそういう時代ではないので」

-- 「レベル1ジャッジの人数も増えましたし、仕事内容のシステム化というか、そういう部分も常に進化して無理のない状況にはなっているように僕の目からも見えます。大変だ!というよりも、しっかりとした技術を身に付けるには、ゆっくり長い時間をかけるべきなのかなとも僕は思います」

川添 「僕も、ここまででも時間がかかってますし。今回、僕の後輩のジャッジがサイドイベントのチームリーダーをはじめてやったのですが、これが6回目のグランプリで、ここまで2年半くらいかかってますね……」

-- 「一人前、って言葉を使うのはおかしいかもしれませんが、参加者が快適にグランプリに参加するためには、ある程度以上のスキルを持った人が一定数以上いなければなりませんもんね。そのレベルになるのにはそれなりに時間がかかってしまうのはわかります」

川添 「もちろん、今は問題ないと思いますが、忙しい人も多いですし、環境も変わっていきますから、いつまでも今のままではないですし、先輩のジャッジがいつ居なくなってもおかしくないと思います。僕が育ててもらってきたように、時間をかけて次の世代を育てるためにも、今から次の世代のことを考えたいんです」

-- 「たしかに、次世代の育成にかかる期間を甘くみたり、上の世代がいなくなる可能性を考慮しないと、コミュニティそのものが崩壊してしまったりしますもんね」

川添 「次世代の育成も含めて、色々考えたりもしますが、やはりレベル3になると発言に責任がより強く生まれる代わりに、自分の発言の影響力が強くなりますし、自分がコミュニティにより強く貢献するためにレベル3を目指したいと考えています」

-- 「コミュニティへ、自分が発信できるものを増やすためにレベル3を目指す、と」

川添 「もちろん、それだけじゃないんですけどね。自分自身のジャッジ経験をさらに豊かにしてもっと楽しみたいという気持ちもあります。やはりレベル3になると、海外グランプリなどにも呼ばれやすくなりますし、なによりプロツアーのジャッジをできるようになりますからね」

-- 「あ、今はプロツアーはレベル3以上だけなんでしたっけ?」

川添 「サイドイベントがないクローズドイベントになってからはそうですね。僕より少し前の世代のジャッジはプロツアー名古屋でプロツアーのジャッジをした経験があったりするんですが、僕あたりの世代はレベル3にならないとプロツアーでのジャッジができないんですよ、原則的には」

-- 「やはり、プロツアーのジャッジは憧れですか?」

川添 「もちろんです。正直、プレイヤーとしてよりジャッジとしてプロツアーに出たいです」

-- 「むしろ、プレイヤーとして出るより大変かもしれませんね」

川添 「あ、プレイヤーとしても僕はでれないですけどね……」

-- 「最後に、この記事を読んでいる方々へのメッセージをお願いします」

川添 「よく言われることですが、ジャッジは本当に楽しいです。ジャッジになると大会に出れなくなるって未だに思われますが、ジャッジをしながらもグランプリチャンピオンになった方も最近いましたしね。少なくとも、レベル2までは縛られるということはないですし、レベル2になってジャッジとしてどうしたいかも、僕のように自分で決めればいいと思います。まずは、ジャッジをやって、その楽しさを知ってください」

-- 「本日はありがとうございました」


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